【種別】
書物

【初出】
一巻


【解説】

魔術の使用方法が記された書物。
力ある魔術師によって作成され、
『原典(オリジン)』とその写本、偽書が存在する。

知識を広める目的で作られるが、記されている『別世界』の常識や法則は善悪に関わらず『現世』にとっては有毒なため、
宗教観念(=宗教防壁)の薄い人間なら目を通しただけで脳を汚染され、発狂もしくは廃人となる。
この『知識の毒』はあまりにも現実世界と乖離した「異世界の知識」と読者の常識との間の齟齬によって発生するため、
少しずつ段階を踏んで理解していけば理論上は汚染を抑えられるらしい。

重要なのは記述の方であるため、石版やタロットなど書物の体裁をしていないものも魔道書に含まれる。
また、聖書を始めとする様々な宗教圏の教典や、伝承・教訓を暗喩するような童話の本も、写本として広義の魔道書に含まれる。

書かれている内容は書物により様々だが、
魔道書を読解した(することが出来た)魔術師が振るう魔術は、より大規模な効果を引き起こす。
また、オーレンツ=トライスのように原典に目を通したことで発狂して事件を引き起こす魔術師も存在する。
そのため原典の管理は厳重であり、大英博物館バチカンの教皇庁のような大規模施設での封印の他、
一般人の目に触れないよう、イギリス清教では市民図書館にて極秘裏に収集・保全を行っている。
そして、管理と収集の極致とも言えるのが『禁書目録(インデックス)』である。

魔道書を執筆したり、中身を弟子に伝えたりと後進の育成を主とする魔術師は魔導師と呼ばれる。
また各教会組織には、魔術の使用傾向や傾向と対策などを記した「教会のための魔道書」を書くことを専門とする、
隠秘記録官(カンセラリウス)という役職も存在する。

【写本・偽書】

魔道書の偽書や写本。
『原典』の記述を改変・削除、部分的に抽出するなどして毒の純度を落としてあり、
一般的に魔術師はこちらを使って知識や術式を修得する。
反面効力は弱まっており、基本的に高度な術式をそのまま習得する事は出来ない。

また記述を一部抜き出した上で作者によって独自のアレンジを施した物なので、
いくつもの派生が存在し、同一の原典を基としながらも内容が異なるものもザラ。
「知識の純度」もまちまちで、一般人でも読めるものから、限りなく『原典』に近い毒性を持つものもある。

【原典(オリジン)】

偽書や写本の大元となる魔道書。
高純度の知識が内包されていて毒が非常に強く、
強固な宗教防壁を備える優れた魔術師であっても、毒素の汚染を完全に防ぐのは難しい。
その分秘めている力も強いため、読み解ければ強大な魔術を得る事が出来る。

膨大な情報量を誇る魔道書は、複雑な魔法陣と似た性質を持つ。
これは知識を薄められている写本・偽書も例外ではなく、
特に高純度の知識が含まれた『原典』ともなると、記された文字や文章が魔術的記号と化し、
本そのものが一つの超高度・高密度な「自動制御の魔法陣」としても機能する。

基本的に魔法陣を起動するにはスターターとなる「執筆者本人の魔力」が僅かでも必要なのだが、
魔道書を書く魔術師のほとんどは執筆中に自分でも気づかない内に魔力を精製しページに刻み付けてしまうため、条件を満たしてしまう。
逆に言えば「魔力がない執筆者」なら魔法陣を起動せずに書けることになるため、インデックスはその意味でも魔道書の管理者として適任なのである。
こうして魔力を流され完成した原典は、地脈などの自然に存在する微弱な魔術的エネルギーを収集し、
それを何百倍にも増幅して動力源とすることで半永久的に自律稼働する。

原典には記された知識を守るための自己防衛機能が備わっており、書物が自然に風化することはなく、
焼却などで破壊しようとしても決して受け付けず、仮に破壊できたとしても力ある原典ならすぐ再生してしまう。
また自身に対する攻撃や干渉を感知すると、自動的にその実行犯に対し記述に由来した迎撃術式を発動させる。

そのため処分しようとしても迂闊に手が出せず、
魔道書が有する回復機能を空回りさせたり、回復速度を遅延させるなどの封印を施すのがせいぜいと言ったところ。
魔道書へ流れるエネルギーを遮断すればその間は一時的に自動修復ができなくなるが、少しでも取り込めば即座に復活するので現実的ではない。
ただし、上条当麻の『幻想殺し』でなら、『原典』の完全な破壊が可能であるらしい。

逆に中途半端な原典の場合、短時間で勝手に崩壊してしまう。
過去、そういった出来損ないの原典の執筆中に暴走に巻き込まれて死んだ魔術師も多いらしい。
しかし、オリアナ=トムソンの作成する『速記原典』のように、
あえて中途半端な状態のまま利用しているものもある。

オリアナなどの例から分かるように、原典は魔術が記された単なる書物ではなく、
自己防衛機能を上手く利用することで魔術的な機械として使うことが可能。
人間には不可能な作業や演算を代理で行わせるコンピュータのように扱ったり、
敵の攻撃を防御させ自動で迎撃させる兵器のように扱うことも出来る。

原典は「自身の知識をより広める者に協力する」性質を持ち、
場合によっては読んだ魔術師に力を貸すことも、あるいはその逆も起こり得る。
作中でもエツァリを攻撃したテクパトルが、「写本の記述を妨害した」と見なされて自爆する結果となった。
ただ、ここまで極端な結果になったのは、テクパトルが原典の侵食を意図的に遮断し、
原典の知識を広めるどころか、読まずに死蔵していた事もその一因であるらしい。

【作中で登場した魔道書一覧】


【備考】

本作においては、「魔『導』書」ではなく「魔『道』書」の表記が用いられている。
誤記に注意されたし。

最終更新:2020年04月08日 01:16