ミッション№ |
名前 | 特殊条件 | 人数 | 戦利品 |
初級 №A0011 |
10 / 01 / 27 ~ 30 / 12 / 31 幻の花 |
リーダー レジーナ |
2人 | 機のリングLV1 (1ポイント) |
プロローグ |
緑草の絨毯の上、レジーナは寝そべりながら最近できたばかりの友達の姿を待っていた。 レジーナ「ふふふ、今日はどんなお土産を見つけてくるのかな?」 そこへ、待ち望んだ友達が姿を現す。 ビーティ「レジィ、お待たせ!」 レジーナ「ビーティ、おはよう!」 大人の手の平くらいの小さな身体が、レジーナの目の高さに浮いている。 そこには、コルバ島からオルメカの遠征船に乗ってやってきた、妖精ビーティの姿があった。 ビーティ「今日はね、すごいのよ! こんなの見つけたの!」 ビーティは興奮気味に言うと、まるでベルトのように腰に嵌めていた輪っかを手でくるりと回す。 すると、輪っかが回転して丁度お腹の部分に綺麗な宝石が現れた。 レジーナ「指輪だぁ! どうしたのこれ?」 ビーティ「ウフフ♪ 綺麗でしょ? 来る途中に森の中で拾ったのよ」 ビーティは得意気に言うと、レジーナの肩にちょこんと腰を降ろす。 レジーナ「きれーい」 ビーティ「アタシの宝物にしようっと♪ あ、レジィにだけ見せてあげるんだからね。他の人に言っちゃダメよ」 レジーナ「う…うん! でも…」 レジーナは急に口ごもる。その顔には困ったような表情が浮かんでいた。 ビーティ「なーに? どーしたの?」 ビーティに促され、レジーナは言い辛そうに口を開く。 レジーナ「うん…、それ落とした人…困ってないかなぁ?」 ビーティ「落とし主?」 レジーナの肩に腰掛けたままビーティがその顔を覗き込む。 レジーナは折角の嬉しそうなようすに水を差してしまったのではないかと不安になった。 しかし、ビーティは全く気にした素振りも見せず、逆に笑って胸を反り出す。 ビーティ「そんなの平気よ! だって落ちてたのよ。ってことは、きっと要らない物ってことだもの!」 当然のように言い放ち、ビーティは腰に輝く収穫物を、またくるくると回しながら満面の笑みで歌を口ずさむ。 そのご機嫌なようすに、レジーナはそれ以上は何も言えなくなってしまった。 |
危険度 ★ LC0174 ビーティ広がる世界 900 / 180 / 180 10/10/10/10/10 敵サポカ 風のリングLV1×2 |
ビーティ「うふふ、宝物、宝物♪」 嬉しそうに飛び回るビーティの横でレジーナは今日見つけた他のお土産を広げて見せてもらう。 取れたボタン、何かの留め金、瓶の蓋…… コルバ島から来たビーティにとってはどれも大層珍しい品なのであろうということが想像できる。 しかし、そのどれもが今日一番の収穫物には敵わないようである。 ビーティ「ねぇ、レジィは何か宝物って持ってないの?」 突然聞かれてレジーナは考え込む。 “宝物”という単語に反応するかのように、頭の中にたったひとつだけ浮かんできた。 レジーナ「宝物…、あるよ。指輪見せてくれたお礼に見せてあげるね」 そういうとレジーナはバスケットから一枚の紙切れを取り出した。 それは小さな赤い花を一輪、押し花にして貼り付けた手作りのしおりだった。 花の周りには明るい色で花びらの絵が描かれていて、とてもカラフルだった。 レジーナ「これ、この間作ったんだよ。私の宝物」 今まで指輪に夢中になっていたビーティの視線がしおりに注がれたまま固定される。 そのようすから察するに、しおりに釘付けになっているようだった。 ビーティ「な…なにそれ…、すっごぉぉ~い! すごい、すごい、きれい!」 しばらく固まっていたビーティが突然に声を上げ、手の中のしおりにしがみついた。 レジーナ「えへへ、ありがとう」 大げさに「きれい、すごい」を繰り返すビーティのようすに、レジーナは何だか少し恥ずかしいような、けれども誇らしいような気持ちになり、照れ笑いを浮かべる。 けれども、その表情はビーティの次のひと言で凍りついた。 ビーティ「これ、欲しい!」 一瞬、何を言われたのか分らずレジーナは固まってしまった。 しかし直ぐにその言葉の意味に気付き、凄い勢いで頭を左右に振る。 レジーナ「だっ…だめだよっ! だってこれお父さんの育てたお花を押し花にしたやつだし…」 しかし、ビーティはなおも食い下がってくる。 ビーティ「また、作ったらいいじゃない。ねぇ、お願いよ!」 最終的にビーティはレジーナの手からしおりをもぎ取ろうと、引っ張りだした。 その力が予想以上に強かった為、ふたりはお互いにしおりを引っ張り合う形になる。 レジーナ「だめぇーーっ!! ビーティお願い離してぇっ!!」 ビーティ「レジィのケチンボ! 頂戴! 頂戴ったらぁーっ!!」 |
危険度 ★★ LC0148 奇矯な幻術士イーノック 1160 / 160 / 220 17/14/16/16/16 敵サポカ 火のリングLV1×4 |
ビリィッ 突然耳障りな音がした。 手元を見ると、そこには半分が破り取られたしおりがあった。 もう半分はビーティの手の中に……。 突然の出来事にレジーナは手の中の無残な残骸を放心した眼差しで見つめ続ける。 ビーティ「あ…あの、レジィ…」 ビーティは恐る恐る声を掛ける。 レジーナ「…らい…」 ビーティ「え?」 聞き返すビーティに、レジーナはキッと顔を上げ叫んだ。 レジーナ「ビーティなんて嫌い!!」 友達からの拒絶の言葉はビーティに想像以上のショックを与えた。 ビーティは空中でふらっとよろめくと、凄い速さで森の方へと飛び去って行ってしまった。 レジーナ「うっ…うぇ…」 ビーティが去った後、しおりと一緒に半分になってしまった押し花を見つめ、レジーナは嗚咽を漏らした。 その花は亡くなった父親が育てた花だった。 そしてその花の咲く花壇は、先の魔族襲撃の際に焼かれてしまった。 焦土となった花壇の中、この花だけが炎を逃れ生き残った最後の花であった。 父親の形見ともいえる花…、レジーナが父の姿を思い出し再度涙をこぼそうとした瞬間、森の中から凄まじい悲鳴が上がった。 レジーナ「ビーティ!!」 その声は明らかにビーティのものであった。 レジーナは瞬時に声のした方へと駆け出した。 レジーナ「ビーティ、どこっ!?」 森の中、ビーティの姿を捜して走り回る。 すると、木の合間にひとりの男の姿が見えた。 その手の中には逃れようとする友達の姿が――、 レジーナ「ビーティを離して!」 レジーナは咄嗟に男に向かい体当たりをしていた。 イーノック「のわっ! 何でごぜーますか!?」 ビーティ「レジィ!?」 相手の男はソル魔導団の幻術士イーノックだった。 イーノック「いきなり何しやがるでございますか」 やや怒気を含んだ声にレジーナは足が震えた。 しかし、勇気を振り絞り叫ぶ。 レジーナ「ビーティをは…離してください!」 イーノック「ビーティ? この妖精さんのことでやがりますか?」 レジーナは首を縦に振り、何度も「お願いします」と繰り返した。しかし、 イーノック「そりゃダメでやがりますよ」 相手の口から出たのは拒否の言葉だった。 その瞬間、レジーナはイーノックに向かい両手を振り回していた。 イーノック「いだだだ…、は…話を聞きやがるでございますよ」 |
エピローグ |
レジーナ「離してください!」 ひとしきり叩いた後、レジーナはイーノックの腰にしがみつき泣きだしてしまった。 その姿にイーノックは困惑したような表情で鼻の頭をひと掻きする。 イーノック「…取敢えず話を聞きやがってください。えーと…何さん?」 レジーナ「レ…レ゛ジーナでずぅ」 涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げレジーナは答える。 イーノック「んじゃ、レジーナさん。俺様チャンは指輪を返して頂きたいだけなんですが…」 レジーナ「え?」 思いもよらぬ言葉にレジーナは目を丸くする。 それはビーティも同じだったようで、同様に驚いた顔をしていた。 ビーティ「これ?」 ビーティが腰の指輪を指すと、イーノックは頷く。 レジーナ「ビーティ、返してあげよう。やっぱり困ってたんだよ」 レジーナが促すと、ビーティは一瞬だけ物惜しげな顔を見せるが、直ぐに諦めたように腰から指輪を外し、イーノックへと差し出した。 イーノック「感謝しやがりますよ」 ビーティ「レジィが来てくれたんだもん…。アタシ、しおり破いちゃったのに…」 レジーナ「ビーティ…」 レジーナは優しく微笑む。 レジーナ「いいの、あの花は今度は私が育てればいいんだもん」 ビーティ「レジィ…」 イーノック「花、どれですかい?」 黙って聞いていたイーノックが、レジーナに向かって尋ねる。 レジーナはバスケットからしおりを取り出すとイーノックへと見せた。 イーノック「なるほど、見事に破れてやがりますね。んじゃ、」 まじまじと見つめた後、イーノックはパンッと手を鳴らした。すると……、 レジーナ「これ…!?」 ビーティ「すっごい」 辺りは一瞬にして、赤い花の咲き乱れる花畑へと姿を変えた。 レジーナ「お父さんのお花だぁ…」 イーノック「指輪のお礼でやがります。まぁ、幻でございやがりますが」 レジーナ「おじさん、ありがとうございます!」 イーノック「お兄さんでやがりますよ」 レジーナ「ビーティ、私絶対に世界で一番きれいなお花を育てるよ」 ビーティ「うん! レジィならきっと育てられるよ! アタシ楽しみにしてる」 ふたりは花畑の中微笑み合う。 そんなふたりを見てイーノックはまた鼻の頭を掻いた。 イーノック「まぁ…たまにはこんな使い方もありでやがりますかね」 |