【種別】
霊装

【元ネタ】
聖ペテロが磔刑になる時に用いられた十字架。逆十字とも言う。
イタリア語で「Croce di Pietro」。
Wikipedia-聖ペトロ十字

【初出】
九巻

【解説】
ローマ正教の保有する大規模魔術(霊装)『聖霊十式』の一つ。
刺突杭剣に偽装して学園都市に持ち込まれた霊装。
ペテロの墓の上に立てられたと言う墓標で、大理石でできた十字架。
突き刺した土地をローマ正教の支配下に置いてしまうという効力を持つ。

歴史上でも使われたのは一度切りで、聖ペテロの殉教直後にバチカンで使用されたらしい。
聖ペテロは十字教の迫害が厳しかった時代に生きながら、自身が処刑される事を予見していたとされ、
自身の死すらも利用し、後世における永遠の繁栄を祈りながら、最高の結果を得られる瞬間に殉教したという。

原理としては、十字架がパラボナアンテナのように夜空の光を集めることで、
星座を魔法陣として利用し発動するというもの。
星座というものの都合上、決まった場所・決まった時間にしか発動させることができない。
が、ペテロの生前から彼の殉教を前提として作られていたアイテムだったため、
どこで死んでもかまわないようバチカン以外の土地の星座も利用できるようになっている。
場所はともかく時間は限られているわけで、ペテロはそれに合わせてわざと捕まり殉教したようだ。
従ってオリアナとリドヴィアは使徒十字の発動時間まで時間を稼ぐ必要があり、
オリアナが魔術師の追っ手の目を引きつけていた裏でリドヴィアは悠々と始点ポイントの設置を完了させていた。

具体的な効果は、ギャンブルのいかさまのように幸運と不幸のバランスを捻じ曲げ、
何をやってもローマ教会に都合がよくなるようにするという運命操作的なもの。
幸運はローマ正教徒以外のものにも与えられるが、客観的な幸運というわけでは無論無く、
どんなに不幸なことが起こっても幸運としか感じられないような状況を作り出す。
一例としては『ローマ正教を標的としたテロに巻き込まれたが「奇跡的」に助かった』、など。
だが、そもそも使徒十字がなければ(ローマ正教の勢力圏でなければ)テロ自体起きなかったはずで、
結局ローマ正教の幸運の分、割を食う羽目になっている。
周囲の人間も幸福しか感じられないので、ローマ正教の支配も納得して受け入れてしまう。
強制力は黄金練成にも匹敵するが、
それほど人の意思を汲み取ってくれる訳ではなく、ローマ正教全体の利益を自動的に実現する。
効果範囲は4万7000平方kmで、だいたい縦横200km強。

オリアナたちはこれを学園都市に(より正確には学園都市外部から学園都市を巻き込むように)仕掛けることで、
魔術科学両サイドをローマ正教の支配下に置こうとしていたが、
大覇星祭のナイトパレードの明かりにより夜空の光を打ち消され、失敗する。
彼女たちは計画を滞りなく進めるために学園都市について事前に下調べを行ってきたものの、
それはあくまで計画をジャマする可能性のある勢力などの人的対策のみであり、
大覇星祭そのものについては単なるお祭ごとであるとして軽視していたのが上条の言う敗因に繋がってしまった。
発動失敗後、リドヴィアと共に8000m上空から落下したため、現在原型を保っているかどうかも怪しい。

なお、いったん発動すればその場に安置しなくても問題ないらしく、
最初に使われた地であるバチカンにはいまだに効力が残っている。

【詠唱】
「天の空を屋根に変え、この地に安住を築くために。いざ聖一二使徒のご加護を」


最終更新:2016年07月03日 19:57