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「」のところは自分の名前でも入れてください。

タイトル「蒼星石と愛のエプロン」


「・・・さて、今年もこの日がやって参りましたよ・・・」

憂鬱そうにそう呟く男が一人。その顔は妙に暗い。
それもそのはず。何を隠そう、今日はバレンタインだ。
この日はクラスの男子の「格」が目に見えて現われる日だ。
チョコレートの数=女子の人気という嫌な公式が成り立つ日だ。
いゆわる美形の奴は今日ほど嬉しい日はないだろうが、
俺みたいないまいちパッとしない奴にとってこれほど憂鬱な日は無い。
クラスがワイワイ盛り上がってる中、惨めにしていなくてはならないからだ。

「ああ、・・・今日は大学休むか・・・」
ふと鏡に目をやる。自分でいうのもなんだが、俺の顔はいゆわる
フツメンって奴だ。美形でもないし、不細工でもない。
だが、いまいち女性との交流が苦手なため、女性を敬遠してしまう。
貰えないのはそのためだ・・・と思いたい。
俺がもう一度寝ようとベッドに潜り込んだ時、さっきまでnのフィールドに出かけていた
蒼星石が帰ってきた。

「マスター!おはよう。早く起きて!ほら早く!」

「どうしたんだ?用事はもう終わったのか?」

「ううん、これからだよ。それより早く着替えてよ」

「はいはい・・・」

何だか分からないが、蒼星石はかなり急いでいるようだ。
俺はそこら辺に散らばっていた洋服を適当に手に取ると、それに着替えた。

「ほら、これでいいのか?」

「うん!じゃあ早速行こうか!」

「行こうって何処へ?」

「決まってるじゃない!nのフィールドだよ!」

「nのフィールドって・・っておい!まだ髪整えてないぞ!」

そう言い終える前に蒼星石は俺の手を引っ張り、再びnのフィールドへ入っていった。
こんな状況でいうのもなんだが、人形とはいえ、仮にも女の子である。
いきなり手を握られて、俺は少しドキドキした。
まぁ・・・大学生にもなって色恋沙汰の1つも無い俺にとっては仕方の無い事か・・・

「何処まで行くんだ?俺ここに来ると目が回りそうになるんだよな」

「もうちょっと・・・うわ!マスター髪がボサボサだよ!」

「髪を整える前にシルクハットのオチビさんが俺の手を引っ張ってったからだよ」

「エヘへ・・・ごめんなさい。急いでたから。あっ、あそこだ!」

どうやら目的の場所に着いたようである。キョロキョロと辺りを見回す。
以前にもnのフィールドに来た事はあるが、今回はいつもと違った。
何と言うか、あまり普通の家と代わり映えしないのだ。
しばらく歩いていると、どこかから声が聞こえてきた。

「遅いですぅ、蒼星石。待ちくたびれちまったですよ」
この声は・・・蒼星石の姉の翠星石の声だ。俺は声のする方に振り向いた。
そこには・・・

「な・・・これは・・・?」
振り向いた先には、なんと薔薇乙女が全員集合しているではないか。

「何だ皆集まって・・・まさかアリスゲームを始めるのか?」
俺は体が強張った。せっかく平和な雰囲気だったのに、まさか
今頃になってアリスゲームが・・・?
いざとなったら蒼星石を守らなくては・・・
俺がいろいろ考えていた所で、真紅が口を開いた。

「話は最後まで聞く物よ。蒼星石のミーディアム。今日はアリスゲーム
の為に集まったのではないのだわ」

「それじゃあ何の為に集まったんだ?それに何故俺を呼んだんだ?」

「私達から言うよりも蒼星石から説明してあげた方がいいんじゃなぁい?」

「そうだね。じゃあ僕からマスターに説明するよ。あのねマスター、実はね・・・」

何が何だか分からないといった感じの俺に、蒼星石は説明を始めた。
その説明を聞いて、俺はホッとしたと同時に緊張が一気に解けた。

「チョコレート対決?そりゃまた何で?」

「私達ローゼンメイデンは至高の少女を目指すべく作られた存在。
ならば当然、料理も出来なくてはいけないのですぅ」

「都合よく今日はバレンタイン。そこで私たちがチョコレートを作って、
あなたに食べ比べてもらうのだわ。」

「蒼星石のミーディアムに一番高く評価された人がアリスに一歩近づく訳よぉ」

「・・・という事なんだ。マスター。」

「まあ、それはいいんだけどさ、何で俺なんだ?他にもいるじゃあないか?」

「ジュンは「僕は行かない」と強情を張るものだから仕方なく諦めたのだわ」

「ホント協調性の無い奴ですぅ」

「めぐは下手に連れてきて死なれでもしたら困るから無理だわぁ」

「みっちゃんはお仕事が忙しくて無理かしら」

「巴も学校だって言ってたのー」

「・・お父様は、甘いものがお嫌いだとおっしゃってたから・・・」

「だからマスターが選ばれたんだ。」

俺も今日本当は学校だったんだがな・・・
この分だとどうせ嫌だと言っても無理やり連れて来られただろう。

「そうそう、蒼星石のミーディアム、注意があるわ。
あなた、蒼星石のミーディアムだからって蒼星石だけ贔屓したら・・

わかってるわね?
        わよねぇ? 
        ですね?
        かしら?
        のよねー? 
        ・・・?

「は、はい・・・」
目が殺気立ってたので、俺はおもわず敬語になってしまった。

「ちょっと皆、マスターの事を悪く言うのは止めてよ!マスターはそんな事しないよ!」
くぅ・・・蒼星石の優しさが身にしみるぜ・・・

「それにしてもいちいち蒼星石のミーディアムと呼ぶのはめんどくせーですぅ」

「それもそうね。貴方、名前は?」

「「」だ」

「これから勝負が終わるまで貴方の事は「」と呼ばせてもらうのだわ」

「それより早く始めるかしら」

「そうね。制限時間は一時間。開始よ!」


真紅の掛け声と共に各々がキッチンに入りチョコ作りを始めた。
それにしても、俺は今、滅多に見られない物を見ているのではないだろうか?
薔薇乙女七体のエプロン姿を一度に見られるとは・・・
学校を休んで正解だったかもしれない。

十分後・・・ただ何もしないで座っているというのも退屈な物だ。
俺は席から立ち上がり、各々のキッチンを見て回った。

まずは水銀燈から・・・その瞬間、俺の視界に凄まじい物が飛び込んできた。

「水銀燈・・・?これは何だ?」

辺りにはヤクルトの空き容器が転がっている。

「何って、チョコにヤクルトを混ぜてるんじゃなぁい。乳酸菌タップリよぉ」」

「一ついいか?乳酸菌って菌だよな?熱したら死ぬんじゃないか?」

「気にしないわぁ。」

「気にしろって・・」

「一番は水銀燈に間違いないわぁ」

「さぞかしお腹が元気になるチョコが出来るんだろうな・・・」

ご機嫌そうに鼻歌を歌いながら溶かしたチョコをかき混ぜる水銀燈を後にし、
金糸雀のキッチンを見に行った。

「卵形の容器?何に使うんだ?」

「それは出来てからのお楽しみかしら!カナは味だけじゃなく見かけにもこだわるかしら!」

「ほぉー、そりゃ出来上がり楽しみだ。まぁ、頑張れよ」


次は翠星石。何やらいい匂いがする。俺は誘われるようにキッチンを見に行った。

「何も馬鹿正直にチョコで勝負することは無いです。翠星石は他の奴らとは違ったので勝負するですぅ」

「おお、チョコケーキか。凄く手が込んでるなぁ」

「ほ~ほっほ!当然ですぅ。翠星石は他のドール達とは違うのですよ!」


次は真紅のキッチンを見に行く。真紅は余裕といった感じで本を読んでいる。

「いいのか?そんなに余裕持ってて、皆着々と出来てきてるぞ?」

「「」、レディは余裕を持つものよ。世話しなく動き回るなんて品が無いのだわ。」

「そうは言ってるけどな・・・鍋、焦げてるぞ?」

「えっ!?」
真紅は立ち上がり鍋を見る。鍋からは焦げた臭いがした。

「ああ・・・なんて事!余裕を持ちすぎたのだわ!」


俺はやれやれといった感じで、次の雛苺を見に行った。

「チョコの中に何か浮いてるな。これは何だ?」

「うにゅーなのー。チョコでうにゅーをコーティングするのー」

「チョコイチゴ大福ってわけだな。なかなか美味そうだ」


次は薔薇水晶。かなり完成してきているようだ。

「おお、生チョコってやつか!凝ってるなぁ。」

「・・・」

「一口サイズで食べやすそうだし。細かい配慮がいいな。」

「・・・」

「なぁ、何か喋ってくれよぉ・・・」

「・・・」

料理中は無口になる性質なのだろうか?まぁ、普段からあまり喋らないが・・・


そして最後に蒼星石のを見に行く。何やらかなり丁寧に作りこんでいるようだ。

「どうだ?調子は?上手くできてるか?」

「あ、「」。うん、ちゃんと出来てるよ」

「そうか。ちょっと見せてくれないか?」

「駄目だよ!完成するまで待って、ね?」

「そうか?じゃあ完成まで頑張ってな。」

「うん。マスターとお父様の為にがんばるよ!」


一通り見回った後、俺は席についた。そして考え事を始めた。
平和な光景だ。この時代に来て、皆確実に変わってきている。
今まで戦う事ばかりだった彼女達が、こんな風に皆でお菓子作りをするなんて、
彼女達自身も夢にも思っていなかっただろう。そして何より、
皆良い顔をしている。皆今まで見た中で一番楽しそうな顔をしている。
あの水銀燈が笑顔でチョコを作るなんて、俺でもビックリした位だ。
これが本来あるべき姉妹の姿なのでは無いだろうか?
俺は考えた。もしここで俺が誰か一人を選んでしまったら、
これを機に、また皆争いを始めてしまうかもしれない。
どんな風に答えを出せばいいのか、俺は迷った。

「「」、どうしたの?もう皆完成したよ?」

「えっ?ああ、そうか」
どうやら考えている間に時間になったようだ。何かに集中している時は、
時間の流れがとても早く感じられる。

「さあ、早速食べ比べてみて頂戴。まずは水銀燈のからよ」

座っている俺の元へ水銀燈がチョコを運んでくる。こんな光景を目の当たりにした
人間は恐らく俺が初めてだろう。それにしても、人形とはいえ女の子である。
その中に男が一人、というのは心なしか息苦しさを感じる。


「さぁ、食べてみてちょうだぁい。一番は水銀燈に決まってるけどねぇ」

「では、早速、いただきます」
なぜか口調が敬語調になる。テレビの料理番組のレポーターも、こんな気分なのだろうか。

水銀燈のヤクルトチョコをパキッと割り、口に入るサイズにして、口の中に一欠片を放り込んだ。
そのまま噛み砕く。何とも言えない味が口の中に広がる。
何というか、ヤクルトの酸味が効いているというか・・・甘酸っぱいんだな。

「これは・・・何だかお腹が元気になったような気がするよ」

「褒め言葉なのか貶してるのか分からないわぁ・・」

「乳酸菌が大量に摂取できたのは間違いないさ。」
最も、チョコの熱で死んでるかもしれないが。

「それじゃあ次、いってみようか」


「待ちくたびれたかしら!さぁ、食べてみるかしら」

そう言って目の前に現われたチョコを見て、俺は思わず「おお」、と声を上げた。

「これは面白い。卵形のチョコか。」

「驚くのはまだ早いかしら。」

「あれ?中に何か入ってるぞ?」
中には小さなオモチャが入っていた。それを見てまた俺は声を上げた。

「へぇ、卵の中にオモチャか。まさしく本物の卵だな」

「一番はこの金糸雀がいただきかしら~!」

「そういえば昔キンダーサ○ライズというこれににたお菓子があってな、
それに夢中になってオモチャを集めたもんだ。」

俺がそう言った途端、金糸雀の顔が引きつった。
すかさず真紅が突っ込みを入れる。

「金糸雀、まさかアナタ、そこから真似して作ったんじゃないでしょうね?」

「そ、そんな事するはずないのかしら!カナのアイデアを真似しようなんてとんでもない奴が
いるものね、おほほ・・・」

「いや、キ○ダーサプライズのが古いんだけどな・・」


あまり問い詰めるのも可愛そうなので、次の翠星石のケーキに移った。

「実は俺、これを楽しみにしてたんだよな。」

「いい心がけですぅ。人間。早く食べて感想を言えですぅ」

「どれどれ・・・むぅん!こ、これは!?」

「どうですぅ?聞くまでもお前は美味いと言うですけどぉ。」

「・・・しょっぱい。まさか砂糖と塩を間違えたんじゃないか?」

「何言やがるです!そんなはずねぇです!貸してみるです!」
そう言って自らケーキを口に運ぶ翠星石。

「な、何ですかこれは!?しょっぱいですぅ!!」

「ほら言ったろ」
まさかでは無く明らかに間違えている。さては味見をしなかったな。
料理の上で味見はこの上なく大事な事である。このような事態を防ぐためにも
味見は欠かせないのである。

「こんな簡単なミスをするなんて、淑女たる翠星石の恥ですぅ!!」

「いやでも甘いの嫌いな奴にはこのほうが受けがいいかもしれんぞ」

「フォローになってねぇですぅ!」


怒る翠星石を宥めて、次の真紅のチョコに移る。

「さっき鍋焦がしてたけど、何とかなったのか?」

「当然よ。時間を戻せば何のこと無いのだわ、それより早く食べてみるのだわ」

「そうだな・・・」

時間を戻すというのは料理の上でも使えると実感した。
そしてチョコの味は・・・

「・・・少し苦いな。ビターチョコだね。」

「アナタは子供向けの甘いのよりも、こうゆう大人向けの方がいいと思ったのだわ。」

「確かにこの方が俺にはいいかもしれないな」


次は雛苺のチョコだ。実はこれも密かに楽しみにしていたのだ。

「どうぞなのー」

「はいどうも。早速食べてみるよ。チョコと大福の融合か。
和菓子と洋菓子が一度に味わえるって所が贅沢な感じがするね。」

半分に切り、口に運ぶ。食感が楽しい。しかし男には甘すぎるかもしれない。
これは女性向けだろう。

「食べてて楽しくなるチョコだと思うよ。でも少し甘過ぎるかな・・・」

「「」は厳しいのー・・」

「けど美味しかったよ。女の子に喜ばれるかもね」

「「」は優しいのー!」


「次は薔薇水晶のだな。結構凝って作ってたから楽しみだな。」

「・・・どうぞ」

「では早速・・・へぇ、見かけは綺麗だな。一つ一つが小さくて食べやすいのも嬉しい配慮だ。」

「・・・」

「味も・・うん、悪くないよ。中からチョコがトロッとでてくるのも考えたね。
作るのには高度な技術が必要だろう。

「・・・どうも」

「もう少し喋ると女の子らしくて可愛いと思うよ」

「・・それは余計です」

技術と突っ込みという点では満点かもしれないな。


「そういやまだ蒼星石のを食べてないぞ。」

「蒼星石は自らの希望で、最後に回ったのだわ。」

「お待たせ、「」、さあ、食べてみて・・・」

「待ってました。では・・・」

一番楽しみにしていたのはやはり蒼星石のチョコだ。先程どんなのか
見ていなかっただけに余計に楽しみだ。

「・・・これは・・・普通だな」

「僕らしさをイメージして作ったんだ。ほら、僕ってこれといった特徴がないから・・・」

蒼星石のチョコはいわゆるよくあるハートのチョコだった。バレンタインの定番だ。
蒼星石は「僕らしさ」と言っていたが、確かに細かな所まで配慮が回っているところが
いかにも蒼星石らしかった。

「ってことはさ、味は飛び切りなんだろ?なんてったって蒼星石らしさを出したんだからな」

「どういう事?」

「蒼星石の可愛さがそのまま味になってるんだろ?って事さ」

「もう・・皆の前で止めてよ・・・恥ずかしいよ」

「そういう謙虚なところもシンプルな形に良く表現されてると思うよ。」

チョコを割り口に放り込む。

「このチョコを作ったのは誰だー!?」

「えっ・・・?僕だけど、もしかして美味しくなかった・・・?」
心配そうに蒼星石が聞いてくる。

「・・・うまい!!蒼星石の可愛さが味に良く表現されてる!!」

「ほ、本当・・・?「」遠慮して嘘ついてない・・?」

「嘘なわけないだろ!シンプルイズベストよはまさにこの事だ!」。


「さて、全てのチョコを食べ終わったところで、そろそろ判定をだしてもらいましょうか」

「ふぅ、一通り食べたけど、一番美味しいのは・・・・」

ドールズに緊張が走る。俺の出した答えは・・

「・・・皆美味しかったよ。皆一番だ」

「はぁ?」と言った感じの表情をするドールズ。開口一番、翠星石がイチャモンをつけてきた。

「何です!?その答えは!翠星石は真面目に作ったんですからお前も真面目に答えやがれですぅ!!」

「いやいや、これが真面目に考えて出たた答えなんだよ。」

そう、これでいいんだ。もしここで誰かを一番に決めてしまったら、
きっとまた、戦いは始まってしまうだろう。こう答えるのが一番いいのだ。

「もしここに俺じゃなくて、JUM君やメグさんやみっちゃんさんが呼ばれても、
きっと皆こう言うと思うぞ。」

「何でそんな事がわかるのよぉ?」

「だって、お前達にはもう戦ってもらいたくないからさ。」

黙っているドールたちに、俺は続けた。

「今日のお前達は、何だかとても楽しそうに見えたよ。多分、あれが本来あるべき
お前達の姿なんじゃないのかな?」

「・・・」

「俺の出した答えに満足出来なかったらこういうのはどうだ?「皆アリスに一歩近づいた」と考えるんだ」

「皆近づいた・・・?」

「そう。こうして皆で一歩づつ近づいて、最後は皆でアリスになればいいじゃないか」

「・・・ばかじゃなぁい?今日は来るだけ無駄だったわぁ。」

「本当に無駄だったか?本当はそうは思ってないはずだぜ」

「・・・そろそろ帰るわぁ」

「私達もそろそろ帰りましょうか。」

「ちび人間の事も気になるですしね。」

「蒼星石。俺達も帰るか」

「そうだね、「」」

俺達は真紅たちに別れの挨拶を言うと、一足先に帰っていった。

「蒼星石。今日は楽しかったか?」

「うん。とっても。皆でお菓子を作るなんて初めてだったから。」

「毎日こうだといいとは思わないのか?」

「僕はそうは思わない。だって、僕達は戦うために創られた存在だから・・・」

「俺はそんな古い考えに固執する必要は無いと思うんだ。これからの時代は、
皆で決めた新しい方法で皆でアリスを目指せばいいじゃないか」

「でもアリスになれるのは一人だけだし・・」

「大丈夫、皆で決めた事だと言えば、きっとお父様も認めてくれるよ。」

「そうかな?」

「ああ、そうとも」

戦って悲しんで、一人だけがアリスになるよりも、
皆で笑って皆でアリスになる方がいいに決まっている。
そして今なら、きっとそれが実現できる。
だって本当は、皆良い子ばかりなのだから。
本当は皆、平和な毎日を望んでいるはずだから。

「あ、そうだ。マスター、はいこれ」

「ん?これは?」

「嫌だなぁ。今日はバレンタインだよ?決まってるじゃない。チョコだよ」

「おお!すっかり忘れてたよ。ありがとな。」

「えへへ、どう致しまして」

照れたように蒼星石が笑う。こんなことが出来るのもきっと平和だからだろう。
そしてこれからも、ずっとこの平和が続くように俺は祈った。

「ところで呼び方がマスターに戻ったな」

「えっ?だってあの時は真紅が名前で呼ぶように言ってたからさ」

「でも別にお前は呼ぶ必要無かったんじゃないか?」

「マスター・・・僕に名前で呼ばれるの嫌だった?」

「別に、ただ以外に大胆なんだなぁ、って思ったからさ」

「も、もう・・・マスターのバカ・・・」

fin