フィオーレ王国。 |
人口1700万の永世中立国……そこは魔法の世界。 魔法は普通に売り買いされ、人々の生活に根付いていた。 |
そして、その魔法を駆使して生業とする者どもがいる。 人々は彼らを魔導士と呼んだ…… |
魔導士たちは様々なギルドに属し、依頼に応じて仕事をする。 そのギルド、数は国内に無数…… |
そして……とある街にとある魔導士ギルドがある。 |
かつて、いや、後のちに至るまで、数々の伝説を生み出したギルド… |
…その名は |
【第一話 アイゼンヴァルトのカゲヤマ】 フェアリーテイル最強の女魔導士エルザが帰ってきた。 仕事先で不穏な話を聞いたという彼女は、事件を解決するためにナツとグレイに協力を求める。 ナツとグレイは内心抵抗を覚えるが、エルザにはどうしても頭が上がらない。 断れずに、結局ルーシィとハッピーも加わって現場に向かうことになった。 エルザ 「私たちの相手は闇ギルド、アイゼンヴァルト。呪歌(ララバイ)という魔法で何かしでかすつもりらしい」 グレイ&ハッピー&ルーシィ 「ララバイ……? って、こないだの……!」 「ララバイ」という言葉にルーシィたちが反応した。 つい最近、仕事の帰りにハッピーを襲った怪しい魔導士たちが口にしていた言葉と同じだったからだ。 そしてその後、列車内で遭遇したアイゼンヴァルトの魔導士カゲヤマに突然襲われるナツ。 カゲヤマ 「正規のギルドだからって幅きかせてるヤツ見るとムカつくんだよね。うちらフェアリーテイルのことなんて呼んでるか知ってる? ハエだよ、ハエ。ぷぷっ」 笑いながらフェアリーテイルをバカにするカゲヤマに怒ってとっさに反撃しようとするナツだが、動いている列車に酔って思うように魔法が使えない。 カゲヤマ 「どうしたの? ハエの魔導士くん。反撃できないの? ほらほらほら!」 そう言いながら影を使った魔法でナツを攻撃してくるカゲヤマ。 大ピンチに陥ったナツ。果たしてカゲヤマを倒すことが出来るのか。 |
【第二話 アイゼンヴァルトの魔導士達】 ララバイとは聴いた者全てを殺してしまう集団呪殺魔法をかける笛のことだった。 その悪用を断固として阻止すべくエリゴールやカゲヤマを追うナツたち。 魔動四輪車を飛ばして、オシバナ駅構内に駆け込んだ彼らを待ち構えていたのは、 圧倒的な数のアイゼンヴァルトの魔導士集団だった。 エリゴール 「やはり来たな、フェアリーテイルのハエども」 エルザ 「貴様らの目的はなんだ。ララバイで何をしようとしている」 猛然と問うエルザに対してもあくまで不敵な笑みを崩さないエリゴール。 エリゴール 「わかんねえのか? 駅には何がある?」 駅の中には大きな放送室があり、周辺には何千人もの野次馬が集まっている。 そう、エリゴールたちは無関係な住民たちにララバイの笛の音を聞かせて殺してしまうつもりだ。 エリゴール 「これは粛清なのだ。権利を奪われた者の存在を知らずに権利をかかげ生活を保全している愚か者どもへのな。この不公平な世界を知らずに生きるのは罪だ。よって死神が罰を与えに来た!」 勿論そんな恐ろしい計画を黙って見過ごすフェアリーテイルではない。 ルーシィ 「こっちはフェアリーテイル最強チームよ。覚悟しなさい!」 部下の魔導士A 「ハエどもめ。羽をむしりとってやるぜ。ぐふふふ……」 エルザ 「下劣な……」 毅然と言い放つエルザ。 闇のギルドとフェアリーテイルの精鋭たちが、今激しくぶつかり合う。 |
【第三話 アイゼンヴァルトのビアード】 エルザ 「これ以上フェアリーテイルを侮辱してみろ。きさまらの明日は保障できんぞ」 魔法剣を振るいながらエルザが啖呵を切ると大勢にいたアイゼンヴァルトの魔導士たちが次々と襲い掛かってきた。 アイゼンヴァルトの手下魔導士A 「珍しくもねえ! こっちにも魔法剣士はぞろぞろいるぜ!」 アイゼンヴァルトの手下魔導士B 「その鎧、ひっぺがしてやるわぁ!」 多勢に無勢かと思われたが、持ち前の剣術と別空間にストックされている装備品を一瞬で呼び出す「換装」を駆使して次々と敵を叩きのめしていく姿に、ルーシィから感嘆が漏れる。 ルーシィ 「すごいなぁ……」 ハッピー 「エルザのすごいとこは、ここからだよ!」 その時、エルザの身体が宙に浮き発光した。 エルザの魔法、「騎士(ザ・ナイト)」が発動されたのだ。 カラッカ 「エルザ……? ま、間違いねえ! こいつはフェアリーテイル最強の女! 妖精女王(ティターニア)のエルザだ!」 その時、敵の一人がようやくエルザの実力と通り名を思い出したがもう遅い。 エルザ 「舞え、剣たちよ! サークルソード!」 エルザの周りに浮いていた剣が旋回を始めた。一度にほとんどの敵を倒す大技を繰り出したのだ。 ビアード 「くそっ、オレ様が相手じゃあっ!」 そう言ってエルザに向かっていくビアード。 天輪の鎧に身を包んだエルザとの勝負が始まった。 |
【第四話 アイゼンヴァルトのレイユール】 駅の放送室に駆け込んだグレイを待っていたのはリボン状の魔法を使って戦うアイゼンヴァルトの魔導士、レイユール。 すんでのところでレイユールの奇襲をかわしたグレイは、エリゴールたちの計画に裏があることを察知する。 グレイ 「てめえらの本当の目的は何だ! スピーカーでララバイを流すつもりじゃなかったのか!」 レイユール 「ふふふふ……。そろそろエリゴールさんの魔風壁が発動してる頃だ!」 グレイ 「魔風壁?」 レイユール 「貴様等をここから逃がさねえための、風のバリアさ!」 その言葉の通り、外ではエリゴールが巨大な風の渦を出してオシバナ駅全体を包み込んでいた。 アイゼンヴァルトの真の目的は、ギルドマスターの暗殺。そのためにオシバナ駅を封鎖して、ギルド・マスターたちのいるクローバーの町の交通を遮断しようとしていたのだ。 レイユール 「今までしいたげられてきた報復をするのだ!」 自分たちの計画達成を確信してグレイをつぶしにかかるレイユール。 それまでレイユールの方が優勢だったが、次の瞬間いきなりグレイの目がぎらりと光った。 グレイ 「止めてやるよ。そして俺たちのマスターを狙ったことを後悔しやがれ。あんなじいさんどもでも俺たちの親みたいなもんなんだ」 そう言って立ち上がるグレイ。 グレイ 「闇ギルドよりおっかねえギルドがあるってことを、思い知らせてやる」 守りたいもののため本気を出したグレイの氷の造形魔法が今、レイユールに牙を剥く。 |
【第五話 アイゼンヴァルトのカラッカ】 カゲヤマ 「……がっ!」 カゲヤマとの戦いの末、ナツたちが何とか魔風壁を解除する約束を取り付けたその瞬間、 彼の胸は背後から飛び出した何者かの拳に貫かれた。 魔法で壁の中から現れたその人は、先ほど戦ったアイゼンヴァルトの魔導士達の一人、カラッカ。 ビアードから仲間であるカゲヤマの始末を頼まれた臆病なカラッカは、そのまま断り切れずに実行してしまったのだ。 グレイ 「くそっ! 唯一の突破口が!」 エルザ 「カゲ! しっかりしろ! お前の力が必要なんだ! 魔風壁を解けるのはお前しかいないんだ! 死ぬな!」 ナツ 「……!」 カゲヤマが死んでしまえばみんなは魔風壁のせいで外へは出られない。 瀕死のカゲヤマを前に、ナツの身体から激しい怒りの炎が舞い上がる。 ナツ 「仲間じゃ……ねえのかよ……」 カラッカ 「ひいいい!」 ナツが燃える瞳でカラッカを睨んだ瞬間、カラッカは震え上がって逃げようとする。 しかし、本気で怒ったナツは決して彼を逃がさない。 ナツの右手の炎が噴き上がり、壁に向かって突っ込まれる。 咆哮しながら壁ごとカラッカを殴り飛ばすと、ナツは正面からカラッカを見据えて尚も叫ぶ。 ナツ 「同じギルドの仲間じゃねえのかよ! それがお前たちのギルドなのか!」 ギルドの仲間を誰より大切にするナツにとって、カラッカの行いは絶対に許せるものではないのだ。 己の拳に持てる限りの怒りの炎を宿したナツが、非道な闇ギルドの魔導士に猛然と襲い掛かる。 |
【第六話 死神エリゴール】 エリゴールがクローバーの街に到達する寸前のところで、 ナツとハッピーが追いついた。 エリゴール 「キサマ……なぜ、こんな所に……」 ナツ 「お前を倒す為だ! そよ風野郎!」 そのまま追いついて、エリゴールに一撃を食らわせる。 アイゼンヴァルトのエース・死神エリゴールと、ララバイをめぐる最終決戦が始まったのだ。 ナツ 「来い! 物騒な笛ごと燃やしてやる。……火竜の鉤爪!」 エリゴール 「調子にのりおって! ストームブリンガー!」 荒れ狂う炎と全てを切り裂く風が激しくぶつかり合うが、状況はナツの方が劣勢だった。烈風が炎をかき消してしまうのだ。 それでも不屈の闘志と戦術を駆使して何とかエリゴールに食い下がるナツ。 エリゴール 「なんて野郎だ……。やること全部デタラメじゃねえか……。これがフェアリーテイルの魔導士か……」 空中でふらりと体勢を整えながらエリゴールが不敵な笑みを浮かべる。 エリゴール 「貴様の力……少々あなどっていたようだ……ここからは本気でいこうか……」 そう言ってエリゴールが鎌を大きく振り回し風を起こすと、次第にエリゴールの全身を風のプロテクターが包んでゆく。 ナツ 「燃えてきたぞ」 目に見えて大きくなったピンチを前に、俄然闘志を燃やすナツであった。 |
【第七話 カゲヤマと呪歌】 死闘の末に何とか強敵エリゴールを倒したのも束の間、カゲヤマによって、 ララバイの笛を奪われてしまう。 カゲヤマ 「油断したな、ハエども……ララバイはここだー!ざまあみろー!」 ナツ 「あんのヤロォ!」 ルーシィ 「何なのよ!助けてあげたのにー!」 一同は一瞬呆然とするが、エルザの号令によって気を持ち直す。 カゲヤマを追ってギルドマスター達のいるクローバーの街へ向かったナツ達は、マカロフとカゲヤマが対峙している光景を目の当たりにする。 カゲヤマは至近距離からマカロフにララバイの音色を聞かせようとしていたのだ。 マカロフ 「急いどるんじゃ、一曲だけじゃぞ」 カゲヤマ 「よぉく聴いてくださいね」 慌てて阻止しようと飛び込みかかるナツ達。しかし、ギルド「青い天馬(ブルーペガサス)」のマスター・ボブが彼らを引き止める。 様子を伺うと、カゲヤマはさっきから笛を吹こうとする体勢のまま固まっている。 マカロフ 「どうした?早くせんか」 カゲヤマ 「………」 カゲヤマは何度も笛を口に運ぼうとしているが、その胸中には、闇ギルドの仲間たち、フェアリーテイルの魔導士たちのことがよぎって どうしても行動に移せない。 今になって迷いが生じているのだ。 一方、マカロフはカゲヤマを静かに見上げている。 カゲヤマ「吹けば……吹けばいいだけだ。それですべてが変わる!」 とうとう意を決したカゲヤマ! ナツたちは静かに身構えた。 |
【第八話 ゼレフ書の悪魔】 フェアリーテイルのマスター・マカロフの言葉でカゲヤマが敗北を認めたその後、 地面に落ちたララバイの笛から不吉な囁きが響き渡った。 ララバイの笛 「カカ、どいつもこいつも根性のねぇ魔導士どもだ」 突如ドクロの口から黒い煙が吐き出されて驚くナツたち。 笛からは更に黒い煙が吐き出され、みるみるうちに巨大な怪物の姿と化した。 ボブ 「あら、大変」 ゴールドマイン 「こいつァ、ゼレフ書の悪魔だ」 ギルド「四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)」のマスター・ゴールドマインがさらに続ける。 ゴールドマイン 「あの怪物がララバイそのものなのさ、つまり生きた魔法。それがゼレフの魔法だ」 グレイ 「ゼレフ!?ゼレフってあの大昔の?」 ボブ 「黒魔導士ゼレフ、魔法界の歴史上最も凶悪だった魔導士。何百年も前の負の遺産がこんな時代に姿を現すなんてね」 ララバイの正体は太古の黒魔導士が残した魔法生命体だったのだ。 ゼレフ書の悪魔 「ワシが自ら喰ってやろう。貴様等の魂をな」 ゼレフ書の悪魔 「さあて、どいつの魂から頂こうかな……」 そう言って足元のナツたちやギルドマスターたちを見おろす怪物。 ゼレフ書の悪魔 「決めたぞ。全員まとめてだ。クオオオ!」 と、怪物が大きく口を開けて息を吸い込み始めた。 巨大なゼレフ書の悪魔ララバイは、その音色で周囲の人間を無差別に呪殺しようとしたのだ。 エルザ 「いくぞ!」 ナツ・グレイ・エルザのフェアリーテイル最強チームが、呪いの魔法を断ち切るべく、 ゼレフ書の悪魔に向かって駆け出していった。 最終決戦開始だ。 |