※料理漫画の料理って本当に実食しているのかトンデモが多いよね※



 翠「今日のお昼はなんですか~♪」
 マ「今日は餃子だよ。」
 翠「餃子ですか。」
 マ「うん。買い物に行ったらさ、『翡翠餃子』なるものの看板があってね。
   なんとなく翠星石を思い出して面白そうだったから作ってみた。」
 翠「ほうほう、翠星石を。」
 マ「後は焼くだけだから先に向こうで仕度して待っててもらえる?」
 翠「はーいですぅ。」



 翠「・・・だ、そうですよ。」
 蒼「へえ。どんな餃子なんだろうね。」
 翠「きっと翠星石のようにエレガントでゴージャスでオネストな上にファンタスティックな餃子ですよ。」
 蒼「・・・どんな餃子なんだろうね。」
 マ「お待たせー。」

  マスターが餃子の乗ったお皿を運んできた。

 翠「見た目は普通の白い餃子ですね。」
 マ「まずは食べてみましょうよ。はいご飯。」
 翠「そうですね、いただいてみますよ。」
 蒼「ありがとうございます。それじゃあお言葉に甘えていただきます。」

  茶碗を受け取った二人が餃子に手をつける。

 翠「なるほど、緑色ですね。」
 蒼「お野菜がいっぱいで健康的ですね。」
 マ「うん。説明文を読んだけど、春菊・小松菜・ほうれん草を豚肉に入れてるんだって。
   にんにくは抜いたからお昼に食べても安心だよ。」
 翠「ですがこれじゃあ単に変り種ってだけですね。」
 マ「とりあえずは看板にあった紹介通りの物を作ってみたんだ。
   だけどもっといじれるね。それこそ翠星石のイメージを反映させてさ。」
 翠「翠星石のイメージですか?」
 マ「そう、いろいろと手を加える余地はあると思うんだ。」
 翠「頑張るですよ。よっ、平成のミスター味っ子!!」
 マ「へへっ、どうも。でさ、材料はまだあるし、続いちゃうけど今夜も餃子でいいかな?」
 翠「翠星石をイメージした奴ですよね?だったら大歓迎ですよ。」
 マ「それは良かった。蒼星石は?」
 蒼「別に構いませんけど・・・マスター、僕のイメージだったらどんなのですかね?」
 マ「え?えーと・・・」
 蒼「あ、あはは、そんなに真面目に考えなくてもいいんですけど。」
 マ「うーん・・・あ、ブルーレットとか・・・。」
 蒼「・・・・・・。」
 翠「・・・・・・。」
 蒼「ご馳走様でした、お夕飯は翠星石をイメージした餃子で構いませんから。」

  蒼星石がそう言い残して食卓を後にした。

 翠「このおバカっちょ!」
 マ「痛い痛い!」
 翠「蒼星石の心の痛みはもっときつかったですよ!
   なんであの文脈で料理を出して作ってやらなかったんですか!!」
 マ「ううっ、だってそうは思ったけど何も思い浮かばなかったんだもん。
   それに涼しげで清潔感があるし、あると助かるし・・・。」
 翠「ああ、身を削ってまで働くし・・・。」
 マ「そうそう。」
 翠「それにしたってあんなものに喩えられて喜ぶわきゃねえです。」
 マ「思ったけど、黙ってても悪いなあって・・・。」
 翠「とにかく蒼星石に謝って来るですっ!!」



 マ「蒼星石、ちょっといい?」
 蒼「なんですか?さっきの事ならもう気にしてませんよ?」
 マ(さっきの事だなんて一言も言ってないのに・・・やっぱりね)
 蒼「どうしたんですか?」
 マ「さっきはとっさに思い浮かばなかったから変な事を言っちゃったね。」
 蒼「やだなあ、本当に気にしてませんよ。」

  そう言って蒼星石が笑みを浮かべる。

 マ「でさ、今夜の夕食の時に翠星石だけじゃなく蒼星石をイメージした一品も作ろうと思うんだ。」
 蒼「翠星石に何か言われてたみたいですけど大丈夫ですよ。
   そんなのでへそを曲げるほど子供でもありませんから。」
 マ「いや、謝れとは怒鳴られちゃったけどそこまでは言われなかったんだけどね。
   だけどやっぱり蒼星石への気持ちみたいなものも整理して形に現したいんだ。
   二人とも僕にとっては大事な存在だからね。・・・それでいい?」
 蒼「いいも何も・・・じゃあちょっとだけ楽しみにして待ってますね。」
 マ「任せてよ!なんてったって平成の味っ子ですから。」
 蒼「ふふふ、ついさっき襲名したばっかりじゃないですか。」
 マ「ははは、まあ気にしない気にしにない。」



  そして夕方。

 翠「どうですか?何か手伝える事があれば引き受けますが。」

  翠星石が机に突っ伏すマスターに声をかける。

 マ「うー・・・駄目だ、大口叩いたのに全然いい考えが浮かばない。」
 翠「もう時間がありませんよ。」
 マ「だってさ、なんかしっくり来ないんだよね。例えばブルーチーズ。」
 翠「あれって青色でしたっけ?」
 マ「いや、アオカビってなまえだけど蒼くない。ついでに料理したら意味無い。」
 翠「確かにチーズの色は関係無くなっちゃいますよね。」
 マ「あとはさっぱりとしたブルーベリーヨーグルトとか。」
 翠「そりゃどっちかというと紫色ですね。」
 マ「うん。魚偏にブルーで鯖なんてのも考えたけど・・・。」
 翠「そりゃ味っ子じゃないミスターですね。」
 マ「ああ、もうさっぱり思い浮かばないー!!」
 翠「挫けるな、落ち込むな、くよくよするなー、ですぅ!」

  翠星石がマスターの首根っこを掴んでブンブン揺する。

 マ「ちょっと待って、はなせば分かる。」
 翠「放さんです!表には出してませんが蒼星石も期待してるんですよ!
   ふやけた脳味噌に喝を入れてやるですっ!!」
 マ「そりゃ分かってるけどさ・・・あぁっ!!」

  突然マスターが叫んだ。

 翠「ひぃっ!どうしたですか?あの、やりすぎたなら謝りますから・・・」
 マ「今ので閃いた!なんとかなると思う、じゃあちょっと買い物してくる!」

  何やら凄い勢いで出かけていった。

 翠「・・・行ってらっしゃい、ですぅ。」



 そしていよいよ晩御飯。

 マ「準備できたよー。」
 翠「はーい。」
 蒼「今行きます。」

  台所からの声に双子が移動する。
  何が出てくるのかという楽しみを取っておくために離れた所で待機していたのだ。

 マ「じゃあ食べようか。」
 蒼「はい、いただきます。」
 翠「いただきます、早く食べましょう。」
 マ「じゃあまずは翠星石をイメージして作った料理。
   お昼も言ったけれど餃子ね。マスター謹製オレ式翡翠餃子。」

  言いながら卓上にあった食器の蓋を取った。

 翠「おおっ、これは!」
 蒼「皮も鮮やかな黄緑色になってる!」
 マ「皮を作る時にすりつぶしたアスパラを練り込んでみたんだ。」
 蒼「なんかいい香りもしますね。」
 マ「アスパラにバターで下味をつけたんだ。たぶん合ってるとは思うんだけど・・・。
   あ、味付けの必要は無いかもしれないけど一応お醤油にお酢、ラー油もあるよ。」
 蒼「なるほど折衷というやつですね。」
 マ「中身の方はあまり変えられなかったけどね。」
 翠「して、これが翠星石のイメージだというその心は?」
 マ「うん、まず見た感じは芽吹こうとする若々しさというか、元気というか、そんなものを感じさせるように。
   で、中身もイメージカラーの緑で健康的なものに統一したけれどニラとかクセの強いものは避けた。」
 翠「なんでですか?」
 マ「なんだろう・・・なんとなく内面はキツくないというか、優しい感じというか、そんな感じだと思って。」
 翠「なるほど。なかなか高評価ってことですよね?」
 マ「まあね。いつもいろいろとありがたいよ。」
 翠「へへん、感謝しろです。じゃあ蒼星石をイメージした料理というのも出せです。」
 マ「はーい。」

  マスターが大きなお盆をテーブルの下から出した。
  たくさんの瓶と、なにやら金属のカプセルのようなものが載っている。

 蒼「これはシェーカーですか?」
 マ「そう。ブルーハワイを参考にしたんだ。」
 翠「ブルーハワイってあのカキ氷の奴ですよね。」
 マ「元はカクテルでさ、レシピの一例を調べたところ

   バカルディラム40ml、ブルーキュラソー15ml、パイナップルジュース40ml、レモンジュース10ml

   を混ぜるんだって。今回はバカルディラム151というお酒を使って分量もちょっといじったよ。」
 翠「へえーですぅ。」
 マ「で、既にこの中にシェイクしたものが入っております。」

  シェーカーの中身を二つ並んだグラスに注いだ。

 マ「飲んでみて。」
 翠「蒼星石、早く飲んでみろです。」
 蒼「うん、いただきます。」

  蒼星石がこくりと飲む。

 マ「・・・どうかな?」

  緊張した面持ちでマスターが聞いた。

 蒼「美味しいですよ。さっきのお話だともっと甘いかと思いましたが結構あっさりですね。」
 マ「そこは蒼星石のイメージを反映させたからね。きりっとした感じでさっぱりとしてくどくない。
   変に自己主張する事も無く、どんなものとも一緒になってもちゃんと合う。
   だけどそれ自体が単独でもしっかりと堪能出来る。
   ・・・味の方はそんな感じの目指したんだ。」
 蒼「そんな風に言われるとなんだか照れちゃいますね。」
 マ「ついでに言うとその味ならさっきの餃子にもよく合うと思うよ。
   やっぱり仲良しさんの二人の料理だものね。」
 翠「よーし、翠星石がゴッドマザーになってやるです。
   そうですね・・・『可愛さが異常』という意味の『ラピスハワイ』としましょう。」
 マ「どこの言語だ、そりゃ。」
 翠「ふふ、男が細かい事を気にするなです。さあ餃子が冷めないうちに食べましょう。」
 蒼「カクテルもどうぞ。お注ぎしますよ。」
 マ「あ、ありがとう。だけどお酒を飲む前に餃子の残りを焼いてくるね。」
 蒼「そうですか、危ないですもんね。」
 マ「うん、カクテル作る時に味見をしたからそろそろ心配だしね。
   気持ちはありがたいけど今は遠慮しておくよ。」

  うきうきとしたマスターが台所に消えた。

 蒼「なんだかありがたいね。ねえ、マスターをお料理で表すとしたらなんだろうね?」
 翠「そうですね、ご飯なんてどうでしょうかね。」
 蒼「いいかもね。真っ白であったかくて、食事には欠かせないものだね。」
 翠「それに大体のものと合いますしね、特に餃子なんて相性バッチリですよ。」
 蒼「・・・カクテルとはあまり合わないね。」
 翠「まあ気にするなですよ。単なる言葉遊びみたいなものですから。」
 蒼「まあそうだけどさ。」
 翠「それにこいつはなかなか美味しいですよ。」

  翠星石が自分のグラスにお替りを注ぐ。

 蒼「そんなに気に入った?でも飲み過ぎないようにね。」
 翠「大丈夫ですよ、ラム酒なんてお菓子にも使う酒ごときで酔っ払うわけねえです。
   残り少ないみたいですし、こんなの全部飲んでもへっちゃらですよ。」
 蒼「そうじゃなくって、マスターの分が・・・」

  蒼星石が止める間も無く翠星石が一気に残りのカクテルを空けた。

 蒼「どうしたのさ?マスターの分が無くなっちゃったよ!」
 翠「へっへっへ、今から翠星石がさっきのラピスハワイを作るです。」
 蒼「翠星石が?」
 翠「マスターが戻って来たら翠星石お手製のを飲んでもらいます。」
 蒼「大丈夫かなあ。」
 翠「平気ですよ、ここにあるのを混ぜて振ればいいんですから。」
 蒼「分量は?食べ物で遊ぶのは・・・。」
 翠「さっき聞きましたからあとは感覚でやれますよ。」
 蒼「結局勘じゃない。」
 翠「まあ任せろです。これで翠星石の評価も急上昇させてやるです。」
 蒼「ああ、そういう狙いね。ふうん・・・。」



 マ「お待たせー、残りの全部焼いちゃったよ。」

  マスターが大皿を手に戻ってきたところ、翠星石がテーブルに突っ伏して寝ていた。

 マ「あれ、翠星石ったら寝ちゃったの?」
 蒼「カクテルを飲んだせいかな。」
 マ「お酒に弱いんだ。」
 蒼「そうでもないと思うけど、今日はダウンしちゃったみたいだね。」
 マ「仕方ないから二人でいただくか。」
 蒼「そうだね、注ぐよ。」
 マ「ありがとう。」
 蒼「味はどう?実はそれ翠星石が寝る前に作ったのなんだけど・・・。」
 マ「うーん、ちょっと苦くない?アルコールがきつめのような。」
 蒼「やっぱりそう思う?それがずっとネックだったんだよね。」
 マ「ずっと?」
 蒼「そうなんだ、ずっと。実はさマスターが居なくなった後・・・」




 翠「出来ました!」
 蒼「待った!味見をしておこう。」
 翠「味見?」
 蒼「下手なものを飲ませたくは無いだろう?」
 翠「まあそうですけど。」
 蒼「じゃあ僕が飲んでみる。」
 翠「どうぞ。」

  蒼星石が注いだカクテルに口をつける。

 翠「どうですか?うまいですか?美味しいですか?」
 蒼「ふむ、これは・・・却下。」

  蒼星石がシェーカーの中身を一気に飲んだ。

 翠「ええっ!どこが駄目でしたか?」
 蒼「なんというか、苦い。マスターのと違って甘みや香りが弱すぎる。」
 翠「ううっ、じゃあ今度はその辺に注意して・・・」

  翠星石がシェーカーに手を伸ばす。

 蒼「待った。今度は僕が作るよ。」
 翠「え?」
 蒼「僕も作ってみたいから交代ね。」
 翠「ほほう最初からそのつもりで・・・。」
 蒼「なんの事だい?」



 蒼「出来た!正確な分量は分からないけれど、比率は大体合っているはずだ。」
 翠「じゃあ今度は翠星石が味見してみます。」
 蒼「え?」
 翠「味見も交代ですよ。」
 蒼「・・・分かった。」

  翠星石が受け取ったシェーカーに口をつけてちびりと飲む、とそのまま一気に流し込む。

 翠「ぷはぁ、蒼星石もまだまだですね。これじゃあキツ過ぎてさっきの餃子には合いませんよ。」
 蒼「ふうん、アドバイスありがとう。」
 翠「まあ、今の蒼星石のイメージならある意味ぴったりの味かもしれませんがね。」
 蒼「へえ、そんなに尖ってると・・・君もなかなか言うねえ。」
 翠「じゃあ今度こそ翠星石がうまーいカクテルを作っちゃります。」
 蒼「・・・どうぞ。」

  そして双子の勝負は延々と続いたのだった。




 蒼「・・・で、翠星石がそれを作ったところで力尽きちゃったという訳。」
 マ「今回のラム酒は度数が強いから教科書通りの比率より減らしたんだよね。」
 蒼「あははー、道理で苦いと思った。」
 マ「度数75.5度だよ?こんなのをぱかぱか飲んだらそりゃ寝ちゃうわ。
   味見しただけの僕だって既に酔ってきてるもの。
   うわ、瓶の中身が半分位まで減ってる。こんなに飲んだんだ。」
 蒼「マスター、無駄に消費してごめんね。」
 マ「いや、それはいいけどさ。翠星石は酔い潰れちゃったみたいだけど大丈夫かな?」
 蒼「平気平気。ドールだから時間が経てば治るよ。」
 マ「でもなあ、そうは言ってもやっぱ心配だしさ。」
 蒼「うーっ、マスターはいつも翠星石の事ばっかりだね。翠星石の方が大事なんだ。」
 マ「そんな訳じゃないけどさ。・・・蒼星石なんだか様子が・・・そう言えば、交互に飲んでたんだっけ?」
 蒼「そうだよ。」
 マ「もしかしなくてもさ、蒼星石も酔ってるね?」
 蒼「酔ってないよー。」
 マ「蒼星石も休んだら?」
 蒼「平気だよ。待っててね、今から僕特製のカクテルを作ってあげるから。」

  立って移動しようとしたところで蒼星石がよろけた。

 マ「危ない!」

  マスターがそれを受け止めた。

 マ「ほら。やっぱり酔ってるんだよ。すこし休もう。」
 蒼「じゃあ・・・このままこうしていたいな。」
 マ「こうして?抱っこしてればいいのかな?」
 蒼「うぃー、こんな風に馴れ馴れしくしたら迷惑?」
 マ「そんな事ないよ。とっても嬉しいさ。」

  マスターが蒼星石を抱え直して腰を下ろす。

 蒼「本当?僕も翠星石みたいにしていい?」
 マ「翠星石みたいにじゃ無くって蒼星石が好きなようにしてくれていいんだよ。」
 蒼「うん、ありがとう。でも嫌だったら言ってね。話し方とかも無礼で不快だったら戻すから。」
 マ「気にしないよ。これからもこんな感じで気楽に接してくれていいよ。」
 蒼「ふふっ、嬉しいなあ。」

  くっついてきた蒼星石をマスターが優しく抱き締める。
  頭をそっと撫でてやるとなんだかとろんとした感じになった。

 マ(寝ちゃうかな?寝たら二人とも鞄に運んでおくか・・・)
 翠「うー、やいやい!お二人さん見せ付けてくれますねえ!!」
 蒼「・・・うん?」

  その叫びに蒼星石の目も覚めてしまったようだ。

 マ「あ、翠星石起きたんだ。もう大丈夫なの?」
 翠「大丈夫ですよ!」
 マ「無理ならもう寝た方が・・・。」
 蒼「そうだよ、先に寝てなよ。」
 翠「大丈夫と言ってます!そうやって二人きりになろうという魂胆ですか!?」
 マ「いや、違うけど・・・。」
 翠「騙そうったってそうはいかんです!」
 マ「誤解だってば。」
 蒼「流石は・・・僕の双子の姉。やるね。」
 マ「ええっ!?」
 翠「ふふん、まるっとお見通しですよ。」

  何やら二人の間に険悪なムードが漂う。

 マ「あ、そうだ。冷めないうちに餃子を食べましょう。ねっ?けってーい!!」
 蒼「そうだね。」
 翠「翠星石の餃子ですね。」
 蒼「そうだね。」
 翠「ご飯だから早く膝から降りろです。」
 蒼「分かったよ。」

  しぶしぶといった感じで蒼星石が従った。
  そのままマスターの隣に腰を下ろしたところ、翠星石が反対側に座った。
  二人に挟まれたマスターはなにやら窮屈そうだ。

 マ「あ、あのさあ、仲良く食べようねー。」
 翠「大丈夫ですよ。」
 蒼「うん。マスターは心配しないで。」
 マ(ひょっとして、二人も酒乱なんだろうか・・・なおの事しっかりしなくちゃだ)

  三人揃って食事を再開する。
  微妙に気まずくなった空気を打開しようとマスターが話を振った。

 マ「えーと、味付けは変わってないけどさ、どう?あ、ご飯も食べたければお替りできるよ?」
 蒼「美味しいよ、こんなものをいただけるなんて幸せだよマスター。」
 マ「そう?照れちゃうなあ。」
 蒼「本当だよ、マスターももっと食べてよ。」
 翠「そういやあんま食べてませんね。ほれあーんしろです。」
 マ「いやいいよ。」
 翠「遠慮するなです、契約まで交わした仲じゃないですか。」

  なんだか目が据わって有無を言わせぬ雰囲気が漂っている。

 マ「・・・じゃあ。あーん。」
 翠「うまいですよね?」
 マ「まあまあかな。」
 翠「え、まあまあって、すっごく美味しかったですよ。
   まさか・・・翠星石が食べさせたせいでまずくなったと言うのですか!」
 マ「いや、そうじゃなくって自分の作ったやつだから・・・翠星石のおかげでとっても美味しいよ!!」
 翠「へへー、そうですかぁ?遠慮せずに言えばいくらでも食べさせちゃいますよ♪」

  早くも次の餃子を箸で掴んでいる。

 蒼「まあまあ、今度は僕が・・・」
 翠「駄目ですよ。これは翠星石のために作ってもらった料理ですから。
   食べさせられるのは翠星石だけです。」
 蒼「へえ、そんな事を言うんだ。」
 翠「まあ自分で食べる分には構いませんからガンガンどうぞ。」
 蒼「それは寛大だね。・・・だったら、このカクテルは僕が飲ませるよ?」
 マ「え、それキツイ・・・」
 蒼「僕からのは嫌なの?やっぱり翠星石の方が・・・」
 マ「よーし、一気に飲んじゃうぞー!!」

  差し出したグラスに注いでもらうと宣言通りに一気に乾した。

 蒼「大丈夫?」
 マ「美味しかったよ。蒼星石が注いでくれたと思えばアルコールも全然平気だったしね。」
 蒼「ふふっ、そう?」
 翠「よーし今度は翠星石が注ぐ番ですよ!」
 蒼「おや、さっきと言ってる事が違うんじゃないかな?」
 翠「この中身のカクテルを作ったのは翠星石です!だから翠星石にも権利があります。」
 蒼「くっ・・・さっさと空けておくべきだったか。」
 マ「その量を・・・全て飲めと。」
 翠「蒼星石のは飲めても翠星石のは飲めないと言うんですかぁ!?」
 マ「なんか・・・無限ループの予感が・・・。」
 蒼「飲んで・・・くれないの?僕のイメージのカクテルじゃそんなものか・・・。」
 マ「分かったから、飲むよ!ぜひ飲みたい!ちょうだい!!」
 蒼「良かった・・・。」
 翠「じゃあ注いじゃいますよ。」



 マ「やっと・・・空いたぁ・・・。」
 蒼「じゃあ今度は僕がシェーカーを使う番だったね。」
 マ「追加!?なんだかもういっぱいいっぱいなんだけど。
   ちょっとは休ませてよ。こんなへべれけじゃもう立つのすら出来なそうだよ。」
 翠「そうですね・・・ふふん、閃きました。そんなもの無くともカクテルは作れます。」

  翠星石が置いてある瓶を手にして次から次へと口に含む。

 翠「ハフヘフふふっへひゃっははら、はやふのめれふ。」

  自分の口を指差してマスターへ向かってそう言った。

 マ「いや、それは流石に。」

  マスターが首を横に振る。

 翠「はひいっへるはわはりはへんふぁ?」
 マ「分かるけど、いろいろとどうかと思う。」
 翠「ひゃあじふりょふほうひれふ!!」
 マ「待て!」

  マスターがうまく力の入らない状態で逃げようとしたところを背後からがっしりと羽交い絞めにされた。

 マ「いつの間に!そして何故!?」
 蒼「翠星石、やはりここは協力しようか。」
 翠「ほんふぉれふふぁ?」
 蒼「ああ。ただしそのアイディアも共有して、終ったら交代だからね。」
 翠「オーフェイれふ。」
 蒼「じゃあこれで交渉成立と。」
 マ「はーなーせー!!」
 蒼「早くするんだ翠星石。大分酔いも回ってるみたいだけどまだまだ手強い。駄目押ししてくれ!」
 翠「ラヒャー!!」
 マ「待てー!しかもそれ、ラム酒が多いってば!!」

  マスターが足をばたつかせて抵抗する。

 蒼「ふふっ、そんな事してもアルコールが回るのが早くなる上に疲れるだけですよ?」

  実際、すぐに足の動きは止まった。

 翠「よーひ、っふぇふひをほひへはふよ。ははへほふはんふぇひゃりまひょうふぁ。」
 蒼「やめておきなよ。正面からじゃ鼻をつまんだ手を払われるのが落ちだ。
   それに息が苦しくて口を開けたなんて言い訳出来ない方が面白いしね。」
 翠「ほういふほほへふ?」
 蒼「翠星石ちょっと待ってて。今マスターに口を開けてもらうから。」

  蒼星石が羽交い絞めのままマスターの首筋に舌を這わせた。
  その瞬間、マスターの体がビクンと反応する。

 蒼「翠星石、チャンスは見逃さないようにね。マスターが喘いだら一気に行くんだよ?」
 翠「りょーはいへふ。」

  その間も舌は這いずり回り、首筋から耳から至る所を襲う。

 マ「・・・ん・・・んー!!」
 翠「まるふぇおんはふぉふぉみふぁいれふね。」
 蒼「無理しなくてもいいんですよ。だんだんとどうすれば悦んでもらえるのか分かってきちゃいましたよ?」
 翠「ふぁんふぁ・・・そうへいへひばっふぁりずるいれふ。」
 蒼「いいじゃないか、君には一番乗りを譲ってあげたんだからさ。
   それとも今から役割を交換するかい?」
 翠「いやふぇふ!!」
 蒼「じゃあそこで待ってなよ。」
 翠「ふぁーい。」

  再び蒼星石がマスターを責め始める。
  舌だけでなく、歯や柔らかい唇も駆使して執拗に責め立てる。

 マ「・・・ぅ・・・・・・ん・・・。」
 蒼「ふふふ、もっともっと我慢してくれていいんですよ?その方が僕は愉しいですから。」

  しばらくして我慢の限界を超えたらしい。

 マ「・・・ぁっ!!」

  マスターの口がだらしなく開く。
  そこを逃さずに翠星石が詰め寄った。

 翠「んんっ・・・んっ・・・。」
 マ「ん、んぐっ・・・。」
 蒼「ふふっ、マスターったらなんか可愛いですよ。」
 翠「・・・ふー、あごが疲れました。」
 蒼「じゃあ翠星石、交代ね。」

  ぐったりとしたマスターの体を支えたまま蒼星石が急かす。

 翠「はいはい。」
 蒼「もう大丈夫だろうけど、一応逃げられないように気を付けてね。」
 翠「分かってますよ♪」
 マ「あのさ、もうやめよう?じゃないと・・・もう・・・僕も・・・」
 蒼「ひゃあたのふよ。」
 翠「了解ですぅ。さーて、今度は翠星石の番ですね。
   頑張って我慢してくださいね♪」







 翠「う・・・ん・・・。」

  翠星石が水の流れる音で目を覚ました。

 マ「あ、起きた?」

  何やらマスターが洗い物をしていた。
  もう朝のようだ。

 翠「なんだか・・・頭がズキズキするです。」
 マ「お酒が空になってたからねえ。誰がどう飲んだかは分からないけど翠星石も結構飲んだんじゃない?」
 翠「昨日・・・何があったか覚えてないんですか?」
 マ「え・・・僕が何かしでかしちゃったとか?だったら謝るよ。」
 翠「いえ別に・・・おや、蒼星石は?」
 マ「ああ、寝室。鞄で寝てるよ。」
 翠「流石ですね。じゃあちょっくら起こしてきます。」
 マ「あ、いや・・・もうすぐ起きるだろうし寝かせておいてあげようよ。」
 翠「・・・そうですね。」



 蒼「・・・あ、起きなきゃ!痛っ!!」

  起き上がろうとしてゴツンと頭をぶつけてしまった。

 蒼「うーん、あたた・・・あれ?ここは鞄の中?」

  外で寝てしまったと思ったのだが、いつの間にか鞄に入っていた。
  蓋を開けてみる。寝室には誰も居ない。

 蒼「えーと、昨晩は・・・って、ふ、服がはだけてる!!」

  蒼星石は大慌てで身繕いをした。



  翠星石が起きてからしばらくして蒼星石も現れた。

 蒼「あ、マスターおはよう。寝坊してごめんなさい。」
 マ「平気だよ。僕もさっき起きたからね、朝ごはんはもうちょっと待ってて。」
 蒼「はい。・・・あの、昨日の事・・・何か失礼な事しなかった?」
 マ「・・・別に?そんな事があった記憶は無いけど・・・。」
 蒼「そう・・・それなら良かった。」
 翠「じゃあ食器の仕度でもしてますか。」
 マ「うんお願いね。」

  こうして一見いつもと同じように、それまでとはまったく違った生活が始まった。


      <<And that's all・・・?>>









※※※※この先は楽屋裏的なものなのでそういうので醒める人は見ない方が吉(見なくても困りません)※※※








※裏設定的なもの:でも真実は読んだ人の数だけあります※
 しかも知らない人には意味不明なネタでお送りされてます


あのカクテルの名前は何語なの?

そう、ペルー用語でラピスハワイ
※ジョジョの奇妙な冒険のシュトロハイムというキャラのセリフが元です
 ついでに『And that's all・・・?(それでおしまい?)』は伯爵カイン・ゴッドチャイルドという漫画のシリーズより
 次回予告の文句でしたがこの話が続くかは知らない


ひょっとして蒼星石の口調でシリーズの時系列が大まかに分かるの?

見つけた!蒼星石の3文字(笑)
※ぶっちゃけノリで合うと感じる方にしてるよ
 ただ過去のエピソードを踏まえる事はあるかも


酔った時の事って覚えてないんじゃないの?

なんで?三人とも忘れてないよ
※蒼星石の口調がらみで考えると三人ともそれをお互いになんとなく察してるよ


だって三人とも酒乱なの?

もちろんマスターも酒乱だよ
※お酒を飲んで迷惑かけるのは完全にNGだね


なんで?だって蒼星石の服がはだけてたということはマスターが脱がせたんでしょ?

違うよ。全然違うよ。


でも、翠星石なんでしょ?

全然違うよ。全く関係ないよ。


へー、じゃあ、蒼星石の服がはだけていた理由は何なの?

じゃあ、簡単に説明してあげるよ。まず、脱いだのは蒼星石自身です。
お酒を飲んで大暴れしているうちに、三人ともその場で寝てしまったんだ。
そのような状態を、たまたま一番早起きしたマスターが見つけたんだ。
これは不可抗力。誤解されちゃいます。
でもマスターは服を完全には着せられなかったんだ。とりあえず着せられるだけ着せて蒼星石を鞄に入れたんだよ。


大暴れって何をしたの?蒼星石はどこまで脱いだの?

ではこんな事を語るのも野暮なのでさらばじゃ! ドロン‘‘パッ


以上マーク・パンサーのガイドラインネタ
酔った勢いで書いてしまったがちょっとこうかいしている