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 勉強を一段落させたある日の夕方。俺は舐めることさえままならないブラックコーヒーにミルクを加えた。
こうすることでカルシウムも摂取できるし、また眠気覚ましにもなる画期的なコーヒーの飲み方である。別に
ブラックコーヒーが飲めない言い訳をしているわけではない。
 高貴あふれるチェアー、ではなくパソコンのデスクの前に配備されている安物の椅子に腰掛ける。その細い足
がギシッ、と危機感を多少感じさせる音を立てた。そして左足のふくらはぎを右足の膝に乗せ、足を組み、ミル
クコーヒーで満たされたマグカップを手にとろうとしたした瞬間の出来事だった。
「マスター!」
居間と廊下を仕切るガラス戸を勢いよく開き、蒼星石が入ってきた。蒼星石はnのフィールドを通じ、指定の場
所で茶会に出席していたはずだ。蒼星石の話だとメンバーは他のドールズらしい。
「どうした?伝えたい内容を三行でよろしく。」
俺が意地悪のつもりで蒼星石にそう伝えた。俺の思惑通り蒼星石は数秒と経たず、に困惑の表情に顔を暗くする。
俺は鬼畜でもないし、ドのつくSでもないので普通に接することにした。
「嘘だよ嘘。で、どうした?」
俺の悪戯を初めて悟った蒼星石は、頬を膨らませて怒る子供のように怒っているに違いない。しかしそれを表に出
さないのが蒼星石なのである。
「お茶会に行ってたんだけどね・・・」
「うんうん。」
「実は、お茶会でみんながマスターの悪口を言うんだ。」
「む、それは聞き捨てられないな。・・・で、なんて言うんだ?」
俺はその質問が一種の死亡フラグなのを確信していた。が、好奇心が理性に勝るのでしかたない。
「えっと、“どうてい”とか、“身長175cm”とか。」
「うむ。前者は他人の人権を侵害するレベルの悪口だ。しかし後者を悪口と認識することが悲しいぞ。」
と、前者のことについてはさらりと言ったつもりだったのだが、心にへばりつく物がある。結果として、怒りと殺意
 ・・・ではなく、微妙な快感を俺にもたらした。俺はそれを言い放った本人にもっと罵って貰うため、蒼星石に名を
聞いた。
「そいつ・・・人間さまの基本的人権を踏みにじる不届き物はどこのどいつだ?」
「僕だよ。自作自演でした!」
その言葉はたしかに鼓膜を震わせ、脳に伝わったはずだが、しばらくのあいだそれを理解することはできなかった。
やっとのことで理解したとき、初めてドッキリカメラに引っかかった人の気持ちが同時にわかった気がした。
 しかし俺を“どうてい”と罵った代償は大きい。今夜はおしおきだな。
 ・・・誰かが来たみたいだ。ちょっと出てくる。