ミッション№ |
名前 | 特殊条件 | 人数 | 戦利品 |
上級 №C0002 |
10 / 01 / 27 ~ 30 / 12 / 31 ひなの、いただきます! |
特になし | 3人 | センスLV3 (1ポイント) |
プロローグ |
ひなの 「わたす、どしても都会の食べもんさ、口に合わんとよ」 放課後の教室で、雑誌を捲りながらひなのちゃんとお喋りを楽しんでいると、オススメ料理店の記事を目にしたひなのちゃんが突然そんな事を言い出した。 そういえば、前にもそんなことを言っていたっけと思い出しつつ、理由を尋ねてみた。 ひなの 「ん~…何て言ったらいいか…、地元の料理はみんなフワッとした優しい味さしとったとね。けんど、都会の料理はみんなバーンッとした味さしとるとね…」 フワッ? バーンッ? 抽象的過ぎてイマイチ分りづらいが、話を聞く限りそれは、素材の質が違うということではないだろうか。 ひなの 「都会さ来てから、ご飯の時間の楽しみが減ったと…」 しゅんと肩を落とすひなのちゃんの姿を見て、友達としてどうにか力になりたいという気持ちが膨らんできた。 何とかして、ひなのちゃんに楽しい食事の時間を取り戻してあげたい……。 こうして、ひなのちゃんの為、試行錯誤の戦いが始まったのである! |
危険度 ★★★ 変身前 KC0068 孫 美陽 1200 / 210 / 200 14/10/12/8/13 敵サポカ センスLv2×2 生命力700以下 変身後 *** / 235 / 220 22/10/30/15/30 敵サポカ 学力Lv3×2 |
とは言ったものの、果たして何をすればいいのか、具体的な案が浮かばない。 ひなのちゃんの地元から食材を取り寄せるか? それでは根本的な解決にはならない。何よりいち学生に遠方から新鮮な食材を取り寄せるほどの金銭的余裕は無い…。 うーむ…、早速行き詰ってしまった…。 取敢えず、まずは誰か料理の得意な人に相談してみよう。 そうと決まれば早速決行。自分の席で帰りの支度をしている美陽ちゃんに声を掛けてみた。 美陽 「何アルか?」 美陽ちゃんに先ほどのひなのちゃんとのやり取りを説明する。 美陽 「ふむふむ、なるほど。そんな悩みワタシの料理を食べれば一発で吹き飛ぶネ! ひなのの為にワタシも協力するヨ!」 話を聞き終えた美陽ちゃんは、しばらく考えた後、笑顔でそんな提案をしてきた。 美陽 「早速作るアル! ただし、その前に…」 ただし?? 何やら嫌な予感がする…。 何を言い出すのかと身構える中、美陽ちゃんは拳法の構えをとりだした。 美陽 「ワタシ、最近体がなまってたアル! 準備運動代わりにひと勝負たのむネ!」 何の準備運動だ!? と思っている間に戦いが始まってしまった・・・。 |
危険度 ★★★★ 変身前 KC0074 香坂 希望 1100 / 200 / 270 35/26/15/15/23 敵サポカ 愛情Lv2×2 学力Lv3×1 生命力600以下 変身後 *** / 220 / 285 42/35/20/11/15 敵サポカ 愛情Lv3×1 |
茜色に染まる調理室に山椒の良い香りが立ち込めている。 美陽 「ハイ、完成ネ! 美陽特製、麻婆豆腐に春巻きヨ」 目の前に、白い湯気を立てた麻婆豆腐と春巻の盛られた皿が差し出される。 戦いの終わった後、家庭科調理室にて美陽ちゃんは約束通り料理を作ってくれた。 食材は、料理部の物をすこ~しだけ借り…いや、貰うことにした。 美陽 「さぁ、早速ひなのに食べさせるとイイネ」 この後バイトが入っているという美陽ちゃんとはその場で別れ、ひなのちゃんの待つ教室へと急ぐ。 教室には雑誌を読みながら自分を待つひなのちゃんの姿がある。 ひなの 「あ、おかえり。何処さ行ってたとね? ん? それどしたとー?」 待たせてしまったことを謝りながら、机の上に料理の皿を並べ、きょとんとしているひなのちゃんに向かって食べるようにすすめた。 ひなの 「食べていいと? そ、それじゃぁ、いただきます」 きちんと手を合わせ挨拶をした後、ひなのちゃんはそれぞれをひと口ずつ口に運ぶ。 ドキドキしながら口に合うかどうか尋ねてみると、 ひなの 「ん…おいしい、んだけど…やっぱりバーンッて感じがすると…と言うよりも口の中がひりひりするとね~」 と答えた後、涙目になりながら口を押さえて水道へと走っていってしまった。 しまった…、ひなのちゃんは辛い物や、味の濃いものが苦手だったようだ…。 なるほど「バーンッ」というのは味の濃さのことだったのか。 と、なるとどうしたものか…、悩んでいると自席でうっとりとグルメ情報誌を眺めている希望ちゃんの姿が目に止まった。 希望 「はぁぁ~…、おいしそう。今度はこの匂いを作ってみようかなー」 ふむ、匂いか…。試す価値はあるかもしれない。 早速、希望ちゃんへと声を掛け、ひなのちゃんの好きな料理の匂いを合成してもらえるようお願いすることにした。 希望 「え? 匂いを作って欲しいの? いいわよ」 話を聞いた希望ちゃんはあっさりと引き受けてくれた。 喜んでお礼を言うと、即座に「ただし」という言葉が付け加えられた。 希望 「最近合成したこの香りなんだけど、どんな効果が出るのか知りたかったのよね。ちょっとだけ、お願い…ね?」 それはひとえに実験体になれということだろうか…? そんなことを考えている内に戦いは始まった。 |
危険度 ★★★★★ 変身前 KC0079 浅霧 ゆう 1300 / 230 / 250 30/30/25/50/30 敵サポカ 体力Lv2×1 マナーLv3×2 生命力800以下 変身後 *** / 270 / 270 40/43/30/60/38 敵サポカ 体力Lv3×1 マナーLv3×1 センスLv3×3 |
結局、希望ちゃんの作成した新種の香りは、人体に様々な影響をもたらしてくれた。 散々実験体をやらされた後、その結果に満足した希望ちゃんは、上機嫌で匂いの合成を行ってくれた。 希望 「はーい、完成っと。これで柳本さん元気になるといいね」 希望ちゃんが差し出した手の平の上には黄色い液体の入った小瓶が乗っていた。 お礼を言ってそれを受け取り、ひなのちゃんのもとへと帰ると、ひなのちゃんはまだ口を押さえて、うーうー唸っていた。 ひなの 「うぅー、まだヒリヒリすると~…、ん? なんね? 香水もらってきたと?」 早速ひなのちゃんに瓶を渡し匂いを嗅いでもらう。 すると、 ひなの 「わぁ~、これ、ばっちゃの作った煮っ転がしのにおいさするとー!」 ひと嗅ぎした途端、驚きの表情を浮かべた。 ひなの 「懐かしいさ~、ばっちゃの煮っ転がし食べたかと~」 故郷の憧憬に思いを馳せるかのように、両手を組んで目をつぶるひなのちゃん。 しかし、数秒後、突然目を開けたかと思うと、手でお腹の辺りをさすり悲しげな表情で呟いた。 ひなの 「ばっちゃ…恋しくなってきちゃったと…、お腹もすいてきたとよ…」 しまった! 匂いだけというのは逆効果だったようだ。 どうしようと再度考えを巡らせる。 そうだ、今必要なのは視覚と感触である。 そして、それを何とかできそうなのは多分あの子だけ…。 うなだれるひなのちゃんを一先ずその場に残し、早々にその子のいそうな場所へと行くことにした。 各運動部がそれぞれ練習に励んでいる校庭―― その隅の茂みの中に目当ての子はいた。 ゆう 「なーにー? 今、野球部とサッカー部が一触即発の雰囲気でいいところなんだから邪魔しないでよ」 茂みに潜んでシャッターチャンスを狙っていたようだ。 ゆうちゃんに今までのことを話し、協力を頼めないか確認する。 ゆう 「なるほど。そういうことなら協力しないわけにはいかないね。ジャーナリストの端くれたるもの、望む情報の一つも与えられないとなるとその名がすたるからね!」 どうやら協力をしてもらえるようだ。 取敢えず、教室まで戻ろうとすると、ゆうちゃんが突然眼鏡を外し笑顔で行く手を遮った。 ゆう 「でも、その前にちょ~っとだけ、予行練習させてね」 だと思った…。 こうして予行練習という名目の戦いが始まってしまった・・・。 |
エピローグ |
予行練習で散々お腹を刺激され、空腹に耐えながらゆうちゃんと共に教室へと戻る事にした。 でも、今の予行練習で結果は何だか予想できてしまった。 道すがら、そのことをゆうちゃんに告げる。 ゆう 「うん、そうだね。わたしのアビリティで幻を見せてあげることはできるけど、結局味覚を満たしてあげることはできないからね」 そうなのだ、このままゆうちゃんに煮っ転がしの幻を作り出してもらったとしても、それはまた、いたずらにひなのちゃんの望郷心と空腹を刺激してしまうだけなのだ。 折角上手くいくと思ったのだが、結局振り出しに戻ってしまった…。 手詰まりになってしまった感に思わず肩を落とす。 すると、ゆうちゃんが安心しろというように、笑顔で人差し指を突き出してきた。 ゆう 「さっき言ったよ。ジャーナリストの端くれたるもの、望む情報の一つも与えられないとなるとその名がすたる、ってね」 ゆうちゃんはポケットからメモ用紙を取り出すと、そこに何やら文字と図を描いて、こちらに手渡した。 ゆう 「ここ、老夫婦がやってる定食屋さんなんだけど、自然な味付けがおいしいって地元の住民から評判の穴場。ここならひなのちゃんの口にも合うと思うよ」 思わぬところからの正攻法の救いの手! 喜びのあまり、思わずゆうちゃんの手を握り締めて、感謝の気持ちを伝えた。 後日―― ひなの 「おいし~い! これ本当にばっちゃの味付けみたいさ~! 懐かしい味がするとね~」 煮っ転がしを口にして、ひなのちゃんが感嘆の声を上げる。 教えてもらった定食屋にひなのちゃんと来てみたのだが、どうやらここの料理は口に合ったようである。 ひなの 「ありがとうね。わたすの為においしいお店さ探してくれて、本当にうれしいよ!!」 良かった、どうにかひなのちゃんに楽しい食事の時間を取り戻してあげることができたようだ。 にこにこと満足げに煮っ転がしを頬張るひなのちゃんの姿を見ながら、何だか嬉しい気持ちで口にした煮っ転がしは、なるほど凄く優しい味がした。 |