――停電した
蒼は台所でお茶の準備、俺は茶の完成まで別室で作業をしているところだった。
外を見るに、どうやら近隣一帯が落ちたようで、微かに入る月明りが幻想的だった。
蒼「…マスター!」
台所から蒼の声がする。珍しく多少大きめだ。
マ「どうしたー?まさか怖いのか?」
俺は冗談ぽく聞く
蒼「ち、違うよ!マスターが怖がってないか聞いたの!」
これはいいうろたえっぷり。蒼が続ける
蒼「すぐにお茶いれるからねー」
手元がよく見えないのにそんな事をしようとする蒼。敢えて無反応でいると蒼がしきりに話かけてくる
蒼「ねぇー、マスター。今日ね、僕、真紅のとこに行ったらさー」
次第に声が弱くなってくるが、音源が近づいてくる。

ちょっと泣いてる!!


そして俺の部屋の前にくる。
マ「どうしたんだ?やっぱい怖いの?」
蒼「違うよぉ…」
俺はちょっといじわるに
マ「そうか、じゃあちょってトイレに…」
と席を立とうとすると、袖が引っ張られる
蒼「…ま、待って…うぅっ」
どうやら限界のようです
そして俺は蒼を抱き抱える。
マ「これなら怖くないよー。月が綺麗だよ」
蒼「…いぢわる」

停電が直ると、蒼は潤んだ瞳を隠すような、笑顔を見せていました。