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  早いものでもうすぐ真紅が来てから一週間が経つ。
  すなわち!真紅がもう少しで帰ってくれるという事だ。
  真紅が帰れば翠星石と雛苺も一緒に帰るだろう。
  なんだかんだで一緒にじゃれてる水銀燈もここは去るかもしれないし、そうすれば薔薇水晶もついていく。
  すると残りは蒼星石を除けば金糸雀だけ・・・・・・なんだか真紅が元凶という気がしてきた。
  とにかくこの七人のドールが居る状況もだいぶ改善されるに違いない。
  そう思うと余裕も出て、いっそ雪華綺晶も含めたドール全員と過ごすというのもやってみたい気もする。
  まあ雪華綺晶はその後もドールの順繰りに各家庭を回ると言っていたからしばらく来ないだろう。
  ・・・するってえと桜田家は三倍の頻度で来ることになるのか、大変だなあ。
  などと考えていたところ、携帯に電話がかかってきた。

 マ「もしもしです。」
 ジ『あ、すいません、真紅と替わっていただけますか?』
 マ「ああ、そばにいるから今替わるよ。真紅ー。」
 真「何かしら?」
 ジ「ジュン君からお電話。」
 真「あら、ジュンから?ようやく頭を下げる気になったのかしらね。」
 蒼「その自信はいったいどこから・・・。」

  まったくである。半ば呆れながら真紅に電話を手渡す。

 真「替わってあげたわよ。用件は手短にね。」
 ジ『お前まだ戻ってこないのか?』
 真「あら、私達が恋しいの?」
 ジ『別に戻って来なくてもいいぞ。』
 真「ふうん、随分と薄情な物言いね。」
 ジ『かもな。なんてったってお前のお宝であるくんくんグッズを売り払っちゃうんだからな。』
 真「なっ!?」
 ジ『いやー、最近はネットで何でも出来るよなー。ネットオークションでどの位の値がつくか楽しみだよ。
   なんてったってあれだけのコレクションはそうそうお目にかかれないもんなー。
   もう手に入らないかもしれないレアアイテムもいっぱいだしさ。』
 真「あなた・・・卑怯よ!!」
 ジ『卑怯で結構。』

  ジュン君が本気と悟ってだろう、真紅がいつになく真剣な表情になる。

 ジ『言っておくが、もう一まとめにさせてもらった。今日帰ってこなかったらもう隠しちゃうからな。
   今は鏡の前で見張ってるから奪還に来ても先手を打たせてもらうぞ。』
 真「・・・売るのをおやめなさい。」
 ジ『お前次第だな。どうするんだ?とりあえず謝罪の言葉を聞ければ許してやるぞ。』
 真「くっ・・・。」

  真紅が懊悩する。
  プライドの高さとくんくんへの愛情がせめぎ合っているのだろう。

 ジ『んー?・・・まだかかりそうだ。なんなら二人で先に食べてろよ。』

  恐らくはのりちゃんに言ったのだろう、かすかにそんな言葉が聞こえた。
  それを聞いた真紅がピクリと反応した。

 真「ジュン・・・発端は私とはいえ、今は翠星石も雛苺もここに居る。
   戻るにしても私の一存で決めかねるところがあるわ。少し時間を頂戴。」
 ジ『いいだろう、3分待ってやる。』
 真「4分にして頂戴。」
 ジ『ふざけた事を言うな。』
 真「そう、分かったわ。」

  真紅の顔は大真面目だったが、それは相談の時間延長に対してではない気がした。
  なんというか・・・何かを企んでて時間稼ぎで話の引き伸ばしをしているようだったというか。
  そして送話口を手で塞ぐとホーリエを呼んだ。

 真「いい、今から200秒後にこれから言う事を決行して。まず・・・それで・・・・・・お願いね。」

  何やら小声であれこれと指示を伝えてからやっと翠星石と雛苺のところに行った。

 真「あなた達、今からホーリエについていって。」
 翠「へ?どこへですか?」
 雛「なんで?」
 真「道すがらホーリエに聞いて頂戴。時間が無いわ、早く!」

  ホーリエが鏡に飛び込む。
  訳が分からぬながらも翠星石と雛苺も後を追った。

 マ「一体何を?」
 真「しっ、3分経つのだわ。」

  真紅が真剣な顔つきで懐中時計の針を見つめている。

 ジ『時間だ、答えを聞こう。』
 真「その前にちょっといいかしら?最初に一つだけ言っておきたい事があるの。」
 ジ『なんだ?』
 真「ジュン、あなたの左手を見て。」
 ジ『はぁ、なんでだよ・・・うぉ、熱っ!』
 真「薔薇の指輪が紅く光っているでしょう?」
 ジ『ああ。・・・まさか人の体力を吸い尽くそうなんて事を企んでないよな?
   早く止めないと今から部屋に行ってくんくんグッズを隠すぞ。』
 真「違うわ。もうやめる。でもね、それは離れていても私達が繋がっている事を表すの。
   目に見えるけど見えない、私達の絆の証なのよ・・・。」
 ジ『真紅・・・。』
 真「ジュン・・・。」

  そしてしばし訪れる沈黙。

 ジ『・・・ごまかされないからな!』
 真「あら人聞きの悪い。」
 ジ『結局お前はどうするんだ?謝るのか?謝らないのか?』
 真「そうね・・・」
 ジ『・・・ぐっ!?』

  ばたんと何かが倒れる音。

 真「謝らないわよ・・・まだ。グーテ・ナハト(おやすみなさい)、ジュン。」

  そう言って真紅がほくそ笑む。
  受話口からかすかだが声が聞こえる。
  聞き取れるか聞き取れないかという声だが、よく知った相手のものなのでなんとか分かる。

 雪『・・・ダイナミック当身。』
 翠『後から言うんですね』
 雛『さー、突撃なの!』
 翠『しー、声がデカイですっ!!!今は隠密行動中・・・』
 の『ジュン君ー、今の音何ー?翠星石ちゃん達の声も聞こえたけど・・・』
 翠『ひぃっ、スィドリームッ!』
 の『あらおかえ・・・り・・・くぅー・・・。』
 翠『よーし、じゃあ今から目的のブツを探しますよ!』
 雛『おー!!』
 雪『おー。』

 真「どうやらうまくいったようね。」

  真紅が満足げに笑って電話を切る。

 金「何があったの?」
 銀「何故か雪華綺晶も居たわね。」
 マ「有言実行で晩御飯を食べに行ってたんだろうね。」
 蒼「なるほど。」
 薔「あの物音は・・・。」
 マ「ジュン君が雪華綺晶に気絶させられたっぽい。」
 金「でもどうやって雪華綺晶にやらせたの?」
 蒼「ホーリエか・・・。」
 真「そう、その通り。ジュンの意識を指輪に集めた隙にホーリエを雪華綺晶のところへ差し向けたの。
   流石に翠星石達が出て行ったら気付かれるだろうから最初は隠れていてもらったのだわ。」
 銀「何もかもあなたが書いた筋書き通りに進んだ、と。」

  その時、翠星石達が帰ってきた。

 翠「帰りましたよ。作戦大成功ですっ!!」
 雛「おもちゃとおやつも持って来ちゃったのー。」
 雪「お邪魔します。」

  三人はお神輿でも担ぐかのように段ボール箱を抱えていた。

 真「お疲れ様。じゃあ早速中身の確認をしようかしら。」

  真紅は箱を開けて膨大な量のグッズをチェックし始めた。

 翠「さあみんな、宴会ですよ!パーッといくです!!」
 雛「ジュースもあるのよ。」
 蒼「えーと、じゃあ・・・お茶でも入れようかな。」

  蒼星石はちょっと困惑した様子でその場を後にした。

 銀「私はヤクルトもらうわね。」
 金「ばらしーは何がいいのかしら?」
 薔「お任せします・・・それにしても・・・皆さん元気ですね・・・。」
 金「ばらしーったら疲れちゃってるのかしら?
   じゃあ健康的にドクターペッパーで決まりね♪」
 薔「・・・・・・どうも・・・ありがとうございます。」
 雪「私はこの青汁というのを。」
 真「じゃあ私はダージリン。早く入れて頂戴。」

  真紅がグッズを確認しつつ声を掛けてきた。
  最早何も言う気になれず、呆れながらその言葉に従った。