【種別】
人名

【初出】
新約四巻

【CV】
中村 悠一

【元ネタ】
数学用語の「加群」に由来する。
Wikipedia - 加群

【解説】
足首までの白いコートを着た黒髪の男。初登場時はフルフェイスメットを着用していた。
その正体は、学園都市を去った『木原一族』の異端にして、魔術結社『グレムリン』の正規メンバー「ベルシ」。

『木原』でありながら同じく『木原』に特化した人物であり、及第点に達していないとはいえ木原円周を一目見ただけでその戦闘方法と本来の専門を看破し、撃退した。
木原病理によれば同じ科学に縛られる『木原』だからこそ、『木原』の戦術はある程度推測できるものらしい。

元は「生命や魂に関する事柄からオカルトを排除した上で、命の価値は不変であることを証明する」ために
十代にして臨死体験におけるビジョンの解明実験を行っており、並はずれた『木原』らしさを発揮。
「結果的に全被検体が蘇生したが、一度止めた心臓の数は木原の中でトップクラス」という記録を残す。
その実験の過程で、人の命を簡単にオンオフできてしまう技術を作ってしまったため、
二十代になる前に「このまま研究を続けると、命の価値は非常に低い所で固定される」と悟り研究職を引退。
平凡な小学校教師の道を選び、『落第防止』として、男女合わせ32名の生徒を学校生活に復帰させた。

だが3年前の春、復帰した雲川鞠亜に付き添って小学校へ登校した際、
通り魔から襲撃された鞠亜を守るために、花壇のスコップで通り魔を返り討ちにし殺害してしまう。
自ら警備員へ出頭するが、正当防衛が認められ無罪、教員免許の剥奪もなかった。
だが裁判終了後、退職メールを同僚に送り失踪。子供たちが自分に憧れることを防ぐためであった。

実はこの通り魔は、木原病理が「人の役に立つ異端の木原」としての道を加群に諦めさせるために
何の罪もない少年を精神的に追い詰め、通り魔に仕立てあげて送り込んだものであった。
この時点で加群はこれを察しており、「本来は被害者であった通り魔の少年」の復讐のために病理を討ち、
なおかつ直接的に手を下した自らも相打ちで死ぬ決意を固める。

学園都市を去った加群は、当時黒小人の工具改良を試みていたマリアン=スリンゲナイヤーと遭遇。
魔術の実在を知り、マリアンと行動を共にしながら独学で魔術を学んでゆく(ベルシの項を参照)。
後に合流した『グレムリン』においても自滅的な目的が災いして周囲から避けられていたが、科学者として大きく貢献し、
目的達成のための手段を選ばない「木原らしさ」を発揮して、「科学の利用」という思想の根幹をなす存在となった。

バードウェイの策略によって学園都市から離反した反学園都市サイエンスガーディアンを利用し、
バゲージシティにおいて「全体論の超能力」実験を行っていたグレムリンだが、
学園都市出身で『暗部』の中心に近い位置にいた加群は学園都市から派遣される部隊の規模を秘密裡に傍受しており、
『グレムリン』にとって有益な結果を生み出すように最終調整と計画全体の組み立てを行っていた。
シナリオは事前に知っていた場合には狙ったとおりの効果を生み出せない可能性が懸念されたため、
味方である『グレムリン』側にさえ伏せられていた。
また、情報傍受の過程で今回の作戦において木原病理が動く事を知った木原加群は、
『シナリオは誰にも開示しない』という最終調整役が担う条件を逆手に取り、実行直前で計画を大きく変更していたらしい。
結果、彼の目論見は成功。バゲージシティに派遣された木原病理と交戦し、筋書き通りに病理を殺害し、自らも重傷を負って死亡する。
遺体はオティヌスによって、死体人形『死者の軍勢(エインヘルヤル)』として回収された。

生前、なんらかの精神操作を受ける可能性を考慮していた彼は、首の後ろに埋め込む半導体チップを用意しており、
その機能により、エインヘルヤル影響下でも、人命救助人形として稼動できる。
『グレムリン』への攻撃を行おうとする無謀な自衛隊や機動隊などの装備を破壊、ほぼ無傷のまま戦闘不能にさせたり、
偶然通りかかった上条らを守り、襲いかかった『地の底這う悪竜』を撃破。

復讐に生きる加群(ベルシ)を危ぶんだマリアンは、彼に出来る限りの魔術的指導を施し、
「もしも復讐が終わってさ、それでも無意味に生き残っちゃって、
 何にもなくなっちゃったなら、その時は私のトコに来いよ」
とアプローチをかけていたが、ついに加群が答えることはないままに終わった。

その死は「先生」として彼を慕っていた雲川鞠亜と「ベルシ」として気に掛けられていたマリアン=スリンゲナイヤーに大きな悲しみを与えた。

そしてバゲージシティで上条当麻が登場した際にマリアンは彼の残した結末こそが最高だと上条当麻の「法則」に立ち向かい、鞠亜は加群から「先生」を奪わせないために上条当麻に救いを求める等良くも悪くも死後も彼女らの行動理念に影響を与えた。

『木原』としては例外的に善良な性格だが、
その善良さから発した復讐劇は、ラジオゾンデ要塞を始め、バゲージシティでの惨劇などを生み出し、自己と周囲に破滅を散撒き、
結果的に「素晴らしい目的を果たすためとなると、全体的な正当性が崩壊する」という『木原』の持つ性質の行動になっている。
善良な彼をしてなお、「科学を悪用してしまう」という『木原』の宿命からは逃れられなかったらしい。
作者曰く「通り魔から子供達を守るために解放した『木原』は、その後自分で制御する事ができなくなってしまった」とのこと。


最終更新:2023年06月27日 20:42