ミッション№ |
名前 | 特殊条件 | 人数 | 戦利品 |
上級 №C0006 |
10 / 12 / 08 ~ 11 / 01 / 11 【外伝3】枢機卿の試練 |
なし | 4人 | 試練の指導者ユーグ (試練の指導者ユーグ) |
プロローグ |
小さいながらも、優れた魔導の国として知られる緑豊かな国、ロン公国。 世襲制で皇帝が決まるオルメカ帝国、市民からの投票で大統領が選ばれるボルス連邦とは違い、ロン公国の専制君主である大公は、13人の枢機卿の中から選挙によって選ばれる。 現在の大公レジムも、そうして選ばれた君主だった。 そのロン公国では、つい先日、ひとりの枢機卿が病を理由に任を降りたばかりだった。 枢機卿のひとりが欠ければ、また新たな枢機卿が選ばれる。 今回は、いったい誰が選ばれるのだろうか。 そんな中、アンリの元に大公レジムより一通の手紙が届いたのだった…。 |
危険度 ★★★ LC0079 枢機卿アルノ 2700 / 340 / 280 15/16/18/30/14 敵サポカ 風のリングLV1 機のリングLV1 土のリングLV2 |
レジムの手紙を手に携え、ロン公国の城へとやって来たアンリ。 近衛師団に所属するアンリにとって、宮廷はなじみのある場所ではあったが、それでもこんな奥の方まで足を踏み入れるのは初めてだった。 そんなアンリの前に、枢機卿のひとりであるアルノが現れる。 アルノ 「待ってたよ、アンリくん」 アンリ 「こ、こんにちは…っ!」 慌てて頭を下げるアンリに、アルノが声を上げて笑う。 アルノ 「あっはっは。そんなに緊張するなって。とって食ったりしやしないから!」 アンリ 「あの、やっぱりこれって何かの間違いじゃ…」 アンリがおそるおそる取り出したレジムの手紙には、短い文章で、城内にて枢機卿の試練を受けるようにと書いてあった。 アルノ 「いやぁ、いっくら大公がお年でも、こんな大事なことは間違えないと思うよー。それにしても、クレール嬢に引き続き、またずいぶん若い子が来たもんだよね」 アンリ 「す、すみません」 アルノ 「いやいや、謝らなくたっていいでしょ。この国には才気溢れる若者が沢山いて素晴らしいってことなんだからさ」 どうもこの人と話していると調子が狂うなと思いながら、アンリはアルノに疑問をぶつけてみた。 アンリ 「え、ええと…あの、でも、どうして僕が…?」 アルノ 「答えは簡単。君に、枢機卿の素質があるから」 にっこり笑って言い切ると、アンリの返答を待たずにアルノはさらに続けた。 アルノ 「まぁ、論より証拠、まずは軽くお手並み拝見…っと。さて、ここで問題です。僕らロン公国の民が、建国以来ずっと命を賭けて守ってきたものはなんでしょう…?」 笑顔で告げながら、アンリが答えるよりも早く、アルノの手から光る魔力の塊が飛んできた! |
危険度 ★★★ LC0068 枢機卿モニク 2800 / 410 / 270 35/18/18/20/21 敵サポカ 水のリングLV1 火のリングLV2 機のリングLV2 |
アルノ 「正解は、聖杯と神の血をひくものでした。大当たり~!」 アルノの魔力をなんとか凌ぎながら、先ほどの問いかけに答えたアンリ。 アルノ 「よーし、さすがは大公のお眼鏡にかなった枢機卿候補。なかなかやるね」 アンリ 「今のは、ちょっとびっくりしましたよっ…」 アルノ 「そんだけ余裕がありゃあ大丈夫。さ、試練はまだまだこれから。行った行った!」 アルノに促されるままに奥の部屋へと進んだアンリを待っていたのは、モニクだった。 モニク 「よっアンリ。思ったより遅かったな」 アンリ 「モニクさん!」 モニク 「アルノから聞いたかい? アタシらが、この国が始まって以来、ずっと守ってきたもの」 アンリ 「はい。…聖杯と、神の血をひく……アリシア…」 そのふたつとも、今は奪われてこの国にはない。そのことを思い出し、少しうつむくアンリの額を、モニクが軽く指ではじく。 モニク 「くぉら! 今は大事な試練の最中だろ。そんな顔しない。そんなんじゃ、もっと大事なこの国の秘密は聞かせらんねーぞ!」 アンリ 「この国の…秘密?」 モニク 「国を背負う者だけが知っている、この国の秘密さ。アンリ。オマエならアタシらと一緒にこの国を背負う力があるはずだ」 神の遺産である聖杯と、神の血をひく者を代々守り続けてきたロン公国。この国に、まだ自分の知らない秘密があるというのだろうか。 モニク 「さぁ、アタシがオマエの力を見極めてやるよ。なーに、いつものようにやりゃ大丈夫だって! 遠慮しないで思う存分やってみな!」 |
危険度 ★★★★ LC0334 安らぎの枢機卿グレース 2900 / 360 / 360 20/22/37/18/19 敵サポカ 水のリングLV2 風のリングLV2 土のリングLV2 |
力を見極めるというモニクの試練は熾烈を極めたものだった。けれどそれでも最後まで耐え切ったことに、アンリは自分自身で驚いていた。 モニク 「あー、面白かった。大人しい顔して、やる時ゃやるじゃん♪」 アンリ 「…死ぬかと思いましたよ…」 モニク 「それぐらいでやらなきゃ試練になんねーだろ! なんならもう一回遊んでく?」 アンリ 「え、遠慮しておきます…!」 モニク 「冗談だよ。そろそろ次へ行かないとアタシが怒られちまうからね。ま、今の調子でがんばりなよ!」 アンリ 「ありがとうございます。モニクさん」 枢機卿の素質。そんなものが自分にあるのかどうかはわからない。けれど、ここまで来たからには、いけるところまでいってみよう。いつしかそんな気持ちがアンリの中に芽生えていた。 そうしてさらに奥に進んだアンリを待っていたのは、グレースだった。 グレース 「アンリ。よくここまで来ましたね」 アンリ 「グレースさん」 いつもと変わらぬ様子で穏やかに笑うグレースに、アンリは深く頭を下げた。 アンリ 「すみませんでした。ボルス連邦で、僕らが言いつけを守らなかったから…」 グレース 「過ぎてしまったことはもういいのです。…アンリ、あなたは賢く、優しい。だからこそ、あなたはもっと多くのことを知らねばなりません。この国のこと…そして、世界のこと。あなたには、真実を見極める覚悟がありますか?」 アンリ 「真実を見極める、覚悟…?」 グレース 「誰かを守るためには、他の誰かを傷つけなければならないことがあるかもしれません。あなたがそれまで正しいと思ってきたすべてのことを、捨てなければならなくなることもあるでしょう。…たとえ世界中の全てを敵に回しても、あなたが命を賭しても守りたいものは、ありますか?」 世界中の全てを敵に回しても、命を賭けても守りたいもの…答えを探してさまようアンリの心を見透かすように、辺りにグレースの笛の音が響き渡った。 |
危険度 ★★★★★ LC0377 試練の指導者ユーグ 3000 / 420 / 370 27/44/22/22/24 敵サポカ 火のリングLV2 機のリングLV2 水のリングLV3 |
人の心に直接響くグレースの旋律。その旋律を通して自分の心の中をさまよいながら、アンリはひとつの答えに辿りついた。 グレース 「やはり、あなたは答えに辿りつけたのですね」 アンリ 「でも、これが本当に正しい答えなのかは僕にはわかりません…。僕には、守りたいものがあります。でも、僕はやっぱり、出来ることなら誰とも敵にならなくてすむ方法を探します。大事な人を…もう誰ひとり失いたくないから」 グレース 「それで良いのです。大事なのは答えそのものではなく、答えに辿りついたあなたの心」 静かに微笑んで、さらにグレースが続ける。 グレース 「この国には、大きな罪があるのです」 アンリ 「罪…?」 グレース 「それは世界を救うために、誰かが背負うしかなかった罪…。その罪を償うために、私たちはずっと聖杯と神の血をひく者を守り続けてきました」 アンリ 「どういうことですか?」 グレース 「…さぁ、最後の試練に向かいなさい。あなたが枢機卿として認められたならば、すべてを知ることになるでしょう」 問いかけには応えず、ただ奥へと進むように告げるグレースに促され、さらに奥の間へと進むアンリ。 進んだ先には、ユーグが静かにたたずんでいた。 ユーグ 「待っていましたよ、アンリ」 アンリ 「ユーグさん…」 ユーグ 「いよいよ、最後の試練です。その前に問いましょう。君は、カダラの遺跡とボルス連邦で、竜騎士に会いましたね。」 アンリ 「はい」 ユーグ 「彼らは言った…アリシアと、そして、魔の島に棲むという魔女のことを」 アンリ 「…はい」 カダラの遺跡で出会ったヴォルク、ボルス連邦で出会ったイェール。ふたりの竜騎士が告げた言葉をアンリは思い出していた。 ユーグ 「アリシアのこと、この国のこと…君は、真実を知る覚悟はありますか?」 ユーグの言葉に、アンリは少し沈黙した。 けれど、考えることはなかった。ここまでくれば、もう、心は決まっていた。 アンリ 「はい」 まっすぐに答えたアンリに、ユーグは静かに頷いた。 ユーグ 「それでは、最後の試練を始めましょう。君の覚悟のほどを、見せてもらいますよ」 |
エピローグ |
ユーグの光の魔導と対するうちに、アンリは自分でも気づいていなかった力が自分の中で目覚めるのを感じていた。 ユーグ 「君の想いは、しかと見届けました。新たな枢機卿のひとりとして認めましょう。改めてよろしく、アンリ」 アンリ 「は…はい!」 予想もしなかった事態に、返事をするのが精一杯のアンリだったが、ユーグが差し出した手に慌てて握手で応える。 新たな枢機卿のひとりとして、この国のために尽力することを誓うアンリ。 ユーグ 「これから伝えることは、この国の枢機卿だけが知る事実です」 そうしてアンリが知った事実は、魔の島とアリシア、そしてロン公国の始まりにまつわるあまりに重大な秘密だった。 ユーグ 「何故、この国がずっと聖杯と神の血筋を守り続けてきたのか…。それは、この国の祖が、『神を倒した』者だからなのです」 アンリ 「神を倒した!?」 ロン公国の祖が、神を倒した者だった。 ユーグのその言葉が意味するところは、一体なんなのか。 アンリの脳裏によみがえる、500年前に滅びたカダラの遺跡を守っていたハージィンの口より告げられた言葉。かつて世界にいたと伝えられるふたりの神。 アンリが知った真実の、さらに深い本当の意味と、自分たちの運命とのつながりについてジャン達が知るのは、アンリが新たな枢機卿として名を連ねた後、それからさらにしばらく後のこととなるのだった。 |