【種別】
魔術

【元ネタ】
魔女狩りと異端審問を活発化させたことで知られるローマ教皇、「インノケンティウス8世」と思われる。
Wikipedia - インノケンティウス8世

【初出】
一巻

【解説】
ステイル=マグヌスが使用する術式にして、切り札。
十字教とルーン魔術を組み合わせた魔術であり、その名の意味は『必ず殺す』。

周囲にルーンを刻み、摂氏3000度の炎で形成された巨人を生み出して意のままに操る魔術。
外観は重油のような黒くドロドロとした人型の芯を軸に、その周囲を真紅の炎が燃え盛っている。

その高温により接触したモノを焼き尽くし、巨人自体も拳や炎で出来た十字架を武器として振りまわす。
また、体を爆発させて爆風や衝撃波を起こし広範囲攻撃も可能と、圧倒的な破壊力を誇る。

この術式の本質は周囲に刻んだルーンであり、巨人自体は湖面に映る月に過ぎない。
そのためいくら巨人を攻撃しても意味はなく、ルーンを消さない限り無限に再生を繰り返す。
再生速度も『幻想殺し』の消去を上回るほど早く、似たような特性を持つ竜王の殺息を受け止めたこともある。

裏を返せば巨人が行動できるのはルーンを刻んだ区域のみで、そこから外に出ることは出来ない。
同様に巨人の性能も呼び出す際に使用したルーンの数に左右される。
そのため万全を期すためには数千から数十万と、ステイルが持つ他の術式と比較しても莫大な量のルーンを必要とする。

このため事前準備に時間と労力がかかり突発的な戦闘では使いづらいのが欠点だが、
ステイルはあらかじめルーンを刻んだカードをコピーして大量に持ち歩くことで、刻む手間を減らしている。

それとは別に大量のルーンは大量の魔力を消費するため、ステイルの体力が見た目より低い原因となっている。

色々と制約はあるが、一度発動すれば無限に再生する3000℃の炎の塊があらゆる障害物を溶かしながら対象を自動追尾して殲滅する。
盤面を整えた上で使えばほぼ勝ち確と言っても過言ではない性能であり、その魔術レベルは教皇級と評されている。

基本的には術者であるステイルの隣に寄り添うように現れるが、
事前にルーンを設置しておくことで、敵対者が領域内に入ればステイルがいなくても自動的に発動するようにすることもできる。
ただしこの場合、離れた場所にいるステイルは設置を解かない限り「魔女狩りの王」を使えなくなる。

【バリエーション】
  • 強化型
法の書』事件でのアニェーゼ部隊との戦闘で使用。
使用したカードの枚数は4300枚とステイル曰く「大した数ではない」が、
天草式の魔術師達の協力により、
ルーンの配置自体を魔法陣化してパワーアップ。
通常よりも炎の密度や威圧感が増し、さらに背からは無数の翼が生えるというハイパーイノケンティウスとでも呼ぶべき代物となった。
ただ、天草式の見立て無しには成立しない術式なので、現時点でステイル単独では不可。

  • 複数型
第三次世界大戦での自動書記戦で使用。
イノケンティウスを三体同時に召喚する。
これまたステイル単独では不可能なレベルだが、
聖ジョージ大聖堂地下に保管されていた様々な霊装の力を借り、
足りない魔力は三位一体の構造をとらせて消耗を減らすことで実現した。

  • 遠距離型
新約八巻のヨルムンガンド戦で使用。
風に乗せてルーンカードを巻き上げることで、本来届かない地点でもイノケンティウスを展開する。
設置型に近いが、あちらが事前に罠のように仕掛けるのに対し、こちらは能動的に送り込むという点で異なる。
独力で行ったものかは不明だが、ステイルは炎魔術特化でありそこまで精密な風魔術は使えないと思われるため、他者の協力があったものと推測される。

【詠唱】
世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ(MTWOTFFTOIIGOIIOF)
それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり(IIBOLAIIAOE)
それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり(IIMHAIIBOD)
その名は炎、その役は剣(IINFIIMS)
顕現せよ、我が身を喰らいて力と為せ(ICRMMBGP)

最終更新:2020年05月03日 16:57