【種別】
霊装魔道書

【元ネタ】
Shorthand=「速記」

【初出】
九巻

【解説】
オリアナの書いた簡略版魔道書。
魔道書の持つ魔法陣としての側面に特化したもの。
新約8巻の説明によれば
「『原典』の防衛機能面だけを抽出し兵器化させた、使い捨ての魔道書」であるとのこと。
最初は、個人の魔力を特定し生命力を空回りさせ消耗させる『妨害魔術』を自動で行うものと考えられていたが、
後にオリアナの持つ単語帳のページ一つ一つが全て速記原典であり、
それぞれに別の魔術が書き込まれている事が判明した。

魔道書としてハンパな代物であり、知識を伝える機能を持たないため精神汚染はなく、
安定性もないため短時間で勝手に崩壊してしまう。
土御門は、
「魔法陣としての機能が果たせれば十分として、
 安定性も他人に知識を伝える機能もオミットして手間を省いたのではないか?」
と推測していたが、
オリアナ自身は、
「頑張って書いても安定してくれず暴走と自滅を繰り返し、おまけに文章が汚くて誰にも読んでもらえない代物」
と自嘲気味に語っている。

五大元素(文字とそれを記す色)と、
様々な座相法則(0度から9度、171度から189度、81度から99度、
111度から129度、54度から66度、0度から1度、他)、
ページ数の数秘的分解の組み合わせで、無数の魔術パターンを構築・操作することが可能。
ただしその乱数的な組み上げ方のために本人以外の誰にも記述内容を理解できず、
また、厳密な意味で同じ魔術は二度と使用できない。
原典の一冊一冊(1ページ)はせいぜい持って一時間、早ければ数秒で消滅してしまう。
安定せずに暴走と自滅を繰り返すが、オリアナは常に新しい魔術を生み出しているため、
1回の戦闘中での弾切れはあるものの、新たに書き直すことで実質無限に使うことが出来る。
土御門はこれの一ページを用いて逆探知を行った。
所有者であるオリアナの側からは全てのページに対して探知をかけることが可能なようだ。

登場した魔術は以下(判明している物のみ)。

Water Symbol
水の象徴という意味を持つ名前を黄色いインクで書く。空気の振動を介さない声での通信魔術。

『表裏の騒静(サイレントコイン)』
自分を追い駆けよう、という気力を奪う術式。人払いの術式の応用。

Soil Symbol
土の象徴に青のインクの組み合わせ。高さ50メートルに達する土の壁が津波のように押し寄せる。

Wind Symbol
風の象徴に青のインク。
発動直後打ち消されたため、正確な効果は不明だが、おそらく周囲を凍結させる類のものである。

Wind Symbol
風の象徴に青のインク。炎を打ち消す霧の竜巻を起こす。

Fire Symbol
炎の象徴を水である青で打ち消す。一定以上の怪我を負った人間を昏倒させる術式。

Wind Symbol
緑色と風の象徴。厚さ50センチの氷の壁が道路一面に広がる。
攻撃のためだけでなく、光の屈折を目的に使われた。

Wind Symbol:明色の切断斧(ブレードクレーター)』
角度ジャスト0度のコンユンクティオ、総ページ数にして577枚目。
自分を中心として大地に半径1メートル程の円を描き、その円から外周へとレンガ敷の壁面のように、充血した眼球に毛細血管が浮かび上がるように、木の枝のような文様を走らせる。
その後、文様が振動するような不気味な音を立てた後に溝全てから真上に向かって、
真逆のギロチンのように刃のシャッターが駆け上がる。斬撃数は208本。

昏睡の風(ドロップレスト)
見た目は圧縮された風の槍だが、直撃した者の意識を強制的に外界から内界へ向け直すことで気絶させる術式。

Soil Symbol
姫神を敵魔術師と勘違いして放った術式。胸の上から腹の下までを一気に引き裂いた。

Wind Symbol
数十メートル大の風の刃を作り出す術式。森の木々を一律腰の高さにまで斬り揃えてしまう威力があった。
しかしフェンリルの解放した『中切歯』『側切歯』の溝へと呑みこまれ、ダメージは与えられなかった。

『All_of_Symbol』
我が身に宿る全ての才能に告げる――
――その全霊を解放し目の前の敵を討て!!
残った単語帳のページ全てを使い、付近にあるもの全てを吸い込む白き奔流を作り出す。
幻想殺しに打ち消されると、吸い込まれた物は逆流し、上条へ反撃した。
なお、作中で初めて明確に『幻想殺しに対抗するためだけに使われた(作られた)』異能力である。

最終更新:2021年02月03日 20:36