【種別】
人名(通称)・神名

【元ネタ】
エジプト神話に登場する夜を司る女神。
Wikipedia - ネフティス

【初出】
新約十巻

【CV】
ゆかな

【概要】

真の『グレムリン』に所属する『魔神』の一柱。 

長い銀髪と褐色の肌を持ち、裸身を包帯で覆った麗人。
両瞳は気まぐれに変色するが、目の下のタトゥーの色から本来の瞳の色は緑と思われる。
目の下の涙型タトゥーはオシリス神死去に際して落涙したという伝承に由来する。

ネフテュスは古代エジプト神話に登場する、罪を滂沱の涙で持って浄化する女神。
オシリスの崩御を際立たせる為に、金品で雇われて葬儀に参列する「泣き女」を軸に創作された神格という一学説もある。

四大文明に端を発するため、娘々と並び「魔神」の中でも古参格。

彼女は他の魔神のように個人が神に至ったのではなく、
「王の副葬品としてピラミッドに埋められた幾千幾万にも及ぶ奴隷や使用人の集合体」である。

ピラミッドに王族の副葬として詰め込まれた数千・数万人もの召使い達が、せめて何かを残そうと足掻き、自身の知識やパピルスを紐解き、知識を統合し、
やがてその研鑽が魔術の秘奥に届く頃には既に力尽きていたものの、その成果として無数に転がる召使いの骸の中心で魔神ネフテュスが誕生した。

故に彼女に「個人」は存在せず、生い立ちや遍歴もない。

「魔神ネフテュス」とは、名もなき集合体の自己とネフテュス神の逸話が重なり合った存在。
それが本当の意味でのネフテュスなのか、築かれた骸の山が自分なのかは彼女にも分からないが、
始まりはどうであれ、既に彼女は紛うことなき神格であり、時系列の前後を問うことに意味はない。

『泣き女』の由来を持つためか、ちょっとした感動エピソードとかですぐ泣く。
誕生経緯から人間の死を踏みにじる行為や生贄の強要などを嫌う性格で、生け贄を強要するテスカトリポカとはソリが合わないらしい。

【能力・スキル】

「数千数万の集合体」であるネフテュスは、『個』としての力を極めた他の魔神とは異なり、
自分の力を分離、分割、交換、切り替えて扱うことに特化している。

これにより自身の力を%単位で切り離して別の個体にすることができ、
『理想送り』など『魔神』を殺し得る攻撃を受けても、切り離した別の個体を残して生存することがができる。

自らをパーセンテージ単位で管理するネフテュスにとって、肉体の見かけの破損は殆ど障害にならず、体内の臓器をグチャグチャにされても、脚が捻じ曲がっても瞬時に回復する。

肉体を粒子状に変換することもでき、他者の身体に合わせて脂肪などに再構成し拒絶反応なく埋め込むことも可能。

  • 「涙」の術式
神の葬儀で大泣きした「泣き女」の伝承に由来する、
自分が涙を流すところを見せて、他人の感情を揺さぶり精神変調を促す強制精神共振魔術。

例えば『伝播の涙』を流した場合、
神話で神の加護を受けた英雄が多大な功績と引き換えに短命で命を終えるように、
相手の魔力・魔術を外部から本人の許容を超えるほどに増幅(ブースト)させ、自滅させる。

この他にも、『喜劇の涙』『憤怒の涙』『悲哀の涙』『感動の涙』『楽事の涙』といった種類がある。

この「涙」は他の「魔神」の精神にも干渉できるほど強力だが、顔が濡れているなどして「涙」が判別できないと失敗する弱点がある。

  • 水の刃
周囲の水分をかき集め、ナイルの莫大な水を象徴する巨大な水の刃を形成する。

この刃は「神の絶命以上の穢れ」がなければ対抗することは出来ず、そのようなものなど表層世界には存在しない。
つまり振り下ろしたが最後、防ぐ術はない。

なおこのとき集める水分は、水や空気中の水分だけでなく物質・生物を含む範囲一帯のありとあらゆる水分をかき集めているため、刃を振るわずとも準備するだけで相手を干からびさせて倒すこともできる。

  • 包帯
体に巻かれた包帯は神の肉体を内外の劣化や腐敗から守るためのものであり、包まれた対象は宇宙空間に放り出されてもなんの影響もなく生存することができる。


【作中での行動】

その大き過ぎる力から現世に足を踏み入れる事ができないため、
隠世』に潜んで暗躍していたが、
アレイスター=クロウリーに『隠世』を破壊されたため、
僧正娘々と共にゾンビが生み出した『鏡合わせの分割』の術式を用いて、
学園都市第一一学区へと降り立った。
この術式によって「無限の力」を失ったものの「現世を壊さない程度に制限した力を無限に持つ」状態に移行。
アレイスターやサンジェルマンの行動を予見しながら傍観に徹していた。

しかし、アレイスターは先行していたゾンビを木原脳幹に撃破させ、『鏡合わせの分割』を解析しており、
『魔神』達は改変したパラメータを埋め込まれ、可殺状態に追い込まれてしまう。
この事態は英国で様子を窺っていたローラ=スチュアートにも察知されている。

僧正が上条に『採点者』としての役割を担うよう打診し、決裂し戦闘となると、娘々と上条に接触。
僧正の行為が『グレムリン』の総意と取られても困ると、上条に僧正打開のための情報を提供する。
だが、僧正が撃破されてしまったことで怒った娘々が学園都市の破壊を決意。
それを止めるでもなく眺めていたネフテュスだったが、
突如現れた上里によって娘々は「新天地」へと追放された。
さらには、この世界に現れていたというその他の『魔神』を全て撃滅したという驚愕の事実を聞かされる。

自身の体を分割できるネフテュスはアレイスターからの弱体化を受けてなお、位相を差し替える力を一度だけ残しており、
上里をその力でもって押し潰そうとするも、差し込んだ位相も肉体も全てを「追放」されてしまう。
しかし、前述の特性から分身を温存していたネフテュスは、上条宅に宅配便で自分を送りつけ、上条に協力を要請する。

上里翔流と上条当麻によるバードウェイ姉妹を巡る戦いの最中、
『理想送り』によって全体の99%を奪われたネフテュスは残った1%の力では肉体を維持できず、ついに消滅の時を迎える。
しかし、上条と暮亞パトリシアの救助に失敗するのを目撃。
そして『神様らしく人間を救ってみたかった』という未練を自覚。
ネフテュスは残った1%の肉体をサンプル=ショゴスがパトリシアから奪った脂肪分へ変換し、
さらには拒絶反応を防ぐためにミクロ単位で組成を全て組み換えることで、
完璧なパトリシアの一部となってパトリシアの命を救い、消滅した。

新約十七巻「新たな天地」で再登場。
上条ら一行は、現世(のパトリシアの体内)に残ったネフテュスの残滓1%と新天地に追放された本体99%を媒介にすることで
上里を現世に呼び戻すことに成功。ネフテュスら魔神達はそのまま新天地に残った。
ちなみにパトリシアの一部となったネフテュスと新天地に追放されたネフテュスは、同一の存在ではない。

新約十九巻では「新たな天地」に侵入したコロンゾンを玩具として認識し、他の魔神と共に襲い掛かった。
終盤では力技で「新たな天地」を脱出したコロンゾンにくっつく形で、娘々と共に再び現世へ舞い戻った。

新約二十巻では、浜面滝壺に同行する形で娘々と共にロンドンを巡った。
その際に「傍観者としてモニタリングをする」という目的を持っている事が判明し、
一番動機が希薄な浜面一行と行動を共にすることを決定した旨が語られている。

尚、真の目的は『神威混淆』を覗き見する事だった模様。
そして、イシス=デメーテルと化したオルソラと遭遇した時には自身を釣り餌に使ったが、
クロウリー殲滅が目的だった為に相手にされず不満を溢した。

新約二十一巻では、アレイスターによって攻撃され路上で転がっていたダイアンを浜面が保護したことにより、車内で娘々と共に治療を施すことになった。
ネフテュスは揶揄うように自己紹介をして一瞬で「8=3、それ以上の存在」と看破したダイアンに、悲鳴を上げさせていた。

その後、魔神に馬鹿にされたダイアンが『自己情報無限循環霊装』を起動しようとすると、自身が黄金夜明(S∴M∴)の基本にして真髄である0=0儀式に於ける大三角の一角インペレーターである事を述べ、
「余程のアレンジでもしない限り勝てない」と豪語し、胸の前で両手を合わせて脅しを掛けた。
尚、メイザースウェストコット、他の黄金ならネフテュスと渡り合える可能性はあった模様。

【口調】
女性的な口調。その声は非常に甘いもの。
例) 「僧正。我々が実存する世界へ介入してしまう事への影響は考えているのよね?」

一方で、『泣き女』を軸にしているだけあって非常に涙もろい。テレビドラマを30秒も見れば涙と鼻水が滝のように出るレベルである。
例)「ええ、ええ、ちょっとごめんなさい。私こういうのに弱いというか……ああ、もらい泣きが存在の本質に絡み付いているというか、
   とにかく、もうダメだっ、もっかいきた!ふええっ!!」


最終更新:2020年09月22日 15:22