戦国BASARA/エロパロ保管庫

幸村×濃姫2

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nozomi

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 親しい友人なのだと慶次に笑われれば、濃姫には返す言葉もない。
 甲斐の虎の懐刀を前に無礼を許される権利など、人質の濃姫にはないのだから。
 それに、知らぬ人ではない。
 知らないからこそ、困る。

 幸村は何かと濃姫を気にかけてくれた。

 夫を殺したその手で、夫の最期を見たその瞳で、じりじりと焦げ付くような視線をよこす若者が
濃姫は苦手だった。夫の敵だというのに、憎ませてもくれない、逆恨みと分かっていてもただ憎い。
 ほら、今も、濃姫の視線の先で、目が合うだけで赤い顔をさらに赤くしてフクロウの如く首ごと視線をそらす。
 色恋に聡い慶次が気づかないわけがない。
 そして彼の忍び、佐助もあきれたような視線をよこした。

「…あれ?」

 視線をそらしたまま、頭を振ったのが良くなかったのか、ごつりと景気のいい音をさせて幸村は転倒した。

「幸村ー?」

 酒が回ったのか当たり所が悪かったのか幸村はぴくりともしない。
 ただ呼吸が規則的なのを確認して、佐助はため息をついた。

「だから飲みすぎだっていったのに」
「隣に寝かしとくか」

 決して華奢とは言えない幸村の体を軽々と抱えると慶次は隣接した部屋にしかれた布団に放り出した。
 桜の眺めがいいからと慶次が用意したのは宿の二階、人数分用意してある布団が何とも寒々しい。
 一瞬この4人で並んで眠るさまを想像し、濃姫と佐助は同時に苦笑した。

「悪いね、うちの旦那、お子様で」
「酒の飲み方はそろそろ学ばないとなぁ」

 幸村は飲みすぎた。濃姫の姿を認めたとたん赤面し、慶次に「はれんち」を連発し、
逃れられないと悟ると浴びるように酒を飲み始めた。
 露骨すぎて三人ため息しか出ない。

「…ね、あんたは旦那のこと、どう思ってんの?」
「佐助」

 慶次がとがめるように声を大きくしたが、佐助はひたと濃姫を見つめたままそらさない。
 濃姫は眼を伏せる。
『織田の奥方』
 顔を真っ赤にして、暴れ馬もかくやと日参してくるボウヤ。
 その手で夫を殺した武将。
 織田の行方を握る武田の懐刀。
 無下に扱うこともできず、それでも湧き上がる哀惜と憎悪を抑えることができず、何より
 向けられる視線の熱さに、慈しみに満ちた扱いに、ほだされそうな自分こそ憎みたかった。


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