――想い――

桜田家にて。
「改めて思いますけど、蒼星石のミーディアムは落ち着いてるですよね」
「うん。一緒にいて凄く気が休まるんだよね」
「みっちゃんみたいな行動はしないのかしら?」
「そんなこと全くしないよ。そんな感じの人には見えないだろう?」
手を軽く振って否定する。
「逆にそれってどうなのかしら?」
金糸雀が含みのある発言をした。
「どういうことです?」
「蒼星石はマスターに愛されてないかもしれないってことかしら!」
「そ、そんなことないよ……嫌われてたらとっくに契約解除なりしてるよ……」
「ここで言っているのは嫌われてるかどうかじゃなくて、愛されているかどうかです」
かなり真剣に詰め寄る翠星石
「そりゃああの男が金糸雀のミーディアムみたいなやつだったら許さんですが、逆に愛されていなければ翠星石のところに来た方が幸せですぅ!」
「善は急げかしら!今夜にでも聞いてみた方がいいのかしら!」
二人とも目が真剣だ。翠星石はどこか期待すらあるように見える。

「二人はあぁ言ってたけど、どう聞けば良いのかな……嫌われてたらどうしよう……」
「どうしたんだ?ブツブツ言って……」
「え?な、なんでもないよ!」

「そうは見えないんだが」
つい食事中だったのを忘れてた……。
「悩みごとでもあるなら話してくれよ?」
「あ、あのね……その……」
「……?」
「ボ、ボクのことどう思ってるの!?」
ついに言ってしまった……。顔が熱い。真っ赤なんだろうなぁ……。
「どうしたんだいきなり……熱でもあるのか?」
「大真面目だよ……」
少しの間があって、マスターは口を開いた。
「まぁ蒼星石のことだ。翠星石あたりになにか言われたのか?」
「……どうしてわかるの?」
「これでもお前のマスターだからな。大方、蒼星石は嫌われてるーとか言われたんだろう?」
ばれてるよ翠星石……金糸雀……。
「じ、じゃあそこまでわかってるならさ……答えを聞かせてほしいな?」
「言葉にしないと……伝わらない?」
マスターの表情に陰が落ちた。
「……え?」
「そんなに……俺は冷たく見えたのかな……?」
「そ、そんなつもりは……」
「あぁ、別に責めてるわけじゃないよ。蒼星石のことは大好きだからさ、そんな悲しい顔しないで?」
「ほんとに……?ボクのことそう思ってくれるの?」
「このタイミングでそんな嘘を吐けるようには俺は出来てないよ」
真摯にこちらを見つめるマスター。

「良かったぁ……」
安心したら涙が出てきた。
「ごめんね……言わなくても伝わると思ってた俺がバカだったよ」
マスターの腕の中はとても、暖かい……。
「もう少しこのままで居ても良い?」
「好きなだけ、気の済むまでいてくれ。俺も、しばらくはこうして居たい」
鞄の中よりも、安らかに眠れる気がした……。