【種別】
現象

【初出】
新約十八巻
この名称で呼ばれ出したのは新約二十巻

【解説】
アレイスター=クロウリーが持つあらゆる可能性が世界中に顕現した現象。
窓のないビル』での戦闘でローラ=スチュアートに殺害されたことが引き金となったが、
生命維持装置のビーカーから出た時点でこの現象が引き起こされる事は既定路線だったらしい。

曰く、生来アレイスターの魂は極彩に輝いており、
元々一つの体にあらゆる可能性を封じ込めていた状態だった。
樹形図の設計者』が演算し、『問答型思考補助式人工知能』が証明した数値が正しければ、
10億8309万2867通りもの「分岐先」、ifの姿が存在するという。
かつてアレイスターはこの「分岐先」を自らの分身として作る実験を思い付きで実行し、
その産物として「分岐先」を顕現させることに成功した。
しかし世界に複数のアレイスターが存在したところで、
ただいがみ合うだけで協力体制すら取れないと判明し、結果的に実験は失敗。
全てのアレイスターを重ねて一つの座標に留めることを余儀なくされた。

これまでアレイスターが生命維持装置から出ようとしなかった原因の一つであるが、
この現象を利用して、ビーカーの中に居ながらにして、別の場所に並列して同時に存在することも可能。
また、ファックスのように瞬間的にその存在を分化させることで、疑似的な瞬間移動をすることも出来る。

顕現したクロウリー達は男性、女性、子供、老人、聖人、囚人、
魔術を極めたクロウリー、すっぱり諦めたクロウリー……
などといった誰にでも予想できる可能性から、
恐竜やタコの様な何かといった、人の形すら保っていないものまで様々。
銀髪少女のクロウリー曰く
「どれもこれもまともな可能性ではないのは、私が私である故かね」

分化と同時にクロウリー達は、イギリス連邦加盟国53カ国を同時襲撃した。
イギリスは秘奥の魔術砲撃を分間80発程を行うことで面制圧、迎撃を行っていたが、
あまりにも数が膨大であるため迎撃が間に合わず、
遂にはドーバー海峡を超えて上陸まで許してしまっている。

クロウリーズ・ハザードが殺される度、並列の存在である銀髪少女のクロウリーは、
血の供儀(未編集)』によってデフラグ、つまり効率化・最適化されていく。
その結果、『聖人』級の音速戦闘にも付き合えるほどの「何か」を手にしており、
神裂火織騎士団長の同時攻撃にも対応し、受け流した。

極めて強力な軍勢であり、イギリス連邦加盟国すべてを同時攻撃し、
もはや世界中見渡しても戦争していない場所はないのではないか、と言われる程の規模だったが、
実はイギリス連邦侵攻にあたっては一人の死者も出していない。
アレイスターの目的は『血の供儀』によるデフラグ、
超伝導に近い魔力の最大効率化作業であり、他者を殺害する必要性は全く無いからである。
むしろクロウリーズ・ハザードが殺されれば殺されるほどアレイスター自身の最適化を後押しすることになり、
本人からすればガンガン殺してもらったほうが好都合なほど。
この点からオティヌス一方通行には「甘い」と評されている。

最終更新:2020年05月22日 23:23