第一種目 銀:0 金:0 翠:0 蒼:0 真:0 雛:0
白「はーい、実は種目ごとにも賞品を用意してありまーす。今回トップの方への賞品はこれです!」
そうしてガラガラと何やら台車のようなものを押しながら登場する。
やはり衣装、それも女性向けではない。少なくとも普通に着るための服ではないのは分かる。
銀「な・・・あれって幻となった『実写版くんくん・名探偵炎に消ゆ!』で用意された衣装じゃないのぉ!!」
マ「へえ・・・実写版なんてあったの・・・ふーん。」
銀「まさしくここでしか手に入らない幻の一品という訳ねぇ・・・。」
水銀燈がごくりとのどを鳴らした、ように見えた。なにら水銀燈参加の真の動機が見えた気がする。
白「そして、第一の種目はーーー『ラプラス君たたき』でーーす。
ルールは簡単。市販のもぐらたたきを改造したこのマシンから出てくるラプラス君人形を叩きまくるだけ。
一回叩けば一点。最高は百点です。制限時間は一分ですからその間に計百回出てくるわけですね。
始めはゆっくりですが後半はせわしなくなりますよ!最低点の方はここで脱落になってしまいます。
そうそう、一回出てきた時に複数回叩いても得点は一点しか入りませんのでご注意を。
マシンを動かなくしてしまった場合には何らかの手段で直して下さい。それが出来なくっても失格です。」
種目が発表された途端みんなの目に今までとはまた別の闘志も宿っている。
白「それではナンバー順にどうぞ!一番手は水銀燈さんでーす!」
銀「これって叩かなくても、とにかく衝撃を与えればいいのよね?」
白「ええそういう事になりますね。」
銀「ふ、ふふ・・・やってやろうじゃないのぉ・・・。」
白「それではゲームスタート!」
銀「ふん・・・。」
始めのうちはまだゆっくりと出てくる。
水銀燈は微動だにせず羽根で兎人形の眉間を性格に射止めていく。
翠「水銀燈、生ぬるいです!もっと本気でやれです!」
真「そうよ、もっとあなたの蛮性を解放なさい!」
金「かっ飛ばせーかしらー!!」
何やら外野も一体になって騒いでいる。
白「あれー?あの人形かわいくできてると思ったのになあ?みなさん構わずにやる気というか殺る気満々だし・・・。」
マ「いや、人形はかわいいと思うよ、人形は。それを補っても余りある憎ったらしさがモデル自体にあるんじゃない?」
白「・・・あなたもなかなかひどい事をさらっと言いますね。」
スピードが上がっても羽根は正確に獲物を捕らえ続ける。
このままならいきなり満点を叩き出しそうだ。
め「う・・・ぐ・・・。」
銀「!?」
何かに気を取られ、水銀燈の動きが一瞬だけ強張る。
そしてその一瞬のせいだろう、2本の羽根が的をわずかに外してしまった。
白「最後にミーディアムを気にかけてしまったのか!?それでも高得点、98点です!」
め「水銀燈・・・もしかして私のせい?」
銀「・・・馬鹿なこと言わないで。なんであんたのために私がしくじるのよ。これはただのハンデだわぁ。」
金「いつでもかかってらっしゃいかしら!」
白「はーい、ではどうぞー。」
金「いきなり全力で行かせてもらおうかしら!最終楽章・破壊のシンフォニー!!」
金糸雀が取り出したバイオリンを奏でると同時に、その周囲を巨大な竜巻が包み込んだ。
マ「これは・・・なんてすさまじい技だ・・・!!」
金「驚いたかしらー♪」
今もなお大きな竜巻が轟々と吹き荒れ続けている・・・。
マ「でもラプラス君人形を叩けていないんですけど。」
金「しまったかしらー!!」
慌てて技を解いた金糸雀が遅れを取り戻すべくハンマーを片手にポコポコと頑張り出す。
蒼「もっと他の技ならうまく行ったかもしれないのに・・・。」
マ「大技=使い勝手がいい、ってものでもないのにね。」
翠「使いこなせねえとただの風のカタマリだってのに、なんですかあの金糸雀は!?」
金「つ、疲れたかしらー・・・。」
白「得点は・・・30点!残ったメンバーの成績次第ですが、これは勝ち残りは厳しいか!!」
白「それでは翠星石さん始めてください!」
翠「ふふん、こんなの余裕綽々ですよ。もっと本気で来やがれです♪」
翠星石が庭師の如雨露を手にしつつそんな事を言った。
しかし出入りのスピードが上がるに連れて次第にその余裕もなくなってくる。
翠「おろ・・・なかなかこしゃくな動きをしやがりますね。」
だんだんと叩きもらしが目立つようになってきた。
翠「くっ、くっ、このぉ・・・!」
もはやすっかりと人形の素早い出入りに翻弄されている。
翠「・・・なめんじゃねえです、このバカウサギー!」
白「おおっと、豪快にも植物を伸ばしてラプラス君人形を攻撃だー!!」
キレたのか手加減を感じさせない攻撃がラプラス君人形を襲う。
マシンがやたらと揺れていて、見ているこちらの方がハラハラする。
翠「ど・・・どんなもんですか・・・。」
白「いやー激しかったですね。結果は68点でした。」
翠「ふっ・・・まあまあですね。とりあえず金糸雀の倍以上は取ったですよ。」
白「・・・あれ、なんかマシンが動かないんですけど?直していただかないと失格になっちゃいますよ。」
どうやら先程の翠星石の猛攻にマシンが耐えられなかったらしい。・・・そりゃそうだ。
翠「げげっ!真紅ー、なんとかしてくれですぅー!」
真「しょうがない子ね・・・。こんな事での消耗は避けたいけれど、団体競技での働きに期待して助けてあげるわ。」
真紅がホーリエを使ってマシンを直し、どうやら事なきを得たようである。
蒼「ねえ、確認しておくけど、マシンが動く限りは何をしても良かったよね。」
白「ええ、そうですよ。能力だろうが道具だろうがなんでもウェルカムです。」
蒼「じゃあ・・・僕の鋏で全部耳をちょん斬ってしまったり、丸裸にしちゃってもいいんだ♪」
白「ええ・・・一応は・・・。」
蒼「ふふっ、冗談だよ。モデルにはともかくあの子たちにはなんの罪も恨みも無いんだからね。」
白「目が笑ってなかったような気が・・・。」
蒼「無駄話はいいよ。さっさと始めよう。」
白「話を振ってきてひどいっすね・・・それではスタート!」
蒼星石が庭師の鋏を黙々と振るう。
その動きはまったく無駄が無く、華麗ですらある。ただ、ちょっと目が怖い。
スピードがアップしても余裕で対処できている。
そして危な気の無いまま終了した。
蒼「安心しなよ、峰撃ちだから・・・。致命傷じゃあない。」
白「あの鋏の峰ってどこなんでしょうね?それはともかく蒼星石さん初の100点満点獲得!!」
白「おおっと、開始早々真紅さんがラプラス君人形を叩きながら何かを取り出したー!?」
真「さあ、あなたたち、お行きなさい・・・。」
白「おーっと真紅さん、目覚めさせた人形たちに穴を一つ一つ担当させて自らは優雅に紅茶だーー!」
真「あくせくと動き回るのも大事だけど・・・それだけが能じゃないわ。」
白「やったッ!!さすが真紅!自らの手は汚さず美味しいところはいただく!!そこにシビれる!あこがれるゥ!」
真「うるさいわね・・・。私にも何かしろというのならあなたを叩きのめしてあげるのだわ。」
白「いえ、もう終了ですから結構です。結果はこれまた100点だ!」
白「それではいよいよラストです!雛苺さんスタート!!」
雛「うゆ!うゆー!」
白「いやー、金糸雀さんと同じく素直に叩いてくれてますねー。ローゼンメイデン中の和みコンビですね。」
雛「うー、出るのが早くなってきたのー!」
白「さあ、現在最下位の金糸雀さんとなかなかの勝負です。ここからが勝負の分かれ目ですね。」
雛「そうなの、真紅のまねをするのー!」
白「おおっとこれは・・・!?苺わだちだーー!穴から出てきたラプラス君人形をことごとく緊縛したーー!!」
雛「これならいくらでも叩けるのー♪」
翠「チビ苺にしてはなかなか考えやがったですね。」
何かが引っかかる・・・。そしてハッと気づく。
マ「それじゃあ駄目だ!雛苺!!」
雛「うゆ?」
白「ここでタイムアップだー!しかーし、残念ながら得点が加算されていなーい!24点だー!
動きを拘束したために穴にラプラス君人形が引っ込まなくなったのが仇となってしまったー!!」
雛「どういうことなの?」
マ「穴から一回出るのにつき一点しか入らないからね、引っ込まなくなったらもう点は増えないって事。」
雛「うー、なんとなく分かったのー。」
翠「で、なんでそれをお前が教えたですか?」
マ「いや、ひたむきな雛苺の姿を見ていたら教えなきゃな、って・・・。」
翠「相変わらずのお人好しっぷりですね。」
蒼「でもそういうのっていいと思うよ。」
白「・・・と、いう訳で残念ながら雛苺さんはここで脱落でーす!お疲れ様でしたー。
あと100点が二人いますので賞品は両者のうち後まで勝ち残っていたほうに進呈します。」
最終更新:2006年10月09日 17:30