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B0007 聖夜のお手伝い


ミッション№
名前 特殊条件 人数 戦利品
中級
№B0007
09 / 12 / 08 ~ 09 / 12 / 28
聖夜のお手伝い
特になし 2人 機のリングLV2
(5ポイント)

プロローグ
冬、積もった雪が街を白く染め上げる中、人々はもうすぐ訪れるクリスマスに浮き立っていた。

アリシア
「やっぱりチキンは外せないわよねー」
ジャン
「だな~。今からアンリのご馳走楽しみだぜ」
アンリ
「今年はオルメカ風料理にも挑戦してみますから楽しみにしていてください」

国境の警備を終えて帰宅途中のジャン達もクリスマスの話題で盛り上がっていた。

アリシア
「で、今年はジャンは何をプレゼントしてくれるのかしらねー?」
ジャン
「プレゼントなんてサンタにでも頼めばいいだろ」

アリシアの笑顔の催促に対しジャンは投げやりな態度で返す。

アリシア
「何よその誤魔化し! そんなのアンリにだって通じないわよ」
アンリ
「そうだね、実際サンタさんはいたら素敵だとは思うけど、いないってもう分かっちゃってるしね」

クレール
「何を言っている? サンタさんはいるぞ」

突然背後から掛けられた言葉に一同は驚き振り返る。
そこへ更に別の声が飛び込んでくる。

モニク
「クレール、サンタなんていないって何度も言っただろ」

そこにはクレールとモニクの姿があった。
買い物の最中であろうか手には大きな袋を抱えている。

アリシア
「え・・・えーと、サンタさん信じてるのね」

アリシアの言葉にクレールは頭を左右に振る。

クレール
「信じているとかじゃない、サンタさんはいるんだ。毎年私の枕もとにプレゼントを置いておいてくれる」
ジャン
「ほんとに!?」
アンリ
「兄さま…」

身を乗り出そうとする兄をアンリが片手で諌める。

モニク
「それは、アレだ、親切な誰かがくれてるだけだよ。現に去年からは貰ってないって言ってただろ?」

尚も否定を続けるモニクの言葉に、クレールは暫し何事か考えてから返答を反す。

クレール
「それは……サンタさんが忙しいからだ」
モニク
「はぁ?」
クレール
「サンタさんは日に日に増加する業務に追われ、
きっと一人では作業をこなせなくなっているんだと思う…。 
そうだ! 今年は私も手伝おう! こうしちゃいられない! 今が長年の恩を返す時だ!!」

そう一人で結論付けると、クレールは唐突に駆け出して行った。
クレールが走り去った後、突拍子も無い提案に最早返す言葉が見つけられずにいたモニクと、あまりの展開に頭が追いつかなかったジャン達だけが呆然とその場に残されていた。
危険度
★★

LC0009
枢機卿クレール

1000 / 220 / 240
8/13/10/8/9
敵サポカ
水のリングLV1×4
モニク
「よくこれだけ集めたな…プレゼントも…」

深夜、広場に集まった大人数のサンタ姿の兵士達を前にモニクが呆れ顔でその言葉にクレールはえっへんと胸を張って答える。

クレール
「レジム大公にサンタさんの手伝いをしたいと申し出た所、快く承諾してくださってな。すぐにサンタさんに連絡を取り、この国分のプレゼントを預かってきてくださったんだ。更に、兵士達にも協力を仰ぎ、こんなに集めてくださった」

モニク
(大公含めお祭り好きな奴らめ・・・)

クレール
「これだけして頂いたんだ、今夜は気合を入れて子供達にプレゼントを撒き散らすぞ!」

拳を握り意気込むクレール。

モニク
「いや、そんな物よりさぁ…    
アンタにはもっと大事なことがあるだろぉ?」

言わんとすることが分らず怪訝な顔をするクレールの肩に腕をかけ、モニクは耳元に囁き掛ける。

モニク
「アレだよア・レ♪ 頑張って焼いたんだろ? クッキ~♪」
クレール
「なっ!」
突然クレールの顔が沸騰した様に真っ赤に染まった。

モニク
「おぉ~っと、不自然に避けられた袋はっけ~ん♪これかな~?」

明らかに他のプレゼントとは別に避けて置かれていた小さな包みを発見し、摘み上げるモニク。

クレール
「なっ…ひゃっ! ちょっと! やめて!」

クレールがそれを慌てて取り返そうとするが、モニクはひょういと避けてまじまじと包みを観察し、更に顔をにやけさせる。

モニク
「お~お~、可愛らしいラッピングしちゃって~♪不器用なクレールちゃんが良く頑張ったこと~、愛を感じるぅ!」
クレール
「そっ、そんなんじゃない! ほんとにもうやめて、返してってば!」

こういった辱めにとことん弱いクレールは最早沸騰した様に顔を赤らめ涙目で懇願していた。

モニク
「アナタの為に頑張ったの~、お返しは~・・・ううん、いいの、お返しは。その代わり美味しかったらご褒美が欲しいの。もちろんご褒美は~・・・」
クレール
「ちが…やめっ」
モニク
「チュ♪」

唇を尖らせ指で投げキッス飛ばす仕草に、とうとうクレールの恥じらいメーターが振り切れた。

クレール
「やめろーーーーーーっ!! うわぁぁぁぁぁっ!」

クレールは全身から魔力を吹き上げ両腕を振り回してモニクに突進していった。
危険度
★★★

LC0042
魔導士クレール

1250 / 130 / 260
25/30/20/20/20
敵サポカ
水のリングLV1×2
水のリングLV2×2
日付も変わり少し経った頃、プレゼントの1/3を配り終えたクレールはもとの広場で一時休憩をとっていた。

クレール
「こんなに大変な作業だったんだ。サンタさんは何時もこんな事を一人で…」

一人懸命に走り回るサンタの姿を想像し、込み上げてくるものを感じる。

クレール
「うっ…グス、…それに引き換え」

クレールは先程散々絡んできたモニクの姿を思い出す。
あの後、結局モニクは「家で酒を飲んでた方がマシ」と言って帰っていった。

クレール
「ロクデナシめ…」

薄情な親友の態度を思い出し眉を吊り上げる。
が、直後その顔はすぐに沈んだ表情へと変わった。

クレール
「でも私も人のこと言えない…サンタさんごめんなさい…」

自分で用意した小さな包みへと視線を落とす。
モニクにからかわれた際には否定したが、確かにこれはこの日の為に不器用ながらも一生懸命練習を重ね作り上げたプレゼントだ。
日頃共に切磋琢磨する仲間への形式としてのプレゼント。他意は無い。決して無い。絶対に無い。
クレールはそう自分に言い聞かせ何度も頭を左右に振る。
その姿は傍から見れば完全に不審なものであった。

クレール
「そう! 義理! 義理だけど、か、か・・・勘違いされたら困るから!!」

自称〝義理〟とは言え、真正面から渡そうとすれば絶対に緊張で失敗をしてしまうだろう。
しかし、手伝いの一環だと言えば筋が立つ。
何も無しに渡すよりは自然にいける筈。

クレール
「この流れなら自然にいけるはず…自然に…さ…さりげなくわたっ…わたすすす」

その場面を頭に浮かべ顔を赤くするクレール。
最早、言葉がうまく回っていない。
と、そこへ――

アンリ
「クレールさーん」
クレール
「はひぃっ!!」

突然名前を呼ばれ心臓が飛び上がる位に驚くクレール。
振り向くと、そこにはまさに今まで脳内でクレールを翻弄していた人物の姿があった。

クレール
「ア・・・アンリ!! 何でここに…」
アンリ
「モニクさんから手伝うように言われたんです。すみません、遅くなちゃって」
クレール
「モニクが…」

親友の思いがけぬ気遣いに驚く。

クレール
(ロクデナシって言ってごめん…本当の事だけど)

アンリ
「まだ随分残ってますねー、じゃ、早速手分けして配ってしまいましょ。」

そうして二人、手分けをしての作業が始まった。
エピローグ
夜明け間近、二人はやっと自分達の担当分のプレゼントを配り終えた。

アンリ
「ふー、やっと終わりましたね」
クレール
(いけ…いくんだ私! お礼だってさり気なく!)

何度も心の内で自分を鼓舞してから意を決して口を開く。

クレール
「あっ、あのっ…」
アンリ
「そうだ! これ」

小声で言いかけた瞬間、アンリが声を上げ、ポケットから何かを取り出しクレールへと差し出した。
クレールは反射的に手を伸ばしそれを受け取る。

クレール
「…これ!」

手には毛糸で編み上げられた小さなクマのヌイグルミが乗っていた。

アンリ
「兄さまに靴下を編んだのですが、素人なもので毛糸の量が分らず余ってしまって…。それで余った毛糸で編んでみたんです。あまり出来は良くありませんけど…良かったら貰ってください」
クレール
「あ…ありが…とう」

クレールはヌイグルミをまじまじと見つめた。
きっちり目を揃えて編みこまれた本体に、アレンジで手縫いのマフラーまで巻いてある。
それに比べ自分のクッキーときたら……

クレール
(私…確実に負けてる)

歪な形のクッキーを思い出し胸が重くなる。

クレール
(今更こんなの…渡せない)

クレールが包みをそっと隠そうとした瞬間、アンリがのん気に話しかけてきた。

アンリ
「でも、プレゼント配りって凄く体力使いますねー。僕、何だかお腹へってきちゃいましたよ」
クレール
「!!」

クレールは咄嗟的に包みを突き出していた。

クレール
「こっ…これ! クッキー!!」
アンリ
「え? え? 食べていいんですか?」

アンリの問いにクレールは無言でコクコクと頭を縦に振る。

アンリ
「ありがとうございます! いただき…うっ!」
クレール
「う?」

包みを開け中を覗いた瞬間アンリの顔が強張る。

アンリ
「う…うわぁ、おいしそ~です」

しかし、次の瞬間にはもう笑顔に戻っていた。
心なしか台詞が白々しく聞こえたが、クレールは気にせず胸を撫で下ろした。

クレール
(負けない…もっと練習して編み物だって出来るようになってやる)

うわーうわー、と言いながらも物体を中々口に運ばないアンリの横でクレールは決意を固める。

クレール
(そしてアイツにも)

新たなる決意と共にキッと顔を上げるクレール。
見つめる夜空の先にはジャンの顔が浮かんでいた。

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■最終更新■(2011-03-27)

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最終更新:2011年03月27日 15:16