お風呂上りのこと、パジャマも着て後は寝るばかりとなったところで蒼星石が駆け寄ってきた。
蒼「ねえマスター、今日もしよっか?」
マ「いいねえ」
こちらがそう答えると、蒼星石はテキパキと準備を始める。
蒼「じゃあ、お願いします」
マ「こちらこそお願いします」
しかしこれほど蒼星石がのめり込むとは思わなかった。
最初は気が進まないようで、手の動きもたどたどしかったが、今やその指はリズミカルに動くようになってきている。
もしかすると最近雨が多くてあまり運動できない分のストレス解消にもなってるのかもしれない。
マ「だいぶ上達してきたね」
蒼「へへっ、そうかな?」
それを聞いた蒼星石は張り切って動きを激しくする。ギシッ…ギシッ…という軋む音が響く。
マ「力を込め過ぎだよ。そんなに強く握らなくても棒の方は包む位でも大丈夫だから」
蒼「えっと、こんな感じかな?」
マ「うん、そうそう。それで右手も無闇に動かさずに強さやタイミングも考えて…」
蒼「こうだね?」
マ「おっ、なかなかいい動きになってきたじゃん!……でも、まだまだだね」
蒼星石はまだ自分が攻めることに夢中になってばかりでガードが甘い。
こちらが手数こそ少ないものの、上へ下へと揺さぶるとそれらは的確に効果を表す。
蒼「あっ、あっ、ダメだよマスター!!」
こちらの動きに翻弄され、徐々に余裕の無くなってきた蒼星石は思わず叫び声を上げる。
このままでは気を失うのも遠くは無い。そこで一旦攻めの手を緩める。
蒼「もう、ひどいよマスター」
マ「ふふふ、これでも多少は人数をこなしてるからね。簡単にやられるのはプライドが許さないよ」
蒼「こんな…なぶるような真似は止めてよ…」
マ「じゃあ、そろそろフィニッシュと行きますか」
そう言うとほぼ同時に一気に迫る。蒼星石は話をしていた油断もあってか対応できない。
これが本気だと言わんばかりに激しく動く。複雑な動きではあるが体が覚えこんでいる。
蒼星石はされるがままになっている、いや、もはや抵抗する術が無いと言う方が正しいか。
マ「これで、……トドメだっ!!」
蒼「あーーーーーー!」
蒼星石の眼前を閃光が支配する。
蒼星石はがっくりとうなだれて何も言わない。一方的にいいようにされてしまったのがショックだったようだ。
しばらくするとこちらをキッと見上げてこう言った。
蒼「マスター、もう一回!!」
マ「別にいいけどさあ。まだ負ける気は無いよ?」
蒼「ちぇっ、マスターみたいに超必殺技が確実に出せればなあ…」
マ「でもさっきみたいに連続技に組み込まないと隙が大きいバクチ技だよ?」
蒼「だから練習するのっ!!」
マ「はいはい……」
格闘ゲームで熱くなる蒼星石の意外な一面を発見したことに内心では嬉々としながらプレイを続けた。