別に新ジャンルじゃない「ひょんなことから女の子」

1 : イタコ(静岡県):2007/04/02(月) 21:09:06.60 ID:Lba7Z+kk0
ここは「ひょんなことから女の子」スレです。

誰かが女の子になったり、何かが女の子になったりしています。
デフォのキャラがいないので、自由にキャラを作って下さい。
別に新ジャンルじゃないし既出も上等。何でも自由ただし節度を持って
あなたも「ひょんなの子」を妄想してみませんか?

・過度のリアル報告・自虐、自動保守は避けましょう。

まとめwiki http://ime.nu/www12.atwiki.jp/hyon/
避難所 http://ime.nu/jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/31732

きっと3日目は来ないー 保守しきれずdat落ちー

2 : タイムトラベラー(滋賀県):2007/04/02(月) 21:09:33.03 ID:flzM43hS0
保守が必要なスレはいらないんだよ

3 : わさび栽培(長屋):2007/04/02(月) 21:54:48.07 ID:pFLW/6Jj0
>>1乙〜
いつの間に落ちてたんだ……


4 : イタコ(静岡県):2007/04/02(月) 22:10:08.02 ID:Lba7Z+kk0
>>4
目を離すと落ちるみたい
過疎街道まっしぐらだし保守はきっちりやったほうがいいのかもね

5 : 学校教諭(東京都):2007/04/02(月) 22:55:47.95 ID:uSc/zXzZ0
現在こういう系のネタで小説書いてる文学部員だがこんなスレあったのか。
とりあえず部誌に載せるものでよければできたら投下する。

6 : 保育士(広島県):2007/04/02(月) 23:14:25.19 ID:goMzbCdL0
投下待ってる

7 : のびた(コネチカット州):2007/04/02(月) 23:25:47.62 ID:842pwKCOO
私も待ってるんだから

8 : わさび栽培(長屋):2007/04/02(月) 23:39:37.57 ID:pFLW/6Jj0
非常に期待する

さて、それに引き換え俺は……完全につまってしまったorz
ちょっと気分転換に短編書く

9 : F-15K(コネチカット州):2007/04/03(火) 00:01:39.62 ID:OkSEvNwhO
書いてみたらただのホモ小説になりつつあった\(^o^)/
書き直そうorz

10 : 社会科教諭(愛知県):2007/04/03(火) 00:31:36.73 ID:uhX93ALE0
保守

11 : F-15K(コネチカット州):2007/04/03(火) 00:32:49.66 ID:OkSEvNwhO
そして保

12 : オカマ(群馬県):2007/04/03(火) 00:43:41.28 ID:iSwr3eB80
ってゆうか携帯厨ここはいってみろ
超うけるww
http://ime.nu/orange.ngsrv.com/src/orange0540.htm

13 : 社会科教諭(愛知県):2007/04/03(火) 01:02:51.62 ID:uhX93ALE0
hosyu

14 : 社会科教諭(愛知県):2007/04/03(火) 01:03:27.33 ID:uhX93ALE0
age

15 : F-15K(コネチカット州):2007/04/03(火) 01:03:30.90 ID:OkSEvNwhO
ageましょうぜ

16 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 01:18:02.01 ID:RwEDF3oH0
はい、というわけで短編です
駿と友之の話を楽しみにしている人ごめんなさい
……え?いない?(´・ω・`)ショボーン 

17 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 01:20:45.39 ID:RwEDF3oH0

〜はるかなそら〜

俺の名は七海宗一郎。航空自衛隊千歳基地の所属で階級は一尉
周りからは「若いわりに腕の立つパイロットだといわれているらしい」
まあ、それだけの訓練とスクランブル発進をしてきたから、それなりに自負もある。
それに……早くに親を亡くした俺にとって、誰かの命を守れることは嬉しいことでもある

20XX年、米国上院議会はF−22戦闘機輸出案を可決
これに伴い日本国自衛隊はまず6機の導入を決定
これに日本国民は大いに揺れた
「軍国主義の復活だ!軍拡反対!!」(新聞記者)
「ラプターキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!特亜ざまぁwwwwww」(某掲示板住人)
「らぷたんかわいいよらぷたん……ハアハア」(変態)

そして、当の空自はと言えば……
「ラプターかぁ」
「ああああ……乗ってみてえなぁ」
「無理無理wwwお前は選ばれねえよ。イーグルでも勿体ないくらいなのに」
「ちょwwwww七海一尉、そりゃねえっすよwwwww」
「一機200億とも言われてんだぜ、乗りたかったらしっかり訓練するんだな」
「ああああ……分解してぇ……いじくりまわしてぇ……はあはあ」
「整備のおやっさんキタコレwwwww」
「おいおい、いきなり魔改造する気か?」
と、一番wktk状態にあった。
無論俺も、乗れるものなら乗りたい。日本で最初に乗れる―それに選ばれるならパイロットとして最高の栄誉だ



18 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 01:22:25.35 ID:RwEDF3oH0
「七海、基地司令がお呼びだ」
突然の声に振り向くと、そこには俺の上司が立っていた
「は?あ!鈴木二佐!!」
俺に合わせ、あわてて周りの連中も敬礼をする
「ああ、かまわん。それより早くついて来い」
「は!了解しました!!」
基地指令が直々に俺を?いったいなぜ?

「七海一尉、入ります!」
「ああ、まあかけたまえ」
「は!失礼します」
目の前には基地指令の海江田空将補。
緊張で声が震えているのが分かる。
「さて、早速話があるんだが、貴様はF−22が日本に導入されることを知っているな?」
「は。存じております」
「うむ。それでな、臨時に編成されるラプターの飛行隊の指揮官を貴様にやってもらおうと思ってな」
……な、なんだってー!? いやまて、これは孔明の罠だ!
第一もっと適任者がいるだろうに
「質問があります司令」
「許可する」
「なぜ私を?年齢的にも技量的にも適任者は他にもいると思うのですが。」
「うむ。その点なのだがな。実は先日の自衛隊のお偉いさんの会議があってな」


19 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 01:28:38.21 ID:RwEDF3oH0
「ラプター実戦配備すんの?」
「いや、当分は威嚇とマスコミ用にしておく。もう少し数がそろって訓練してからだな」
「とりあえずパイロット選ばないとな」
「でもさー、なんかもっとインパクト欲しいよな。もっとこう、内外の目を引き付けるような」
「うーん……初飛行を終え、コックピットから出てきたのは美少女だった、とか?」
「うはwwwwwお前天才wwww」
「その発想は(ry
「採用決定。ついでに映画化決定」
「ちょwwwww採用ッスかwwww」

「というわけだ」
……いや、まったく話が見えないのだが
「あのー……それと私とどのような関係が」
「つまりだ。『女になる』という条件で選ぼうとしたのだが、ここまで希望者がいなくてな」
いや、そりゃあたりまえだろ……って
「私に……女になれと!?それが条件だと?」
「そういうことだな」
「し、しかし、そんなことが可能なのですか」
「ああ、アメリカで極秘に開発された薬により可能だ。後は貴様しだいだ」
いや、いきなりそんなこと言われても……でも……ああああああああ。どうせ独身だし家族も弟だけだし……


20 : 芸人(北海道):2007/04/03(火) 01:29:30.71 ID:tAJgnjNp0
ごめん正直女男のが好きだ

21 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 01:32:07.47 ID:RwEDF3oH0
「分かりました。引き受けます」
「おお。やってくれるか。ではこの同意書にサインして、この薬を飲んでくれ」
同意書!?何という用意のよさ。これは間違いなく不安
……ええい、男に二言はねぇ!!
「サラサラっと。で、この薬を」
俺は薬を水とともに飲み込む
「どうだ?」
「何もおこりません……が……」
あれ?眠くなってきた……目の前が……かす……む


「次代を担う若きエースの諸君!今日は諸君の晴れ舞台である」
ラプター飛行隊―臨時に編成された第310飛行隊の初ブリーフィング
航空幕僚長が来ていることからもその期待が分かる
「……である。では諸君を束ねる本飛行隊の隊長を紹介しよう。入りたまえ」
その声をうけ、俺は部屋に入る
「どうも。ただいま紹介にあずかりました、七海―」
俺の姿を見た隊員から驚きの声が漏れる。そりゃそうだろう。
目の前に現れたのが幼さの残る少女だったんだから
「―七海遙二等空佐です」
これが、新しい俺の名前と階級だった。


22 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 01:33:46.55 ID:RwEDF3oH0
長いだろ、これ……
続くんだぜ、短編なのに

というわけで保守しつつ続き書きます

23 : F-15K(コネチカット州):2007/04/03(火) 01:40:35.56 ID:OkSEvNwhO
乙!こういうのも結構好きだぜ

24 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 02:29:48.25 ID:RwEDF3oH0
ほしゅ

25 : 組立工(広島県):2007/04/03(火) 03:13:24.67 ID:bbtVin+a0
保守

26 : F-15K(コネチカット州):2007/04/03(火) 03:44:50.66 ID:OkSEvNwhO


27 : F-15K(コネチカット州):2007/04/03(火) 04:25:07.86 ID:OkSEvNwhO


28 : 配管工(樺太):2007/04/03(火) 05:40:14.22 ID:aOuyp/tCO


29 : 銭湯経営(三重県):2007/04/03(火) 07:42:43.31 ID:RFG0QB2G0


30 : 銭湯経営(三重県):2007/04/03(火) 08:31:01.02 ID:RFG0QB2G0


31 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 09:23:12.87 ID:RwEDF3oH0
ho

32 : 青詐欺(樺太):2007/04/03(火) 09:32:08.00 ID:S+2yd5vYO
俺も投下したいが…
入れ替わりネタでもいい?

しかも舞台はファンタジー系なのだが

33 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 10:06:09.75 ID:RwEDF3oH0
>>32
なんでも来い!!

そしてスレを盛り上げてくれい!
まってるぜ

34 : 会社員(滋賀県):2007/04/03(火) 10:07:18.97 ID:mZzzgA820
最終回書けたよー

>>32
入れ替わりは普通にアリじゃないかと

35 : 会社員(滋賀県):2007/04/03(火) 10:08:24.77 ID:mZzzgA820
先に投下しますね

36 : 会社員(滋賀県):2007/04/03(火) 10:09:00.01 ID:mZzzgA820
三月の末。
表情のない数字の羅列の前に何百人の若人が立ち、数字を見つけたり見つけなかったりして一喜一憂している。
恵も、既に進学先を決めた英雄と一緒に、この掲示板の前にいた。
「どうだった?」
英雄が問いかけてみる。が、返事はない。
それはつまり、彼女に春が来なかったことを表していた。
やがて恵がゆっくりと口を開いた。
「帰ろうか。」

電車は意外と空いていて、隣にふたり並んで腰掛けた。
だが会話はなかった。
突然、英雄から口を開く。
「また来年頑張ろうよ。」
「でも、家浪人させてもらえないって…。」
「あんなに一生懸命やってたんだから、分かってくれるよ。」
「うーん。」
「まあ、もしダメだった時は、家で花嫁修業でもやりなよ。」
はっと英雄を見上げる。
「プロポーズ…、ですか?」
目を合わせるのが恥ずかしくて、前に向いたまま、英雄は、
「ごめん、どさくさにまぎれて言っちゃった。」
さらに、こう付け足した。
「いつか、結婚できるといいね。」
「ちょ、ちょっと! 人のいる所で…。」
そう言う恵の声の方が大きかったのは確かで、振り向いた人が数人いた。
車両中の視線が集まるような気がして、思わずうつむく。
「でも…、」
小声で一言、付け加えた。
「でも、うれしい。」
あと何駅だろう。できることならずっと隣に座っていたい。

37 : 会社員(滋賀県):2007/04/03(火) 10:11:41.78 ID:mZzzgA820
「ただいま。」
ようやく我が家にたどりついた。
「おかえり、どうだった?」
母親の声。
ため息混じりに答える。
「ダメだった。」
「そう…。」
床に正座して頭を下げる、いわゆる土下座のポーズで頼んだ。
「お母さん、もう一回、チャンスをください。」
「何もそこまでしなくても…。いいわよ。」
「え?」
こうもあっさり許可が出るとは思っていなかった。
数秒ほど固まってから、思い出したように急いで疑問を口にする。
「え? でも、お金ないから浪人できないって・・・。」
「嘘も方便。追いつめられた方が実力を発揮できるものよ。」
緊張がほぐれた。
「じゃあ…。」
「ただし! 次は絶対に無いからね。」
「うん、ありがとう。」

38 : 会社員(滋賀県):2007/04/03(火) 10:14:45.00 ID:mZzzgA820
自分の部屋に向かうと、弟と鉢合わせした。
「あ…。」
「姉ちゃん…、どうだった?」
「ん…。」
無言。それが答えになっていた。
「そっか。」
「あの、部屋入ってって。」
そう言って自分の部屋の扉を開け、促す。
恵の部屋に入ると、二人は立ったまま話を始めた。
「姉ちゃん。俺、バイトすることにした。」
「そう。」
すぐに途切れる。
「姉ちゃん。俺より幸せになってくれよ。俺のままが良かったなんて思わないようにさ。」
「あんたこそ、私になりたかったなんてならないでよ。
 あと、私よりいい大学受けること。あんたの方が一年多く勉強できるんだからね。」
また途切れた。
「身長、また伸びた?」
「うん。」
会話が長く続かない。

39 : 会社員(滋賀県):2007/04/03(火) 10:15:42.35 ID:mZzzgA820
ふいに恵が真剣な眼差しを向け、優しく声を出した。
「正樹…。」
この名前を弟に向けて口に出すのは初めてだ。
それは、もうこの言葉が自分を表すものではないと理解した証。
それが正樹にも伝わった。
「いつか、私に言ったよね。」
「何を?」
「あのことば、そのまま返しておく。」
なぜか開けっぱなしだった窓から、春の風がふたりの髪をなでる。
恵は正樹を抱き寄せて…。
「正樹に何かあったら、お姉ちゃんが守ってあげるから。」
そう言って深く目をつぶる。
すると、今までのいろんなことがリアルに目に映ってくる。

窓の外から一枚、さくらの花びらが降ってきた。

40 : 会社員(滋賀県):2007/04/03(火) 10:16:57.23 ID:mZzzgA820
終わりです。
あとがきというのも特に思いつかない。

41 : 青詐欺(樺太):2007/04/03(火) 10:25:13.04 ID:S+2yd5vYO
じゃあ書くが文才は無いので期待はするなよ
しかも色々かぶるかも…


【桜の舞降】

それは突然だった

本当に不意な突然だ


女子高生が空から降ってきた


女子高生は悲鳴をあげながら俺の上に落ちてきた


俺も女子高生も倒れこんだ


目を開け…気付けば病院だった…


俺は助かったが…女子高生は絶命した……

俺の姿で……


そう、俺は女子高生になっていた
突然に…

42 : 会社員(滋賀県):2007/04/03(火) 11:07:18.77 ID:mZzzgA820
hs

43 : 青詐欺(樺太):2007/04/03(火) 12:02:34.48 ID:S+2yd5vYO
ありきたり過ぎて吐きそう
ちょい吐いてくる

44 : 魔法少女(アラバマ州):2007/04/03(火) 12:29:49.64 ID:2V4DaXEm0
えー、お久しぶりです「ブランクライフ」の人です
みかんのまま、というのも気持ち悪いので、書きました
何とも急展開で、これはどうよ?と思うかもしれませんが、なにぶん素人ですので多めに見てください

それでは↓

45 : 魔法少女(アラバマ州):2007/04/03(火) 12:31:34.50 ID:2V4DaXEm0
「君は、今現在の自分の“名字”をしってるか?」
名字、そう言えばこの名前になってはや一ヶ月。自分の名字なんて考えたことなかった
「昔の名字……なわけないから、貴方の名字?」
「まさか」
一言で完全否定
ま、そうですよね。普通に
「病院生活、覚えてる?」
「ばかにしてるんですか?なにも忘れてないって言ったじゃないですか」
「ふぅん。ならいいけど」
人を小馬鹿にしたような台詞
「じゃ、これ読んでみなさい」
にやにやしながら手渡された一枚の紙
「これは?」
「まぁ読みなさいって」
どうやら住民票、らしい
「……この名字、院長先生の?」
そう、この紙に記されている名前は私が言ったその名前と、院長先生の、つまり病院名といっしょ
「どうして?」
「それくらいは自分で考えないと、っていいたところだが、まぁもう少ししたら話すさ」
「……いじわる」
「死にたがりやさんにはいい延命材料だと思わないか?」
いつまでもにやにやと唇の端を持ち上げ続ける彼
「……院長先生は悲しんでくれるんでしょう?一人でもいるなら死にたがりませんよ」
嘘だね。彼の口はわずかに動く
「そんな簡単に生きようと思えるくらいなら初めっから死ぬなんて言わないさ」
それは確かに、そうだと思う
自分の言葉が自分でも信じられないくらい、戯れ言、虚実だ
「というわけで死にたがりやさんのために更に薬を処方しないといけないね」
彼はまた、新しい紙を取り出した

46 : 魔法少女(アラバマ州):2007/04/03(火) 12:32:54.40 ID:2V4DaXEm0
「今度はなに?」
「君は自分から行動することを覚えた方がいい」
定型的な言葉にもイヤミに絡んでくる
「……読みますよぉ」
紙といっても数枚の束で、なにやら難しいことがぎっしりと書かれている
ただ、幾つかの文字を抜粋して読めば、この紙全てが私のことだとわかった
「君は不思議に思わなかったのか?」
読み馴れない大量の文章と格闘する私には答える余裕はない
そもそもこの質問はどの不思議のことを指しているかも分からないのでとりあえずは聞き流す
「ふー。ま、こっちで勝手に喋るけどね」
本気、真剣に紙を睨み続ける私の解答を待たずに彼は語りはじめた
「まず、君は交通事故に合ったわけだけど、どのくらいの怪我だったか知ってるかな」
ー私は知らない
「怪我そのものはそんなに酷くはなかったけど、幾つかの問題が合った」
ー…………
「その一つが、車との接触ではあり得ない外傷の数々。そして、戻らない意識」
ーこの紙はそれを告げるためにおよそ一ページを要している
「これはなにか今までの生活に大きな問題が合ったのではないかと、医者達は考えたそうだ」
どうやら、紙とにらめっこを続けるよりも、彼と話した方がより理解は深まるそうだ
「で、どうしたの?」
資料を机の上にバサと投げ出した私を見て、やれやれ、と首を小さく振り
散らばった紙を集めて、また茶封筒へと戻す
「君の正体はそこで全部分かってたってことさ」

衝撃の事実ではある
それでも、心を動かすほど、今の私にとっては大きい問題ではなかったケド

47 : 魔法少女(アラバマ州):2007/04/03(火) 12:34:21.35 ID:2V4DaXEm0
あんまり驚かないんだ、彼の目は多分そう言っている
「そこで、君のご両親から、院長先生は親権を譲り受けたわけだけど……」
ここで、ちらと私の顔色をみる
「別に……あんなやつら、もう私と関係ないんでしょ?それでいいです」
強がって、話を続けるように促すけれど、何処か寂しい
確かに院長先生が私の父親で、私を家族としてみてくれているのは嬉しい
でも、本当の親じゃなくって、本当の親は私を見捨てたことがよりはっきりとした、と言うのは心苦しい
「この話は、延命用処方箋にはならないから言いづらいけど『彼女が幸せなら別に私のことを知る必要もない』って」
この人は私の心を見抜いているのか、それとも、本当は鈍感なのか
「ま、君も事実を知ったんだ。お父さんといってあげたらきっと喜ぶと思うよ?」
「そう、ですか」
「まぁこの話は今度にするとして、続きにいくとしよう」
彼は、今度は私の顔も見ないで、答えも待たずに話を続けた
「君がなかなか目を覚まさない中で、今度は内面的な意味で新しい問題が出てきた」
「問題?」
「君は外見上は男だけど、男として育ってきたけれど、実際はどっちでもあったって話
 君のお腹の傷は、半陰陽だった君を正式に女の子にするための手術ってこと」
「じゃあ、私は本当に、本当の本当に女で、男になるとか、戻るとかそういうことは」
「ない。まぁ君の心配事かは知らないけど、そのうちに赤ちゃんも産めるらしいさ」
「でも、どうして?」
「男として暮らしてきて、辛いことがあったから、女として新しい人生を歩ませてあげたい、とのことだ」
そうか、新しい人生を私は確かに歩いていたんだね

48 : 魔法少女(アラバマ州):2007/04/03(火) 12:37:28.87 ID:2V4DaXEm0
「でも、私の新しい人生も失敗しちゃったんだね」
本当に私は不幸な星の下に産まれたのかもしれない
「あーあ、もっと早く知ってれば、もっと楽しくすごせたのかもしれないのになぁ」
悔しさ、というよりも、あきらめ、かな?
涙は流れているけど、笑って、作り物じゃなくって心から湧いてくる笑顔
「ねぇ、こんなに汚れてるけどさ。もう一回新しく歩き出せると思う?」
彼の顔を見ても、どうもぼやけてる。それでも、笑っているのはわかる
あやふやな視界の中で、彼の手が近づいて、私の涙を拭う
「君は十分魅力的な女の子さ、いくらでもやり直しなんてできる」
「本当に?」
疑心暗鬼な私の性格でも?と聞きたくなるくらい暗いなぁ、私
そんな私を励ますためか、彼はたとえ話を始める
「人生って日記帳みたいだと思わない?」
どうだろう、もうすこし複雑な気が、する

49 : 魔法少女(アラバマ州):2007/04/03(火) 12:39:35.70 ID:2V4DaXEm0
彼は両手で、長方形を作る
「毎日、毎日書いて、記録に残す。それが過去」
空気しかない、親指と人差し指で形作られた四角
「嫌なことも沢山ある。それが続く月もあるかもしれないね」
その何も無い空間を彼はつかんだ
「でも、さ」
彼は私の日記を破く、破いていく
「嫌なら、破けるし、新しい日記帳にかえたっていいじゃない?」
細かくビリビリに破って、ばっと宙へとばらまく
ひらひらと舞う、破片は一枚残らず塵と消える
「もし良かったら、俺が新しい日記をプレゼントしよう」
私に向かって伸ばされた手、その手には白い紙が握られている
「さっき君に告白されたように思うけど、アレは君の本心として受け取っていい?」
渡された紙には、彼の名前と私の名前、そして印鑑
「これって……」
「そうそう、君の新しい日記帳の初めのページにこう書いてほしいんだ」

『『嫌なこともあったけれど、私は“彼”といっしょに歩いて生きます』』

こんな私で良かったら

「本当に、本当に……私でいいの?」


私は初めてキスをした
今までと違って、彼をしっかりとうけとめて

終わり

50 : 魔法少女(アラバマ州):2007/04/03(火) 12:40:45.84 ID:2V4DaXEm0
なんというか無茶苦茶な気もするけど、終わりです
書いている間、いろいろな感想等ありがとーございました

51 : 空軍(関西地方):2007/04/03(火) 12:42:22.52 ID:knHkS7P30
GJ

52 : 社会科教諭(愛知県):2007/04/03(火) 12:43:49.31 ID:uhX93ALE0
GJです!

53 : 会社員(滋賀県):2007/04/03(火) 12:44:27.13 ID:mZzzgA820


54 : 青詐欺(樺太):2007/04/03(火) 12:44:44.49 ID:S+2yd5vYO
病院のベットから起き上がり大きな鏡に己を写した
俺は絶句した自分の姿に…
鏡の前に女の子が無愛想に立っているんだ
「これが…俺?」
何気にスカートをめくろうとしたその時ある感情が生まれた
「あ…は…恥ずかしい…」
鏡の前の女の子は顔が真っ赤に染まっていた
どうやら心まで女の子になったらしい
また身体を触る…男には無い部分を…

胸を触る…
膨らみを持ち柔らかい感触だった…
しかし、また顔が真っ赤になる
「やめてくれよ…もう…」
俺に触られたから俺が怒ってる
まさに摩訶不思議だった

そんな事をしていたら病室の外から声が聞こえた
俺はその声は聞き覚えがある…母さんの声だ…

俺は病室から出た


55 : F-15K(コネチカット州):2007/04/03(火) 13:48:07.75 ID:OkSEvNwhO
保守

56 : 会社員(滋賀県):2007/04/03(火) 14:41:35.71 ID:mZzzgA820


57 : 無党派さん(静岡県):2007/04/03(火) 15:48:28.55 ID:0DJUr6mJ0
おはようの保守です

58 : 社会科教諭(愛知県):2007/04/03(火) 16:19:09.38 ID:uhX93ALE0
保守

59 : 青詐欺(樺太):2007/04/03(火) 17:11:31.72 ID:S+2yd5vYO
「そんな…息子は…もう…」
俺が死んだと思い悲しむ母の姿がそこにはあった
「ん…貴方…」
母さんは俺と目が合う。そして俺に…
「息子が死んだのは…貴方のせいよ!!」
母さんは俺の肩を握り締めたそして…
「返して……返してよ…」
と、すがり泣きついてきた…
母さんには俺がわからないのか…そりゃ女の姿だから…
でも母さん…違うよ…
俺はここにいる…ここにいるから悲しまないでよ…
でも俺は母さんの涙に誘われ…
「ごめんなさい…」
涙を流し頭を下げた
「謝っても息子は生き返らない…絶対に…」
そんなこと言わないでよ…
悲しくなるから…
本当の事を言って分かってく………
「ふぇぇ……ひぐっ…ひっく…ごべんなざい…ごべんな」
俺は涙のせいで言いたい事が言えなくなった…
そして…俺はこれからの恐怖に怯え涙が絶えなかった…

もう二度、元の生活に戻れないことを…


60 : クリーニング店経営(神奈川県):2007/04/03(火) 17:38:03.40 ID:7c+lkjHI0
15日ぶりに日本に帰還保守

61 : 組立工(広島県):2007/04/03(火) 17:40:36.17 ID:bbtVin+a0
wktk

62 : F-15K(コネチカット州):2007/04/03(火) 19:05:58.06 ID:OkSEvNwhO
保ち守る

63 : 魔法少女(アラバマ州):2007/04/03(火) 19:25:22.67 ID:2V4DaXEm0
ひょんなことから女の子って本当に夢がつまってると思う

64 : F-15K(コネチカット州):2007/04/03(火) 19:56:58.82 ID:OkSEvNwhO
まったくだ

65 : 青詐欺(樺太):2007/04/03(火) 20:20:05.23 ID:S+2yd5vYO
「ひっく…ひっく……」
泣きじゃくる俺…
女の心だから泣き虫になっているのかな…わかんねぇや…
それを見た母さんは…
「貴方、似てる…」
「え?」
俺は首をかしげた
「なんか…雰囲気が息子に……」
そして不意に言ってしまった
「か…母さん…」
俺は言った
「母さん?」
とうぜん首をかしげた
「あのね、母さん…俺…」
そして…俺は…泣きながら全てを言った…
「……そう…」
全てを聞いた母さんは放心状態になっていた
「信じられないよな…」
諦めて小さくこぼす…

しかし、母さんは言った
「ううん、分かった…貴方は姿は違うけど…私の息子なのね…」
俺は驚いた
「俺、女の子になっているのに?」
「姿は変わっても貴方の温もり…優しさは変わってない……全然ね…」
分かったくれた安心感で涙がこぼれる
俺は母さんに抱き付き…泣いた
「よかった…生きてて…本当に良かった」
母さんも泣いていた

66 : 配管工(樺太):2007/04/03(火) 20:22:16.53 ID:aOuyp/tCO
>>65
続きwktkだな
期待してるぞ!

67 : 青詐欺(樺太):2007/04/03(火) 20:44:21.35 ID:S+2yd5vYO
「母さん、痛いよ…」
「あっ!ごめんね」
母さんは身体を放す…
「俺…姿もだけど…心も女の子なっているんだ」
「そんなこと…どうでもいいわ…だって貴方が永遠にいなくなるより…全然いい」
俺はそれを聞いて何となく納得した
すると母さんは…
「怪我も無いし…じゃあ買いに行こう」「何を?」
「女の服と新しい下着でも…どう?」
「うん、そうだね…行く」
「じゃあ決まりね!」
それから…
俺と母さんは病院から出た…
「息子が娘になっちゃったな〜」
「うん、父さんもびっくりするね…必ず…」
「そりゃそうでしょ」「あっ…俺の身体は…」
「んなこと…後で考えましょ」
「呑気だな〜」
「母さんを侮辱するの?」
「いや…違うけど…」
「まあ…いいわ………あっ!タクシー!!」

母さんは元気だな
でもこんなこと信じるなんて母さんも大丈夫かな…
まあ…いいや…後で考えよう…ゆっくりと…

母親と息子だった娘は手を繋ぎお互いを暖めあっていた

その時、桜は舞い二人を桃色に染め上げ
まるで…二人を祝福するようにゆっくりと舞い降りた

68 : 青詐欺(樺太):2007/04/03(火) 20:45:12.99 ID:S+2yd5vYO
とりあえず終わり

69 : 無党派さん(静岡県):2007/04/03(火) 20:58:26.51 ID:0DJUr6mJ0
>>68
お疲れ様
また何か書くことを期待していいかな?

70 : 魔法少女(アラバマ州):2007/04/03(火) 21:00:02.25 ID:2V4DaXEm0
とりあえず終わっても、懸命に待ち続けるのが自分のあり方だと信じてる

71 : 配管工(樺太):2007/04/03(火) 21:02:00.63 ID:aOuyp/tCO
>>68
マジGJ!

72 : 青詐欺(樺太):2007/04/03(火) 21:22:56.06 ID:S+2yd5vYO
続きで恋愛とかやるが
少し休憩で…

73 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 21:32:43.51 ID:RwEDF3oH0
じゃあここは俺が引き受けた

>>21の続き、というか後編です

74 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 21:33:58.08 ID:RwEDF3oH0
あの薬を飲んだ翌日、俺はめでたく(?)女になっていた……が
「気分はどうかね一尉」
「……最悪です。」
女になることは覚悟していたが……
「なぜ幼女なのですか!?」
パイロットに見えないってレベルじゃねーぞ!
どう見てもこれは○学生
「ふむ、しかしこれはこれでゲフンゲフン……とにかく、貴様の異動が決まった。それに伴い階級が二佐に上がることになった」
「え?」
「今日から貴様は七海……七海遙二等空佐だ」
「遥って……誰ですか?」
「『遙』な」


75 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 21:40:30.23 ID:RwEDF3oH0
今ブリーフィングルームでは幕僚が俺の「設定」を説明している
「七海二佐はこう見えても米国で特殊な訓練を受けたスーパーパイロットでな……」
待て、何だその設定は……誰も信じないだろ常識的に考えて
「すげー……漫画みたいだ」
「かっけー!めっちゃかっけー!!」
信じるのかよ!
「今回、わざわざ帰国してもらったわけだ。彼女の指揮のもと、日本最強の飛行隊となることを期待する!」
「七海遙、ただいまをもって310飛行隊の隊長に着任いたします!」
俺にあわせ、選ばれたエリートパイロットが敬礼をする……ちょっと気持ちいい
これで男のままだったらなぁ……
「うむ、では後は君に任せた。」
「は!!了解しました」


76 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 21:46:34.15 ID:RwEDF3oH0
「ではただいまより、明日の初飛行のブリーフィングを始める」
そう言って俺は、資料に照らし合わせてホワイトボードに……
「……?どうしました七海二佐」
うん、なんでもない。ただホワイトボードに届かないだけだ
仕方がないのでイスに登って書く
「―というのが概要だ。何か質問は?」
「はい!二佐殿のスリーサイズは?」
「……貴様、それを知ってどうする?」
「は、隊員のモチベーションの高揚のために必要かと」
「上から80・57・78だ」
何で俺もまじめに答えているんだ……モチベーション関係ないだろコレ
ちなみにサイズはフライトジャケット等の作成の際に測った
あまりにアレな体形だったのでへこんだのは内緒だ
「隊員一同、この命尽きるまでついていきますッ!!」
「あ……うん。」
モチベーション上がってるし!!
いいのか?この国を担うエースたちがこれでいいのか?


77 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 21:56:32.99 ID:RwEDF3oH0
翌日
「いやー、それにしても昨日はびびったな」
「幼女がいきなりきて隊長だもんな。」
「でも可愛いんだよなあの娘。」
「ホワイトボードに届かないってwwwwモエスwwww」
俺がいないと思って話をする隊員たち。全部聞こえてんだぜ
「楽しそうだな貴様ら」
「……おはようございます七海二佐!」
「ったく、それより時間だ。ハンガーへ集合!駆け足!!」
「は!!」
本当は拳骨の一発でも食らわせたいところだが、届かないのでやめておく。
しかし、本当に大丈夫なのかこいつら

「これが……ラプター」
「すげえ……」
ハンガーで実機を見た瞬間、隊員の目が変わった。
世界最強の戦闘機を見て、パイロットの目になった。
ふざけているように……頼りないように見えても、やはり日本最高峰のパイロットだ
「行くぞ!310飛行隊の名を世界に轟かせろ!!」
「了解!」


78 : 西洋人形(樺太):2007/04/03(火) 22:04:39.34 ID:ob3QUvR+O
保守!全力で保守!

79 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 22:11:44.38 ID:RwEDF3oH0
目を輝かせ、軽やかに各自が自分の期待に乗っていく
「システムチェックよし!エンジン始動」
掛け声とともにエンジンをスタートさせる
機体に伝わってくる振動が心地よい。今まで乗ってきた機とはまったく違うのがわかる
これが世界最高の戦闘機の鼓動か。などど廚っぽいことをつぶやいてみる
「管制塔よりロミオリーダー、タキシング開始、第2滑走路前で待機」
管制官からの指示が出る
「ロミオリーダー了解。タキシング開始」
スロットルを上げ、機体が動き出す。徐々に緊張が高まっていく……

「あ!あれ!?」
そこで俺は、ある、「重大な問題」に気付き、あわてて機を止める
「どうした!?なにがあった!?」
普通に考えればありえない。しかし俺には重大な問題……
「応答しろ!ロミオリーダー!!」
報告するのが凄く恥ずかしい……しかししなければ……
「その……自分は……ラダーペダルに足が届きません……」
一瞬置いて、管制塔で、そして飛行隊から沸き起こる爆笑が無線に響く

かくして初飛行は、「管制システムの不具合」というもっともな理由で延期された
そして俺の機を改造するため、飛行が二週間延期になった


80 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 22:18:26.07 ID:RwEDF3oH0
〜二週間後〜

「誰だーッ!!こんなもん書いたのは!!」
俺の機に書かれた「ななみすぺしゃる のっちゃだめ!」の張り紙
世界最高の機体になんということを……これが日本人か
「お、おれじゃねぇっすよwwwwww」
「はい!伊藤がやってました」
「ちょwwwwwwおまwwwwww」
「貴様ら、私のことを上官と思ってないだろ」
まあ、確かに敬意を払えといわれても無理だろうがな
「今日は本当に飛ぶんだぞ!気を引き締めろ。あと伊藤!こっちこい」
「は」
「正座しろ」
「?」
事情が飲み込めないながらも命令に従った伊藤に
「このバカたれが!!」
思いっきり拳骨を……
「いってー!」
食らわせたら自分の手のほうがダメージが大きかった……ぐすん


81 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 22:19:23.12 ID:RwEDF3oH0
「隊長、どこも一面隊長ばかりっすよ」
初飛行の翌日、俺は時の人となっていた
「なになに?彼女の乗る機は、『七海スペシャル』と呼ばれ、特別な改造が……」
「誰だそんなこといった奴は!?」
「……以上、航空幕僚長談」
「……大丈夫なのかこの国は」
「なにいってんスかwwwこの国を守るのが俺たちの仕事っしょ」
「なんかモチベーション下がるなぁ」
「ちょwwww隊長wwww」

まあ、何はともあれ、俺たちはこうして日本の青い大空を守るため、日夜奮闘している
もし日本機のマークをつけたF−22を見かけたら
「さーて、訓練いくぞ!駆け足!!」
「了解!!」
そこに凄腕の幼女が乗っていると妄想するのもいいかもしれない

終わり


82 : 共産党幹部(長屋):2007/04/03(火) 22:21:00.58 ID:RwEDF3oH0
以上、あまり短くない短編でした
さて、駿の方も書かないと……

83 : 会社員(滋賀県):2007/04/03(火) 22:24:37.75 ID:mZzzgA820
GJ&期待

84 : F-15K(コネチカット州):2007/04/03(火) 22:25:28.48 ID:OkSEvNwhO
>>82
乙!


85 : 無党派さん(静岡県):2007/04/03(火) 22:54:40.45 ID:0DJUr6mJ0
投下お疲れ様
期待して待ってますです

86 : 青詐欺(樺太):2007/04/03(火) 22:58:17.87 ID:S+2yd5vYO
>>82
グッチョブ!!
戦闘機は全然分からんがグッチョブ!!

さて…俺も書くかな…
案もまとまったし

87 : 青詐欺(樺太):2007/04/03(火) 23:35:46.02 ID:S+2yd5vYO
保守しながら案を練る

88 : 団体役員(樺太):2007/04/03(火) 23:44:44.69 ID:2LLJXa6PO
初めてだけど俺も何か書いてみようかな

89 : 会社員(滋賀県):2007/04/03(火) 23:59:12.72 ID:mZzzgA820
Let's go!

90 : 船員(樺太):2007/04/04(水) 00:02:14.54 ID:tWpxK/x2O
最初だけ出来たから投下します。
タイトル:4月1日の魔法

91 : 船員(樺太):2007/04/04(水) 00:02:59.46 ID:tWpxK/x2O
「あんた!明日は何月何日か分かってるんでしょうね!」
私は目の前にいるそいつを睨みつけながら叫んだ。それは何故か?
…明日を逃したら、次のチャンスが一年後になってしまうからだ。
「はいはい、分かってますよお姫様」
覇気の無い目にボサボサの髪の毛、ひょろっとした長身が面倒そうに答える。
こいつ「柳内透」が世界で五本の指に入る程の魔力の持ち主にはとても見えない。
一年前、実際こいつの魔法にかかってしまった私は信じる他ないんだけど。
「ねぇ、須川さん?そんなに男に戻りたいの?」
柳内は頭を掻きながら言う。
男に戻りたいかだって?そんなの当たり前だ。
私「須川昌」は男として生まれ育って来たんだ。それなのに去年のあの日、こいつに出会ってしまったのが災難の始まり。
「僕は須川さんが男に戻るなんて嫌だなぁ」
「何でよ!本人の意思を無視して私を女の子にした上に元に戻すのも嫌ですって?」
「うん。だって君は僕の理想の女の子だもん」
「何恥ずかしいことをサラッと言ってんのよ/////」



92 : 船員(樺太):2007/04/04(水) 00:06:52.79 ID:tWpxK/x2O
こんだけでサーセン

93 : 漂流者(茨城県):2007/04/04(水) 00:16:00.56 ID:TMkrn1AE0

僕も書いてくるわな

94 : 整体師(コネチカット州):2007/04/04(水) 00:19:01.00 ID:R8YXfNUsO


95 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 00:37:28.99 ID:QcEsAhq0O
俺もしばらくしたら書くぜ

96 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 00:38:12.03 ID:QcEsAhq0O
俺もしばらくしたら書くぜ

というか賑やかになってきてなんか嬉しいな!

97 : 名無し募集中。。。(埼玉県):2007/04/04(水) 00:44:02.52 ID:kpKVJO/00
始めて書き込むんだが俺も投下していいかな?


98 : 漂流者(茨城県):2007/04/04(水) 00:46:16.20 ID:TMkrn1AE0
第5章:新たなる・・・

第一話

勇人「ん・・・」

目が覚める。いつもの金属音はしない。どうやら自然に目が覚めたらしい

勇人「うーん・・・」

優より早く起きるのは珍しいな・・・って思ったけど今日は土曜日だった。優は休みの日は起きるのが遅いんだよな

勇人「うぐぅ・・・」

うむむ・・・しかし何か質量を感じる。布団の上に何か乗っているみたいだ。そこまで重くは無いが

目が覚めていても、実際、目は閉じたままなので何が乗っているのかは分からない

?「あ、起きたぁ?起きた起きたぁ?暇だよぉ。遊んでぇ」

・・・

んー、誰かの声が聞こえる。でも誰だ?とりあえず目を閉じたままシンキングタイム突入

可能性として一番有り得るのが優だ。けど、神に誓って言う。こいつはこんな声をしていない

しかも聞こえた方向から大体予想してみると、布団に乗ってるやつの発した声らしい

優が乗ってるとは考えられん、質量的に考えて・・・。優には失礼だがな

99 : 漂流者(茨城県):2007/04/04(水) 00:47:11.65 ID:TMkrn1AE0
次に考えられるのはトモだ。しかし、優より有り得ない気がする

声は聞いた限り明らかに女性のものだし、体重は普通にトモ>優だろう。質量的に考えても余計有り得ない

というか玄関の鍵は閉めてあるから、外部犯の可能性は薄い

しかし、ここには僕と優以外に生物は・・・

昨日一匹追加されたんだよな・・・

けど、猫が喋るとか有り得ないだろ・・・常識的に考えて・・・

おっけい、どうやら考えても無駄なだけだ。シンキングタイム終了。さっさと正体を見るに限る

そして目を開けようとしたその瞬間

?「起きるぅ!暇だって言ってるでしょぉ!」

凄い勢いで布団を捲くられた。まだ2月だし、今年は例年以上に気温が低いらしく、はっきり言ってかなり寒い

勇人「さむっ!」

無意識でこんなことを呟く。だがそれより布団に乗っている奴の正体を確認しなければ・・・

?「やーっと起きたぁ」

そいつは、僕から捲くった布団を自分の前に捲り上げ、首から上だけを布団からひょこんと出していた

体勢的には僕の仰向けの上に座って布団の端を肩まで持ち上げてる状態。顔しか見えん。いや、問題はそこじゃない

100 : 漂流者(茨城県):2007/04/04(水) 00:47:46.04 ID:TMkrn1AE0
当然ながら第一声は

勇人「・・・誰?」

これしかないよなぁ・・・

?「だ、誰って、朝の挨拶もせずに、しかも人の名前を忘れてるってぇ!?」

優以上に朝っぱらからハイテンションなやつだ

勇人「あー、もう。オハヨウゴザイマス。んで、誰ですか」

?「うぅ・・・挨拶された気がしないぃ・・・。それに、私は私だよぉ!」

私は私だよってオレオレ詐欺娘verですか。不法侵入にオレオレ詐欺。こいつ重罪人だ

勇人「悪い。あいにくだが僕は記憶力皆無なんで。失礼ですがお名前を」

?「ホントに失礼だけどねぇ。私の名付け親じゃないかぁ。鈴だよぉ。秋空鈴ぅ」

おk、これだけは言わせてくれ

勇人「日本語でおk」

鈴?「今の何処が外国語だって言うのさぁ!!」

いや、もちろん日本語なのは分かる。だが

勇人「僕の知ってる秋空鈴は猫です。同姓同名の方ですか?」

101 : 漂流者(茨城県):2007/04/04(水) 00:48:13.35 ID:TMkrn1AE0
鈴?「同姓同名じゃなくて昨日拾ってもらった鈴だよぉ。ホンモノだよぉ・・・。ほらぁ、これ、それにこれも」

そう言って、頭についていた耳をピコピコと動かし、首についている鈴を見せた

勇人「うぅん・・・」

鈴?「まぁ・・・無理してすぐ信じろとは言わないけどぉ」

ハッキリ言って、耳を自由自在に動かしている時点で普通の存在じゃないって分かった。人間にはついてない機能だし

しかし、だからと言って鈴だと簡単に信じられるわけでもないし・・・

うーん、色々と考察の余地がありそうだ

102 : 漂流者(茨城県):2007/04/04(水) 00:48:57.28 ID:TMkrn1AE0
これで終わりでっす
鈴のキャラがなんか謎だなぁ・・・

103 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 01:21:00.16 ID:QcEsAhq0O


104 : フート(静岡県):2007/04/04(水) 02:09:48.93 ID:P1/uEDjF0
寝るですほしゅしゅ

105 : 医師(広島県):2007/04/04(水) 02:53:18.15 ID:CtKz/EQz0
保守

106 : 留学生(樺太):2007/04/04(水) 05:03:07.54 ID:zWmVLS+7O


107 : 主婦(長屋):2007/04/04(水) 08:25:01.41 ID:A2D7qSjz0
ho

108 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 09:29:22.88 ID:QcEsAhq0O
【季節の風が揃う時】

俺が女になってから丸二週間たった

それまでいろいろあった
まず、父さんがそれに驚き…階段から転げ落ちた事(無傷)
あと、ちゃんと男の俺の葬式をした事
その時、俺は…
「なんか…私の葬式って変な感じね」
そう俺は時が経つに連れまるっきり女の子になっていた

まるで男の記憶がある女…って感じ…

この身体の前の持ち主は学校に行っていた事で
母さんは俺に学校に行くように進めた
俺は去年、卒業したばかりなのに…また行くのかよ
母さんが言うには
「娘の制服も見たいから…」
という単純な理由だった


109 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 09:40:53.46 ID:QcEsAhq0O
学校に行く手続きもとっくに終えて
制服が自宅に届く
もちろん…女の子の制服だ

試しに着替えてみる
リボンの結びが難しい…なんとか着替え終えた

それで母さんに…
「可愛い!凄く可愛い!」
と言われ
男だったら普通、怒る所だが俺は…
「そうかなぁ〜♪」
と嬉しくて笑いながら返した…

母さん…本当に元気だな…
俺が元気だからだろうな…
生き生きしてるよ…嬉しい…
その時、俺は女の子になっても嫌な思いはちっとも思わなかった…

だって…死んでしまうより全然ましだから
なんて単純な理由

俺は母さんに似たらしい…

まあ…いいか…


110 : 整体師(コネチカット州):2007/04/04(水) 10:32:41.25 ID:R8YXfNUsO
保守

111 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 10:34:38.33 ID:QcEsAhq0O
俺の名前も変わった
学校に都合がいいからと勝手に母さんがつけた

あの時…病院から出た時に桜があったので

『桜』

と、いい加減な感じに…

「貴方は桜に決定ね!」
俺は「いや!」とは言えなかった
何となく可愛いから…
またもや単純な理由

そうそう、俺の二年後輩に当たる佐久(さく)に協力してもらった
女の子になった俺に驚き…母さんに説明を受け…悩んだ
アイツ頭悪いからな…
でも母さんはこう耳元でささやく…

「貴方の彼女としてだったら信じる?」

もちろん佐久は…
「オールOKです!」

何がオールOKだ…ばか野郎!!
母さんも勝手に決めんな!!

という訳で俺の女子高生生活が始まった


112 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 10:35:10.28 ID:QcEsAhq0O
長くなるかも…

113 : 整体師(コネチカット州):2007/04/04(水) 11:12:49.70 ID:R8YXfNUsO


114 : 整体師(コネチカット州):2007/04/04(水) 12:12:59.00 ID:R8YXfNUsO


115 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 13:01:08.88 ID:QcEsAhq0O


116 : フート(静岡県):2007/04/04(水) 14:07:18.21 ID:P1/uEDjF0
ほしゅです

117 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 14:10:03.19 ID:QcEsAhq0O
あっすっかり忘れていたが俺には二つ年上の兄貴がいる
兄貴は中身も外見も秋葉系だ
いつも頭にバンダナを巻き付けている
部屋は美少女アニメのポスターやら人形がところ狭しと並べている
正直…キモい

俺が女の子になったので兄貴は妹として扱った

でも…襲いかかる事は無く
「何故?」と聞くと

「お前はメガネかけてないし…胸も小さいから」

メガネは意味不明だが
胸が小さいに関しては女の心になってる俺に怒りを買ったので…
俺は激怒し…

兄貴の局部を蹴り上げ
倒れ込む兄貴を確認してからその場から立ち去った


そして…学校初日の朝が訪れた…

ああ…かなり不安だ…


118 : 留学生(樺太):2007/04/04(水) 15:02:05.31 ID:zWmVLS+7O
☆ゅ

119 : 整体師(コネチカット州):2007/04/04(水) 15:50:29.06 ID:R8YXfNUsO
保☆守

120 : フート(静岡県):2007/04/04(水) 16:28:41.96 ID:P1/uEDjF0
hho

121 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 16:45:17.97 ID:QcEsAhq0O
マイペースですまんな

122 : フート(静岡県):2007/04/04(水) 17:19:02.54 ID:P1/uEDjF0
自分のペースだからいいんじゃない?

123 : 整体師(コネチカット州):2007/04/04(水) 17:47:25.25 ID:R8YXfNUsO
いいと思うよマイペース

124 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 18:02:47.29 ID:QcEsAhq0O
「ムニャ…クー…クー…」
俺は眠りについていた
その時、
「さーーくーーらーーさーーんーーーー!!!!」
馬鹿でかい声が俺の眠気をなくしびっくりして飛び起きる
窓を開けるとそこには佐久がいた
「大声出さないでよ!恥ずかしいわ!」
と俺は怒るが佐久は笑顔で…
「早く行きましょよー桜さん」
「分かったから。待ってて!準備するから」
「はーい!」
さっさと着替える
マッハで顔洗い…歯磨きをして…朝食を取る
テーブルには父さんもいて…いつもどうり新聞を読んでいた
「おはよ。父さん」「ああ…おはよ…」
まだ、俺の変化にまだなれてないらしい
まあ…しょうがないけど…

俺はパンを強引に詰め込み
急いで玄関に行った
靴を履いていると…母さんが…
「ほれ!お弁当!」
と俺に弁当を投げ付けてきた
「うん!ありがと!」
すると母さんは俺の背中をポンと叩き
「じゃあ…行ってらっしゃい!」
俺はそれに押され
「いってきま〜す!」
と元気よく家を飛び出した


125 : フート(静岡県):2007/04/04(水) 18:38:25.00 ID:P1/uEDjF0
hosyhosyu

126 : 整体師(コネチカット州):2007/04/04(水) 18:38:41.63 ID:R8YXfNUsO
保持

127 : 船員(樺太):2007/04/04(水) 18:38:52.69 ID:tWpxK/x2O


128 : プレアイドル(コネチカット州):2007/04/04(水) 19:18:56.54 ID:R8YXfNUsO
( ^ω^)にこにこ

129 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 19:47:47.94 ID:QcEsAhq0O
目の前には佐久が暇そうに待っていた
「桜さん…待ちましたよ」
「アンタが早すぎなのよ…もう…」
「そんなことより行きましょ!」
俺の袖口を引っ張る
「コラ!引っ張らないでよ…行くから」

二人は通学路を歩く…

すると佐久が…
「いや〜それにしても、あの桜さんが女の子になるなんていまでも信じれません」
「そりゃそうでしょ、ありえないし…」
「でも…現に俺の横にいるじゃないですか」
「まぁ…ね」
「それに…制服可愛いし」
「可愛いなんて…」
「あれ?失礼でした?すいません…」
「ううん、嬉しい…ありがと!」
俺は満面の笑みで返した
「うわ〜かわええ!!可愛いっすよ!桜さん!」
「そうかなぁ〜♪」

二人はそう話し合って通学路を歩く

そして…学校についた…

130 : 留学生(樺太):2007/04/04(水) 20:23:40.27 ID:zWmVLS+7O
ワクワクテカテカ

131 : 整体師(コネチカット州):2007/04/04(水) 21:05:43.35 ID:R8YXfNUsO
( ^ω^)にこにこ

132 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 21:13:13.61 ID:QcEsAhq0O
にこにこってなに?

133 : 整体師(コネチカット州):2007/04/04(水) 21:32:25.66 ID:R8YXfNUsO
ただにこにこしながら見てただけ。ツッコミ入ったから控えますw

134 : カメコ(鹿児島県):2007/04/04(水) 21:39:54.28 ID:Dws4cme10


135 : 整体師(コネチカット州):2007/04/04(水) 22:07:01.55 ID:R8YXfNUsO
保守

136 : 運動員(鹿児島県):2007/04/04(水) 22:37:55.06 ID:7xv87lhc0


137 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 22:38:03.95 ID:QcEsAhq0O
俺は正門を潜る

「しかしねぇ〜母さんの仕業だと思うけど…」
「どうしたんですか?」
「なんで私の行くクラスはアンタのクラスなのよ〜」
「いいじゃないすか!桜さん!」
「ヤダな…何となく…」
「そんなぁ〜酷いっすよ!」
「冗談よ冗談、頼りにしてるって…」
「もう…俺、行きますから」
「拗ねないでよ…私は職員室に行くから」
「では、桜さん!」
「ん」

佐久は下駄箱まで走っていた
アイツは変わってないな
馬鹿な所…でも…とっても良い奴
それに俺の事を分かってくれる奴がいるのは安心するな

さて、職員室に行こう

俺は…転校生か…

母さんが学校に説明して…
俺は親戚の従兄弟と紹介してくれた

とりあえずバレないようにしよう

なんか…ドキドキする…


138 : 船員(樺太):2007/04/04(水) 22:54:50.47 ID:tWpxK/x2O
投下しても良かろうか?

139 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 23:01:11.41 ID:QcEsAhq0O
いいっすよ!!
一人で書いてて少し寂しかったし…

140 : 船員(樺太):2007/04/04(水) 23:06:39.93 ID:tWpxK/x2O
>>139あんまり書いてないけど投下しますね

141 : 船員(樺太):2007/04/04(水) 23:08:26.97 ID:tWpxK/x2O
―一年前
出会いはいつだって突然で、災難は望んでもいないのに訪れるのだと知った。
私の街で桜が花を咲かせるにはまだ、少しだけ早い4月1日。
「ヤバい〜、部活に遅れる!」
その日、完璧に寝坊していた私は凄まじい勢いで自転車を走らせていた。
「よっしゃ!この坂を下ればまだ間に合う!」
下り坂なのに更に力を入れてペダルを漕いだのが悪かった。
きちんと整備されていない道路の窪みにタイヤが捕られ、バランスを崩してしまった。
「うわわっ!」
更に、目の前には人影。
避けようにもこんなでは、それも出来ない。
「そこの人!退いて〜!」
私の叫び声に気付いたその人はサッと避けてくれた。
しかし、ホッとしたのも束の間。
「え?」
私の身体が自転車から勢いよく投げ出されてしまう。正面には避けてくれた人。
(もう駄目だ!)
そう思った時
「…僕は君を受け止める」
目の前の人はそう呟いただけで私を容易く抱えてしまったのだ。
「大丈夫?怪我は無いっ?」
「は、はい!全然大丈夫です。ありがとうございます!」
その人は私をジロジロ見て一言。
「なんだ男か。女の子様だと思ったから助けたのに…」
そしてポイッと投げ捨てられた。
「イタタタタ…。何

142 : 船員(樺太):2007/04/04(水) 23:09:28.12 ID:tWpxK/x2O
コピペミスったOTL

143 : 船員(樺太):2007/04/04(水) 23:10:00.47 ID:tWpxK/x2O
―一年前
出会いはいつだって突然で、災難は望んでもいないのに訪れるのだと知った。
私の街で桜が花を咲かせるにはまだ、少しだけ早い4月1日。
「ヤバい〜、部活に遅れる!」
その日、完璧に寝坊していた私は凄まじい勢いで自転車を走らせていた。
「よっしゃ!この坂を下ればまだ間に合う!」
下り坂なのに更に力を入れてペダルを漕いだのが悪かった。
きちんと整備されていない道路の窪みにタイヤが捕られ、バランスを崩してしまった。
「うわわっ!」
更に、目の前には人影。
避けようにもこんなでは、それも出来ない。
「そこの人!退いて〜!」
私の叫び声に気付いたその人はサッと避けてくれた。
しかし、ホッとしたのも束の間。
「え?」
私の身体が自転車から勢いよく投げ出されてしまう。正面には避けてくれた人。
(もう駄目だ!)
そう思った時
「…僕は君を受け止める」
目の前の人はそう呟いただけで私を容易く抱えてしまったのだ。
「大丈夫?怪我は無いっ?」
「は、はい!全然大丈夫です。ありがとうございます!」
その人は私をジロジロ見て一言。
「なんだ男か。女の子様だと思ったから助けたのに…」
そしてポイッと投げ捨てられた。
「イタタタタ…。何するんだ!」
「女の子だったら良かったのに…」
彼がそう呟いた瞬間、私の身体に変化が起こった。

144 : 運動員(鹿児島県):2007/04/04(水) 23:10:01.29 ID:7xv87lhc0
どんまい

145 : 船員(樺太):2007/04/04(水) 23:11:03.64 ID:tWpxK/x2O
こんだけです。
少なくてサーセン

146 : わさび栽培(兵庫県):2007/04/04(水) 23:13:15.28 ID:ZpIrcX740
>>145
続きwktkして待ってればいい?

147 : 運動員(鹿児島県):2007/04/04(水) 23:16:26.97 ID:7xv87lhc0
>>145
続きwktk

148 : 留学生(埼玉県):2007/04/04(水) 23:18:13.47 ID:hBqgqR6D0
昨日投下するといった97っす。
とりあえずある程度できたんで投下します。


149 : 留学生(埼玉県):2007/04/04(水) 23:19:01.60 ID:hBqgqR6D0
 もし……だ。もし、朝起きたら別人になっていたらどういう反応をする?
 混乱するだろう。パニくるだろう。そして、それが夢じゃないかという結論にいたるのが普通だ。
 そして当然、ほとんどの場合それは夢で終わる。
 考えても見ろ? いや、ありえないってそんなこと。この世はファンタジーなんかじゃないんだ。

 しかし、しかしだ。そう、もしいつまで経っても、そして寝なおして起きたとしても自分の姿が他人のままだったら?
 確認したくなるだろう? それが、夢か、それとも現実なのか。
 その時はまだ半信半疑のはずだ。夢の延長だと、心の中ではずっと思っているだろう。
 そして、どこでもいい。部屋に姿見が置いてあるならそこに全身を写し、無いんだったら洗面所にでもいって大抵はあるでかい鏡に己を写す。
 そこで、改めて愕然とするのだ。
 自分が別人となっていることに。
 眠気を覚まそうと頬をつねり顔を洗って、鏡に写る人間が、自分と同じ動きをすることに。
 その、見覚えの無い人間が、自分で間違いないと確信させられて。

「…………誰だお前……?」
 呆然と鏡の向こうを眺めつつ、思わずこぼれ出た言葉は俺の本心だった。
 そこに立っている少女は、全く俺と同じしぐさで同じことを言い、こちらを見つめ返している。
 まあ、つまり。
 長々とした前置きは、今俺自身の状況を説明したものだったわけだ。



150 : 留学生(埼玉県):2007/04/04(水) 23:20:26.87 ID:hBqgqR6D0
 現代でもっとも重要なのは“情報”だそうだ。
 昔なんかの本で読んだ気がする。
 そして、現状自分が持っている情報を確認するのも重要なことらしい。
 俺が、まずしなくてはならないこともそれで間違いないだろう。
 今俺何が起こっているのか? 俺はこれからどうすればいいのか?
 最低この二つを定めなくては、俺はいつまでも洗面所で呆然とする以外の行動を取れなくなる。
「よし、とりあえずメモかなんかで……」
 改めて俺は自分の声を聞き、その音の高さに顔をしかめた。
 人間の声って言うのは、自分で聞くのと他人が聞くのでは音の高さに少々の隔たりがある。
 ラジカセで自分の声を録音して聞いたことのあるものは、思った以上に甲高く聞こえる己の声に驚いたことがあるだろう。それが本来の自分の声の高さな訳だ。
 頭蓋骨に響くんだかどうだったか、理屈は忘れたが、とにかく普段聞こえる自分の声は低く聞こえるものなのである。
 つまり、この俺の高くなってしまった声も、現実はもっと高いのだろう。
「――――――――」
 だからって、メモ帳の冒頭に声が高い、って書くのは自分でもどうかと思うが。
 自覚以上に気にしていたのだろうか?
 まあいい、とりあえずこんな調子で今の自分の状況を書き出していこう。
 整理は、別に後でもいいのだから。



151 : 留学生(埼玉県):2007/04/04(水) 23:21:31.76 ID:hBqgqR6D0
「…………」
 目の前には、姉の部屋からかっぱらってきた姿見。
 やはり、現状を確認する上で、今の自分の姿を知ることはかなり重要なことだろう。
 因みに、結構重かった。筋力もかなり落ちているらしい。
 正面を見る。姿見の向こうに、先ほど洗面所でも見た少女が写っている。
 自分で言うのもなんだが、ほっそりと小顔の少女は少々幼なそうに見えながらも造詣は整っていて、結構可愛かった。
 そして俺は、顔から体へと視線を落とした。
 野郎なんざ皆そうだと思うが、俺も例に漏れず、寝るときの格好なんかに気は使っていない。
 ジャージのズボンにTシャツがデフォだが、夏の暑いときにはズボンは脱いで寝ていることも多い。俺の部屋にはクーラーが無いので暑いのだ。
「…………」
 そして、今は真夏の真っ盛り。
 洗面所の鏡ってのは下半身は映さないし、加えて今の今まで相当混乱してたため、ふと視線を下げれば当然目に入るはずのそこを俺は今まで気がついてもいなかった。
 たらり、と一筋の汗がほっそりとした首筋を伝い、Tシャツの襟に吸収される。
 体がかなり小さくなったのか、肩幅もだいぶ狭まり、Tシャツはずり落ちて華奢な右肩がとのぞいていた。
 汗ばんだ無地のTシャツは、ずり落ちつつも膨らんだ胸に押し上げられて、その頂点に乳首を透かせている。
 今の俺の体には大きすぎるのだろうTシャツは、しかし今言ったとおり胸に押し上げられていて、時折、ちらりとヘソが見えた。
 そしてソコに視線が落ちる。
 色気の欠片もないはずのトランクスは、しかしウエストが細まりヒップがでかくなったのだろう俺の体には、なんか滅茶苦茶エロく見えた。
 ずり落ち、しかしヒップのところで止まっていて、ぎりぎり、ぎりぎりその場所を目にすることが出来ない。
 まあ、トランクスを下げれば簡単に見れるのだが。
「…………」
 ゴクリ、と唾を飲み込んだ。
「…………マジ……か……?」
 そして、ショックに思わず前のめりに突っ伏した。
 俺は、今自分に欲情しやがったのだろうか。欲情しやがったのだろうか!?
 ナルシストの気は無かったはずだが、いったいどうしたのだ俺よ……。
 ぶんぶんと首を振って顔に上った熱を冷まし、俺はメモ帳に判ったことを書き綴る。



152 : 留学生(埼玉県):2007/04/04(水) 23:22:06.64 ID:hBqgqR6D0

 朝起きたら女になっていた。
 原因は不明。検討もつかない。
 体は、背が結構縮んでいる。体力も落ちてる。あと胸がでか(ry。
 以下云々かんぬん。

 そこまで書いて、体に汗がべっとりと浮いて気分悪いのに気付いた。
 ……そういえば、まだ今朝はシャワーを浴びていなかったな。
 それに気がつくと、俺の体は猛烈にリフレッシュを要求し始めた。
 というか、今朝はまだというよりも、風邪を引いて寝込んでいたためここ二日ほどシャワーを浴びた覚えが無い。
 何か知らないけどもう熱も咳もでないようだ。変わりに体が別人になっていたが。
 いやそれはいい。とにかく今はシャワーを浴びたい。
「……とはいえ」
 着替えはどうしたらいいのだろう。
 Tシャツもトランクスも、……というか男物の服では、着てもずり落ちるわフェティッシュを掻き立てるわで、いいことが無い。
「姉貴のを失敬するしかないか」
 なんと言ったらいいのか。まさか思春期真っ盛り中学生の頃にも姉貴に女としての一切の興味を持たなかった俺が、今になって姉貴の下着を漁ることになろうとは……。
 運命の皮肉とか言うモノが如何にふざけたモノであるかを感じずにはいられない。
 まあ、当時は思春期よりも反抗期が優先してた訳だけどな。
 しかしあの頃の俺は荒れてたなあ……。
 そんな益体の無いことで頭を満たしつつ、俺は最低限の労力で見事に姉の下着(上、下)を手に入れることに成功した。
 何故か頭の中に、RPGゲームの重要アイテムを手に入れたときのファンファーレのような効果音が鳴り響く。
 何故か、とってもむなしくなった。



153 : 留学生(埼玉県):2007/04/04(水) 23:22:50.69 ID:hBqgqR6D0

「うわ……」
 俺は風呂場にて、始めて見る“俺”の体に絶句していた。
「つーかこれ……」
 無造作に、自分の胸に出現した巨大な肉塊を掴んだ。
 これ、でかいとは思ってたが予想以上だ。相当でかいほうじゃないんだろうか。
 見事に胸の谷間を作っていて、そこに汗がたまってむず痒い。
 手を離すと、胸は弾むようにして揺れ、汗を飛ばした。
 そして、少々体を傾けないと胸が邪魔で見えない俺のその場所。
 その場所は控えめに毛を生やしてなんとも慎ましやかにソコにある。
「…………」
 欲情なんかしてへんで? そらもう、自分の体に欲情なんかするわけないやん? そうやろ? 変体さんの仲間入りやんか。
 動揺の余り心の声が似非関西弁になってしまった。
 ……とにかく、当初の目的を果たさねばと蛇口を捻る。
 しかし、俺は自分でも思った以上に動揺していたのか、蛇口の温度調節を忘れて一気に捻ってしまった。
―――――やばっ!
 気がついてももう遅い。
 うちは家族全員が朝シャンをする。高校で保健教諭をしている姉が朝早いのも手伝ってトップで、次に親父。
 そして夏場、親父はいつも冷水でシャワーを浴びているらしく、次に入ることになる俺はたまにこういうミスを犯すのだ。
 一番低く設定してある水が、裸の俺を一気に襲い――――。
「きゃあぁああ――――!! …………」
 …………。
「…………」
 ……………………。
 キュ。
 無言で温度調節をした。ああ、ぬるま湯が冷えた体に心地いいなぁ。
 今自分のから飛び出た悲鳴については考えないようにする。
 考えないったら考えない。



154 : 留学生(埼玉県):2007/04/04(水) 23:23:37.16 ID:hBqgqR6D0

 そのまま、俺は頭を空っぽにして、シャワーを済ませた。
 特にコメントすることは無かった。あえていうなら、意外とこの体は敏感だとだけ言っておこう。
 髪の毛は幸いにも精々ショートボブといったところで、いつもの感じで洗えたけど。
 しかし胸の間とか洗うの大変だったな。持ち上げても石鹸で滑るわ弾んでお湯石鹸が目に入るわ……意外に感じるわで……ええい、やめやめ!!
 適当に体を拭き、下着を手に取る。
 大分逡巡した。付けるか、付けまいか。
 とはいえいつまでも迷っているわけには行かない。
「てか付け方判らないんだけどな……」
 ショーツのほうは普通にはけたが、ブラは、これはどう付ければいいんだ?
 取り合えず普通の服みたいに手を通す。胸にカップを当て、背中に引っ張る。
 フックは見えないからか、異常に付けづらかった。……それに。
「……っく、これキツい」
 そういや、姉貴の胸ってそんなに無かったよなぁ……。
 知られたら半殺し確定なことを考えつつ、俺はブラを付けるのを諦め、代わりのものを探すことにした。



155 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 23:23:41.90 ID:QcEsAhq0O
俺の話もかなり長くなるけど
マイペースに頑張る

ネタが無かったらひとまず時間を置いていけばいいさ

なあ…>>145…頑張ろうよ…

156 : 留学生(埼玉県):2007/04/04(水) 23:25:10.20 ID:hBqgqR6D0

 お袋の胸はでかかった気がするが、小学生の頃に死んでしまっている。荷物も実家のほうに保存してあるらしく、この家を探しても無駄だろう。
 やむを得ず、そのまま代わりのTシャツを着る。
 結構昔の物で、成長したため着られなくなったけど処分するのも面倒で箪笥の置くに眠っていた奴だ。今の体には……やはり少しでかいが、まあさっきよりはマシだろう。
 ズボンはジャージ。ずり落ちぬようゴムを引っ張って結び、すそを折り曲げる。
「ふう」
 やっと落ち着いた。しかしシャワーひとつ浴びるのにどれだけかかっているのやら。
 いったいこれからどうなるのか判らないが、今後のことを考えるとため息が止まらない。
 ふと気がつくと、時計は13時を示していた。
 因みに今日は平日だ。さっき言ったと思うが、俺は病気でここ二日寝込んでいたために学校を休んでいた。
 姉貴も親父も、俺が朝起きて来なかったためにまだ調子が悪いなら起こすことも無いだろうとか思って出て行ったに違いない。
 いや、もう病気は治っているのだ。ただ、もっと大変な事態に襲われているわけだが。
「本当に、これからそうすればいいんだ……」
 その独り言は、高い声に変わっているということを加味した、その上で自分でもびっくりするくらい弱弱しいものだった。
 落ち着いて、ようやく今の自分、これからの自分に不安が出てきたのだろうか。
 ……当たり前だ。今、俺の体は別人のものになっている。
 我思う故に我ありとはデカルトの言葉だったか。
 しかし、俺は俺が俺だとはっきりと確信しているが、他人から見たら別人であってそれ以外の何者でもない。
 たとえ家族……姉貴や親父だって俺のこの姿を見て俺だとは気付くまい。俺が逆の立場だったら絶対に信じない。
「…………ぅ」
 じわじわと、じわじわと不安は高まっていく。
 本気で、真面目にこれからのことを考えなくてはいけない。姉貴が帰ってくる前に。
 姉貴に俺が俺だと証明することが理想だ。もし家を追い出されたら、俺にはどうしようもない。
 この姿の俺には、戸籍すら存在しないのだから。



157 : 留学生(埼玉県):2007/04/04(水) 23:25:45.96 ID:hBqgqR6D0

 結局、いいアイデアは浮かばなかった。
 直球で説得するしかない。姉貴を信じるしかないだろう。
 少なくとも俺が姉貴の立場だったらまず信じないと思うので不安ではあるが……。
 一応、信じてもらえずに追い出された場合の保険はかけておいた。今俺は姉きの服を着ている。例によって箪笥の中に入っていた、かなり昔の奴だ。
 姉貴はいつもショッピングに言っては大量に服を買うので、多分俺が着ているのが自身の服だとは気付くまい。
 身長に関してはまだ今の俺でも姉貴より高いのだが、男だった頃に比べれば誤差の範囲だ。
 少々スカートが短く感じるだけで他に特に違和感は無い。ノーブラなんでそれが少し気になるのだが……。
 他にも数着頂き、リュックサックに詰め込んで家の塀の影に隠しておいた。
 その中に俺の財布や貯金とかも詰め込んでいる。金は15万くらい入ってるはずだ。俺の全財産である。もし追い出されたらそれは俺の唯一の支えとなるだろう。
 警察を呼ばれたら厄介だが、その時はその時だ。むしろ警察に保護してもらうのも手かも知れない。



158 : 留学生(埼玉県):2007/04/04(水) 23:26:22.59 ID:hBqgqR6D0

 すでに外はすっかりと暗くなっている。
 そして――、
 家の前に、バイクが停まった音が聞こえた。
 姉貴が、帰ってきたのだ。
 ドクン。
 まるで膨らんだ胸を震わせるかのように、一度、大きく心臓が跳ねた。
 ガチャリと、家にドアが開けられる音が耳に届く。
「た〜だ〜い〜ま〜! 弟よ今お姉ちゃんが帰ったぞ〜〜!! ちゃんと寝てるか〜〜?」
 近所迷惑ぎりぎりの能天気な大声で姉貴は帰還を報告し、どたどたと俺が今いる居間に入ってきた。
「あ〜起きてるじゃん駄目だよ熱下がったって一日はゆっくりしてないと……」
 そのままこちらを一瞥だけして着替えるためか部屋を出て自分の部屋に向かう。
 余りの自然体スルーに俺は声を失って見送るが、ひょいっと、出て行ったはずの姉が首だけ扉から出してこちらを向いているのに気付き、ヒイ、と悲鳴をあげてしまった。
「…………」
「…………」
 暫し、双方声も無く向かい合う。
 姉貴はそのまま、不自然な体勢で固まっていたが、ようやく口を開くと、
「……えーと。どちらさん?」
 ようやく、当たり前の疑問を口にした。



159 : 留学生(埼玉県):2007/04/04(水) 23:27:16.26 ID:hBqgqR6D0

「落ち着いて聞いて欲しい」
「うん」
 正面に座った姉貴に、俺は意を決して説得にかかる。
「俺は、伊達裕也。……姉貴の弟だ」
「……へ?」
 俺の言葉に、ぱちくりと瞬きを繰り返す姉貴に、畳み掛けるようにして言葉を重ねる。
「だから、俺は裕也なんだって!! マジで! 朝起きたらなんかこうなってたんだ!!」
 そう言いつつ、なんて滅茶苦茶な話だと俺は心の中で自虐していた。
 こんな話、小学生だって信じるものか。
 姉貴は、そんな俺をじっくりと吟味するように見つめてくる。
 そして、口を開いた。
 冗談は大概にしなさい。いったいあなた誰。出て行かないと警察呼びますよ。もしかして裕也の彼女? 私をからかってる?
 予想される言葉はこんなとこだろうか。俺には姉貴の視線がまるで他人を見るかのように感じられ、耐え切れず顔を背けた。
 だが、姉貴の言葉は俺の予想を全く裏切るものだった。
「うわぁ、偶然にしても出来すぎだこれ」
「え?」
 言っている意味がわからず、ぽかんと姉貴を見る。
「子供の頃の家族旅行にいったとき裕也迷子になって結構大事になったよね? 警察まで呼んで皆が裕也を探して大騒ぎになって、そのとき裕也はどこにいた?」
 そんな俺の戸惑いを気にする様子も無く、姉貴はマシンガンのような早口で質問をぶつけてくる。
 え? ……ていうかこれって?
「答えて」


160 : 留学生(埼玉県):2007/04/04(水) 23:28:02.70 ID:hBqgqR6D0

「……は、腹壊して旅館のトイレにこもってたんじゃないか。必要以上に騒いで大事にしたのは姉貴だろ」
「……まあ、双方の見解の相違はともかく。じゃあ次。裕也結局高校帝江州に入ったし一回も進路希望にはしなかったけど、ずっと秘密にしながら目指していた高校あったよね。それどこ?」
「開姓高校だよ! 何だよ姉貴があんた馬鹿なのにそんなとこ目指しておねえちゃん恥ずかしいから外で言わないでって言ったんだろ!! それに薦められて結局俺が入った高校って姉貴が勤めてるトコじゃないか! 俺で遊びたかっただけだろ!?」
「……善意って言うのは受け入れられないと悲しいものだな〜。まあいいや、じゃ最後。昨日の夕食って何だった?」
「へ、夕食……?」
 あれ? 何食べたんだっけ? 不味い、覚えていない。
「…………」
 答えられないでいる俺を、姉貴は疑わしげな目で眺めている。
 くそっ……。晩飯、晩飯。何食ったんだっけ……。
 ……っと、いや、そういえば。
「俺昨日晩飯食ってない。夕方寝込んでそのままだった。ってかテーブルの上に昨日の晩飯の残りで起きたら食べなさいってメモが置いてある皿があったし、晩飯はメンチとかコロッケとかの揚げ物だったろ?」
 そう返すと、姉貴は両手で俺の手を握った。
 ……え?
 戸惑ったように見返す俺に、姉貴は、
「う〜ん。にわかには信じにくいんだけど、けど、ま、鎌かけにも引っかからなかったし、判った。あんたは裕也ね。信じてあげる」
 そう言ってにっこりと微笑んだ。


161 : 留学生(埼玉県):2007/04/04(水) 23:28:42.44 ID:hBqgqR6D0

「……って、え? 嘘、なんで……?」
 先ほどからの質問が、俺が伊達裕也であることを確認するための質問であることは理解していた。
 こういう類を扱った創作物にもよくある、双方しか知らないはずの情報の確認。割とポピュラーな代物だろう。
 だが、それでも前提としてありえない事なのだ。入れ替わりだろうが、俺みたいに別人になることだろうが。そういうファンタジーは。
 そして、先入観の基に行動する人間の視界って言うのは恐ろしく狭くなる。
 だから、例えこの方法を使っても信じてもらえないだろうと俺は思っていたのだが。
「う〜ん、でもこうして見てみるとホント別人みたい……って、うわ、裕也? まさか何、泣いてるの?」
 言われて気付いた。涙が伝う頬がむず痒い。
 あわてて拭うが、次から次へと涙はあふれ出て、止まりそうになかった。
 俺を包んでいる絶望は、思ったよりも大きかったらしい。
 そして、今俺を包んでいる安堵も。
「うわ〜、裕也が泣いてるところ見るのいったい何年ぶりだろ〜? ってか泣いたあんたを抱きしめて慰めるのってこれが始めてじゃない? 弟がこんなことになって始めてお姉ちゃんらしいことが出来るってのもなんだかな〜」
 俺を、弟と呼んでくれてることがとてつもなく嬉しかった。姉貴が、自分を俺の姉だといってくれることがとてつもなく嬉しかった。
 いつの間にか俺は姉貴に抱きしめられていて、俺は姉貴の胸に顔を埋めて泣いていた。
 恥ずかしかったが、それ以上に姉貴の腕はこれからの不安に押し潰されそうな俺を守ってくれている気がして、暫くの間、俺はそのまま泣き続けていた。


162 : 留学生(埼玉県):2007/04/04(水) 23:30:05.52 ID:hBqgqR6D0
以上。ってかこれ長過ぎましたかね……。


163 : フート(静岡県):2007/04/04(水) 23:32:33.96 ID:P1/uEDjF0
投下乙です
長くても気にしない気にしない

164 : 天涯孤独(コネチカット州):2007/04/04(水) 23:36:15.23 ID:Ra2rEdF3O
>>162 乙wwwそしてオラwktkがとまらねえぞ!111111

165 : 社会科教諭(樺太):2007/04/04(水) 23:41:07.59 ID:QcEsAhq0O
>>162
続きが知りたい!!

166 : 天涯孤独(コネチカット州):2007/04/04(水) 23:51:36.21 ID:Ra2rEdF3O
とりあえず保守 明日までのこってるといいな

167 : 船員(樺太):2007/04/04(水) 23:56:52.77 ID:tWpxK/x2O
>>145です。投下数が少なくてすみません。
ネタをまとめるのが下手なんでスローペースで書きます

168 : 派遣の品格(樺太):2007/04/05(木) 00:19:26.19 ID:xZgjShHsO
少しだけ書いたんで続き投下

169 : 派遣の品格(樺太):2007/04/05(木) 00:20:39.78 ID:xZgjShHsO
光が私を包み込む。あまりの眩しさに目を閉じてしまう。
そして徐々に光が弱くなり、目を開く。
「今のは何だったのかしら?」
…ってちょい待ち!
今、何て言った私は?
「あちゃー。やっちまった…」
目の前にはさっきの人。
何故か頭を抱えている。
「ねぇ、そこの人!…今………何したの?」
そこで気付いた。私の口から発せられているのは女の子のものだということを。
「こんな所で話すのもなんだし、僕の家で説明します。『お嬢さん』」
「…お……じょう………さん?」
目の前の男は確かにそう言った。
どゆことかな?かな?
須川昌13歳。頭が現実に追い付きません。
「ほら、行くよお嬢さん」
「何であんたは偉そうなのよ!」
「あんたとか言わないで欲しいな。僕には『柳内透』って名前があるんだから」
「じゃあ、あんたも私の事をお嬢さんとか言わないで!『須川昌』って名前があるんだから!」
「じゃあ、須川さん行こうか」
「部活はどうしよう?」
「今はそれどころじゃないでしょ?」
た、確かに柳内さんの言う通りだ。
………中学二年生最初の部活はサボることになってしまった。


170 : 派遣の品格(樺太):2007/04/05(木) 00:21:45.74 ID:xZgjShHsO
投下終わり。
どうでも良いけどIDがgjだ…。

171 : 受付(樺太):2007/04/05(木) 00:24:24.40 ID:HiVSlec1O
イイヨ イイヨ

172 : シェフ(静岡県):2007/04/05(木) 00:32:27.69 ID:X8lGYEHa0
超亀だが1曲歌わせてくれ。

>>82
    _ _∩  //
  ( ゚∀゚)彡   自衛隊に入ろー♪ 入ろー♪ 入ろー♪
  (  ⊂彡    自衛隊に入れーば こーの世は天ごーく♪
   |   |   \\ 
   し ⌒J

つまりはGJってことだ。

173 : 名無しさん@(愛知県):2007/04/05(木) 00:38:39.57 ID:g6exBrc+0
自衛隊に入って花〜と〜散る〜

174 : シェフ(静岡県):2007/04/05(木) 00:49:44.54 ID:X8lGYEHa0
正直、通じる人がいたことに驚きを禁じ得ない。

175 : 名無しさん@(愛知県):2007/04/05(木) 00:51:32.35 ID:g6exBrc+0
フヒヒ反省はしてない

176 : ギター(コネチカット州):2007/04/05(木) 01:23:08.62 ID:5z6gWltRO
保守

177 : 理学部(静岡県):2007/04/05(木) 01:55:18.54 ID:MPWJjxR+0
親が自衛隊です

大嫌いですが

178 : 派遣の品格(樺太):2007/04/05(木) 02:20:29.04 ID:xZgjShHsO
で、柳内さんの家に到着。
「…あの…柳内さん?」
「何?」
到着したんのは良いよ。うん。
「建物が見えないんですけど?」
「あぁ、ここは正門だからね。建物までは遠いし、車を呼ぶから待ってて」
柳内さんてお金持ちの人なんだ。なんか意外。
―10分後
私たちの前に一台の軽自動車が停車した。
「お待たせしました透様」
そう言って運転席側から降りたのはスーツ姿の女性だった。
綺麗でカッコいい大人の雰囲気が醸し出されている。
「ご苦労様」
「ところで透様、こちらのお嬢様は?」
「すすす、須川昌と申します!」
緊張した私はドモってしまう。
「そんなに緊張なさらないで。私は天川志津と言います。よろしくね」
天川さんはニコッと笑って自己紹介してくれた。
「志津さん、事情は後で話すから車を出して下さい」
そう言ってさっさと車に乗り込む柳内さん。
「はい。須川さんも乗ってくださいね」
天川さんは私が乗ったのを確認すると発車した。

179 : 派遣の品格(樺太):2007/04/05(木) 02:21:05.65 ID:xZgjShHsO
寝れなかったので少しだけ書いてみました。
おやすみなさい

180 : 理学部(静岡県):2007/04/05(木) 03:13:10.67 ID:MPWJjxR+0
お疲れ様、そしてお休み
保守ほす

181 : 理学部(静岡県):2007/04/05(木) 04:57:42.46 ID:MPWJjxR+0
おやすみなさい保守保守

182 : 歌手(神奈川県):2007/04/05(木) 05:11:34.73 ID:b1ZMKMUd0
ほし

183 : 歌手(神奈川県):2007/04/05(木) 05:50:20.68 ID:b1ZMKMUd0


184 : ギター(コネチカット州):2007/04/05(木) 06:13:01.71 ID:5z6gWltRO
保守

185 : ギター(コネチカット州):2007/04/05(木) 07:03:02.28 ID:5z6gWltRO


186 : 受付(樺太):2007/04/05(木) 07:22:43.15 ID:HiVSlec1O
ガラッ
職員室のドアを開けた
「し…失礼します…」
上がってんなぁ…俺…
すると、おばさん臭い先生が近寄ってきた

あ…カニ先

顔がカニみたいだからカニ先…クラスだけのあだ名
苦手なんだよな…特に俺は…
んなこと考えていたらカニ先は俺に声をかける
「貴方が今日から、登校する転校生かしら?」

うわっ!!優しい声!!なんかこんなん言われたの初めてっぽい…

「はい…よ…よろしくお願いします!」
俺は新入社員ばりに頭を下げる
「じゃあ…もう朝の会だから私について来て…」

「はい…」

カニ先が担任か…
まあ…俺は女になっているし分かんないよな…

カニ先の後に着いて歩く俺


いよいよか…

187 : ギター(コネチカット州):2007/04/05(木) 09:00:00.72 ID:5z6gWltRO
保守

188 : 通訳(コネチカット州):2007/04/05(木) 10:30:34.20 ID:5z6gWltRO


189 : 女(滋賀県):2007/04/05(木) 11:10:43.03 ID:5ZuNDwVF0
今スレ最終回・最初回が多いな
久しぶりに72時間持ちそうだ

190 : 女(滋賀県):2007/04/05(木) 12:05:59.06 ID:5ZuNDwVF0


191 : 受付(樺太):2007/04/05(木) 12:27:25.15 ID:HiVSlec1O
そして、クラスの前に着き
「ちょっと待っててください」
とカニ先が先に入っていった
挨拶の声がして…俺を呼んだ…
俺はドキドキしながら教室のドアを開けた
うわ〜みんなこっち見てるよ…当たり前だけど
「さあ、自己紹介して…」

「はい、はじめまして私、桜といいます…よろしくお願いしにゃす」

かんだ…恥ずかしい…
俺はもじもじしながら恥ずかしさを隠していた

しかし、クラスのみんなは…特に男達が…俺に興味津々だった

「では…貴方の席は…佐久君の横の席ね」

え?え〜アイツの隣りかよ…まあ…いいけど…

俺は指示どうり佐久の横の席に座る
「また会いましたね…しかも横に…」
「そうね…」

運命かな…なんて
こいつがいればバレそうになっても何とかして…くれるのか…くれないのか…
かなり不安…

その時、カニ先は点呼を取っていた

192 : 受付(樺太):2007/04/05(木) 12:51:38.35 ID:HiVSlec1O
朝の会が終わり…カニ先は出ていった…

え〜と最初の授業は…と…
鞄から教科書やノートをごそごそ探していると

転校生の定番、質問ぜめがきた
「ねぇ!どこ住んでるの?」「電話番号聞いていい?」

などなど聞いてきた

「あ…あの…」
その時…佐久は言った
「やめてくださいよ…桜さん困ってるじゃないですか…」おっ!早速言ってくれてる
「なんだよ佐久…知り合いか?」
「そうですよ、桜さんは俺の彼女なんですから…」

アホーー!!何言ってんだよ!!

「佐久…ちょっとこい…」
男子達は佐久を廊下に連れ込み締めていた
そして…しばらくして締め終わり
佐久が戻ってきた…その時…佐久が…
「すいません…」
え?何がすいません?すると、男子が…
「お前…元々男なんだってな…と佐久に聞いた」

ええ〜!!ばらしやがったーーー!!!

「とりあえずよろしくな!」
ああ…後で佐久を締めよう…半殺し並に…

193 : 女(滋賀県):2007/04/05(木) 13:42:23.33 ID:5ZuNDwVF0
ゅしほ

194 : 名無しさん@(愛知県):2007/04/05(木) 14:14:36.85 ID:g6exBrc+0


195 : 女(滋賀県):2007/04/05(木) 15:11:33.27 ID:5ZuNDwVF0


196 : 女(滋賀県):2007/04/05(木) 15:44:31.34 ID:5ZuNDwVF0


197 : 女(滋賀県):2007/04/05(木) 15:58:42.84 ID:5ZuNDwVF0
8

198 : 受付(樺太):2007/04/05(木) 17:01:50.66 ID:HiVSlec1O
あぶぬ

199 : こんぶ漁師(樺太):2007/04/05(木) 17:39:37.17 ID:2l5mZV1VO
☆ゅ

200 : 歌手(神奈川県):2007/04/05(木) 18:18:20.08 ID:b1ZMKMUd0


201 : 理学部(静岡県):2007/04/05(木) 18:19:59.13 ID:MPWJjxR+0
( ゚д゚ )

202 : 受付(樺太):2007/04/05(木) 18:31:50.30 ID:HiVSlec1O
初こっちみんな!

203 : ソムリエ(埼玉県):2007/04/05(木) 18:48:03.78 ID:jUEAoTRS0
ういっす。162です。続き出来たんで投下します。

204 : ソムリエ(埼玉県):2007/04/05(木) 18:49:09.66 ID:jUEAoTRS0

「突発性性転換症候群……ですか?」
 伊達次郎。伊達裕也とその姉である志津香、二人の少年と女性を子供に持つ父親は、妻が亡くなった時以来に訪れた病院で、耳慣れぬ病名を戸惑ったように繰り返した。
「はい。伊達裕也君は、突発性性転換症候群、以下TS症と略しますが、TS症に羅患していると思われます」
 今日、仕事が終わった後家に帰った次郎を出迎えたのは、真っ暗闇の我が家と志津香が残したメモだった。
 そのメモには電話番号が記載されていて、それは病院につながっていた。
 彼は息子がとある厄介な病気にかかったと聞き、こうして呼び出されたのだ。



205 : ソムリエ(埼玉県):2007/04/05(木) 18:49:45.66 ID:jUEAoTRS0

「その……聞いたことも無い病気なのですが、一体どういった病気なので?」
 自分を呼び出した、電話に出たのはまだ若い女性の医師だった。水原瑞穂と名乗った。
 どこかで聞いた名前だと思いつつ、次郎は疑問に思ったことを聞いた。
 突発性性転換症候群。なんとなく字面から症状の予測はつくが、それはつまり己の息子が……そうなったということなのか?
「はい、もちろんこれから説明いたします」
「は、はあ、よろしくお願いします。……と、それと――」
 そろりと病室内を見回す。
 もっともらしいレントゲン写真やカルテを見せられようが、どんな詳しい説明をされようが、所詮医者でもない素人の次郎が聞いたところで全く理解できない。
 それを次郎はよく自覚していた。
 心臓病とかなら妻が死病に侵された際、闘病生活を支えるために色々かなり深くまで学んだが、それも聞いたことも無い病気が相手では役に立つはずも無い。


206 : ソムリエ(埼玉県):2007/04/05(木) 18:50:22.44 ID:jUEAoTRS0

「息子は今どこに?」
 故に、上げた要求は息子に会いたい、今の息子の状態を見たいという病院に呼び出されえた父親としては当然のものだった。
 次郎の正面に座る水原医師は、少しだけ次郎の言葉に考えるような素振りを見せ、
「そう……ですね。説明してからお会いになった方が良いかとも思いましたが、そっちを先にしたほうがいいかもしれませんね。いきなり説明しても、とても……信じられないお話でしょうし」
 そう言って備え付けの電話機に手を伸ばした。
「ちょっと失礼しますね」
「ええ」
 手馴れた様子で恐らく内線なのだろう短い番号を打ち込む。
「もしもし、志津香? 裕也君こっちに連れてきてくれない? そう、……うん。第三診察室。……ううん。説明はこれからよ。……いいから連れてきなさい。そんなの卵が先か鶏が先かの違いでしょう。……うん、よろしく」
 受話器を置き、今連れてきますと微笑んだ水原医師に、次郎はそういえばこの人は志津香の大学の頃の先輩だったかな、と思いつつ頷いた。
 と、水原医師は言いにくそうに、
「その、ちょっといいですか?」
 そう言った。
「は? あ、いや、何でしょうか?」
 いやな予感がしつつも、聞かぬわけにもいかないと問い返す。


207 : ソムリエ(埼玉県):2007/04/05(木) 18:53:02.81 ID:jUEAoTRS0

「恐らく、裕也君を見たらお父様はとても驚かれると思います。
 説明も、そうそうまともな大人が信じれる内容ではありません。
 ですが、これから志津香さんが連れてくるのは間違いなく貴方の息子さんですし、
私たちは本当に真面目にTS症という病気に取り組んでいます。そのことだけは、信じてください」
 医師の言葉は隅々まで誠意が滲んでいて、でもそれだけに次郎にはとある確信があった。
 あの時、妻の死病を伝えられたときのような、何処か現実味の持てない危機感を感じる。
 恐らく、大分厄介なことになるだろう……と。
 それでも、次郎は当たり前のように強く頷いた。
 自分を含めてもたった三人の少ない家族を、次郎は深く愛している。
 例え息子にどんな奇病が襲い掛かってようが、己のできる最大限の努力をする。
 彼にとっては、本当に当たり前のことだった。


「はいっ!! 連れてきたよ〜! どう父さん? 信じられないかも知れないけど、これが裕也だよ。可愛いでしょ〜〜」
 だが、それでも、こうして目の当たりにしてみるととても信じられるものではなかった。
 次郎は、驚愕というより疑念の混じった目で己の娘が連れてきた少女を見、そして医師に視線を戻す。
 それを見て、少女が悲しそうな目をしたのに気付いていたが、それでも次郎には到底彼女が己の息子だとは信じられなかったのだ。
 志津香の悪戯だというほうがよっぽど納得できる。



208 : ソムリエ(埼玉県):2007/04/05(木) 18:53:57.52 ID:jUEAoTRS0

 次郎の息子は、身長は180cmを超えていてがたいも良かった。
 昔は少々喧嘩っ早いところがあったが高校に入ってからはかなり落ち着いてきている。
 頭も姉ほどではないが平均以上は持っていて、基本的に聡明だ。
 反抗期の頃の荒れようはかなりのものだったが、それでも父親である次郎は一度も警察に呼ばれたことはない。その程度の節度と利口さは持っていた。
 今はさっきも言ったとおり反抗期も終わり、真面目に学生生活を送っている。中間テストの成績もかなり良かった。
 ぶっちゃけ、若い頃の自分にそっくりだったのだ。
 いくつかの過ちも犯したが、それ全てを反省し乗り越えてきている。
 自慢の息子だった。本人に言ったことはないが部下や仲間についぽろっと喋っては親ばかですか? と呆れられもしていた。

 とにかく、今志津香の影に萎縮したように佇んでいる少女は、自分の息子とはとても似ても似つかない。
「……正直、先ほどの先生の言葉を考えた上でも、彼女が私の息子の裕也であるという話を信じることは出来ません」
 その言葉を聴き、少女の体がビクンと震えた。その手を、志津香は部屋に入ったときからずっと握っている。
「……まあ、お父様の考えが普通です。ですが……」
「ええ。正直志津香の悪戯とも考えたのですが、それも違うようだ。ならば、理性的に考えれば彼女はやはり私の息子なのでしょう」
 ゆえに、納得させてくれと、次郎は水原医師に問うた。
 あの少女を呼ぶ前に、医師が話そうとしていた詳しい説明とやらを聞くために。
「判りました。……ではお話しします」


209 : ソムリエ(埼玉県):2007/04/05(木) 18:54:50.14 ID:jUEAoTRS0

 親父が水原先生の話を聞くのを、俺は黙って聞いていた。
 信じてくれなかったことに、ショックを受けなかったといえば、やはりそれは嘘になる。
 予想はしていた。姉貴が俺のことを裕也だと信じてくれたことのほうが、例外だということは。

 あの後、泣き止んだ俺に姉貴は病院へ行こうと言った。

「は? 病院? ……いや待ってくれ。これって病気なのか?」
 とてもそうとは思えない。とはいえこうなる前に俺は風邪を引いて寝込んでいたし、それが今の事態に関係あるというのならやはり……病気なのか?
「うーん。ま、多分ね。とにかく行こう? 私じゃ詳しい説明は出来ないし。服は……今のままでいっか。それって私の服だよね?」
「あ、ああ」
 ……よく気付いたな。女性ってのはそんなものなのだろうか。
 まあ、この家にある女性の服なんて姉貴のしかないし、そっから判ったのかもしれないけど。
「へ〜、結構似合ってるじゃない」
 じっくりと眺められ、なんと言うか俺は女装を見られているような居心地の悪さを感じた。
 いや、女装なんかしたことはないけどな。
「下着は? ってかあんたそれもしかしてノーブラじゃない?」
 ……やばい。この話の流れはやばい。
「パンツは姉貴のをはいてる。でもブラは……」
 言いよどむと、姉貴はかってに納得したようにうんうんと頷いた。
「ああなるほどね。付け方判らなかった? そりゃそうだよね。教えてあげよっか?」
「いや、それもあるんだけど……」
「……? なに?」
 えーと、あの。申し上げにくいんですが、そのー……。


210 : ソムリエ(埼玉県):2007/04/05(木) 18:55:31.81 ID:jUEAoTRS0

「キツくて付けられなかったんだ……っておわぁ!!」
 とっさにのけぞる。昔とった杵柄という奴か、この体ではとても望めぬようなスピードで、俺は振るわれたパンチをかわしきった。
 しかし何か激しく動くと胸が邪魔だな。胸に振り回される気がする。いや、当たり前か。こんな馬鹿でかい錘を二つぶら下げてるんだ。
 まあ、わざわざ姉貴には言わないけど。怖いもの見たさって言うのは、悪癖だと俺は思うわけだ。
「ち、かわしたか」
「な、な、な、い……いきなり何しやがる!」
 当たり前の抗議の声を、だが姉貴は完全に無視して、感心したようにつぶやいた。
「運動神経は裕也のままなんだね〜。私のこぶしを軽々とかわすとは」
「体は女になってるんだぞ! 姉貴のパンチを食らったら今の俺じゃ洒落にならんっつーの!! 大怪我で医者にかかることになるわ!!」
「何で裕也が怒ってるの? おかしくない?」
「はあ!?」
「弟に胸のサイズで抜かれ傷つけられたおねえちゃんのプライドはどうしてくれるのよ〜!」
「――んなもん知るかぁ!!」

 ……まあ、色々と紆余曲折あったが、とにかくっ、俺は姉貴のバイクに乗って近所の総合病院に向かったのだ。
 そして、連れられていった病院で、姉貴の大学時代の先輩である、水原瑞穂先生に引き合わされた。
 それが姉貴が俺のことを信じてくれた理由だ。
 突発性性転換症候群。その、聞いたこともない病気に俺はかかってしまったらしい。
 水原先生は、その病気を解明するための、研究者の一人だった。
 姉貴はたまに彼女の研究の手伝いをしていて、ゆえにこういうことがあるということを、知っていたのだ。


211 : ソムリエ(埼玉県):2007/04/05(木) 18:57:07.14 ID:jUEAoTRS0

「この病気が一部医学会、そして政界に知れ渡るようになったのは20年ほど前のことです。まあそれ以前にも似たような事例はいくつも報告されてましたが」
 そのとき受けた説明と、今親父が受けている説明がダブる。
「聞いたこともないのも当然です。これは、一般には秘されてる病気なのですから」
「秘されている?」
「ええ。この病気の特殊性を考えると患者のプライバシーの保護は最優先ですし、それ以上に――」
 そこで水原先生は一息つき、
「この病気が発見されてからこれまで、治療法どころか原因含め、全く解明の糸口が掴めていないことが上げられます。まあつまり、医学界は役立たずかという非難をよけるためでもあるのです」
 情けないことですが、と水原先生は言葉を続けた。
「全く解明されていない?」
「ええ。全く、です。正直なところ、彼女は――」
 そう言って俺のほうを示し、
「――医者の口から言わせてもらえば、彼女は伊達裕也さんではないとしか申し上げられません。遺伝子等も当然違ってますし、医学的には完全に別人です」
 ガタ、と音がした。親父が座っている椅子を揺らした音だ。
 ギュ、と姉貴に握られている手に力がこもる。強く、握り返してくれた。
「どういう意味ですか? 先ほど貴方は――」
「と、申し訳ありません。言い方が悪かったようですね。言い直します。つまり、伊達裕也さんが性転換、少女になってしまった理由を、現代医学、科学では全く説明できないのです」
「な、成る程」
「一部医学会には病気という括りにいれるモノではないのでは? との声もあります。まあ、それではじゃあ病気でなければ何なのだと聞かれれば口をつぐむ連中ですが」


212 : ソムリエ(埼玉県):2007/04/05(木) 18:58:08.72 ID:jUEAoTRS0

「…………」
「そして私は、このTS症という病気を解明するために研究をしています。私の父が同様に医者として研究をしてまして、共同、というより私はいまだ手伝いといった感じなのですけど」
「判りました。いや、正直先生のお話も少々常識を外れたもので、私には容易には信じられないのですが……」
 そのとき、姉貴が口を開き、父さん、と呼んだ。
「父さん。信じて。私と水原先生を。この子は裕也だよ」
 いつも何かとふざけていることが多く、脳天気な姉貴の目とは思えぬほど、透き通った視線が親父を見据えている。
 姉貴の言葉に、そして視線に親父はわかってる、と言葉を返した。
「お話は信じにくいが、貴方と、私の娘は信じられます」
 そう言って立ち上がり、俺の正面に立ち頭を下げた。
「直ぐに信じられなくてすまなかった。どうにも年寄りというのは頭がかたくてな……。許してくれ。信じるよ。お前は裕也だ。……私の息子だ」
 その言葉に、俺は謝らなくてもいいという意味を込めて、首を振った。
 さすがに、そう日に何度も醜態はさらしたくない。
 何か喋ると、涙が決壊しそうだった。
 だから、俺はずっと首を振り続けていた。


213 : ソムリエ(埼玉県):2007/04/05(木) 18:59:35.27 ID:jUEAoTRS0
以上。相変わらず長いorz
暇なときに読んだってください。

214 : 名無しさん@(愛知県):2007/04/05(木) 19:03:00.53 ID:g6exBrc+0
もう少し行を空けたほうが見やすいと思うよ

215 : 派遣の品格(樺太):2007/04/05(木) 19:16:48.09 ID:xZgjShHsO


216 : 受付(樺太):2007/04/05(木) 19:43:51.71 ID:HiVSlec1O
>>213
グッチョブ!グッチョブ!

俺にはかなわねぇ文章力だ
お見それしました

217 : ギター(コネチカット州):2007/04/05(木) 19:55:51.48 ID:5z6gWltRO
そろそろ落ちますね。久々の72時間でした

218 : ギター(コネチカット州):2007/04/05(木) 20:10:53.01 ID:5z6gWltRO
まだ一時間あったか(´・ω・`)

219 : 受付(樺太):2007/04/05(木) 20:11:03.67 ID:HiVSlec1O
まあ…またスレが復活したら続きは書いていくから

本当皆さんお疲れ様です!

220 : 女(滋賀県):2007/04/05(木) 20:15:49.40 ID:5ZuNDwVF0
GJです

>>214
そうか?別にこのままでもいいと思うが

221 : 名無しさん@(愛知県):2007/04/05(木) 20:40:52.92 ID:g6exBrc+0


222 : 女(滋賀県):2007/04/05(木) 20:55:05.77 ID:5ZuNDwVF0
立てたよー

http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1175774058/

223 : 理学部(静岡県):2007/04/05(木) 20:59:51.18 ID:MPWJjxR+0
久々の3日目かな