蒼「こんにちは、遅くなっちゃって・・・あれ、マスターは?」
  食事の下ごしらえを済ませて大急ぎでフィールド経由でみっちゃんさん宅に駆けつけるもマスターの姿は無い。
  その代わりといってはなんだが見慣れぬ女性がいた。比較的長身でロングスカートをはいた長い黒髪の人だ。
 真「彼女が蒼星石よ。」
  「蒼・・・星石。」
  初対面だけどみっちゃんさんの同僚とかだろうか?
 蒼「あ、こんにちは。はじめまして。」
  「こんにちは・・・。」
  しかしそれにしてはごくごく普通に僕ら薔薇乙女の存在を受け入れているようなのが気になるが。
 翠「あいつならもう話が済んだから帰ったですよ。」
 蒼「ええっ、薄情だなあ・・・。」
  「いえ、それは・・・。」
  さっきの女の人が手を後ろに回してもじもじとしながら何か言いたげにしている。
 金「きっと一秒でも早く蒼星石のところへと行きたかったんじゃないかしらー?」
 真「そういえば愛しの蒼星石とか言っていたわよね。」
 蒼「ええっ、みんなの前でそんな事を言ってたの!?」
  「でもそれは、真紅が言わせたことで・・・まあそうなのかもしれないけれど。」
  また何かを言いかける。
 蒼「ねえ翠星石、あの人は誰?」
  小声で翠星石に聞くと、やはり小声で答えてくれた。
 翠「あいつですか?蒼星石のマスターと一心同体とでも言うべき存在ですよ。」
 蒼「え!?」
 翠「なんせ、蒼星石のマスターの身も心もあいつの物ですからね。」
 蒼「ええっ!!」
 真「ちょっと、何を騒いでいるのかしら。」
 蒼「あ・・・ごめん。」
  あの女の人・・・マスターと一体どんな関係なんだろうか。
  そう言えば、さっきはマスターが言ってくれた言葉を真紅が無理に言わせたみたいに否定していたけど・・・。
 蒼「翠星石、それってどういうことだい?」
 翠「さあ?翠星石もそこまでしか知らねえですよ。」
  やっぱり・・・本人から聞き出すほかないようだ。
 蒼「あなた・・・何者ですか?」
  「何者って言われてもちょっと・・・。」
 蒼「僕とマスターは契約の絆で結ばれてるんだ!あなたは一体マスターとどんな関係なんだい?」
  「え、あの、それは・・・。」
 蒼「マスターはちょっとおふざけが過ぎるところもあるけれど、決して嘘は言わないんだ。
   だから、マスターが僕なんかの事でも愛しいと言ってくれたのなら僕はそれを信じられる!
   あなたに否定されるいわれはないよ!」
  「ちょ、ちょっと待って。」
  相手の女性はなんだかひどく困惑した様子を見せる。
  なにやらその表情には少し見覚えもあるような・・・。
 真「どうやら合格のようね。」
 蒼「合格?」
 翠「蒼星石にバレねえならたいしたもんですよ。」
 真「まあ少し冷静さを欠いていたみたいだけれど、それを差し引いても及第点をあげてもいいわね。」
  「うれしくない・・・。」
  女性の声が聞き覚えのあるものに変わる。
  僕の大好きな、大好きな声だ。
 蒼「その声って、もしかして・・・マスター?」
  その女性・・・と思っていた人ががこくりと頷くと今まで後ろに回していた手を見せた。
  確かに、僕との契約の指輪がはめられている。
  「うー、変な声出すの大変だった・・・。ひらひらするよー、スースーするよー、もうやだよー。」
  そんな事を言ってべそをかく。
 蒼「でも・・・マスターきれいだよ。ひょっとしたら僕なんかよりもよっぽど女性らしいかも・・・。」
  「そんな事ないって・・・そもそも褒められてもちっともうれしくないって・・・。」