ちょうど時刻は夕食の時間をさしていた。
「マスター?」
「…」
「マスター!」
「な、何?」
「もう…何でマスターはそんなに無口なの?」
「い、いや…ちょっと考え事を…」
「…なんかマスター…遠慮してる…?」
「…そうか?」

「…僕…マスターが良くなってくれるならなんでもするようにしようって…契約の時…決めたんだ…」
「いや…いいからそんなのは」
「そんな大きな遠慮なんてしちゃダメだよ…そんなものが、なくなったらきっと楽になれるよ。」
…?…体から力が抜けていく…何したの蒼星石…?
「ごめんね…ちょっとおとなしくしててね。」
そういうと蒼星石は、俺を椅子に無理やり座らせ、何やらスプーンを用意している。
今日のメニューは…熱そうな…肉じゃがか…
蒼星石が持っているスプーンには…湯気が立っているじゃがいもが乗せられていた。
「ふーふー…さぁマスター…冷ましたから食べて。」
マスターの顔を覗き込むようにスプーンを口に持って来る。
「お、おい…そんな恥ずかしい事できるわけない」
「いいから…食べて…」
そう言うと…蒼は自分の力で、無理やりマスター口をこじあけ、口の中にじゃがいもをほうり込む。むごむご…ごくん。
…生暖かい…なんか安心する…味だ…
「もう一個…食べてね…」
そう言うと、蒼星石はまた息を丹念にじゃがいもに吹き込み、大体冷めた所をスプーンでマスターの口に持って来る。
「あーん…」
とても赤面していて、可愛い顔、蒼星石の暖かい声に、次第に俺の体が反応していった。
ぱくっ
「…どう?」
「…おいしいよ。」
蒼星石はその言葉が聞きたかったみたいだ。
顔には幸せに満ちた表情を浮かべていた。
「マスター…可愛い…」
蒼星石はゆっくりとスプーンを持ってくる。
もう俺に…遠慮は無かった。
「あーん…」
だが、今回は蒼が食べた。
ちょっとしたいたずら心かな。そう思った俺が甘かった。

蒼星石は口でじゃがいもをもごもごしながら、自分の唇を…マスターの唇に強く当てた。「はむ…マスター…上手く…噛めてないでしょ…?」
固い部分は見事に柔らかくなり、マスターの口の中に移った。
恥ずかしさで死にそうだった。が、自然と平然としていられた。
「…蒼星石…」
「もっと…食べる?」
「あぁ…美味しい…もっと食べたい…」
「いいよ…じゃあ…次は…甘ぁいデザート…ゼリー…だよ…」
「はむっ…」
今回は二人で一緒に食べた。その味は…とても美味しく、なめらかだった。
「マスター…僕…マスターが…僕と向き合ってくれて…すごく嬉しかった…前までは遠慮してたように感じたから…」
「俺も…蒼に気を使わせてごめんな」
「…今…蒼って…言ってくれた…幸せだよ…なんか…幸せ。」
「…大好きだ…蒼…」
「僕もだよ…マスター…」
蒼とマスターの関係はこうして始まりました。