俺は出張で自宅を離れてから、体に妙な違和感を感じていた。
でもどちらかといえば大雑把な性格の俺は、体調でも崩したか程度に思っていた。
こういうときは酒を飲んで早く寝るに限る。
コンビニで仏頂面の顔の店員から酒を買い、その日は10時前には寝た。
翌朝、しっかり寝たはずだが体の違和感は消えていない。朝の準備を済ませた後でふと
昨日は携帯を朝かばんに入れたっきりで、一度も出さずに寝てしまったことを思い出し
あわててチェックしてみた。
………留守電12件、しまった、誰か緊急の用事でもあったのか、とりあえず再生せねば
「ねぇマスター、今家の掃除が終わったとこなんだ。」
「マスター、今日のお昼は牛丼に挑戦しようと思うんだ!」
「マスター、牛丼ちょっとしょっぱ過ぎたみたい・・・」
「ねぇマスター、今マスターの後ろにいるよー、なんてね、ウソだけど。」
「マスター、せめて一緒の時間に夕飯食べようね。」
「マスター、夕飯の時間だよー、もしもーし」
「もしもーし、蒼星石ですよーいい加減気づいてくださーい」
「蒼星石です・・・まいてくれた人が鈍すぎるとです・・・蒼星石です・・・」
「うー、一日一回くらいは携帯チェックするでしょ!」
「ほらほら、時計屋のおじいさんとかすごい僕のこと見てるよ。」
「な、なんでまだ携帯見ないの?僕に気付いてよ・・・」
「えぅ・・・ぐすん・・・・マスター、この録音きいたらでいいので電話してください」
俺は全ての録音を聞き終えてから家に電話を掛けた。
しかし受話器をとる前に、蒼星石の声が聞こえてきた。
「もぅ!なんで一回も電話掛けてくれないのさぁ!
いてもたってもいられなくて・・・ここまで来ちゃったんだよ!」
そして、半べそを書いている蒼星石を、優しく抱き締めた。
ある日、俺は午後になったあたりから体に妙な違和感を感じていた。
しかし霊感の「れ」の字もない俺は、体調でも崩したか程度に思っていた。
道行く人がたまに俺のほうを見てびっくりするあたり、顔色が非常によろしくないのかもしれない。
こういうときは酒を飲んで早く寝るに限る。
コンビニで引きつった顔の店員から酒を買い、その日は10時前には寝た。
翌朝、しっかり寝たはずだが体の違和感は消えていない。朝の準備を済ませた後でふと
昨日は携帯を朝かばんに入れたっきりで、一度も出さずに寝てしまったことを思い出し
あわててチェックしてみた。
………留守電12件、しまった、誰か緊急の用事でもあったのか、とりあえず再生せねば
「私メリーさん、今○○駅にいるの」
「私メリーさん、今○○大学の前にいるの」
「私メリーさん、今○○教室の前にいるの」
「私メリーさん、今あなたの後ろにいるの」
「私メリーさん、さっきからあなたの後ろにいるの」
「私メリーさん、あなたの後ろにいるんですけどー、もしもーし」
「もしもーし、メリーさんですよーいい加減気づいてくださーい」
「メリーです・・・取り憑いた人が鈍すぎるとです・・・めりーです・・・」
「うー、一日一回くらいは後ろ見るもんでしょ普通!」
「ほらほら、あのおじさんとかめっちゃ私のこと見てるよ」
「な、なんでうつ伏せで寝るの!いいかげんこっちみなさいよ・・・」
「えぅ・・・ぐすん・・・・メ、メリーです、この録音きいたらでいいので後ろみてください」
俺は背後の気配を確認すると、振り向かないで家を出て大学へ向かった。
その日俺の背後には、半べそかきながら後ろをついてくる少女がいたらしい。
最終更新:2006年09月21日 00:51