クンクンの人気は以外にも世間的に人気があるらしく東○アニメフェアで映画化が決定していた。
映画公開初日・・・貴方はどうしても蒼星石と一緒に見に行きたくて蒼星石を腕に抱き家を出た。
蒼星石「ねぇマスター。今日は何処へ行くの?」
貴方「今日は映画館へ行こうと思ってな。」
蒼星石「映画館・・・行った事無いし楽しみだなぁ~」
蒼星石は貴方の腕の中でこれから行く映画館という知らない場所を楽しみにしているようだった。
映画公開初日と言う事もあってだろう、チケット売り場の前には人の列が出来ていた。
前売り券とか買っていなかった貴方はその列の最後尾に並んだ。
蒼星石「一杯人が並んでるね、マスター」
貴方「嗚呼そうだな・・・今日はこの映画の公開日だからな、仕方ないだろう。」
貴方「でもこれ位なら直に入場券買えるさ。」
10分位して貴方の買う番になった。
貴方「大人二枚下さい。」
そう言いながら無造作にお金を出す。
係員「大人二枚・・・ですか? 一枚は腕に抱かれてるお嬢ちゃんの分かい?」
貴方「ええ、そうですけど?」
係員「それならそちらのお嬢ちゃんの分は無料で、代金はあんたの分一枚だけで良いよ。」
貴方「えっ?いいんですか?」
係員「いいも何も、幼稚園以下のお子さんはみんな無料さ。」
貴方「あっ・・・そうか・・・。 有難う御座います。」
貴方『今まで蒼星石を一人の女性として見て来たけど・・・世間的には園児くらいのサイズだもんな・・・。』
係員「なーに、御礼を言われるような事はしてないさ。」
そう言われながら差し出されたチケットを受け取る。
蒼星石「有難う、御兄さん」
係員「おじさんでいいよ、お嬢ちゃん。 ゆっくり楽しんでおいで。」
笑顔でうなずく蒼星石に入場チケットを渡して映画館の中へと入っていった。
映画館の中は予想通り混雑していた。
貴方は映画館の真中くらいに空いている席を見つけそこに座る事にした。
貴方「蒼星石、混んでるから俺の膝の上に座りな。」
蒼星石「えっ?!」
蒼星石は突然の貴方の申し出に少し恥かしそうにしている。
蒼星石「・・・そうだね、座れない人が居たら可哀想だし、ボクはマスターの膝の上に座るよ」
その返事を聞いた貴方は、腕に抱いていた蒼星石を膝の上に降ろした。
膝の上に座った蒼星石は貴方に気を使ったのだろう。
かぶっていたシルクハットを自分の膝の上に置いた。
座ってから程なくして映画は始まった。
映画の内容は、クンクンとラプラスと言う名の兎の話だった。
内容は良く覚えてないが、普段のTV放送とはまた少し違った感じがした。
蒼星石は真剣に見入っていた。
映画が終ると、蒼星石はとても満足した表情をしているように見えた。
蒼星石「面白かったねっ。マスター」
貴方「そうだな、TVとは違って迫力もあって良かったな。」
蒼星石「うん。とっても良かった。」
上映が終った映画館は殆どの人が立ち上がり出口に吸い込まれていった。
貴方もその流れに身を任せ映画館を出た。
帰り道、映画館の出口にあった売店で買った等身大のクンクンのぬいぐるみを蒼星石は大事そうに抱きかかえていた。
蒼星石「ねぇマスター・・・。」
なんだか少しうつむいている様に見えた。
貴方「ん? どうした?蒼星石。」
蒼星石「その・・・また連れてって欲しいな・・・映画館…。」
蒼星石「べ、別に、そのマスターさえ良ければ・・・それに時間とか空いてて暇だったらでいいんだけど・・・。」
普段から自分の要求やわがまま一つすら言わない蒼星石の事だ。
言ったら嫌われるんじゃないかとか考えながら言ったのだろう・・・。
貴方「蒼星石さえ良ければ何時でも連れて行くさ。」
蒼星石「えっ!?本当に?」
蒼星石はそんな返事が来ると思っていなかったのだろう。
驚いているのが手に取るように判った。
蒼星石「有難う・・・マスター」
そう言う蒼星石の目には嬉しさで涙が溢れていた。
蒼星石がこんなに喜んでくれるならたまに外に連れ出すのも悪くは無いな。
ハンカチで蒼星石の涙を拭いながら貴方はそう思っていた。
おしまい
最終更新:2006年04月26日 01:00