【種別】
人名

【初出】
十五巻

【CV】
小清水 亜美


【概要】

暗部組織『アイテム』のリーダーを務める女。
学園都市第四位のレベル5であり、超能力『原子崩し(メルトダウナー)』を持つ。
外伝『とある暗部の少女共棲(アイテム)』では主人公を務める。

【人物】

スラリとした長身にふわふわとした茶髪と、お嬢様のような雰囲気が特徴的。
胸や肢体の肉付きは豊かで、モデルのようなプロポーションの持ち主。
年齢は明らかにされていないが、美琴を年下と見下していたことから高校生以上と思われる。

小麦で財を成したマフィア・麦野家の令嬢である。
彼女が暗部にいる理由自体、何かヘマをしたからではなく、元から社会の暗部で生まれ育った裏世界のサラブレッドだからである。
この設定が明らかにされる以前にも『超電磁砲』第三十話扉絵にて、幼少期の麦野と思われる少女が描かれており、
その内容は「豪奢な内装の部屋で少女が足を組んで凝った造りの椅子に座っており、
その傍らには執事が控えている」というもので、麦野がお嬢様育ちであることが示唆されていた。
現在でも第三学区のプライベートプールを借りっぱなしにしたまま忘れていたり、
高級ブランドの衣服や靴を当然のように購入して戦闘で叩き壊したりと、
金に対して無頓着なところがあり、彼女の財力の一端が窺える。

第四位なだけあって明晰な頭脳を持ち、
スクール』の動向から襲撃予定地を割り出したり、相手の狙いを即座に看破したりしている。
語学面も優秀で、フランス語をリアルタイムで通訳したことも。

【性格】

暗部の人間らしく敵とみなした人物には容赦をしない残酷な性格。
一方で普段の短気かつ粗暴な言動からは分かりづらいが、拐われた部下の行方を不眠不休で探したり、死んだ部下のリベンジを行うなど仲間想いな一面もある。
ただし、それはリーダーである麦野の命令を守り仕事を遂行しようとした仲間に向けられる優しさであり、裏切り者は決して許さない。
誰かに裏切られたり、自分が窮地に陥ると暴走し味方にまで危害を加えることも。
また、敵を半殺しにしても「浜面なら許してくれる」と語るなど、感性そのものがかなり歪んでいる節がある。

ミスを許せない人間でもあるらしく、
ミスをしてしまった場合はそれ以外の事で帳消しにしようと別の目的を見出そうとし、
それにこだわることで結果的に本来の目的にさえ意識を向けなくなる。
我侭で自己中心的、かつプライドが高い。その一方で自分が周囲からどう見られているのか気にする一面もある。
外見についても同様で、ストッキングを穿いているのは脚が太めなのを意識しているため。
水着の際にパレオを着用してるのも、その辺が理由と思われる。
滝壺曰く、思い込んだら一直線らしい。

長らく暗部に所属していたからか、
「敵か味方か判断できない危険因子はとりあえず無力化する」という、ある種のプロの鉄則を持っている。
当初サンジェルマン側に立っていた自称・藍花悦を殺そうとした際にも、
「敵側に立っている以上は手心を加える理由が見当たらない」などとドライに割り切っている。

自由奔放で容赦のない性格であること、そもそも上条との接点が皆無であることなどから、
上条に協力する可能性が最も低い超能力者である。
また、生身の格闘能力が異常に高い(後述)こともあり、戦闘面でも上条と相性が悪いと思われる。
新約十巻で学園都市上層部から上条とオティヌスの殺害依頼のメールを受け取った際も、
2人を殺す事前提でデンマーク行きの勘定を纏めていた。
ただし、基本的に浜面と行動を共にしようとする傾向があるため、
新約十二巻などのように浜面が上条と共闘している場合には、結果的に麦野も上条に協力する可能性がある。

『超電磁砲』では、フレンダに「ボロボロのぬいぐるみを抱いてないと寝れない」という意外な秘密がリークされてしまっている(単行本五巻おまけ四コマより)。
好物はシャケ弁。ボリュームのわりにカロリーが少ない点に惹かれたらしい。小麦より米派。

また『超電磁砲』編集の荻野氏のツイートによると、
『超電磁砲』での麦野には、『禁書目録』十五巻の浜面の台詞を参考にレトロゲームが好きという裏設定があるらしい。
(例 スライム〜、パリィパリィ〜、噂のインベーダー等)

【能力・スキル】

原子崩し」は攻防一体の強力な能力であり、戦闘力は非常に高い。
しかし、上記の通り本人の性格に難があるために油断したところを突かれたり、
プライドのせいで適当に処理したりするせいで、本来負ける要素のない相手に敗北するケースも見られる。
能力の殺傷性が高すぎるため、人に当たるとほぼ確実に殺してしまうのも原因だろうか。

そのため作中ではロボットや兵器といった人以外の敵を相手にする場合が多く、
「対能力者は第一位、対次世代兵器は第四位が最適」とも述べられている。

破壊力では御坂美琴を上回りながらも制御と応用性で劣るために、自身が第四位である事について不満を抱いている模様。
研究者の語るところによると最大出力を出せば美琴を簡単に倒せるが、同時に自身の体もバラバラに吹っ飛び命を落とすらしい。

能力だけでなく、身体能力も著しく優れており、
『超電磁砲』のフレンダ・漫画版『禁書目録』の浜面からゴリラと評されている。
例を挙げると
  • 体長3m越えのホワイトタイガーを素手の一撃で気絶させる。
  • 横薙ぎの拳で浜面を吹き飛ばし橋の欄干に食い込ませる。
  • 地上数メートルはある橋の上から線路に飛び降りつつ、地面に手を突き刺して原子崩しで電線を切断した。
  • 浜面が全力で走って逃げる中、平然と歩いて追いつく。しかも浜面との間には数百mの距離があった
  • 爆風によって吹き飛んだ直後の浜面に追い付いて正確に耳の中にドライバーを差し込む
  • 拳銃で何発も撃たれても立ち上がる。
  • 蹴り一発で浜面を数m宙に舞わせる。ただの蹴りなのでいくらでも連発できる。
など。
なお浜面は体をアスリート並に鍛えており、
殴り合いなら上条と互角以上に戦い、
ビルの三階から飛び降りてもほぼ無傷で着地できるほどの人物である。

さらに後述の事件がきっかけで身体の一部を機械に置き換えたため、
打撃の威力は致命的なまでに上昇している。
能力抜きの身体能力が不明な削板と、
「直接戦闘に不向き」な藍花を除けば、
素の身体能力は間違いなく彼女がレベル5中最高である。

十五巻での浜面との戦闘で、右眼と左腕の肩から先を喪ったため、
新約以降は失った右眼と左腕をそれぞれ高性能の義眼と機能性重視の義肢で補っている。
眼を覆う眼帯状のバンドを隠すために顔の3分の1は特殊メイクで、間近で見ても分からないほど。
全身に残る火傷の痕もこれでカバーしている。

義眼は機械の眼と生身の脳を接続しているという点から、機械からの情報を直接受け取る事ができる。
もちろん『人間が感知できる情報』に翻訳する必要もある上に、義眼のシステムを利用しているので映像に頼りがちになってしまう。
なので万能とはいかないが、両手で扱うインターフェイスでは不可能な事ができる。

義手に関しては『定期的なメンテナンス』という名目で運動を行う必要があり、
それまで縁のなかった料理や洗濯などの家事も行うようになった。
新約十二巻では弾丸のように突撃してくるシャンボールの槍を義眼で捉え、
生身の肉体の速度を超えて動く義手でまとめて握り潰すなど攻撃的に利用している。

【作中での行動】

超電磁砲』では、絶対能力進化関連の研究所を御坂美琴の襲撃から防衛する依頼を受け、脳神経応用分析所で待機していた。
美琴は結局もう一つの施設を襲撃したため、滝壺を連れて遊撃隊としてそちらに赴く。
フレンダのピンチを助けた後は滝壺の能力追跡の援護を受けながら原子崩しで攻撃、美琴を苦しめた。
その後、美琴と雌雄を決する為に、負傷したフレンダや体晶による能力行使によって消耗した滝壺を下がらせ、一対一で戦闘。
連戦により既に消耗していた美琴を終始圧倒するが、フレンダの置き土産を上手く使われ撃退された。
撃退された後も追撃する様子を見せるが、何故彼女が施設を襲撃したのか疑問に思い、施設の研究員から無理やり資料を奪う。
そして、絶対能力進化の詳細を知り、これならば放置した方が苦しむと考え身を引いた。

その後も『アイテム』のリーダーとして、各種任務をこなし学園都市の暗部で内部粛清や治安維持を主として行っていた。
しかし10月9日に起きた『スクール』との戦闘においては垣根帝督にまったく歯がたたず、
素粒子工学研究所の防衛に失敗しピンセットを奪取されてしまう。
この後も『スクール』を追撃し反撃の機会を窺がうが、フレンダの裏切りにより『アイテム』の隠れ家を襲撃され、
滝壺と絹旗最愛が戦闘不能。
更にはフレンダの裏切りを許さずに粛清した為に『アイテム』は壊滅寸前になる。
だがこの時点の麦野は本来の目的でなく、限界の滝壺に能力を使わせるなどして、『スクール』を潰すことに固執し始める。
しかし、滝壺を死守しようとする浜面仕上と袂を分かつ。
一度は浜面を追い詰めるが、彼女の無駄なこだわりの隙を突いた彼に重傷を負わされる。
そしてミスを許せない性格が仇となり逆上し、自身の能力の暴走で左手を肘から消失、その状態で反撃に出るが失敗に終わった。

死闘の結果、目を潰され銃弾を至近から撃ち込まれたことで死亡したと思われていたが、
死亡前にアレイスターに回収されており、十九巻で冥土帰しが残した『負の遺産』の応用を用いて復活。
油脂系の『溶ける骨組み』を使って肉の再生ペースを整えた上で、急速な細胞分裂を促す代物らしいが、
麦野曰く、「本人はこんな使われ方しているなんて思ってないだろうけどねぇ」とのこと。
しかし、能力を再利用するために無理矢理再生された状態であり、
右目は無くその眼窩からは溶接のような青白い光が迸り、
千切れた左手の断面からは(「原子崩し」による)眩い閃光のアームが飛び出しているという完全にはほど遠い状態で現れた。

猟犬部隊の残党などから追われていた浜面を「自分の獲物」として仕留めるために攻撃。
滝壺を人質にしたり、かなり卑猥な言葉遣いをしたりして彼を第二三学区の地下戦闘機試験場まで追い詰めたが、
空気摩擦用の耐久試験室の設備を浜面によって利用され、実験用の砂鉄入り烈風をまともに受けて吹き飛ばされてしまう。
しかしそれでもまだ息絶えてはおらず、浜面と滝壺の脱出に際しては、
超音速旅客機の発進に邪魔な障害物を吹き飛ばして援護した。
このとき浜面は「あいつとはまたどこかで会うような気がする」と感じており、結果事実となる。

2度の敗北を経てもまだ立ち上がり、浜面を追い学園都市の爆撃機に乗ってロシアへと向かう。
浜面の攻撃によって服は焼け焦げ、体には何本ものチューブやコードが取り付けられ医療機器と接続されており、
ますます人間離れした姿になった。

二十二巻にてついに浜面と再会。超能力者のプライドを捨て、体晶を使い能力を引き上げ全力で浜面を殺そうとした。
その際には数万にも及ぶ『原子崩し』の閃光を全方位に射出、『原子崩し』を束ねて20メートルもの巨大な鉤爪状にして振り下ろしたりと、さらに強大な力を発揮した。
が、体晶の適性が無かったこともあり拒否反応が出て、あと一歩の所でその場に倒れ伏す。
ボロボロの姿にたまらず駆けつけた浜面の必死の説得を受け、再度『アイテム』の仲間として手を組むこととなった。
この際に出た「お前は、滝壺を選んだじゃないか」との言葉から、元々浜面に何らかの好意を持っていた可能性も。
それもあってか再度手を組んでからは、滝壺を探す浜面を吹き飛ばし自分も体晶の影響で倒れそうなことをアピールしたり、
素養格付の存在を知り浜面のため激昂したりという意外な一面をみせている。

学園都市へ帰還した後は、絹旗と共に浜面をからかったりして過ごしている。
ただ、フレンダを殺害したこと、それが法的に処罰されないことについては思うところがあるようで、
フレメアに自分が姉を殺したと告白することで、不器用ながらも罪の精算をしようとしたことも。
(フレメア本人が寝ぼけていたため内容を理解できず、未遂で終わっている)

新約五巻、六巻におけるフロイラインの騒動では
深夜の路上で復活したと思われたフレンダに襲撃されるが、
それは自身の高性能義眼へのクラッキングによって写されたものと判明。
正体は居合わせた絹旗によると、フレンダの格好をしたおっさんだったらしい。

フレンダに化けていた暗部の男に「暗部から足を洗ったから人殺しはできないはずだ」と言われた時には、
「浜面なら大丈夫。なんだかんだで最後には許してくれるもんだよ」
と経験則でもって発言している。
浜面によって多少心境に変化はあったものの、本質は変化していないらしい。
その後は浜面に対しお仕置きとしてブーツの踵で電気あんまを食らわせたり、
復活した垣根帝督の出現時期と前述の襲撃が同時期であった事から、フレンダの墓を暴いたとして怒りを燃やし、
そして、苦戦する一方通行に協力し、同じ「殺した者」として彼を諭した。

学園都市の機能停止後は、英国へ向かう浜面・滝壺やフレメアと別れ、絹旗と共に学園都市を去った。
移動中の襲撃を避けるため、海外へは飛ばず日本国内を転々とするつもりのようだ。
だが、学園都市外のマフィア等が作った裏路地のルールを把握し守るのは難易度が高かったらしく、
結局「楽」な学園都市に絹旗と舞い戻り、浜面達と再び過ごすこととなった。
オペレーション・ハンドカフス時には壊滅手配(アウトランク)に指定され、
他の『アイテム』メンバー同様警備員から追われる身となるが、
結局、オペレーション終了後まで逃げ延びて検挙されることはなかった。

【口調】

基本は普通の落ち着いた女性語で話すが、
戦闘等でテンションが上がると罵倒が多くなり、下品な言葉遣いになる。
浜面との一度目の再戦のときにはさらに伏字が入ることもあった。
例)「こんなチンケな野郎どもに命狙われてんじゃないわよ。
   お前はこの私が上下左右に裂いてブチ殺すって決めてんだからさぁ!!」
  「逃げんな売女ァ!! 弾が尽きた途端にケツ振りやがって、第三位の名が泣くぞォッ!!」
浜面との和解後は微妙に口調が変わり、怒ったときは乱暴になるものの、サッパリとした口調になっている。

【関連】



最終更新:2023年03月28日 23:25