蒼「今日で八月も終わりだね。」
 マ「世間ではもう夏休みも終わりかあ。なんだかあっという間だったなあ。」
  そう口にするとなにやら浮かない顔をする。
 蒼「どうしたのマスター、元気ないよ?マスターはもう一月お休みがあるでしょ?」
 マ「いや、こうしてあっという間に一月が過ぎ、一年が過ぎ、そして一生が過ぎて・・・
   蒼星石とお別れしなきゃいけない日が来るのかと思うとちょっとだけしんみりしちゃってね。」
 蒼「あ・・・。」
  そう、それはローゼンメイデンの宿命。人とドールという時との関わり方が異なるものの定め。
 マ「二人で過ごす時間って、夏休みみたいなものかもね。楽しくてもあっという間に終わってしまい、
   そしてしばらく間が空いたら蒼星石はまた別のマスターと・・・。」
 蒼「そんなこと言わないでよ・・・なんだか寂しくなっちゃうよ。」
 マ「でも僕は寂しくないよ。たとえ夏休みが終わってもその間の楽しい思い出は残る。
   蒼星石の心に思い出として残してもらえ、そこで生き続けていけるのなら寂しくなんかない。
   置いてく側だろうに自分ひとり寂しくないってのはずるいかな・・・ごめんね。」
 蒼「マスター・・・。」
 マ「僕は人間だからね。体は蒼星石とずっと一緒にいることは出来ない、でも心だけはいつまでも一緒にいたい・・・。」
 蒼「忘れないよ・・・絶対に!」
 マ「ふふっ、ありがとう。まあ今すぐお別れってわけじゃあないだろうからさ。残された時間を満喫させていただきましょうか。」
  マスターが僕の両脇に手を差し込み、どこか誇らしげな笑顔で高々と抱え上げる。
 マ「思い出作りという宿題は最終日にあわてて片付けたくないしね。」
 蒼「そうだね、宿題は少しずつきちんとやっていかないとね。後悔したくはないもんね。」
  自分とこの人が共有できる時間がどれほど残されているかは分からない。
  十年かもしれない、一年かもしれない・・・、それとも・・・明日までなのかもしれない・・・・・。
  だから・・・自分はこの人のために出来る限りの時間を捧げたい。
  いつか別れが訪れてしまった時に、持てるだけの思い出を持っていられるように・・・。