キーンコーンカーンコーン
本日最後の授業の終わりを告げるチャイムが校内に響く。
その瞬間、俺は鞄を持って誰よりも早く教室から飛び出し、昇降口では音速で靴を履き替え、駐輪場で自分の自転車に跨る。
学校を出て、家まで片道10kmの道のりをひたすら一心不乱にペダルを回す。
学校なんかに俺の居場所はない。
俺の居場所は、大切な人が待つ自分の家。
強い向かい風が吹いても、ペダルはひたすら回り続ける。
息を荒げて玄関の扉を開き、呼吸も整えずに声を上げる。
ただいま。
「お帰りなさい、マスター」
最終更新:2006年10月17日 02:30