戦国BASARA/エロパロ保管庫

幸村×濃姫

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きっかけはいかにも「有りがち」で、だからこそ想いは激しかった。雷に打たれたよう、
とはよく言うが、まさか自分がそれを体感する日が来ようとは。
 帰蝶……「濃姫」と呼ばれる魔王の妻と出会ったのは、戦場であった。
 彼女はまさしく蝶だった。黒と紅の着物を身に纏い、怒号と弓矢、剣の弾ける音が
入り乱れる業火の中を、舞い踊っては妖しく笑う。
 幸村はその姿を見、そして何かに憑かれたように動けなくなった。
『女といって侮りはせぬ!』
 そう叫んではみても、いつものような闘志が湧かない。視線は目の前の女の印象的な
目や、細い腕や、白い腿を行ったり来たりする。おかしい。これは、おかしい。
『あら、貴方がお相手してくださるの?』
『ぬう……は、破廉恥でござる!』
『ふふっ、子供ね……』
咄嗟に出た言葉――その台詞は彼女に向けたものでなく、むしろ自分の邪な視線に
向けたものだったのだが――に、帰蝶は薄く笑った。
 それは幸村をからかうような微笑であったが、幸村はまたも頭の中が真っ白になる。
 美人は泣いても怒っても美しいが、笑顔となるともはや凄味があると言っていい。
 帰蝶の笑みはまさしくそれで、ゆるく唇を持ち上げただけのその微笑に、幸村は
文字通り陥落した。

結果だけ言えば、武田軍は織田軍に勝利し、将であった帰蝶は捕えられた。それだけの
ことだ。
信長の出陣していない織田軍は、手こずりこそすれ、勝てない相手ではない。
自分達はそこまで侮られているのかと信玄は屈辱に震え、その怒りが帰蝶に向かう
のではないかと幸村は気が気でなかった。
 帰蝶の処分を任せて欲しいと積極的に申し出たのも、そういったあせりがあったからだ。
 幸村から人質を引き取りたいなどという申し出を聞いたのは初めてで、信玄は一瞬
訝しげにその眉を寄せたが、存外すぐに帰蝶を受け渡してくれた。
 おそらく、自分の気持ちに気付かれたに違いない。横から幸村に助け舟を出してくれた
佐助も同様だ。あまりの羞恥に叫びながら逃げだしてしまいたい衝動に駆られると同時、
焦がれた女が手元にいるという現実に、幸村は酔いしれるような愉悦を覚えた。
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