「今日の獲物はここにするか…」
そう決めた俺の目の先には一つの家があった。
どこにでもありそうな普通の家。こういう所は狙いやすいんだよな。
まぁ泥棒なんて職業やってると自然と身につくものだが。
さっそく俺は準備にとりかかる。
侵入出来そうな場所は…あの窓だな。
その窓の隣りからはぼそぼそと声がする。
が、その隣りの窓はがら空きだ。
俺は木と電柱を使い、簡単に窓から侵入した。
こうもあっけないと逆に何かありそうだが、何も無い。こうなればしめたもの。俺は金目の物を捜した。
が、ちょっとしたミスをしてしまった。
タンスの上にあった時計が落ちて、「こつん」と音がする。すると隣りから、
「…マスター?」
と聞こえてきた。ヤバイ、バレる。とっさに俺は押し入れに逃げ込む。
カチャ
…誰か入って来た。
…!…子供?
「マスター…?居るの…?」
そう言っていた。だが、目が…カラフルだ…カラーコンタクトか?
そう思ったが、ここにいる奴の都合などどうでもいい。早いとこ用を済まさなければ…
そしてその子供はドアを閉めた。
俺は出ていったのを確認して、押し入れから出た。
さて…再開再開。…だが、この部屋には大して何も無い。
…リビングへ行くか…
子供は声が高い。見つかったらすぐさま逃げなければ。
俺はゆっくり、ゆっくりと階段を降りる。
さっきの子はもう寝ただろう。
姿が見えないのが恐ろしいが…
そして、ようやくそれらしき引きだしがあり、あさる。


没頭して五分位した時…
「何してるの?」
さっきの子が俺の後ろに立っていた。
心底ビビった。全く気配がしなかったのだ。
落ち着け俺。相手は子供だ。なんとかごまかせる。
「俺は電気の点検サービスだよ。お嬢ちゃん。」
「こんな夜中に?」
う、そりゃそうか。
「さ、最近停電が多いから見回りをしてるんだよ。」
「挨拶も無しに?」
あぁヤバい。完璧に疑われてる。
この子の純粋な目が心に突き刺さる。
「今度から気をつけてね。じゃあ続き頑張って。」
おいおいいいのか?
まぁ俺にとっては好都合だ…ふぅ…
もう逃げよう。これ以上続けたら体が持たない。
収穫が無いのは残念だが…
二階の窓から逃げようとしたその時、
ガシッ
腕を掴まれた。強い力で。
「…一階をやって下さいね?」
今の俺には死刑宣告のようだ。
逃げたいのに。「あ…はい…分かりましたー」

もういい玄関から逃げよう。
ダッシュで俺は走った。が…
目の前に急にあの子が出て来た…
「何処へ行くんですか?」
その子はくすくすと笑っていた。
「まさか泥棒さんじゃあ…無いですよねぇ…」
俺は黙ってしまった。何故ならそれは核心を突かれたから…
「…洗いざらい吐いてもらいましょうか?」
その子は危ない鋏を持っていた。抵抗するとヤバそうなのでしなかった。そして俺は部屋に連れてかれた…
「マスターが居なくても僕がいるからね泥棒さん…」
そういい、鋏を見せつけられた。
「今すぐ鋏で切ってあげてもいいんだよ…?」
目がヤバい。マジだ。
「マスターの家を荒そうとしたんだし…当然の事だけどね…」
シャキシャキと鋏を使う音が聞こえる…
もう同情作戦で…
「ごめんなさい、ほんの出来心で…」
「泥棒したの?」
よし。
「だから…」
「泥棒さんが入ったせいで掃除した床もドロドロ…」
あれ?
「これには…」
「酷いよね勝手に人の家入って荒らすんだもの」
「いや…だか…」
「どうやって償ってくれるの?」
…話せる隙が無い…
「…もういいや泥棒さんにはおもーい罰をうけてもらうよ…」そうつぶやくと鋏を近付けてくる…
「さてと…覚悟したほうがいいと思うよ?」え…ちょっと…待って…
ジャキジャキジャキジャキ
アッー!!!
…主人が帰るまで鋏の金属の擦り音は消えなかった…
主人が帰ってきた時…この子は「マスター!!」と言っていた…
俺はもう身柄を拘束されていた…
そして引き渡された…だが俺は血だらけだ…
ここの主人も何が起きたか分からないらしい。…まぁそりゃそうだよな…
その子が事情を説明する…なんとか理解したみたいだ。
結果的に何もしていないと言うことで、なんとか主人に通報されずに済んだ。
(血だらけにもなったから罪悪感があったのかも…)
そして最後に「マスター」があの子を「蒼星石」と呼んでいたから、多分そういう名前なのだろう…
次入ったら間違いなく死ぬかもな…
そして俺は病院へ行ったが、意外にも軽傷だった。
あの子は…俺に気を遣っていたのか…?
いや…俺じゃなくてあそこの「マスター」にか…