ミッション№ |
名前 | 特殊条件 | 人数 | 戦利品 |
上級 №A0062 |
07 / 07 / 13 ~ 07 / 09 / 07 ディンマルグ王家の再興 |
なし | 4人 | バーニングLV1 バーニングLV2 バーニングLV3 (3ポイント) |
プロローグ |
小高い山の上から見る村は小さく、家々から立ち昇る昼の準備をする煙で遠くからでものどかな雰囲気を感じることができた。 カーラム 「こんな近くに見晴らしの良い場所があったんだな。」 セルロン 「少しは気晴らしになりましたか?最近のカーラム様は周りの様子に気付く余裕もありませんでしたから、この場所を知らないのも無理ありません。」 セルロンの先導で久しぶりの遠乗りに出たカーラムとクレシェラであったが、カーラムは心地よい風に身を任せ、クレシェラは美しく咲き誇る色とりどりの花に夢中になっていた。その様子を満足気に見ていたセルロンに、カーラムは声を掛けた。 カーラム 「首都陥落・・・。夢ではないのだな。」 何度同じ言葉をセルロンに問い掛けただろうか。この地に逃げ延びるまで、この村の存在を知らなかった。辺りは山々に囲まれ、それまで知らなかった光景が広がっていた。こうして山の上から見回すことで、知らない土地に来たことを再確認できた。 それまで穏やかな表情で風景を楽しんでいた様子から一変して、険しい表情になったカーラムの様子に気付いたセルロンが頭を下げた。 セルロン 「私の力が足りないばかりに、アジャンタに魔物の侵入を許してしまい申し訳ありません。」 これも何度と無く繰り返された言葉であった。 カーラム 「お前のせいではない。もっと俺に力があれば・・・。」 |
危険度 ★★★ EC0364 サイクロプス 1400 / 250 / 230 7/7/10/15/15 敵サポカ 水Lv2×2 機Lv2 |
突然の魔物の襲撃によりアジャンタは炎に包まれていた。やがてその炎は城に移り、陥落は誰の目から見ても明らかであった。 セルロン 「カーラム様、クレシェラ様。いまは私と共に避難してください。王には騎士団長のアライアン様がついています。お二人は必ず我が命に代えてもお守りいたします。」 15年前の魔王復活以来、強力な結界と強固な守備隊によりアジャンタ近辺で魔物が現れることは無かった。そのため多くの者が戦いを忘れ、その腕を鈍らせていた。他の国では絶えず魔物の恐怖に晒されていたため、多くの優秀な人材が現れたが、皮肉にも偽りの平和な国であったディンマルグは見えぬ衰退の一途を辿っていたのだった。 セルロンの誘導の元、カーラムとクレシェラは城に隠された秘密の通路を抜け、アジャンタを脱出しようとしていた。 セルロン 「さぁ急いで馬に乗ってください。すぐにでもここを離れます。」 クレシェラ 「セルロン、父様と母様を待たないの?」 セルロン 「王は魔王の封印が解けぬように残っておられます。ですが、騎士団長アライアン様がついていますからここよりも安全です。」 クレシェラ 「でも・・・。」 一瞬の迷いが生死を分ける戦場において、このクレシェラの戸惑いが逃げるタイミングを失わせた。木々により隠された抜け道を覗き込むように1体の魔物が現れたのだ。 サイクロプス 「オ!オマエ、ニンゲン?」 カーラムたちに気付いたサイクロプスはニタリと笑みを浮かべ、その手に持つハンマーを振りかざした。 セルロン 「カーラム様、ここは私が引き受けます。クレシェラ様と共に先に行ってください。行き先は馬が知っています。」 カーラム 「何を言ってる。俺も戦う。」 その言葉を遮るようにセルロンは共に戦おうとするカーラムの馬の尻を鞘で叩いた。 セルロン 「カーラム様、あなたには生きていただきます。さぁクレシェラ様も行ってください。」 クレシェラ 「必ず後から追いついてね。約束よ。」 サイクロプスから遠ざかるように走り去る2頭の馬を見送った後、セルロンはサイクロプスに剣を向けた。 |
敗北時 | セルロン 「我が主との約束、守らないわけにはいかない。まだ倒れられないんだ。」 |
危険度 ★★★★ EC0271 神鳥 ガルーダム 1100 / 220 / 220 14/4/4/4/4 敵サポカ 火Lv2 水Lv2 風Lv3 |
カーラムは、小高い山の上で村に初めて辿り着いた晩のことを思い出していた。 クレシェラと共にセルロンの到着を寝ずに待ち続けたあの日。 カーラム 「セルロンのお陰でこうして立っていられるんだな・・・。」 感慨に浸っていたカーラムの意識を、クレシェラの悲鳴が引き戻した。 クレシェラ 「兄様!・・・村が!」 先ほどまで昼食を作る白い煙が昇っていた村から、家が燃える黒い煙が昇りだしていた。 カーラム 「セルロン。村に急ぐぞ!」 馬に飛び乗り、クレシェラを馬に乗せるセルロンを横目にカーラムは、単身村へ駆け込んでいった。村に辿り着いたカーラムの目に映ったのは、陥落するアジャンタと同じ光景であった。 カーラム 「誰がこんな真似を!」 怒りに震えながら辺りを見回したとき、家の影から近寄ってくる魔物の姿が見えた。 カーラム 「・・・ガルーダム。」 平和な村に降り立ったのは伝説の神鳥とされるガルーダムであった。突如現れたガルーダムは、村人にとっては恐怖の対象でしかなかった。村人が逃げ惑う中、ガルーダムは誰かを探しているようだった。ガルーダムの前に立ちはだかるようにカーラムは歩みを進めた。 ガルーダム 「やっと出てきたか。ディンマルグの後継者よ。アジャンタでは戦わず逃げたと聞いていたが、臆病者ではなかったようだな。」 カーラム 「目的は俺か。それならばさっさといなくなってもらおう!」 アジャンタでは逃げることしかできなかった後悔と、逃げ延びた自分を受け入れてくれた村人を救う意思がカーラムの魔力を増大させた。 カーラム 「手加減はできない。戦い慣れていないからな。村を襲ったこと後悔させてやろう。」 |
敗北時 | カーラム 「俺の魔力が通じない?ならば、もっと強くなるまでだ。俺の体が壊れようともな!」 |
危険度 ★★★★ EC0270 鬼女 カリィ 700 / 190 / 190 1/10/3/3/3 敵サポカ 水Lv1×2 |
ガルーダム 「グッ。まさかこれほどの魔力を秘めているとは・・・。」 満身創痍となったガルーダムはカーラムの魔力に気圧されるように後ずさった。 カーラム 「まだだ。まだアジャンタでの借りを返していない。」 止め処も無く溢れ出る魔力は、次第にカーラムの体を傷つけ始めていた。 クレシェラ 「兄様!それ以上はいけません!」 カーラムの奥底に眠る魔力が暴走を始めようとしたその時、セルロンとクレシェラを乗せた馬が村に駆け込んできた。 セルロン 「カーラム様!意識をしっかりお持ちください。」 クレシェラ 「兄様!」 馬から落ちるように飛び降りたクレシェラはカーラムの元へ駆け寄った。 クレシェラ 「兄様。もう村は大丈夫です。だから休んでください。」 クレシェラの叫びが聞こえたのか、カーラムは安堵の表情を浮かべ座り込んだ。魔力の暴走は収まり、カーラムの呼吸もすぐに落ち着きを取り戻した。 セルロン 「良かった。クレシェラ様も怪我は無いですか?」 カリィ 「ふうん。ガルーダムが何か見つけたっていうから来てみれば、アジャンタで取り逃がした王子と王女じゃないか。」 声は空から聞こえてきた。セルロンは躊躇することなく剣を抜き、空を仰ぎ見た。そこにはドラゴンに跨る鬼女カリィの姿があった。 カリィ 「ガルーダムをあんな姿にしたのはそこで座ってる王子かい?前に見た時はそんな力なかったわよね。面白い。この短期間に成長するなんてね。疲れてるみたいだけど、私と戦いな。」 残忍な笑みを浮かべたカリィはドラゴンから降り、カーラムの前に向かい歩いた。それまで今にも倒れそうなカーラムを支えていたクレシェラが立ち上がり、毅然とした表情をカリィに向けた。 クレシェラ 「いまの兄様は戦うなんて無理だわ。だから私が戦う。私だってディンマルグ王家の1人だから。」 クレシェラの決意が奇蹟を生んだ。ディンマルグ王家に伝わる聖獣ルパールが姿を現したのだ。王家の血を継ぎし乙女の祈りによって現れると言われるこの聖獣は、不完全だったクレシェラの魔力を増大させる。 クレシェラ 「あなたがルパール・・・ありがとう。私に力を貸してくれるのね。お父様、お母様・・・クレシェラは兄様と共に、必ず王家を取り戻してみせます。まずはお父様とお母様の仇、鬼女カリィを打ち倒します!」 |
敗北時 | カリィ 「なんだい。もうおしまいかい?」 カーラム 「まだ終わりじゃない。次は俺が・・・。」 セルロン 「いけません。ここは私が時間稼ぎします。体制を整えるために今一度逃げてください。」 |
危険度 ★★★★★ EC0322 戦神 カリィ 1800 / 285 / 285 30/30/30/30/30 敵サポカ 機Lv3×2 強Lv3×2 閃Lv3×2 |
増大された魔力により、王家に伝わる魔術の行使が可能になったクレシェラは、聖獣ルパールと共にカリィを追いつめ始めていた。 カリィ 「やるねぇ。とても他の人間を犠牲にして逃げた王女と同一人物とは思えないね。」 確かにカリィは、クレシェラの魔術を防ぐので精一杯な様子だった。 だが、それまで防戦一方だったカリィは、突然体当たりをしてきたルパールを片手で叩き落すと、悠然とした歩みでドラゴンに跨った。 カリィ 「そろそろお遊びも終わりにしようか。おまえの魔術はもう飽きたんだよ。普通の人間よりも魔力はあるようだけど、まだまだ使いこなせてないね。」 カリィはそう言うと空高く舞い上がったドラゴンの背から、手に持つ剣を振りかざし戦いを終わらせようとした。 カリィ 「少しは楽しかったよ。あとはあの世で王家の再会を喜ぶんだね。」 カリィはクレシェラを狙い、剣を投げた。 キンッ! 乾いた金属音と共に、カリィの投げた剣は飛ぶ方向を変え、地面に突き刺さった。 カーラム 「これ以上クレシェラを傷つけさせない・・・」。 それまで制御しきれない魔力により、自らの体力を消耗し、憔悴しきっていたカーラムだったが、クレシェラに危険が及んだ時、再び魔力が体を巡り、力が沸くのを感じ始めていた。 カーラム 「俺の中にも眠る力があるなら・・・俺に力を貸してくれ!」 そしてその瞬間は訪れた。 己に眠る力に素直に耳を傾けたカーラムは内なる力を解放した。 巨大な十字架型の魔導機を召還、黄金の光がカーラムの腕に宿る。 カリィ 「今度はなんだい?また期待外れで終わるんじゃないだろうね?」 カーラム 「ディンマルグ第1王子、カーラムの名において命ずる、黄金の力よ、灼熱となりて、魔を殲滅せよ!」 カーラムのその力ある言葉により、それまで飛んでいたドラゴンが燃え、再びカリィは地面へと降り立った。 カーラム 「クレシェラ・・・今まで待たせたね。まずは父上と母上の仇、カリィを打ち倒そう!」 |
敗北時 | カリィ 「まだ力を制御し切れてないみたいだね。いまのはちょっと危なかったよ。」 クレシェラ 「兄様、もう一度一緒に戦いましょう。」 |
エピローグ |
辺りに断末魔の叫び声が響き渡った。それまで家の中で震えていた村人たちは、その声を聞いて恐る恐る顔を出した。魔物の襲撃により燃えた家はすでに鎮火し、辺りには魔物の気配はなくなっていた。 クレシェラ 「兄様。これでお父様とお母様の仇は討てたんですね。これで終わったんですね。」 カーラム 「いや。ディンマルグを再興させるまではまだ終われない。いままでは逃げてばかりだったが、これからは戦える。終わりじゃなく始まりなのさ。」 いつしか村人はカーラムとクレシェラを囲んでいた。そして口々に感謝の言葉と、王家再興を願う言葉を叫んだ。 カーラム 「セルロン。もう少しお前の力を貸してくれないか。」 セルロン 「どこまでも付いていきます。それが私の願いですから。」 ディンマルグの辺境の村で、王家復興に向けた新たなる戦いが始まろうとしていた。 |