蒼「僕は・・・戦うよ!」
 マ「でも・・・。」
 蒼「止めないで。翠星石も倒れた!僕はその仇を討ちたい。それに・・・アリスになりたい!」
 マ「お父様のために、か・・・。」
 蒼「ごめんなさい。マスターの事が大事でない訳ではないよ。
   けれど、他の姉妹達も倒れた今、自分だけ幸せではいられない。
   ここで進まなくてはきっとこれからもずっと足踏みのままで終ってしまう。」
 マ「・・・止めないよ。蒼星石が本当に望むのなら。」
 蒼「ありがとう。」
 マ「ただ、一つだけ約束して欲しい。勝つために戦って。」
 蒼「もちろんだよ、アリスになるつもりだって言ったよね?」
 マ「そうでした。じゃあ・・・薔薇水晶、ちょっといいかな?」
 薔「なんですか?」
 マ「水銀燈の居所は分かる?」
 薔「雛苺に負けた後にどこに行ったのかは一応確認しました。
   どこかで力尽きてローザミスティカが放置されてもと思いましたので。」
 マ「なるほど、それであのタイミングでの登場になったのか。」
 薔「すみませんでした。」
 蒼「いや、十分感謝してるよ。」
 マ「そこに案内してもらえる?」
 薔「はい。」
 蒼「どういうつもり?」
 マ「雛苺戦のダメージが残った水銀燈を叩く!」
 蒼「えっ!?」

  蒼星石が驚きの声を上げる。
  曲がったことが嫌いな蒼星石のことだ、そんな発想は無かったのだろう。

 蒼「そんな卑怯な真似はしたくない!」
 マ「冷静に考えるんだ。今、僕らは一番不利なんだ。
   相手は真紅のローザミスティカも手にした水銀燈、そして油断はあったろうがそれをも凌駕した雛苺。
   今のままじゃほぼ確実に負ける。少なくとも互いに万全の状態での勝負だったら。」
 蒼「だけど・・・。」

  蒼星石はまだ渋っている。

 マ「悠長にはしていられない。今雛苺に戦いを挑まれたら勝ち目は無いよ。
   さっき・・・薔薇水晶のつぶてが見えたのは雛苺だけだったんだから。」
 蒼「う・・・。」
 薔「確かにそれが得策かもしれません。水銀燈を倒せばローザミスティカ3つ同士で雛苺と互角。
   弱った水銀燈戦での消耗も少ないでしょうし、ミーディアムの分あなた達が有利でしょうね。」
 蒼「・・・・・・。」

  蒼星石は黙っている。
  どうあっても受け入れがたいのだろう。

 薔「逆に水銀燈としては速急に蒼星石のローザミスティカを手に入れたいでしょうね。
   所在の分かる唯一のローザミスティカですし、手に入れれば回復も早まる。
   ローザミスティカが同数なら雛苺に襲われても逃げるくらいは出来るでしょうし。」
 蒼「じゃあそれを向かい撃って戦えばいいじゃないか。確かに厳しい戦いかもしれない。
   でもマスターがついていてくれればきっと負けない!」
 薔「そのマスターを水銀燈は優先的に狙うでしょうね。」
 蒼「え!?」
 薔「水銀燈にしてみれば媒介の生命力でも吸い尽くせば自分は回復でき相手は戦力を落とす。
   狙わない手はありません。場合によっては人質にもなります。ましてや余裕の無い状況ですしね。」
 蒼「だけど・・・。」
 薔「あなたが筋を通すためにマスターを危険に晒すかも、という事です。
   その覚悟が出来ているのなら何も言いません。」

  どこか突き放した薔薇水晶の言葉に蒼星石が辛そうな顔をする。

 マ「・・・確かに。水銀燈だってなりふり構ってられる状況じゃないだろうね。その可能性は大きいと思う。」
 蒼「そうだよね、じゃあ・・・仕方ないよね・・・」
 マ「でも仮にそう出られてもこっちは正々堂々と返してやればいいさ!」
 蒼「・・・え?だけど、マスターが危険なんだよ!?」
 マ「いいんだよ。蒼星石は落ち武者狩りみたいなことは嫌なんでしょ?」
 蒼「だけどそれでマスターが死・・・危険な目に遭ったら・・・。」
 マ「別に命を落としてもいいさ。むしろその時は残された蒼星石が心配だよ。
   万が一にでも蒼星石が倒れてしまったのなら未練も無いしね。」
 蒼「マスターは自分勝手だ!」
 マ「ごめんね、でも蒼星石は僕と一緒にいて幸せだと言ってくれた。
   自分がそれを崩すような事をしたくはない。嫌がることをさせたくない。」
 蒼「いいの?やりたいようにやらせてもらって。」
 マ「いいよ。蒼星石と僕は一心同体だ!」
 蒼「分かった。・・・じゃあ薔薇水晶、水銀燈のところに案内してくれるかい?」
 マ「え!?」
 薔「分かりました。今も居るといいのですが。」
 マ「蒼星石、いいのかい?」
 蒼「『アリスになる』、『マスターを守る』両方やるにはそれしかないからね。
   僕の自己満足なんてそれに比べたら軽いものさ。」
 マ「・・・・・・ありがとう。」
 薔「では・・・行きましょう。早い方がいい。