一週間において土曜日が最も明日への希望が溢れている曜日だと確信している男、俺。
そういうわけで今日明日にかけて蒼星石と遠出を決め込んでいたのだが、週末のこの雷混じりの大雨。残念ながらそれは延期となってしまった。
俺が天気にも気を掛けていればなぁ・・
せめて軽いドライブにでも、と思ったが時間を追うごとに強くなる雨。外出するのはあまりよろしくは無い。
しかも日曜日も大雨と来た。
突如俺と蒼星石の前に落ちてきた『暇をもてあます』という状況。
で、俺達は何をしているかというと


「ロイヤルフラッシュ。マスターは?」
「・・・ツーペアです」
大人しく家でトランプと洒落込んでいた。
「もう・・マスターってば本当にポーカー弱いんだね・・飽きてきちゃったよ、僕」
ぬ。何だか言葉が刺々しく聞こえてくる。
やはり蒼星石も出掛けられなくて不機嫌なのかな。
と言うか十戦位して蒼星石に全敗てどうよ?
てかポーカーって二人でやるものだったっけ?
「つ、次はスピードでもやるか」
いいよ、と蒼星石は答えるとカードを切る。
蒼星石は無言で、俺もまた無言。部屋を支配しているのはカードを切る音と、雨音だけだった。
沈黙。
なんだか切ないというか、申し訳ない気持ちが込み上げる。
俺はポンと蒼星石の頭に手を置いた。
「マスター?」
「ごめんな。もう少し俺が予報とかも気にしておけば蒼をぬか喜びさせずにすんだのにな」
そういうと俺はテーブルの上を見た。
昨日、二人で準備した荷物が置かれたままだった。
蒼星石は視線をカードに戻すと、部屋にまた沈黙が戻ってきた。
うぅ・・本当に自分が情けない。


「・・・マスター」
「はい・・」
不意に蒼星石から話しかけられる。
はは、今回はどう見ても俺が悪い。
「俺が浅慮だった。すまんk・・」
「・・僕は全然怒ってないよ?だから、そんな悲しそうな顔しないで・・」
意外な言葉だった。
「確かに雨が降って残念だとは思う。でもそれはマスターのせいじゃない」
蒼星石はずっとカードを切りながら続ける。
「マスターが今日の事で僕を気にかけてくれるのはとっても嬉しいよ。でも・・それは僕には悲しいことだ・・」
部屋から一つの音が止まって消えた。
「僕はローゼンメイデン第四ドール、でも今の僕はマスター、あなたのドールなんだ。
 だから、マスターの喜びは僕の喜び。そしてマスターの悲しみは僕の悲しみ・・・」
蒼星石が俺を見上げる。
「ねえ、笑ってよマスター。貴方にそんな顔は似合わないよ」
 ・・馬鹿か俺は。
一人で自己嫌悪に陥って、あろうことか蒼星石に気を遣わすなんて。


「そ、それに僕はマスターと一緒ならどこだって・・いいy」
「布団が・・・」
 ・・笑ってみせよう。蒼星石にもう悲しい顔を見せてたまるか。
むしろ笑わせてやる!
「ふっっとんだああああああああああああ!」



その日、俺の夕飯のオカズはレバニラ炒めの肉抜きだった。


END