マ「たーだーいーまー!ちょっと来てーーー!!」
  なにやら玄関から必死な声が聞こえた。
  蒼星石が現場へと急行する。
 蒼「そのカッコは一体どうしたのさ。」
  マスターは両手に紐で結わえられた白菜を一杯抱え、買い物用のバッグからは何本もの大根が突き出ている。
 マ「とりあえず説明は後!運ぶのを手伝ってよ。もう限界!!」
  蒼星石と手分けして野菜の山を台所へ運び込む。
 蒼「で、これは何があったの?」
 マ「えーとね、いつも車で野菜を売りに来るおじさんの話はした事あるよね?」
 蒼「市場から直接仕入れて売ってるんだよね。安いからいつも使ってるって。」
 マ「そうそう。」
 蒼「それがどう関係あるの?」
 マ「それがさ、白菜が余っててこのままだともう捨てなきゃいけないからってくれたんだ。」
 蒼「へえ、くれたんだ。」
 マ「うん、お得意さんだからって。」
 蒼「・・・限度って物があるでしょ。」
 マ「でもくれるって言うとついつい貰いたくなっちゃって。捨てるのももったいないし。」
 蒼「もう!二人であんなに食べきれないよ。大体マスターは後先を考えなさ過ぎだよ。」
 マ「そ、そうかな?」
 蒼「そうだよ!それで必要ないものまで貰っちゃったり、いつか使うかもって言って物を整理できなかったり・・・」
  話が発展してお小言になってしまった。
 マ「ま、まあ勘弁してよ。真逆の性格だったらひょっとして蒼星石とも出会えなかったかもしれないし。」
 蒼「確かにマスターの場合すさまじいまでに即決だったらしいね。
   レンピカ達の間でもかつて無いくらい迷いも疑いも無く『まきます』としたって語り草になってるとか。」
 マ「だからさ、とりあえずそれだけでも自分としてはこの性格に感謝してるんだよ。」
 蒼「そ、それは僕もだけど・・・って、論点がどんどんずれてるよ!それで大根も同じ理由なの?」
 マ「いや、それは白菜と大根があれば鍋にいいなーって自分で買った。」
 蒼「なんでわざわざ状況を悪化させるのさ!」
 マ「だって・・・貰ってばっかりじゃおじさんに悪いし・・・ごめん。」
  マスターが叱られた子供のようにしゅんとしてしまう。
 蒼「ま、まあ買っちゃったものは仕方が無いよね。どう消費するかを考えようよ。ね?」
 マ「そうだ!みんなを呼んで鍋パーティーをしよう。野菜も片付くし楽しいし一石二鳥。」
 蒼「みんなで・・・お鍋?」
 マ「うん、ジュン君ちとみっちゃんさんちに連絡してさ。みんなで具材を持ち寄って闇鍋みたくしてもいいし。」
 蒼「マスター、これだけは真剣に忠告しておくよ。それはやめた方がいい、地獄を見るよ。」
 マ「あ、そ、そうなの?じゃあ普通にみんなでちょっとずつ作る形式にしようか。
   材料とかもいろいろ買っておこうかな。あー楽しみだなー。」
 蒼(マスターって貧乏性なのか気前がいいのか分からないな。でも・・・楽しそうだからいっか。)
  嬉しそうにするマスターを見て蒼星石も自然と微笑んでいた。