日が暮れる頃、テレビではくんくんが放送されており、
蒼星石は俺の膝の上で抱き抱えられていることも忘れくんくんに見いっていた。
そして俺は、怖い場面でビクッと反応したり、
くんくんのピンチに思わず「あっ!」と言ってしまう蒼星石に見いっていた。

どうやらテレビはCMに入ったようだ。
一息ついた蒼星石は俺に抱きかかえられていることを思い出したようで、ふと後方を見上げる。
すると、蒼星石には想定の範囲外だったのだろう、
俺はずっと蒼星石を見ていたのだから当然なのだが、
蒼星石が俺を見上げた瞬間蒼星石と俺の目が合った。
しかし、蒼星石は目が合うパッと一瞬の内に顔を元の位置に戻しテレビの方を向いた。
それから20秒程たっただろうか、たいして面白くもないCMが終わり本編が始まった。
それまでの間、蒼星石はずっとテレビを見ていた。

本編が始まりしばらくしてからだった。蒼星石がそおっとゆっくり振り向いた。
するとやはり常に蒼星石を見続けている俺と蒼星石の目が合う。
今度は蒼星石は顔を戻さず俺としばらく見つめ合っていた。
そして蒼星石は口を開く
「ね、ねぇマスター、もしかしてテレビ見てないの?」
もちろん見ていない、俺は蒼星石だけを見ているのだから
「ああ、見てないぞ」
当然のことを言う
「じゃあ・・・・・・さっきからずっと僕を見てる?」
蒼星石は自分の言った台詞が恥ずかしかったのか、だんだんと顔が赤くなってきている
「いや・・・」
俺は本当のことを言う・・・
が、まだ言いかけている途中で蒼星石が不思議そうに聞く
「えっ、だって・・・僕と目が・・・」
後の方はごにょごにょとよく聞き取れなかったが言いたいことはわかっている。
なので、俺はさっき言いかけたことに続ける
「いや、俺はさっきから蒼星石を見ているんじゃないんだ。
初めて出会ったときから俺は蒼星石を見てるからな・・・だからさっきからじゃない」
俺が言い終えると蒼星石の顔は火を噴きそうなほど真っ赤になっていた
「じ、じゃあ、マスター・・・あの・・・僕も・・・僕もマスターのことずっと見てていい?」
恥ずかしそうに所々詰まっていたが、今度は最後までちゃんと言えたようだ
「ずっとは無理だな」
俺の一言に蒼星石は固まってしまった。
続けて俺は言う
「だって、こうしたら・・・」
そう言いながら俺は蒼星石を抱き上げ抱きしめる。
「ほら、俺が見えなくなった」
これでは俺も蒼星石の顔が見えないがきっと蒼星石のことだ、
驚いて目を白黒させているに違いない、俺にはそんな蒼星石の姿が見えている。
そんな蒼星石の姿を想像してしばらくすると蒼星石が話しかけてきた
「うん・・・見えない・・・でも・・・マスターは今、笑ってるでしょ?
見えなくても僕にはわかるよ・・・」
その通りだった。蒼星石にその俺の姿を想像されているかと思うと今度は俺の方が恥ずかしい気持ちになってしまう
「マスターの心臓・・・ドキドキが早くなってきたね・・・」
蒼星石が俺をぎゅっと抱きしめてくる
俺も蒼星石を強く抱き締める
「蒼星石大好きだ!」
「僕も大好きだよマスター」
そう言って俺たちはずっと抱き合っていた。
いつしか部屋にはくんくんのED曲が流れていた

~END~