第三種目   銀:×   金:130 翠:98  蒼:150 真:130 雛:×

 白「第三種目『障害物競走』の賞品はこちらであります。」
  そして服。もはやくんくんが着たものだというのは見当がつく。
 蒼「くっ、あれは噂に聞いていた『くんくん四十八の探偵秘奥義其の四・早変わり』の際のデザインじゃないか!!
   かつて一度だけくんくんの服が撮影中に破れてしまった。その時に1カットだけ着ていたという代用の服・・・。」
 マ「・・・蒼星石もずいぶんとマニアックなものを知ってるんだね。」
  しかし今回も予想を遙かに上回る一品だったようである。レアなのは分かっても、自分にその価値は分からないが。
 蒼「ちなみに探偵秘奥義というのは視聴者が作ったネタだったのに後に公式設定のように定着してしまったんだ・・・。」
 マ「・・・・・・ふーん。」
 白「ルールは簡単。ミーディアムとドールで障害を乗り越えつつゴールまで走って下さい。
   その際にはどこかしらミーディアムとドールの体が触れ合っているようにして下さいね。」


 白「それではよーい・・・スタート!」
  各チーム一斉に駆け出す。なんだかんだでどこも足の速さは大差ないようだ。
  ただ、相方を普通に抱っこしている自分やみっちゃんさんとは違い、ジュン君は両脇に抱えている。
  なにぶん走りにくそうだし、いくらそんなに重くはないとはいえ結構な負担になるだろう。
 真「ジュン、他チームよりも少し遅れだしているわよ。」
 ジ「ちょっと待てって!食べてすぐに走ったらお腹が・・・。」
 翠「お前は運動不足なのですぅ。気合で走りやがれです!」
 金「みっちゃんファイトー、かしら!」
 み「ちょっと待って。普段あまり体を動かさないから・・・。」
 マ「僕も・・・早くもなんかばててきたかな。」
  走り出して早々にくたびれてきた。日ごろの運動不足がたたったようだ。
 蒼「マスター・・・。」
 マ「ん?」
 蒼「僕が・・・重いせい?」
 マ「まぁーさぁかぁーーーー!!」
  ターボがかかったように加速して他のチームを引き離す。
 真「これは・・・ドップラー効果!?」
 白「お客さん、ほんっと単純ッスね。」


  そんな感じで先頭を独走しているとコース上に机がセッティングされていた。
 白「第一の障害は・・・計算問題!!全問解いてからお進み下さい。」
 マ「やけにこれ簡単じゃない?」
 白「全員が解けるように最年少のジュン君に合わせてますから。」
 マ「難易度を各人の年齢に合わせればいいのに・・・。ジュン君が可哀想だよ。」
 白「ぶっちゃけそこまで調べて違った問題を用意するのは面倒だったのと、後は複数人いるハンデって事で。」
 マ「まあそれも一理あるのかなあ?」
  答案を机に置いて走り出す。
 翠「こらジュン!早く解けです!」
 ジ「うるさいな!気が散るだろ!」
 真「・・・金糸雀たちに抜かれてしまったけど、落ち着いてお解きなさい。あなたならきっと出来るわ。」
  そんな風に騒いでいるうちに、ジュン君たちより後からやって来た金糸雀たちは問題をすんなりと解いてしまったようだ。
  焦りもあってなのかだいぶ手こずり、ジュン君たち御一行はやはりここでかなりの後れを取ってしまったようだ。


 マ「これがお次の障害か。」
  今度は大きな机があってその上には小さな穴の開いた箱が置かれている。
 白「まあ障害というよりもミニゲームですかね。その箱から封筒を引いてこちらへ持ってきて下さい。
   中に書いてある簡単なクイズに正解したら通過できます。通過順に30点、10点、5点のボーナスつきです。」
 マ「じゃあ蒼星石に引いてもらおうか。」
  蒼星石が選び出した封筒を持って少し離れた解答用の場所へと向かう。


  封筒が開封され、問題が読み上げられる。
 白「それじゃあ問題です。世界三大美人、楊貴妃、クレオパトラとあと一人は?」
 蒼「小野小ま・・・」
 マ「蒼星石だぁぁーーー!!」
 白「違います。いやー、期待通りのお答えッスね。もう一度問題を取りに行って下さい。」
 蒼「マスターったら何を馬鹿なこと叫んでるのさ・・・。」
 マ「違うんだ、知っていたけどつい美人という言葉に反応しちゃっただけなんだ!!
   ちゃんと小野小町の短歌だって知ってるんだ、どうか馬鹿だと呆れないでくれぇえ!」
 蒼「それだから・・・言ってるんじゃない・・・。」


  気を取り直して再チャレンジ。もう残り二チームは通過してしまった。
  金糸雀チーム、翠星石チームの順だったから点差はそこまでは怖くない。
 白「それでは第二問ですね。料理の美味しさに欠かせない『さしすせそ』を全部言って下さい。」
 マ「砂糖、塩、酢、醤油、・・・」
 白「『そ』は?」
  何やら期待した眼差しで聞かれる。
 マ「・・・味噌。」
  今度は何やらがっかりといった顔をされてしまう。
 マ「ソースって言っちゃうと思った?」
 白「いえ別に。正解ですのでちゃっちゃと先に進んじゃって下さいな。」
 蒼「さては問題・・・封筒に関係なくあらかじめ用意してあったね?」


  何やらみんなが立ち往生しているところにやっとの事で追いついた。
 マ「おや?今度の障害はそんなに手強いのかな。」
 白「はーい、お二方に第三の障害の説明をしまーす。
   ここは『芸術の秋・届け私のこの思い!』クイズです。
   まあ簡単に言えばドールがお題の絵を描いて、ミーディアムがそれを当てるってだけです。」
 マ「平たく言うとパクリの企画か。」
 蒼「絵心勝負って訳だね。」
 白「まあ細かいことは気にしないで、蒼星石さんへのお題はこちら!」
  少し離れた場所で蒼星石が何か書かれた紙を見せられている。
 蒼「・・・君ってやつは!」
 白「ではお絵かきスタート!」
  どう表現しようかとしばしの思案ののち、何やら描き始めた。
  思いのほか短時間で描き上げられたその絵は・・・ハート?
  何の変哲もない真っ赤なハートが大きく描かれているだけだけど・・・。
 白「さあお答えをどうぞ!」
  ハート・・・な訳がない。
  それなら描き出すまでにあんなに時間を取る必要はないし、お題を見た時のリアクションにも結び付かない。
  ハートが意味しているものとは・・・?
  蒼星石が何やらじーっと目で訴えかけてくる。きっと答えかそのヒントを伝えようとしてくれてるのだろう。
  ・・・駄目だ、見当がつかない。ごめんよ蒼星石、僕の愛が足りないばかりに・・・。
 マ「あ!」
 白「お、分かりましたか?それではお答えをどうぞ!」
 マ「え、あ・・・うん。」
  しかしちょっとためらわれる。ちょっと確信が持てないし、これで違っていたらこっ恥ずかしい。
 白「早くしないと時間切れッスよ?」
 マ「う・・・答えは僕、マスターだ!!」
 白「ファイナルアンサー?」
 マ「う・・・ファイナルアンサー・・・。」
 白「・・・・・・・・・。」
 マ「・・・・・・・・・。」
 白「・・・・・・はぁ・・・。」
 マ「・・・(ドキドキ)・・・。」
 白「・・・・・・・・・はい正解です!お見事でしたー。」
  安堵に全身の力が抜ける。
 蒼「じゃあマスター、先を急ごうか。」
 マ「う、うん。そうだね・・・。」
  答えを聞いて既にこちらに来ていた蒼星石を抱き上げる。
 蒼「えへへ、マスターとアイコンタクトできたね。」
 マ「う、うん・・・そうだね。」
  蒼星石からのメッセージを完全に受け取り切れなかった自分としては、
  嬉しそうな蒼星石を見ていてかすかな罪悪感に囚われずにはいられなかった。
  再び駆け出そうとすると真紅が騒ぎ出した。
 真「ちょっと、早くお当てなさい!!あなたの目は節穴なのかしら?」
 ジ「無茶言うな!どう見たってジャガイモだろうが!!」
 真「あなた、失礼な事を言わないでくれる!?」
  だがどうひいき目に見てもその絵はジャガイモにしか見えない。
  だいぶハイレベルな推理力や観察力が必要そうだ・・・。
 白「あのチームへのお題はこれっすよ。」
  そう言って真紅の描いたお題の正体を見せてくれた。
  『くんくん』・・・これは先が長くなりそうだな。
  何はともあれ、この障害を一抜けで突破することができた。


  ようやくゴールが見えてきたあたりでコース上に何やら置かれているのに気づく。
 マ「なんだこりゃ?」
  よく見ると、それぞれのコースごとに箱と棒が置かれている。
 蒼「マスターあれ・・・。」
  蒼星石が真上を見上げている。どうやら何か発見したらしい。
 マ「うわ・・・。」
  自分も上を見ると、そこには紐で吊るされたバナナがあった。
 マ「猿じゃないんだから・・・。」
 蒼「でも・・・かなり高いね。」
 マ「確かに、すごく高いよね。」
  そう、問題は高さ。おそらくは4、5メートルはあるだろう。
 マ「台に乗って背伸びして、蒼星石を足を持って目一杯持ち上げて、鋏も使って・・・届くかな?」
 蒼「多分ぎりぎりで届かないと思う。」
 マ「だよね。さらにそこからジャンプ・・・は危険そうだし。」
 蒼「飛んじゃう?」
 マ「夢の中じゃないから僕は飛べないし、それだと蒼星石と離れちゃう。」
 蒼「あっ、ルール違反か・・・。」
 マ「ねえ、蒼星石が鋏を振った勢いで真空波を飛ばしてロープを切ったりは出来ないの?」
 蒼「流石にあそこまで届くような盛大なのは無理かな・・・。」
 マ「そっか、やっぱ無理か・・・。」
  ここで追いついてきた他のチームが果敢にバナナ獲得に乗り出す。


 翠「今こそ翠星石の出番ですね。スィドリーム!!」
  あっという間に植物がぐんぐんと育っていく。
  あれなら余裕でバナナの高さに到達しているだろう。
 翠「ほれジュン、とっとと登るですよ。」
 ジ「くそっ、なんでこんな事まで・・・。」
 真「ジュン、あまり揺らさないでちょうだい。」
  片手に真紅を抱え、背中に翠星石を負いながらやっとの思いで登っていく。


  一方の金糸雀チームはある意味で正攻法ともいえる、台の上で肩車&傘を振り回すという方法を選択したようだ。
  ただ、人間とドールのメンバー中でもそれなりに背丈がある方でコンビを組むうちが無理なのだから当然それでは届かない。
 金「みっちゃん、後ちょっとかしらー。」
 み「真紅ちゃんとこの踏み台も借りちゃおっか?」
 金「流石はみっちゃん、賢いかしらー!!」
 み「ちょっと・・・ぐらぐらするわね。」
  それでも届きそうにはない。あの傘がいきなり伸びでもしなきゃ無理そうだ。
  あ、こけた。金糸雀は尻餅をついて涙目になっている。
  そしてみっちゃんさんは口では慰めつつも、それを嬉々として写真に撮っている。
  ・・・もっとちゃんと慰めておやりよ。


 蒼「ねえマスター、僕らはどうするの?」
  必死な面々をよそに、自分はさっきからとある疑問が頭をよぎっていた。
 マ「・・・そういやさ、あのバナナってどうしても取らなきゃいけないの?」
 白「いえ、別に。」
  その答えにより、参加者の間に動揺が走る。
 白「いやー、さりげなく置いといたら皆さんどんなリアクションをするかなと・・・。」
 真「じゃあ今までの事は無意味だったのかしら?」
 白「いやいや、傍から見ている分にはとっても面白かったですよ。」
 翠「てんめー、ふざけんじゃねえです!」
 金「まんまと騙されたかしらー!!」
 マ「じゃあこのまま行こうがバナナを取ろうが何も無いんだ。」
 白「はい。『もうボーナスもペナルティもないんだよ!』ってやつです。」
 マ「そういう事ならスタコラサッサだ!」
  蒼星石をしっかりと抱き直して再び駆け出す。気を取り直した金糸雀たちも追ってくる。
  ジュン君は・・・苦労して登った木の上からそろそろと降りているようだった。不憫だ。


  自分たちだけが体勢の崩れていない状態でスタートを切れたので、後続を何とか振り切れた。
 マ「やった!今度こそ一番乗り!!」
 白「ゴールおめでとうございます。」
 マ「そうか・・・遂に蒼星石とゴールインしたんだ!」
 白「その通りですけど多分全然違いますから。色呆けも大概にしろッス!」
 金「二番手でゴールかしらー!」
 白「あ、お疲れ様です。」
 金「これで決勝は蒼星石のところとなのかしら?」
 白「まあまあ、慌てないで下さいよ。ジュン君のチームが今来ますから。」
 翠「こらジュン!もっと突っ走れです。」
 ジ「もう・・・みんなゴールしてるのに・・・人を酷使するなよ・・・。」
  なんかもう精根尽き果ててるな・・・。
 白「はいゴールです。本当にお疲れ様でしたー。」
 翠「納得いかねえですよ!あんな引っ掛けが無ければ翠星石たちは負けてなかったです。」
 白「いやあ思い込みこそ最大の障害・・・ってのは駄目ですか?」
 金「翠星石、往生際が悪いかしら♪決勝はカナたちがいただきかしらー。」
 白「ちょっとお待ち下さーい、実は途中の計算問題の点数は一秒一点で換算されます。それを加味するとー・・・」
 金「ふふん、その程度ではカナたちの優位は揺らがないかしら♪」
 白「おや?まさかの大逆転!残念ながら脱落は金糸雀チームだぁ!!」
 金「な、なんでかしら!楽してズルして蒼星石のマスターさんの答えをちゃーんと写したのかしらー!!」
 白「いえ、問題のレベルは同じですけど問題自体は別ですから。だからでしょうね、0点でしたよ。」
 雛「ズルはいけないのー。」
 翠「0点なんて青ダヌキのオマケみてえですね。」
 白「ちなみにですけどねー、蒼星石チームと翠星石チームは満点でしたよ♪」
 蒼「因果応報だね・・・。」
 マ「悪の栄えたためしなしってやつだな。」
  二人でうんうんと頷く。
 金「みんなボロクソに言ってひどいのかしらー!!」
 み「きゃー、みんなからいじめられて泣いてるカナもかーわいいー!!」
  そう叫んでデジカメで様々な方向から撮りまくっている。
 マ「前向きな人だなあ・・・。」
 蒼「でもなんかあの二人らしいという気はするね・・・。」
 翠「でかしたですよ、ジュン!ほめてやるです。」
 ジ「・・・いいよ、あれだってもっと早く解けていたはずなんだ。本当だったら・・・くそっ!」
  何やら・・・ジュン君は思い悩んでいるようだな・・・。