【種別】
人名(通称)・役職名

【元ネタ】
イタリア語。fiamma:火・炎

【初出】
名前のみ十三巻
実際の登場は十六巻

【CV】
森川 智之


【解説】

ローマ正教最暗部の組織『神の右席』の一人で、そのリーダー格にある人物。
二つ名は『右方のフィアンマ』。対応している天使は『ミカエル』。

生まれつき『世界を救う力』をその体の内に抱える、『もう一つの右手』を持つ男。

【人物】

セミロングの赤髪にあまり鍛えている様には見えない体つきの、
中性的な容姿の青年。
一見爽やかな雰囲気だが、目は常に笑っておらず、
その印象以上に不自然で異様な威圧感を放っている。

神の右席』のリーダー格であり、他の三名も最終的な判断はこの男に任せていたらしい。

暗部中の暗部とは言え、仮にもローマ正教徒であるにもかかわらず、
『全ての人々を平等に救う』という十字教共通の指針を蔑ろにするような言動を数多く見せており、
敵味方にどれだけの人的・物的被害をもたらそうと一顧だにせず、
あくまで自身の目的を最優先にして行動している。
(『人間』の定義が非常に狭いテッラですら、極力同胞のローマ正教徒には配慮を見せていた)

一応、本人は一連の行動に対し「誰かがやらなければならない」「絶対的な善の到来を意味する」
ものだと述べているが、明確に十字教徒とは一線を隔す在り方については
ローマ教皇をして「本当に十字教徒なのか」、ヴェントですら「悪意の捉え方がねじ曲がっている」など相当な言われ様である。

【能力・スキル】

司る位置が『右』であるだけに『神の右席』の中で最大の力を持ち、
巨大な霊装として機能するバチカンや、
聖ピエトロ大聖堂の補助を得たローマ教皇をも一蹴してしまう程の実力を有している。

神の右席』として振るう天使の力は、
神の如き者』の持つ奇跡の象徴である『聖なる右』。
しかし、圧倒的な力を備えているものの人間であるフィアンマには『右腕』の力を完璧に引き出すことはできておらず、
その力は本来のものに比べればちっぽけで、一振りで空中分解しそうになるほど不安定で不完全なもの。

また、薄める原罪を取捨選択することで、ある程度「知恵の実」を残しており、
神の右席としての力に加えて「人間用魔術」も火属性に限られるが使用できる。
加えて、「一つの属性を操るということは、広義において他の属性に影響を与えることである」という理論に基づき、
火属性を介して他の属性を操作することで、実質的にあらゆる属性の魔術を行使できる。
ただしこの手法は四大属性の歪みのせいで不完全だったらしい。

フランスやローマ正教に加えて、ロシア成教すらも裏から操って第三次世界大戦を引き起こした張本人でもあり、
ロシア成教とローマ正教、イギリス清教学園都市などの勢力図の中に、
一個人である「右方のフィアンマ」の名前が入るほどに、その力は強大。

【作中での行動】

『世界を救う力』を内包する『聖なる右』の力を完全にし、それを用いて「世界の救済」をしようと動いており、
内包する力を出力するための『材料』として幻想殺しの宿る上条当麻の右腕を、
そしてこれを制御する為の『知識の宝庫』としてインデックスを制御する外部端末の霊装を、
更に天使を下ろしたサーシャ=クロイツェフを『素材』として回収しようとしている。
第三次世界大戦は、彼がこれらの目的を達成するために様々な手を用いて勃発させたもの。
それまでは基本的に自ら行動することはなかったらしく、
初登場の際にはローマ教皇に「『奥』から出てきたのか」と驚愕されている。

戦争そのものや、結果的に得られる利益などには全く頓着していない。
第三次世界大戦を引き起こしたのは飽くまでも、設定した敵に合わせて適切な出力を行う「聖なる右」の性質を逆手に取って、
第三次世界大戦や、黄金の腕の出現に伴って発生するであろう世界中の「悪意」を浮き彫りにし、
これを敵として設定することで「世界を救う力」を引き出そうとしたものである。

エリザリーナ独立国同盟にて彼の対策を話し合おうとする上条達の前に突如出現し、その圧倒的な力を見せつけた。
エリザリーナレッサー、上条らを反撃の間すら与える事なく叩きのめし、
民を救おうと出てきてしまったサーシャを一撃で無力化させ、助太刀に現れた同じ「神の右席」の前方のヴェントすら一蹴する。
しかし幻想殺しはその性質上容易に運ぶことはできず、サーシャを連れ去りその場を後にした。
『右腕』の力も、インデックスの中の知識を活用する事により空中分解寸前で固定化する事に成功、時間制限の問題もほぼ無くなっている。

さらにはその後ベツレヘムの星の建造及び浮上とミーシャの召喚を執り行い、
空中に満ちる天使の力天体制御で調整された空、そこに浮かぶベツレヘムの星。
これらを利用した大規模術式により世界の歪みを直し、四大属性の配置を正すことで『右腕』の更なる安定と強化を成し遂げた。

二十ニ巻では上条当麻と戦闘し上条当麻の右腕を切断・吸収した事で『神上』にまで至った。
だが、謎の透明な『何か』によって上条の右腕が再生したため、
吸収した右腕から幻想殺しや器としての強度などの機能が劣化した。
(これは上条当麻の右腕にしか幻想殺しが宿らないという性質によるもの)
その後の戦闘により、世界の善意が悪意に打ち勝った影響もあって、
徐々に第三の腕の力が弱まり、幻想殺しで破壊できる程度の出力となってしまう。
結果、様々な策を用意して行われた「世界の救済」は成功することなく、上条の拳を受けて敗北した。

その後、一つだけ残っていた脱出用コンテナに上条の手で乗せられ、ベツレヘムの星から脱出。
上条の言葉通り「世界」について改めて学ぶ事を決意した。
しかし、脱出後に突如姿を現したアレイスターに右腕を一瞬で切断され、
それでも僅かに残った第三の腕の力でアレイスターに挑むもあえなく敗北。
雪原にて倒れ伏し、今にも息絶えそうな所で、オッレルスシルビアに保護された。

新約では四巻にて初登場。東欧の街バゲージシティにおいて、オティヌスの前にオッレルスと共に立ち塞がる。
オティヌスが上条の右手を潰したために、フィアンマがベツレヘムの星において取り込んだ幻想殺しが機能し、出力する右手はないものの
『世界を救う力』が肩口にかき混ぜた砂糖水のような姿で渦巻いていた。
オッレルスからも魔神オティヌスを押し返す切り札として考えられており、
また「極めて強大な力を持つ」ともされており、未だその力は絶大であるようだ。

新約八巻ではまたもオッレルスとタッグを組んでオティヌスと対峙する。
新約六巻において実験していたという詳細不明のステルス術式を使用して魔神オティヌスを完全に欺き、妖精化を打ち込むことに成功する。
属性の歪みや神上の消失、遠隔制御霊装の有無、力の象徴である右手を失うなど全盛期と比べれば大幅に弱体化しているものの、
魔神でさえも騙し切るステルス能力を有し『妖精化』を易々と使いこなし、オティヌスの数億を超える爆発の直撃を食らいながらも
口から出血する程度で済むなど、フィアンマの絶対的な実力は揺らいでいない。
ロシア編における彼の、全盛期の実力の凄まじさが改めて窺える。

その後、新約十三巻で『真のグレムリン』の一柱・僧正に追われる上条と美琴を助ける為に、
パワーアップした『変異型妖精化』の術式を携えて僧正と対峙した。
が、全く効かずに一瞬で返り討ちにされてしまい、たった一瞬、わずか三ページの攻防の果てに宙を舞い、芝生に叩き付けられる姿は上条をも唖然とさせた。第三次世界大戦を起こした張本人を易々と倒す様子から僧正の計り知れない力が垣間見えた。

もしもこれが魔神ではない一介の魔術師が相手ならば、足止めどころか撃破すら可能だっただろう。
それ以降の直接的な描写はなく、新約二十二巻リバース終了時点でもなお生死不明。創約一巻のあとがきにて少しだけ言及されている。



【口調】

一人称は「俺様」。傲岸不遜な態度で話す。
例)「『前方』『左方』『後方』の地位など、再び誰かをあてがってしまえばそれで済む。この俺様が生き続ける限りはな」

この台詞から、「『右方』の座にいる人物は『神の右席』設立当初から変わっていない」
「『右方のフィアンマ』が生きている限り『神の右席』は存続できる」
と考えることができる。

【余談】

下記のように、上条との対比や類似点が多い。
  • 強大な力を持ちながらも自己に忠実で他を省みず、結果として取った行動が善行になる。
  • 特別な右手を持ち、相手によって振るえる出力が極端に変動する。
これらの例も含め、全体的に「『違う』上条当麻」と言うべきキャラクターであり、
第三次世界大戦前は上条の持つ負の側面を浮き彫りにしたような存在で『間違った』方法で世界を救おうとしたが(事実四大属性の歪みを直した)、
第三次世界大戦後は正の側面が目立ち、オッレルスと行動を共にして上条とは『違う』方法で人助けをしている。

最終更新:2023年08月09日 12:58