蒼「ではお言葉に甘えて。」

  蒼星石が庭師の鋏を手に取った。
  と、次の瞬間には水銀燈の懐へと飛び込んでいた。
  一刀両断、水銀燈の上半身と下半身が泣き別れになる。

 銀「ぐっ・・・。」
 蒼「手加減されて喜ぶ君じゃないからね、全力で行かせてもらった。」
 銀「ふん、それでいいのよ・・・私の負け・・・今回はね・・・。」

  地に伏した水銀燈と蒼星石が最期の会話を交わす。

 銀「・・・妙なもんよねぇ。」
 蒼「何がだい?」
 銀「私、真紅、そしてあなた。まるであの時みたい。初めて会ったあの時みたい・・・。」
 蒼「・・・そうだね、あの時はすまなかったね。」
 銀「ふふっ、思えば本当に奇妙な縁よね。あの時も・・・あんたにぶった斬られた。
   そして・・・私は名実共にローゼンメイデンとなった。」
 蒼「・・・・・・。」
 銀「考えてみれば、姉妹達の中で初めて私を心からローゼンメイデンと認識したのもある意味ではあなた。
   ローザミスティカを手に入れローゼンメイデンになったきっかけもあなた。
   そして・・・ローザミスティカを喪い・・・ローゼンメイデンとしての最期も・・・」

  そこまで言って水銀燈のまぶたが落ちた。
  そして水銀燈の胸の辺りから現れる二つの発光する結晶。

 マ「これが、ローザミスティカ・・・。」

  心と命の具現とも言える、温かで美しい光。

 蒼「確かに不思議な縁かもね。水銀燈、そして真紅・・・また一緒に戦おう、今度は力を合わせて。」

  蒼星石がローザミスティカに口を近づける。
  立て続けに閃光が広がる。
  視界が戻ると目をつぶって感慨に浸る蒼星石の姿があった。

 蒼「最初はバラバラだったけど・・・これからは・・・一つだ。」

  その時、新たに誰かが現れる気配。

 雛「あら、出遅れちゃったの。」
 マ「雛苺!」
 蒼「君もここに来たのかい。」
 雛「手負いの水銀燈を倒して手っ取り早く強くなりたかったんだけど、考える事は同じね。」
 蒼「マスター、水銀燈を真紅のところへ。」

  大急ぎで水銀燈の体を抱え込むと真紅の横に慎重に置く。
  二人ともまるで眠っているかのような安らかな表情で寄り添っている。
  こうしていると仲の良い姉妹にしか見えない・・・。
  だが皮肉な事に、それは水銀燈が無残な姿となって初めて得られたのだった。

  それが、無性に悲しかった。