【種別】
要塞

【元ネタ】
ゴム気球を用いて飛ばされる、無線機付き気象観測機。
Wikipedia - ラジオゾンデ

【初出】
新約二巻

【解説】
謎の組織『グレムリン』がアイスランドから浮上させた大型施設。
縦横の長さがおよそ20kmに及ぶ巨大な十字架型をしており、高度5万2000mを浮遊しながら移動する。

空気の薄さゆえに飛行機では揚力を得られず、ロケットではそもそも接舷できないため、科学サイドの手段では到達できない。
さらに魔術サイドでも『撃墜術式』で迎撃される恐れがあるため飛行して到達できない、非常に厄介な存在。
この超高空に到達できる手段として学園都市から「中間圏ラジオゾンデ」の情報が提示されたため、
対策に当たったイギリス清教からは便宜的に「ラジオゾンデ要塞」と命名されており、作中でもほぼこの名前で呼ばれている。

浮力の発生源になっているのは、要塞下面に200~300個ほど設置されているガスタンク状の球体。
中には何らかの気体が詰まっているが、この程度の量で十分な浮力を賄えるガスは科学サイドには存在せず、魔術的な手法が用いられているとされる。
さらには撃ち落とされるのを防ぐため、ガスタンクはあえて脆く作られており、
弾道ミサイルなどで手を出せば即座に墜落するようになっている。

外観や内装は『建築様式の違う、複数の聖堂や神殿をかき集めて作られた』様に見えるが、
実際には新たに用意した石材等を『そういう形』に似せているだけである。
形状や材質、スケール感、空中に浮遊する性質などから、その存在を知るものには『ベツレヘムの星』を想起させる。

技術や設計思想が『科学』・『魔術』のどちらなのか明確に判別できないこと、
打ち上げに際しての犯行声明がないこと、『落下の危機』以外に明確な攻撃をしないことから、
敵の正体や目的が判然とせず、神裂火織を始めとするイギリス清教の面々も困惑していた。

その真の目的は「生還した上条当麻の所在確認」の一点のみ。
そのため要塞本体には迎撃のための兵装や術式はなく、
配置された戦力も、浮力を制御するバルーンの管理を行う魔術師投擲の槌』しかいない。
第三次世界大戦を止めた上条の行方を把握するための物ではあるが、『上条当麻を追っている』という事実を可能な限り隠すため、
落下による氷河期への突入という『惑星レベルの壊滅的なリスク』へ世界の注目を集めようとしていた。

上条の探知には『幻想殺し』の特性を利用している。
具体的には「地脈・龍脈に流れる力を『幻想殺し』が削り取るが、また補充される」というサイクルに対して、
「規則的に山や川を破壊して地脈・龍脈そのものを望み通りに変化させる」という風水的な手法で干渉し、
およそ50km間隔で地中に発信器が自動製造される仕掛けを地球そのものに施している。
こうして、発信器の範囲内に『幻想殺し』がいれば更に精密な誘導をし、いなければ次の発信器に移動する…ということを繰り返し、
出発点のアイスランドからユーラシア大陸を横切り、日本の学園都市上空まで辿り着いた。
発信器を無限に作り続けられるわけではないが、最後の発信器は学園都市に作られるように設定されており、
例え上条の捜索に失敗しても最終的に必ず学園都市へ落下するようになっている。

対処のため、成層圏に打ち上げられたロケットから神裂が「飛び降りて」乗り込んだが、
乗っていた魔術師『投擲の槌』と交戦し、要塞の約3分の1が消滅した。
その後、学園都市に設置された最後の発信器が上条・浜面一方通行によって破壊されたことで、
そのまま学園都市上空を通過し、太平洋の千葉県沖合の海域に不時着・崩壊した。

着水後に要塞内を探索した神裂は、その一角で壁一面に真っ赤なスプレー塗料で書かれたメッセージを発見し、
この要塞が上条のためだけに製作されたことを悟った。

 おかえりなさい、ヒーロー      グレムリンより
 「 Welcomehome,hero. 」    「 From“GREMLIN”」


最終更新:2023年12月29日 15:29