「ねぇ貴方、翠星石が何処に行ったかしらない?」
「あぁ、翠星石なら僕の家にいるよ、でも…それがどうかしたのかい?」
「いえ別に…でもあんまり長い間ミーディアムと離れているのは危険だわ、一回注意しないと…」
 真紅が読んでいた本をパタンと閉じた。
「なんなら今から僕の家に来るかい?」
「…そうね」
「雛もいくのー!」

「うん、それじゃあ一緒に行こうか、大勢の方が僕も嬉しいよ」



 蒼星石の家に着くと、リビングに通された。
 紅茶のカップをテーブルの上に置き、真紅達をソファーに促す。
「じゃあここで待ってて、今翠星石を連れてくるから」
「わかったわ」
「はいなのー」

 二人がソファーに腰をかける。
 そこで雛苺があるものを発見した。

「あー!くんくんのDVDがあるのー!」
 嬉しそうにテレビ台の中に目を向ける。
 それに気がつき、蒼星石もテレビ台の中のDVDラックを見た。
「……あぁそれ、この前買ったんだ。でも見ちゃ駄目だよ、僕もまだ見てないんだからね」
 そう言って雛苺に念を押すと、蒼星石は廊下へと歩いていった。




―――5分後

「うゆー 蒼星石遅いのー」
「本当ね…一体なにをしてるのかしら……」
 真紅がそう言って紅茶に手を伸ばす。すると、カチリと何かの音が聞こえた。
 雛苺がDVDプレイヤーの電源を入れていたのだ。
「何をしているの?雛苺」
「くんくん見るのー」
 と言って一番右端に置いてある新作と書かれたDVDを手に取る。
 真紅も新作のくんくんが見れると言う事でいけないと思いつつ雛苺を止められなかった。

 ウィィン カシャ

 DVDがセットされ、中へ取り込まれていく。
 テレビのスイッチを押し、雛苺がソファーに座りなおす。


――――やがて映像が表示される、しかしその映像は二人の予想とまったく違うものだった。

「あー!翠星石なのー!」
「……!?」

 思いがけず画面に映し出されたのは翠星石だった。
 しかし格好はいつもの物とは違う。いつものエプロンドレスではなく、だぼだぼのシャツ一枚で、
 首には犬が付けるような首輪を装着しており、目もどこか虚ろだった。
 そして、画面には表示されないが蒼星石の楽しそうな声が画面から響く。

『はい、それじゃあ台詞を言って』
『……私は蒼星石のいやしい奴隷ですぅ。……蒼星石なしじゃ生きていけない淫乱な下僕ですぅ……』
『いい子だね、翠星石 …それじゃあ服を脱ごうか』

 翠星石は黙ってシャツを脱ぎ捨てる。その下には紐と皮でできたようなボンテージが現れた。

「なにしてるの?二人とも」
 不意に後ろから声がかかる。真紅も雛苺も本当に不意を突かれ、いつも以上のリアクションで振り向く。


 そこに居たのは――――蒼星石と、テレビ画面からそのまま出てきたような姿の翠星石。
 違う点を上げるとすれば、首輪に鎖がついていること、そして翠星石が四つん這いで現れたこと。
「見ちゃ駄目って言ったのに……まぁジュン君に見せる前の試写会にはちょうど良いかな?」
 そう言って鎖を引っ張り、翠星石を無理やり真紅達の前に登場させた。
「どう?真紅、君の所のジュン君のように役には立たないけど、僕の立派な下僕だよ」

 笑みを浮かべる蒼星石と、無表情な翠星石、わけが分からず混乱する雛苺に、ただ蒼星石をにらみ付ける真紅。

「貴方……翠星石に何をしたの……?」

「……ただ、僕の趣味に付き合ってもらったくらいかな?でも……」

 鎖を引っ張り上げ、軽く翠星石の「前足」が浮かぶようにすると、そのまま鎖をはなす。
 翠星石の体が落ち、四肢が床に放り出される。
 それでも翠星石は表情を変えず。うつろな瞳で何処かを見つめたまま。

「…やさしくしたつもりだったんだけど、まさかこんなに早く壊れちゃうとは思わなかったよ」
 残念そうな表情を浮かべる蒼星石。
 そして目を真紅達に向ける

「お陰で真紅達の順番も早まっちゃったしね………レンピカ」

 蒼星石の手にハサミが握られ、それを雛苺に向かって振るう。
 次の瞬間、雛苺はその場に昏倒していた。

「……貴方、一体なにを…!」

 真紅が自分の人工妖精を出現させ、蒼星石と対峙する。

「駄目だよ、そんな事しちゃあ…」
「貴方……どうしたの…!?」
「……翠星石にも同じ事を聞かれたよ…僕はただ自分に素直なだけさ」

 あごで雛苺を指すと、翠星石が雛苺を抱えて廊下に消えた。
 と同時に緑色の人工精霊が現れる。

「見てよ真紅、僕はもう如雨露と鋏を両方持ってるんだ」

 笑みを浮かべながらゆっくりと真紅に近づく。

「ジュン君の事……大切でしょ?」
「――――――」
 真紅は動かない、ただじっと蒼星石をにらみ付ける。

 蒼星石は真紅の手を取ると、その手を後ろに組ませ、手錠をかけた。

「フフ…良い子だね、真紅……」
 そう言うと真紅の肩をドンッと押した。

 真紅はうつ伏せに倒れ込んだ。
 淡く涙の浮かんだ目で、歯を食いしばりながら蒼星石をにらみ付ける。

「あぁ…いいよ、その目、翠星石にも下僕君にも無かった……ゾクゾクする……」
 蒼星石が恍惚の表情を浮かべながら、倒れた真紅の顔を覗き込む。
「ほら……休んでないで、僕の靴を舐めてキレイしてよ」
「なっ…!」

 真紅が驚愕の表情を浮かべ、蒼星石をにらみつける
「……ジュン君がどうなってもいいの?」
「………」

 真紅は無言で蒼星石の靴に舌を伸ばす

「はぁぁ…すごいなぁ…あの真紅が僕の靴を舐めてるよ……」
 そう言うと、テーブルの上に置いてあった紅茶を、真紅の首筋へと垂らす
「ひっ………」
「……これがもっと熱かったら面白かったんだけど」

 次に、真紅の髪をつかみ上げると、指を無理矢理口の中へねじ込んだ。

「う!うむぅっ!か かはぁ!ごほっ、あむぅ!!」
 嗚咽を上げようと、お構いなしに奥へ奥へと押し込む。

「フフ……可愛いなぁホントに」

 つかんでいた髪を離すと、真紅はその場にグッタリと倒れこんだ。
 蒼星石は自分の指を抜き取ると、指についた唾液を真紅のほほでぬぐう。

「ねぇ真紅…君は一体どんな風になっちゃうんだろうね……」
 そして軽くキスをして、その場を離れた。
 その場に残されたのは、普段の姿からは考えられない、
 荒い呼吸で、焦点の合わない目、そしてそこに涙を溜めた、朽ち果てた人形だった






 その後、蒼星石はアノ部屋の前で作業をしていた。
 台の上に乗り、ドアに付いたネームプレートに「真紅」と書き込む

「……そういえば雛苺もいたっけ」
 めんどくさいなぁまったく……

 そしてネームプレートを張り替えた


【Slaves' rooms Four now】
 (奴隷達の部屋 只今四人)


続き