ある日テーブルの上に葉書くらいの大きさの紙が置かれていた。
それには一言こう書かれていた。
『 いきますか? いきますか? 』
マ「どっちも行くやんけ!」
相手もいないのに突っ込みを入れる。
そもそも何に行くのかを聞かれているのかも分からないし。
蒼「マスターどうしたの?」
マ「ああ、こんなものがテーブルの上に・・・」
その時、テーブルの上に光と共にさっきの物よりも大きめの紙が現れた。
マ「・・・招待状?」
道化師からのお誘い
今度の体育の日、薔薇乙女の皆さんで運動会で競ってもらいます。
素敵な贈り物も用意してお待ちしているのでぜひお越し下さい。
当日はミーディアムの方と一緒に来て下さいね。お弁当も忘れずに。
集合時間は朝の10時、場所は――――――
蒼「nのフィールド・・・!」
マ「行くの?」
蒼「・・・出来れば行きたくはない・・・。でもあいつが何かを企んでいるとしたら、それを看過もできない。
場合によっては・・・他の姉妹たちにも関わる事だから・・・。」
マ「了解。当日は早起きしてお弁当作って応援に行くからね。」
蒼「でも危険かも・・・。」
マ「一緒に来いとお招きされちゃってるからね。ついていかないと結局無視したのと同じことになっちゃうかもしれないよ?
それに危険かもしれないんだったらなおの事そばにいさせてもらいたいな。何も力にはなれないかもしれないけどさ。」
蒼「・・・ううん、心強い。ありがとう・・・。」
そして当日、呼び出されたフィールドに赴く。
そこはまるで運動場のような空間だった。
グラウンドの前方には本部と、待機所を兼ねた応援席と思しきテントのような小屋まである。
いかにも運動会をやりますよ、といった感じの場所だ。
だが不思議な事に、その前方中央にはやけに大きな鏡が設置されている。
鏡の裏を見てみると・・・特に何も無いな。
「おいっ!なんでこの薔薇水晶ツヴァイが参加できないんだ。」
しかしなにやら騒いでる人たちがいたのでそちらへと目をやる。
マ「で・・・でっけ~~~っ。190以上はあるぞ。」
「ローザミスティカが無いからって差別をするのか!?」
「いえ、それは一向に構いませんが。」
「じゃあ参加させろ。そして改良に改良を重ねた結果、ようやく誕生したばらしーツヴァイの力を見せてやる。
僕のばらしーツヴァイがローゼンメイデンを超越したことを証明してやるんだ!」
「で、その子のミーディアムは?」
「ふっ、ばらしーツヴァイにはそんなものは不要。単独でも行動できるまさに完全なるドールだ!」
「あっ、ルール上ミーディアムがいないと駄目なんで、それじゃあ出場はできません。サーセン。」
「ちょ・・・待てっ、僕とお前の仲じゃないか。それに僕とばらしーの間には契約以上の絆がある。」
「駄目なものは駄目ッスよ。出直して下さいッス。」
「くそーーーっ。お前の時給下げてやるからなーーー!!」
泣きながら去っていった・・・。
上背があるだけになんか切なさと滑稽さが同居したものがあるな・・・。
一体なんだったんだろうか?このフィールドに来られるということは只者ではないんだろうけど・・・。
あとさっきのドールは両目に眼帯つけてたけどあれで前が見えるのかな?
その場に残っていた片割れがこちらに気づいて挨拶してきた。
「あっ、どうも。本日の司会を務めさせて頂きます白崎です。よろしくお願いします。」
いかにも人の良さそうな、そしていかにも何か裏で企んでいそうな、そんな笑顔を浮かべている。
二人でグラウンドの方に戻ったところ、続々と集まってきたと思しき薔薇乙女たちの質問攻めが始まった。
蒼「現れたね・・・どんな魂胆があって僕らを呼びつけたんだい?」
真「また下らない茶番をさせようという気じゃないでしょうね?」
翠「・・・だとしたら、てめえをぶちのめしてやるですよ!」
銀「この連中とつるむ気はさらさらないけれど・・・あんたをとっちめるというのなら話は別ぅ。
結果的に協力することにはなるかもしれないわねぇ・・・。」
金「あんたなんかの思い通りにはならないのかしらー!!」
雛「おいたはめっめっ、なのー!」
白「おやおや・・・これは皆さん血気盛んなことで。まあ話くらい聞いてみてはいかがですか?
その後、参加するもしないもあなた方の自由。・・・くくっ。」
真「そうね、とりあえずは出方を窺わせてもらうとするのだわ。」
蒼「君がもしもマスターやジュン君たちを巻き込むつもりなら容赦はしないよ!」
白「ふふふ、なーに楽しく遊ぼうというだけですよ。楽しく・・・ね。まあとりあえず入場しましょうよ。」
その言葉に促され、とりあえずみんな集合する。なぜだろう、なにやら嫌な予感がする・・・。
最終更新:2006年10月09日 17:26