【種別】
概念・理論


【初出】
俺の“みこうと”がこんなに暴れ回るわけがない

【解説】
アリシア=マクスウェルが研究している、エーテルについての概論。
魔術に使われるエーテルを、科学的な点から論じたものである。

エーテルとは自然科学が発祥する前から広く信じられてきたもので、火、水、土、風に並ぶ五大元素の一つとして物質を作る最小単位として数えられてきた。
エーテルとは光や電磁波を伝播させる不可視の物質であり、宇宙空間全域に広く薄く拡散している。
つまりエーテルの濃度によって光はその速度を変え、エーテルが途絶した場合光もそこで途切れてしまう。
このエーテルはモーリーの実験やローレンツ収束、そして相対性理論によって否定され、現代の物理界では光の速度は一定であるというのが定説となっている。
以降発見された様々な物理法則や公式も相対性理論、つまり「世界にはエーテルが存在しない」のを前提として語られている。

しかしそれはエーテルそのものを完全に否定しているわけではない。
例えばエーテルが初めて提唱された紀元前のギリシアには本当にエーテルが満ちており、それが時の流れと共に徐々に減少していき、アインシュタインの時代には完全に消滅してしまっていたとしたら?
またエーテルなき世界に「エーテルと全く同じ振る舞いをする微粒子」を散布したら?
その場合「エーテルが存在しない」ことを前提にした相対性理論の世界は崩壊し、それに追従する物理法則も意味を失ってしまう。
つまり空間をエーテルで満たすことで、その空間を切り離し、古き良き新しい世界を作り出すことができるようになる...といったもの。

上条達が迷いこんだのはアリシアが作成した「エーテルで満たされた世界」であり、アリシアに異物として招かれた。
(エーテルで満たされた世界は純水のように純粋すぎて不安定であり、安定させる為の異物、つまり不純物として上条達は招かれたらしい)
ただしアリシアは異物がもたらす影響については推測しか出来ず、上条達がこの世界を壊しかねないと判明したため、始末しようとしていた。

最終的には幻想殺しによって「エーテルで満たされた世界」は崩壊し、「科学的なエーテル」は完全に否定された。

最終更新:2018年08月15日 23:51