【種別】
生命体
【初出】
新約十四巻
【解説】
上条当麻と
上里翔流の戦闘の最中、『赤』と共に現れた『黒』。
元は専門のチームによって行われた南極調査活動で偶然発見された新種の寄生生命体で、
その不気味な容姿から、チーム内では暫定的に『サンプル=ショゴス』と称されていた。
大学側からの客員研究員としてチームに参加していた
パトリシア=バードウェイに寄生し、
学園都市が後方支援として参加していた事から、
最初は『外』の協力機関へ、その後たらい回しにされて学園都市内部まで送られた。
しかし学園都市の設備でも事態は好転せず、パトリシアごと病院から逃亡。学園都市の中を徘徊する事になった。
パトリシアの状況を知った
レイヴィニア=バードウェイは
魔術的な手法を模索したが、
自身の技量や『
明け色の陽射し』の力だけでは解決手段を見出せず、
暗黒大陸由来の技術である『
カニバリゼーション』を利用せざるを得なかった代物。
寄生すると宿主の全身の脂肪を溶かして空いたスペースへ潜り込み、
栄養の蓄積と分配をショゴスが脂肪に代わって行う。
下手に摘出しようとすれば、暴れ回って体構造はズタズタにされるし、
仮に上手く取り出せても残っているのは脂肪を失った宿主の抜け殻のみで、
体力が回復する前に衰弱死してしまう。
また、普段は体内で分散して鳴りを潜めているが、
害意を感じたり攻撃性を見せると、宿主の皮膚に亀裂のようなものを入れて外部へと姿を現し、
自らの身を割り裂いて鋭い爪のようなもので反撃を行う。
完全に戦闘態勢に入ると全身が宿主を包み、不定形な真っ黒な塊となる。
その外見は深海に揺蕩うタコのようにも、包丁で切り分けられたぶよぶよの脂肪の塊にも、
たるんだゴムの膜を裏側から炙ったようにも見える。
表面は不気味に泡立ち、目玉とも吸盤とも言えない何かが、
聞いた事もない毒を持つカエルやトカゲの極彩色ように、黄色か緑か、
ぬめった夜光塗料めいた光を明滅させている。
攻撃の際には、いくつもの牙が乱雑に生えた大口の形をした捕食器官を展開する。
パトリシアを追うレイヴィニアの『カニバリゼーション』と戦闘を繰り返したサンプル=ショゴスだったが、
最終的に
暮亞の能力で脂肪を補いつつパトリシアから摘出される。
摘出された端から
幻想殺しで消されていくサンプル=ショゴスは、
最期のあがきとしてパトリシアの背中側から地中を回りこみ、その場の全員に奇襲を仕掛けることに成功。
サンプル=ショゴスからすれば自身が未だ巣食っているパトリシアの命を盾にした攻撃だったのだが、
不意をつかれた上条は思わず後先を考えずに幻想殺しを叩き込んでしまい、サンプル=ショゴスは僅かな残骸を残して消滅。
一方パトリシアは、「神様らしく奇跡を起こす側でありたかった」と自覚した『魔神』
ネフテュスの現世最期の奇跡で救われた。
後に上里が
木原脳幹と対峙した際に、このサンプル=ショゴスについて言及。
南極調査の後援に学園都市が付いていることから、サンプル=ショゴスも学園都市絡みのものだと推測したうえで、その正体は
- 「女の形をしていれば何でも救ってしまう」という自称「クソッタレの性質」を持っている上里がパトリシアを救うこと
- 不治の病に侵されたも同然のパトリシアは人の性として「新天地」を夢想してしまうだろうということ
を前提とした、パトリシアに『理想送り』を使った途端その内部から上里めがけて炸裂する「少女トラップ」の材料だと推測した。
しかし、これはパトリシアが「命を投げ出してても姉を救う」という命題を持っており、
彼女が「新天地」を連想せず、『理想送り』が機能しなかったために失敗している。
さらに上里は、
- ショゴスが『幻想殺し』で消滅している『異能の力』絡みのものであること
- 理想送りを仕留めるために用意されたものなら、その実力が信頼されている既知の何かでなければ筋が通らないこと
から、その正体が「変色した『
未元物質』」であるとも推測している。
全てが終わった後、残骸は
姫君の毛皮と共に上条家の鍋パーティの具材となった(食したかどうかは不明)。
見方によってはバードウェイ姉妹のエキスがたっぷり染み込んでいる希少食材である。
後に、復讐鬼と化した
木原唯一が上里翔流からの『理想送り』奪取と、それに伴う外科的施術のためにこれを利用。
上里の右手を奪取したのみならず、肉体の再生や攻撃にも利用されており、『
魔神』の形状の再現も行っていた。
上記の推測が正しければ、体に
Equ.DarkMatterを埋め込んだ
木原病理とは好対照をなす。
最終更新:2019年09月07日 02:34