【種別】
人名(仮)

【元ネタ】
世界初の哺乳類の体細胞クローンである雌羊ドリーだと思われる
Wikipedia-ドリー (羊)

【初出】
とある科学の超電磁砲第五十九話

【CV】
小原 好美


【解説】

「ドリー」の通称で呼ばれる、『才人工房』で生活している少女。
当時の警策看取食蜂操祈帆風潤子ら、『才人工房』に所属していた子どもたちと同様に、
靴下やブラ・キャミソールなどは身に着けず、黒色の手術衣のような服と、下着のショーツのみ着けている。

「中学生」ということになっており、容姿も中学校一年生ほどだが、
当時まだ小学生だった食蜂に「アナタ本当に中学生ぇ?」と笑われるほど、
人格や精神、口調、行動などの面ではかなり幼く、裏表のない性格。
外の世界を知らず研究施設内で育ち、友人もいなかった生活環境から人寂しいのか、
抱きついたり匂いを嗅いだりとスキンシップを好む。

『才人工房』から宛てがわれた警策を「みーちゃん」と呼び慕い、ただ一人の親友とした。
互いに裏表なく笑い会えるような親しい関係を続けていたが、
ある日偶然にも、警策に後述の「身体の傷」と生命維持装置を見られてしまう。

警策は「医療機関ではなく能力者開発施設の『才人工房』がドリーの「治療」をしている」ことに疑いを持ち、
機密データを調べ上げ、彼女の境遇に憤慨し研究者達に反逆するが、
捕らえられて暴行・監禁され、ドリーから引き離されてしまう。
事情を知らないドリーは「埋め込まれた機械を気味悪がられ、避けられた」
と解釈して強いストレスを抱えてしまった。

このストレスがドリー実験データに影響することから、『才人工房』は新たに食蜂を彼女に宛てがう。
その能力で食蜂を「みーちゃん」と誤認した彼女は、
しばらく食蜂と共に過ごした後、ついに肉体の限界を迎え倒れる。
倒れた彼女が研究者に引き取られる直前、食蜂に「おなまえ、きかせて」と頼み、
友達になってくれた「みさきちゃん」に「ありがとう」と告げこの世を去った。

(以前に彼女が食蜂に抱きついた際、髪の香りで「みーちゃん」ではないことに気付いた節があり、
また食蜂自身も「今の自分の能力では騙しきれない」と自認していた。)

【正体】

ドリーの正体は、御坂美琴のDNAマップを用いて試作されたクローンの少女。
すなわち妹達』が生み出されるより前の「0号(プロトタイプ)」である
上層の組織から『才人工房』に預けられていた。

その目的は「クローンを長持ちさせるための実験データの採取」で、
短命な肉体を維持する目的で、腹部付近から露出する形で身体に機械が埋め込まれており、
彼女自身の健康を顧みず、あらゆる薬物を投与してデータを採取されている。
胸部・腹部のほか、背中にも3つ大きな傷があり、
亡くなる間際には左足首付近や顔にも裂傷が確認できるが、詳細は不明。

また、クローン間での情報共有を行うネットワーク構築の実験体でもあり、
同時期に造られ、目覚めることなく眠ったままの『妹』個体に、
研究所で生活している『姉』個体の人格・記憶・経験がすべて転送されている。
つまりドリーは『姉』個体と『妹』個体の二人セットで、「0号(プロトタイプ)」として機能していた。

ただし、これらドリーに関するデータ採取の真の目的は『才人工房』には知らされていなかったようで、
ドリー関連の研究は「上から押しつけられた目的すらわからない人形遊びの一環」と称されていた。

【妹達との関係】

御坂美琴のDNAマップを用いて生産されたクローンという点は共通するが、
ドリーは、天井布束らによる『量産型能力者計画』ではなく その先行技術調査の個体 であり、
従って後に生産された御坂妹をはじめとした20001人の妹達とは異なる点も多い。

ドリーの『姉』個体と『妹』個体で構築されていた実験的ネットワークも、
後に生産された妹達のミサカネットワークとは直接の繋がりや接続がなく、
かつ『姉』個体が存命だった時期とは時間軸も大きく異なっているため、
妹達はドリー姉妹の存在を認知できていないものと思われる。
(「海に行ってみたい」といったドリーの夢の一部が、
残滓やデジャブのような形でかすかに妹達に伝わっている程度にすぎない)

なお、ドリー(『姉』)は、自分に『妹』が存在することや、
「たくさんのいもーとができる」ことは知っていたようだが、
自身の素性や実験の内容についてどの程度知っていたのかは不明。

また、妹達では、布束が監修した洗脳・学習装置を使用して、
生産された直後の段階で脳に様々な知識を強制的にインストールし、
喜怒哀楽などの感情についても一定の制限がなされていため、
例外的なミサカ19090号打ち止めを除いて、人間的な感情が極端に薄い。

一方、ドリーは「本を読む」「人と接する」など、実際の経験によって
知識や感情・人格を身につけているようで、幼いながらも自然な人間性があり、
髪型や瞳の作画表現なども妹達や美琴とは異なっている。


【その後】

大覇星祭の事件の後、木原幻生の記憶を読んだ食蜂は、ドリーに関する本当の研究目的と
『妹』個体の存在、警策看取こそがドリーの親友だった「みーちゃん」だという事実を知る。
そして、眠ったまま研究機関で保管されていた『妹』は、食蜂と警策の手により解放され、
離れ離れになってしまった親友同士の『再会』を果たした。

亡くなる前の『姉』個体の髪型はショートヘアだったが、
再会して以後の『妹』個体は、現在の警策や食蜂と同程度のロングヘアになっている。

『妹』の存在を知った当初の食蜂は、
「『妹』は記憶と情報を共有しているだけでドリー本人ではない」としていたが、
人格なども含めほぼ完全に記憶が引き継がれている様子であり、
以後は警策も食蜂もドリー自身も、『妹』をドリーとして同一視して扱っている。

再会後のドリーと警策は、食蜂所有の隠れ家で 同棲生活 を送っている模様で、
ドリーと警策の二人、あるいは食蜂を含めた三人で外出することがあり、
超電磁砲T第25話では、「ウミにつれていって」という願いを叶える一歩として、
学園都市内の水族館へ出かけていたり、
獄門開錠(ジェイルブレイカー)編でも、興味を持ったドリーたっての希望で、
警策に連れられ共に第二少年院脱獄トライアルに出場している。

とある科学の心理掌握』にも登場し、警策とのほのぼのした日常が描かれる。

『禁書目録』本編には登場せず、食蜂が絡むシーンでごく稀に言及される程度であるが、
遅くとも12月の中頃(新約22巻リバース)までには、
オリジナルである美琴が「食蜂が関わっているプロトタイプ」の情報を掴んでいるようだ。
ただし、そこに至る経緯は外伝を含め作中では未だ明かされていないため、
食蜂が直接美琴に対してドリーの存在を伝えたのか、
それとも美琴本人が何らかの手段を用いて知り得たのかは不明。

なお、上述の脱獄トライアルに参加した際には、警策が食蜂派閥のメンバーに、
あの子のことはあいつ(食蜂)なりに伝えるタイミングを図ってると思うから
といった見立てを伝えている。

【能力】

美琴や、後に製造された『妹達』と同様、能力は電撃使い


脱獄トライアルの際には、警備ロボに狙われていた警策を助けるため、
自分とさほど変わらぬ体格の彼女を「お姫様抱っこ」して宙に浮いたまま、
長い髪をレール代わりにする手法で、同時に4つの小威力の超電磁砲を撃ち出す離れ業をやってのけており、
高い戦闘能力や身体能力も身に着けているようだ。

(この髪をレールにする設定は元々、美琴をデザインする際に没にされた設定の再利用である。)


最終更新:2023年10月25日 16:50