A0089 英雄の軌跡


ミッション№
名前 特殊条件 人数 戦利品
上級
№A0089
09 / 05 / 20 ~ 09 / 06 / 30
英雄の軌跡
ミニガチャ
第1弾のみ
3人 サポカ全種LV3
30ポイント
(5ポイント)

プロローグ
これは、遠い遠い昔の物語。

未だ世界は光の加護の下にあり、密かに人の世に魔が息づいていることさえ、ひと握りの者しか気づいていなかった。
人々は太陽の恩恵を当たり前に受け、疑うことなく明日を待って眠りに就ける。
平和で、少し退屈な時代だ。

魔と人の戦いが勃発するのは、まだまだ後のことなのだから。

その時に備え・・・いや、そうでなくても『何か』を感じ、ひたすらに己を練磨する方が変わり者といえるだろう。

これは、そんな・・・ひとりの変わり者の物語。

騎士国フィン、辺境の地。
賢人で知られる魔術師ドウガが暮らす村に押しかけ、半ば無理やり師事する形で修行に励む剣士がいた。
名をアーガスという。

後に10英雄のひとりとして世界に名を知らしめる彼も、まだ一介の剣士にすぎない。
世界はまだ、彼の剣を・・・熱くたぎる正義の志を必要としていないのだから。

凄腕の剣士でありながら魔術師であるドウガに師事し、彼の叡智を学ぼうとする変わり者を、ドウガは心から愛した。
その一方で、彼を鍛え上げることに心血を注いだ。

この若き剣士を、いずれ世界が必要とすることを予見して。

大いなる魔が覚醒しようとしている兆しは、世界の各地に現われていた。
ドウガはそれを知る、数少ないひとりであったからだ。


村では最近、森に入った人間が動物たちに襲われるという問題が相次いでいた。
本来、この森に人を襲うような動物はいないはずだ。
この事件を重く見たドウガは、調査に乗り出すことを決め、アーガスを呼び出した。

アーガス「なるほど。俺が森に入り、『なんともなかった』といえば皆も安心するでしょうからね。軽く覗いてきますか。」

動物相手の気安さもあるのだろう、大笑するアーガス。
彼の気性を快く思いながらも、ドウガの口元は苦虫を噛み潰したように引き締まったままだった。
彼の視線は、窓の外・・・黒い雲が渦を巻いている空を向く。

ドウガ「待つがよい。何があるとも知れん、セリアを連れてゆくがよい。」
アーガス「・・・ただ、森に入るだけでですか? 少し、大げさに思えますね。」
ドウガ「逆らうでない。どうしても拒むのなら、ワシがついてゆくぞ。」

今度はアーガスが苦い顔になる番だ。
彼が首を縦に振るまでには、さほどの時間はかからなかった。
危険度
★★★

ES0149
ダークエルフ ナルティス

1750 / 260 / 255
22/12/18/6/9
敵サポカ
強Lv2×3
土Lv2×2
セリア「アーガス・・・感じない? 森が騒いでいるわ。」

森の異変に真っ先に気付いたのは、ドウガの有望な弟子であり、魔法の素養に優れるセリアだった。

彼女を同行させたドウガの慧眼に心服しながら、アーガスは短く同意する。
ぶっきらぼうなのではない。ただ単に、アーガスは異性が苦手なのだ。
特にセリアは扱いが難しい。美しい笑顔などを向けられた日には、何をどうしていいかわからなくなってしまう。

幸いと言うべきか、今日のセリアは表情を引き締め・・・視線をアーガスに向けることさえほとんどなかった。

「森が騒いでいる」とセリアが称した異変を、アーガスも察している。
手は、ずっと剣の柄にかかっていた。

アーガス「森の獣が興奮するのもわかる、嫌な気配だ・・・酷くな。」

剣士としての直感が、セリアを背中に庇わせる。
アーガスの手が柄を握り、シャッと鞘走った剣先は、まっすぐ・・・傍らの茂みに突きつけられた。

彼の警戒に応えたのは、口笛。

ナルティス「出来そうなヤツが来たとは思ったが・・・そこまでいくと、可愛げがないね。何をされたかもわからないまま、死ねた方が楽だったろうに。」
セリア「ダークエルフ!? どうして・・・。」

浅黒い肌に、特徴的な尖った耳。
このような場所で出会うはずがない、闇の森の住人だ。

ナルティス「どうしてかなんて知らなくていいのさ、あの人に怒られちまうからね。」

冷たい刃の輝きに、ではない。
見えない蛇に絡みつかれるような不快感・・・初めてその身に感じた『魔気』が、アーガスを戸惑わせる。

ナルティス「ようやくの獲物だ、せいぜい楽しませてくれよ。」



敗北時 アーガスを知る者ならば首を傾げることだろう。
彼の剣に、普段の冴えはない。

ナルティス「ハハハッ! 驚いたよ、強いじゃないか。人間にしてはさ。」

アーガスに自覚はない、それは・・・未知なる敵と相対したが故の恐怖だった。
危険度
★★★★

ES0151
暗殺者 レイド

1000 / 220 / 230
8/8/8/8/12
敵サポカ
機Lv2×2
火Lv2
水Lv2
ナルティス「クッ、ハハハッ! 残念だね。あんたはあたしに勝ったことで絶望の扉を開けたんだ。」

瞳から光が失われる寸前まで、ダークエルフは口元に笑みを浮かべていた。

ダークエルフを倒したアーガスたちは、すぐに村に戻って顛末をドウガに報告した。
聞き終えて・・・しばらくドウガは黙していたが、程なくイスから立つと、アーガスたちを待たせて一通の手紙をしたためた。

ドウガ「アーガスよ。お主はこれから王都へ向かい、この手紙を直接、王にお届けするのだ。これが通行証の代わりになるじゃろう。かつてワシが王より授かった、王家にのみ伝わる短剣じゃ。」

手紙と短剣を授かり、アーガスは師に背を向ける。

アーガス「ついてくるなどと言ってくれるなよ、セリア。王都へはひとりで行く。」

頑なに譲らないアーガスに、ドウガとセリアは顔を見合わせるしかなかった。


昼夜を徹してアーガスは王都への旅を進めた。
予感が彼を掻き立てる。
行く先々の村や町で感じた小さな異変が、彼の中ではひとつの形を成そうとしていた。

何かが起ころうとしている・・・。

道を急ぐアーガス。
しかし、疲労ばかりは如何ともし難い。
あと一昼夜ほども歩けば王都という林道の半ばで、彼は40時間ぶりの休息をとることにした。
それに、アーガスには気がかりもあった。

木を背に、彼が身を休めようとすると、すぐに・・・林道の闇が騒ぎ始める。

レイド「旅はここまでだ。お前たち人間は、まだ何も知ってはならない。」

既に気取られていることは承知のようだ。
腕に自信もあるのだろう。静かにアーガスを見据えると、暗殺者は自らの得物を構えるのだった。


敗北時 レイド「気は済んだか? ならば、新たに旅に出るといい。冥府への・・・な。」

アーガス(これが戦い・・・命のやり取りを前提とした、本当の戦いか)

アーガスは、自らの口元に浮かぶ笑みに気付かない。
日々の鍛錬の中で錆びつきかけていた、剣士としての本能が・・・今、揺り起こされようとしていた。

危険度
★★★★★

EC0146
貴族 サミュエル

550 / 160 / 150
3/1/1/1/1
敵サポカ
火Lv1
風Lv1
レイド「何故だ? 何故、人が・・・魔を越える力を。」

呪いとも驚愕ともつかない呟きが、暗殺者の最期の言葉になった。

ほんの僅かな仮眠をとり、残りの道を急ぐアーガス。
ようやく王都にたどり着いてからも、彼は身を休めようとはしなかった。

王城へ、王の元へ。

そんな彼の道を阻んだのは、黒服に身を包んだひとりの男。
男はアーガスを物陰に誘うと、彼は『ある高貴な方』の使いであると言った。
その貴族はドウガとは旧知の仲で、直接、ドウガからアーガスのことを頼まれているとのことだが・・・。

眉をひそめては見せたものの、アーガスは招きに抗わなかった。
そうして連れていかれたのは、王城の近くに建つ、紛うことなき貴族の屋敷だった。
貴人に対するには礼を逸しているのは承知で、アーガスは剣を佩いたまま、旅の埃も落とすことなく赤絨毯を行く。
やがて通された貴人の私室と思われる豪奢な作りの扉の先には、屋敷の主人が待っていた。

サミュエル「すまなかったね、アーガスくんだったかな。キミのことはドウガ師から聞いているよ。」
アーガス「俺はあなたのことを聞いていません。あなたはどうやってドウガ師と連絡を交わし、お心を窺ったのです?」
サミュエル「魔法さ。言っただろう? ドウガ師とは旧知だと。さぁ、聞かせてくれ。キミはその目で何を見、何を知ったのかな。」

促されるまま、アーガスは話した。
森で出会ったダークエルフのこと、旅の途中に現われた暗殺者のこと。
彼らが異口同音に匂わせていた『魔』の動き。

サミュエル「ふむ・・・。」

アーガスの説明を聞き終えた貴族は、顎を撫でる。
と・・・その指の動きが合図であったかのように、部屋のカーテンが一斉に閉まった。

サミュエル「安心したよ。どうやら、私の不出来な部下たちのことを、旅の途中で口外するようなことはなかったようだ。ならばこの後、ドウガの村を滅ぼしてやる程度の手間で済む。」

アーガスは「何故」とは聞かなかった。剣の柄に手をかけ、すらりと抜き放つ。

サミュエル「ふ、最初から私を信用していなかったという態度だな。ならば何故、ついてきた。」
アーガス「貴様と似た理由だ。この世界に、どのような形で『魔』が根付いているか・・・この目で見たかった。」

サミュエルを前にしてアーガスは、二度の戦いで経験した『魔気』の高まりを・・・肌で感じ取っていた。

サミュエル「たいした自信だ。これは、私も本気でかからなければならないかな。」


敗北時 アーガスがこれまでに戦ってきた『魔』とは、存在そのものが・・・滲ませる圧迫感が違う。
肌がヒリつくほどの圧倒的な魔力は、アーガスをたじろかせるものだった。

サミュエル「まだ早い、まだ・・・キミたち人間は何かを知るべきではないのだよ。」
エピローグ




サミュエル「強いのだな・・・ふ、キミの素晴らしい強さを心から哀れむよ。その強さを世界中が求める。弱き者たちがキミの名を呼び、キミを崇め、そして・・・キミを死地に追いやるのさ。予言するよ、キミは世界のために戦い・・・そして死ぬ。」

最後にふっと笑みを浮かべ、貴族はその身を塵に変えた。

アーガス「世界のための死、か・・・。」

呟くと、アーガスは颯爽と踵を返す。

サミュエルの屋敷を出た足で王城に向かい、彼は王への謁見を願い出る。
ドウガから授かった王家の短剣は、彼の言葉通り、通行証の代わりになってくれた。

あっけなく謁見は叶った。

威厳ある王の佇まいに圧倒されながらも、アーガスは「王だけに」と託されたドウガの手紙を捧げた。
ドウガの手紙を読み終えた王は、ふっと目を閉じる。

フィン国王「アーガスよ。長い旅路、苦労もあったことだろう。聞かせてはもらえないか。」

躊躇いながらも、アーガスは語る。
道中に受けた魔族の襲撃。
そして、この王都でも・・・貴族の肩書を持つ魔族に襲われたことを。
この場に他者がいれば、色めきたっていたことだろう。
あるいは、虚偽を疑われたかもしれない。
しかし、王は王たる威厳をそのままに、アーガスを静かに見つめる。

フィン国王「アーガスよ。お前が旅の中で見聞きしたもの全て、その胸に秘しておくことは出来るだろうか。」
アーガス「は・・・ッ? しかし。」
フィン国王「まだ早い。魔族が人の世に潜んでいるなどということが広く世に知れ渡ったところで、混乱が生じるだけだ。その混乱にこそ、敵は乗じるつもりなのかもしれない。」

王の言葉に、アーガスは黙るしかなかった。

フィン国王「勇者の資質を有する者よ。有事の際にはその剣、世界のために捧げてくれるか。」

世界のために・・・王の言葉に、闇の貴族の末期の言葉がアーガスの脳裏をよぎらなかったはずはない。

アーガス「もちろんです、俺の剣も・・・この命も世界のためにあるのですから。」

その誓いに迷いはなかった。

フィン国王「うむ、苦労であったな・・・アーガスよ。今は全てを忘れ、ドウガの元に戻るがよい。」

きたる、その日のために。
王の言葉に込められた意味を知り、アーガスは強く頷くのだった。

スティール情報
貴族サミュエル ラブルエボ ストームLv2 Lv1
貴族サミュエル サミュエルエボ ストームLv2 Lv1

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■最終更新■(2011-03-05)

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最終更新:2011年03月05日 16:22
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