蒼「何をごそごそとやってるの?お夕飯足りなかったかな。」
  マスターが台所で何かしているのに気付いた蒼星石が話しかける。
 マ「いや違う違う。ちょっとクッキーでも焼こうかと思って。」
 蒼「クッキーを?なんでまた急に。」
 マ「明日はホワイトデーだからね。いい機会だから久し振りに焼いてみようかなって。」
 蒼「僕も手伝った方がいいのかな。何人分焼くの?」
 マ「そうだなあ、真紅たちにあげて他に貰った女の子達にもあげて・・・十人分強くらいかねえ。」
 蒼「へえ・・・結構貰ってたんだ。」
 マ「義理という名のしがらみですな。正直くれなくてもいいんだけどねえ。」
 蒼「だったら簡単に買って済ませちゃえばいいのに。」
 マ「まあそうなんだけど・・・」
 蒼「何か理由でもあるの?」
  言いにくそうにしているマスターに質問する。
 マ「まあちょっと恥ずかしいけど・・・好きだからかな。」
 蒼「え!!」
  マスターの発言に蒼星石は仰天した。
 マ「あとは買うと金額の3倍返しがどうとか煩わしいし。・・・やっぱり男でお菓子作りが好きなのって変かな?」
 蒼「いや・・・しかし・・・ということは・・・こうなって・・・」
  しかし蒼星石は何やら考えているようで聞いていない。
 マ「おーい、どうしたのー?やっぱりやめておいた方がいいと思う?」
 蒼「あのさ、それはどの程度の好きなの?」
 マ「程度ねえ・・・大好きなのかな。こんな事やったら楽しいだろうなーってよく考えるし。」
 蒼「こんな子とヤッたら楽しい!?・・・そんな事は軽々しく言うもんじゃないと思うよ。」
 マ「やっぱ引くか。じゃあ無難そうなのをお菓子屋さんで買ってくるよ。」
 蒼「ちょっと待って、僕も手伝うよ。」
  蒼星石がマスターの服の裾をつかんで引き止めた。
 マ「おや?」
 蒼「きっとうまくいくように頑張ろうね!」
 マ「う、うん。頑張ろうね。」
 蒼「じゃあ早速だけど作ろう。」


  いろいろな形にくり抜いた生地を予熱しておいたオーブンに入れる。
  あとは焼きあがるのを待つだけだ。
 蒼「そう言えばさ、クッキーはいいとしてこれはどうやって渡すの?」
 マ「以前買ってあったラッピング用の袋が残ってたからそれに入れるよ。」
  マスターが透明のプラスチック袋を見せる。モールも金一色の地味な奴だ。
 蒼「それだけ?」
 マ「十分でしょ。」
 蒼「ねえマスター、やっぱりもっときちんとしたものに入れたほうがいいと思うんだ。」
 マ「ただの義理チョコにそこまでするのもなんか期待しているみたいでやだよ。」
 蒼「ダメだよ。やっぱりそういったところで印象が格段に変わるんだから。」
 マ「そういうもんなの?」
 蒼「そうだよ。だからここは僕が見ておくからマスターはラッピングを買ってきて。」
  蒼星石の有無を言わさぬ様子にマスターも気圧される。
 マ「えーとさ、もうこんな時間だし今回はいいんじゃない?」
 蒼「まったく・・・そういうところがあるから心配なんだよ。さっ、早くして!」
 マ「はーい。大急ぎで行ってきますよ。じゃあ任せたからね。」


 マ「言われた通りに可愛らしい袋とリボンを買ってきたよー。」
 蒼「あ、お帰りなさい。クッキーも冷めたから早速ラッピングしちゃうね。」
  蒼星石が丁寧にクッキーを袋に分け、リボンで飾りを作る。
 マ「おお、なんだかすごく洒落ている。」
 蒼「ふふ・・・リボンで薔薇を作ってみたんだ。」
 マ「蒼い薔薇か。蒼星石みたいだね。見事すぎてなんだか渡すのが惜しくなっちゃうよ。」
 蒼「ありがとう。でもちゃんとお返しはしなきゃダメだからね。」
 マ「これであとは渡すだけか、なんだかほとんどやってもらっちゃったなあ。」
 蒼「いいんだよ、マスターのためだけじゃなく僕のためでもあるんだからさ。」
 マ「本当にありがとう、感謝してもしきれないや。」
 蒼「マスターにそう言ってもらえるのなら僕だって嬉しいさ。じゃあ真紅たちには僕が渡しておくから。」
 マ「うん、頼んだよ。こればっかりだけど本当にありがとね。」
 蒼「そんな風に言われたら・・・かえって困るよ。」
 マ「なんで?・・・困らせてごめんね。」
 蒼「・・・なんでもない。マスターが悪いんじゃないんだ・・・。」



 マ「ただいま~♪」
  朝出かける前に聞いていた予定よりも遅い時間になってようやくマスターが帰ってきた。
 蒼「遅かったじゃない。心配してたんだよ。」
 マ「ごめんごめん、ちょっとね~♪」
 蒼「どうしたの?なんだかやけにご機嫌だね。」
 マ「いやー、蒼星石のアドバイスに従ったおかげでとってもいい事があってさ。」
 蒼「いい事って、い、一体何があったの?」
 マ「お返しを渡した子がさ・・・」
 蒼「渡した子が・・・?」
  固唾を呑んでマスターの次の言葉を待つ。
 マ「とってもキレイなラッピングで素敵だってさ♪」
 蒼「・・・それだけなの?何かこう関係に進展があったとかさ。」
 マ「そういうのは一切無かったなあ。」
 蒼「それのどこがいい事だったのさ。」
 マ「大評判だったからさ、蒼星石が褒められたと思ったらもう我が事のように嬉しくって。なんだか鼻が高いよ。」
 蒼「なんだそれだけか。」
  マスターの言葉に拍子抜けする。
 マ「なんだとはひどいなあ。本人そっちのけで喜んでるのに。」
 蒼「ところで・・・一番大好きな人とはどうなったの?」
 マ「えーとね・・・それはまだだけど・・・。」
 蒼「返事待ち?」
 マ「これから渡すんだ。」
 蒼「これからってまさか今からデートとか?」
 マ「デート・・・そこまでは用意できなかったけど・・・受け取って!!」
  マスターがポケットから小箱を取り出して蒼星石の前に突き出す。
 蒼「・・・これは?」
 マ「えーと・・・一番・・・大好きな・・・蒼星石へのお返し。」
 蒼「え・・・!?」
 マ「改めて言うと恥ずかしいよ。なんか今日の蒼星石って大胆だね。」
 蒼「・・・僕に?」
 マ「そうだってば!」
 蒼「でもこんな高価そうな物を貰っちゃ悪いよ。」
 マ「本当にいつもありがとね。でさ、これはほんの気持ちなんだけど少しでもお返しになればいいかなって。」
 蒼「もうクッキーを貰ったよ?」
 マ「やっぱり一緒に作ってもらったクッキーだけじゃ悪いし、それに蒼星石には何か特別なものをあげたかったから。」
 蒼「だけど・・・」
  蒼星石が小箱に手をかけながらも受け取るのをためらう。
 マ「それとも何かい、さっき言ってたデートの方が良かった?」
 蒼「あ、あれは勘違いだよ!・・・これ貰っちゃうからね!!」
 マ「受け取ってもらえて嬉しいよ。」
 蒼「こちらこそ本当にありがとうございます。じゃあもう遅いしご飯にしよう。」
 マ「はーい♪」




 突然ですが某所にて三人の女性が酒を飲みながら話している
 本日はそんな女同士の会話の世界へ皆さんをご案内しよう

 A「ところでさ、あのお返しびっくりしなかった?」
 B「したした!」
 C「っていうか、ちょっと怖くない?」
 B「怖い怖い。」
 A「でも浮いた話が無かったのに意外だったわね。」
 C「美味しく出来てたよね。」
 B「あんたアレを食べたの?」
 C「食べたけど?」
 B「毒でも入ってるんじゃないの?」
 C「まーさかー。」
 A「でもあのラッピングといい凄かったわよね。」
 C「すさまじいまでの気合は感じたわ。」
 B「あの『私のものだから近寄るな!』ってオーラはね・・・。」
 A「薔薇だけに棘があったわよね。」
 B「何うまい事言おうとしてんのよ。」
 C「当の本人はまったく気付いてなかったけどね。」
 B「そう言えばさ、話は変わるんだけど今回のお返しで・・・」
 C「え!それ本当なの!?・・・」
 A「あの人が?意外ねー!・・・」

 3時間後・・・そこには相も変わらず世間話を続ける3人の姿が!
 厳しいようだがこれも恋愛の駆け引きの結果なのである




  夕食を済ませた後、お風呂から上がったマスターが髪を拭き拭き蒼星石のところにやって来た。
 マ「プレゼントどうだったかな。気に入ってもらえた?」
 蒼「あー、それが・・・そのー・・・。」
 マ「気に入らなかった?」
 蒼「まだ見てないんだ。」
 マ「なんでさ。」
 蒼「開けるまでのこのドキドキとした感じをもう少し味わいたいというか・・・。」
 マ「その気持ちも分かるけどね。でもやっぱり反応が気になるしここで開けちゃってよ。」
 蒼「うん、そうする。」
  蒼星石が丁寧に小箱の包装を解く。
 蒼「あ・・・。」
 マ「どうかな?帰りがけに探してたんで吟味が足りないかもしれないけど。」
  中に入っていたのはシルバーの髪飾りだった。
 蒼「ありがとう!大切にしまって宝物にするね。」
 マ「いや、つけてよ。せっかく買ったんだからさ。」
 蒼「傷つけたりしたらもったいないし、それに・・・こういうのは柄じゃないと思う。」
 マ「・・・それさ、蒼い薔薇の装飾がついてるでしょ。」
 蒼「うん。」
 マ「沢山あるうちからそれを見つけたらさ、ぱっと蒼星石の顔が浮かんだんだ。それをつけたら似合うだろうなあって。」
 蒼「・・・・・・。」
 マ「それでも・・・ダメ?」
 蒼「ごめんなさい・・・マスターの期待を裏切りたくはないから・・・。」
 マ「そうか・・・じゃあ仕方ないね。いつか気が向いたらつけて見せてね。」
 蒼「本当にごめんなさい、わがままで無駄な出費にしてしまって。」
 マ「別にい・・・じゃあ償ってもっらっちゃおうかな。」
 蒼「・・・・・・え?」
 マ「ちょっと待っててね。タオル置いてくるから♪」
  戻ってきたマスターは手に何かを持っている。
 蒼「それは・・・」
 マ「前買ったお揃いのパジャマー♪今夜は久し振りにこれ着て一緒に寝て♪」
 蒼「う、うん。それでマスターがいいって言ってくれるなら。」
 マ「ありがとう。蒼星石だーいすき!」
  マスターが蒼星石を背後から抱き締める。
 蒼「ふふ・・・マスターにそうされるのは嬉しいけど・・・着替えられないから離して。」
 マ「ダメ♪」
 蒼「・・・え?」
 マ「今日はお着替えさせてあげるんだー♪」
 蒼「マスター・・・そんなハイテンションで何を言って・・・。」
 マ「はいはい脱ぎ脱ぎしましょうねー。」
 蒼「ちょっと!本気なの?」
 マ「もうー、暴れたら手元が狂っちゃうよー。」
 蒼「動かないからそんなところから手を離してよ。」
 マ「あれ・・・いざこうしてみると結構複雑だな・・・。」
 蒼「だ、だから・・・変なところを触らないで!」
 マ「まっいいかー。こうしてるのもなんか楽しいや♪」
 蒼「お、怒っちゃ・・・う、よ!」
 マ「あー怒った顔もそれはそれでかわいー!すりすり・・・。」
 蒼「もう・・・マスターなんか知らない!!」
  その後なんとか着替えて就寝するまでに小一時間はかかった。




 蒼「マスター、マスター、もう朝ですよ。早く起きてください。」
  蒼星石に起こされたマスターが上体を起こす。
 マ「うーん・・・おはよう・・・先に起きて着替えちゃったんだね・・・あれ?なんで帽子かぶってるの。」
  まだ半分は布団に入ったまま、寝ぼけまなこで尋ねた。
 蒼「昨晩の一件で気付きました。僕はたるんでいたと!」
  やけに改まった口調で蒼星石が力説した。
 マ「ほう。」
 蒼「あんな風にマスターと仲良くしてばかりで本当にいいのかと!」
 マ「仲悪いよりはいいんじゃないの?運命共同体でしょ。」
 蒼「ま、まあその方が僕も・・・じゃない!それではいけないのではないかと気付いたんです。
   薔薇乙女の一員たるものとしてのあり方をしばらくマスターとの距離を置いて見つめ直すべきではないのかと!」
 マ「じゃあさ、これからは今までみたいに気軽に蒼星石をなでなでさせてもらえたりはしないの?出かける前とか。」
 蒼「そ、それは・・・うーん・・・。」
 マ「それにさ、普段からそんなに張り詰めていたら肝心なときに疲れちゃうよ?」
 蒼「い、いえ!僕はいつ戦いになってもいいように、僕の正装であり武器にもなるこの帽子を片時も離さず・・・」
 マ「うっ!?」
  突然マスターが左手で胸を押さえて前のめりになる。
 蒼「・・・マスター?」
 マ「蒼星石・・・力を・・・?戦いって・・・まさか・・・もう・・・。」
   蒼星石が苦しげにあえぐマスターに慌てて駆け寄る。
 蒼「馬鹿な!そんなはずは・・・マスター指輪を見せて!!」
  陰になって見えない左手の指輪をマスターの体に潜り込むようにして確認する。指輪に異常はない。光ってすらいない。
 蒼「おかしい・・・やっぱりだ。マスター本当に・・・」
  見上げるとマスターの満面の笑みがあった。
 蒼「・・・あれ?」
 マ「いやーもうすっかり良くなっちゃった♪」
 蒼「あっ!!」
 マ「片時も離しちゃったね。」
  笑顔のマスターが右手の人差し指でシルクハットをくるくる回しているのを見て蒼星石は頭を押さえる。
 マ「隠さなくてもいいじゃない。やっぱり似合うよ。」
  蒼星石の髪には昨日プレゼントした髪飾りがつけられていた。
 蒼「マスターの意地悪・・・ちょっとの間だけ、こっそりとつけるつもりだったのに。」
 マ「隠すだなんてもったいない。というか僕にくらい見せてよ。」
 蒼「あんな風に騙すなんて・・・本気で心配したんだよ!!」
 マ「だって蒼星石が下手な嘘つくんだもん。帽子の位置も不自然だったし。」
 蒼「マスターは嘘が上手すぎるよ!」
 マ「いやー、そんなに名演技だった?ジョセフみたいになれるかな。」
 蒼「もう知らない!!」
  怒った蒼星石がそっぽを向いてしまう。
 マ「ごめん、反省してる。大事な帽子を勝手に取ったことも謝るし、あんな嘘をついたこともお詫びする。だから許して?」
  蒼星石に帽子をかぶせながらマスターが謝った。
 蒼「・・・しばらく信用できない。」
 マ「これは手厳しい。」
 蒼「じゃあちゃんと僕の目を見て言ってみてよ!」
 マ「本当に反省した、自分はなんと申し訳の無い事をしたのかと心から悔やんでいるよ。」
 蒼「どれ・・・。」
  蒼星石がマスターと顔を近づける。
 マ「蒼星石の眼って綺麗だね♪」
 蒼「・・・マスターの目は笑ってる。」
 マ「そりゃあこんな可愛い子と向かい合って頬の緩まない男なんてファンタジーやメルヘンにも居ませんよ。」
 蒼「そういったところがやっぱ信用できない。」
  マスターはまた蒼星石に顔を背けられてしまう。
 マ「もう勘弁してよ。なんでもするからさ♪」
  それを聞いた蒼星石が笑顔をマスターに向けた。
 蒼「今『なんでも』って言ったね?・・・じゃあ『償って』もっらっちゃおうかな。」
 マ「・・・・・・え?」
 蒼「じゃあ昨日してくれたみたいに着替えさせてもらおうかな。」
 マ「う、うん。・・・そんなんでいいの?」
  蒼星石がマスターの着ているパジャマの上着のボタンを外す。
 蒼「そう言えばいろいろとおいたしてくれたよね。」
 マ「あ、あはは・・・はい。」
 蒼「お返しだけじゃなくお仕置きもさせてもらおうかな。」
 マ「・・・お手柔らかにね。」
  蒼星石の笑顔が持つプレッシャーに引きつりながらも答えを返す。
 蒼「じゃあ今から何をしてもマスターは抵抗しちゃ駄目だからね。」
 マ「うう、分かりました。」
  マスターが覚悟を決める。
  とりあえず全部のボタンが外された。
 蒼「これで良し、と。」
 マ「何をするの?」
 蒼「うーん、健康チェックでもしておくかな。やっぱりマスターが元気か確認しておきたいし。」
 マ「蒼星石・・・。」
  マスターが安堵と感動の混じった表情をする。
  だがその期待はすぐさま裏切られた。
 マ「・・・って何してるの!?」
  蒼星石の手がマスターの手やら足やらをぐにぐにと揉みだした。
 蒼「何って触診だよ。ちょっと筋肉のつき方とかを調べようかと。栄養面の管理上からも知っておきたいしね。」
 マ「あのさ、それにしては手つきがおかしいというか、やけにくすぐったいんだけど。」
 蒼「そうなるようにしてるもの。」
  しれっと蒼星石が言った。
 マ「・・・・・・。」
 蒼「じゃあ本格的にいくね。」
 マ「待った!くすぐったい!・・・脇腹は駄目だって!!」
  マスターが笑いながらのた打ち回る。
 蒼「うん、元気みたいで何よりだね。」
  蒼星石の手が移動する。
 マ「ちょっと・・・そこは・・・。」
 蒼「胸だね。」
 マ「女の子がそんなところを触っちゃ・・・こすったらもっとらめぇ!」
 蒼「じゃあつまんでみよう。」
 マ「待って!ぼ、僕だってそこまでは・・・!」
 蒼「ふふふ・・・お返しは3倍にしてが基本らしいじゃない。」
 マ「おかしいから!やった事が明らかに3倍以上になって返ってきてるから!!」
 蒼「利息ってやつだよ。それに何でもするって言ったじゃない。」
 マ「言っ、言ったけどさあ・・・」
 蒼「そういえばこんなこともしてくれたっけ?」
  敏感なところをちろちろと舌でくすぐる。
 マ「し、してない!そこにはしてないって!0の3倍は0だよね、OK?」
 蒼「そっか・・・じゃあサービスでしてあげるね♪」
 マ「なんという理不尽!!」
 蒼「遠慮しないでいいよ。マスターのこと大好きだからやってあげるんだよ?」
  蒼星石が顔を近づけて丹念に舌で撫で回す。
 マ「く・・・ぅ・・・。」
  何か反応しても逆効果だと分かっているのでマスターはぎゅっと目をつぶって黙って耐えている。
 蒼「まあ他にも調べたいし、ここはこの位でいいか。」
  つまらなそうにそう言って次の場所へと狙いを移す。
  ゆっくりと時間をかけて蒼星石がマスターの全身を一巡りし終えた。
 マ「これで一通り終わりかな?終わりだよね。」
 蒼「それじゃあとりあえずこんなところでいいか。」
  マスターは朝っぱらから既にくたくたになっていた。
 マ「もういいでしょ?早く着替えさせて。」
 蒼「仕方が無いなあ。じゃあ一気に上着を脱がせちゃうね。」
  蒼星石が上着の襟の部分を持って後ろに引っ張る。
 マ「はいはい。」
  マスターが両手を後ろに回す。
  蒼星石に引っ張られた上着がするすると裏返り、袖が脱げていく。
 マ「・・・まだ?」
  後は手から抜くだけなのにやけにもたついている。
 蒼「えーとね・・・ちょっと待って・・・コレデヨシ。」
 マ「どうしたの?」
 蒼「ごめんね、絡まっちゃった。」
 マ「・・・・・・はぁ?」
 蒼「パジャマが腕に絡んで抜けなくなっちゃった♪」
 マ「そんな訳が・・・くっ!くっ!」
  マスターが身をよじるも疲れのせいもあってか解ける気配はない。
  上着によって後ろ手に拘束されてしまったらしい。
 蒼「あーあ、これはしっかり絡まっちゃってるね。」
 マ「・・・さっき・・・これでよし、って言ってたよね?」
 蒼「仕方ないからしばらくは僕がお世話してあげるから。」
 マ「これでよしって言ったよね!?」
 蒼「なんのこと?」
 マ「謀ったな、蒼!」
 蒼「じゃあ諦めて下から着替えようか。」
 マ「この状況でズボンだけ替えて何の意味が・・・。」
 蒼「ズボンなんて飾りですよ、だから脱いじゃいましょう。」
 マ「ちょ・・・下着にも手がかかってる!」
 蒼「聞こえなーい♪」
 マ「もう許してーー!!」
  この後どこまでで許してもらえたのかはご想像にお任せする。