夢デ逢エタラの続き物です。



  漂っていた・・・  自分というものがひどく曖昧で・・・

  周囲に溶け込んでしまいそうな危うさと共に・・・

  まるで眠りにつくときのような頼りなげな感覚・・・

  ただ一つの違いは分かっていた・・・

  この眠りは・・・   もう覚めることはない眠りだと・・・




  ・・・声が、聞こえた


  「どんなに長い夢もいつかは覚めてしまう・・・ どんなに楽しい夢も、どんなに辛い夢も・・・」


  ・・・声の主の姿は見えない


  「僕が目覚めたとき、安心して戻ることの出来る場所は・・・ あなたの傍だけなんだ・・・」


  「それを・・・   奪ってしまうの・・・?」


  「あなたに待っていてほしい・・・   現実は辛いかもしれないけれど・・・」


  「僕の・・・   貴方にしか言えない・・・    わがままだ・・・」


  ああ・・・ 君か・・・ そうだった・・・

  辛いのは自分だけではなかったんだ・・・

  そうだ、君も・・・  周りのみんなも・・・  戦っていた・・・

  悲しく、辛い現実と・・・   でも・・・ 自分は逃げてしまった・・・

  一人で居るのに耐えられなくて、自分だけが逃げ出してしまったんだ

  でも、気づくのが遅すぎたみたいだな


  「負けないで!  あなたは・・・ひとりぼっちじゃない!」


  分かったよ・・・まだ負けない!




  目が覚めたらそこは・・・病院のベッドの上だった・・・。
  自分は睡眠薬を飲んだ後救急車で運ばれてきたらしい。
  お医者さんの話では、特に後遺症もなくすぐに退院できるという。
  どうやら発見が早かったのか、睡眠薬がほとんど吸収される前に処置できたのが大きかったらしい。
  お礼を言おうと聞いてみたが、不思議なことに通報があったのは我が家からで、それが誰だかも分からないという。
  担当の看護婦さんには「大事にしているお人形さんたちの恩返しかもしれませんね」などとからかわれてしまったが。
  どう尾ひれがついたのかは知らないが、なんでも心配そうな人形たちに見守られて白雪姫のように眠っていたのだとか。
  しかし助けてくれた誰かが居たということは、確かに自分はひとりぼっちではなかったらしい。




  蒼星石・・・ もう負けないよ・・・

  だから・・・ どうか君も負けないでほしい・・・





  「まったく、あなたのマスターは困ったやつですね、蒼星石。まあ、ちょっとの間だけなら代わりに面倒見てやるから安心しろです。」
  「私も体内の物の時を巻き戻し続けるなんて初めてやらされたわ。とてもくたびれてしまったのだわ。
   あの子ときたら自分の下僕の教育も満足に出来ていないのかしら。・・・今度会ったらとっちめてやるのだわ。」





  君も僕も・・・ ひとりぼっちではないのだから・・・