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    まえおき:ドール達で誰がアリスに相応しいか料理対決することになった。ただそんだけ。  


実況:「実況はわたくし、宇佐木太郎。解説は白井羅備人さんでお送りします。」
解説:「白井羅備人です。よろしくおねがいします。」
実況:「では会場の皆さんにルールの説明をします。
     出されたテーマに沿った料理をドールの方々に調理してもらい、
     審査員がそれを試食して最も評価の高かった方が優勝です。
     なお、審査員の紹介は割愛させていただきます。めんどいので。」


実況:「さぁ、選手が入場してきました。皆さんエプロンにコック帽姿です。」
解説:「写真に収めたいですね。」
実況:「エントリーナンバー1番、水銀燈選手です。」
解説:「彼女の料理の腕は未知数ですからね、非常に楽しみです。」
実況:「水銀燈選手に意気込みを訊いたところ、『私に料理の腕で勝とうなんておバカさぁん。』だそうです。」
解説:「自信の高さを伺わせますね。」
実況:「なお、得意料理は『ヤクルト料理』だそうです。」
解説:「『ヤクルト料理』・・・今後の展開が一気に不安になる単語が出てきましたね。」


実況:「お次はエントリーナンバー2番、金糸雀選手です。」
解説:「彼女も料理の腕前は未知数ですね、楽しみです。」
実況:「金糸雀選手に意気込みを訊いたところ『この日のためにみっちゃんとお料理の特訓をしたかしら! 
     負ける気がしないかしら!』だそうです。」
解説:「これは期待できそうですね。」
実況:「得意料理は『玉子焼き』だそうです。」
解説:「ほほえましいですね。」


実況:「お次はエントリーナンバー3番、翠星石選手です。」
解説:「彼女のお菓子作りの腕前は定評がありますからね。
     最近はのりさんから料理の業を盗んでメキメキ腕を上げてるそうです。期待できます。」
実況:「翠星石選手に今日の意気込みを訊いたところ、『絶対負けねぇです! あ、でも蒼星石には負けるかもですぅ。』
     だそうです。」
解説:「微妙にツンデレですね。」
実況:「得意料理は『クッキー』だそうです。」
解説:「彼女の普段の言動とは裏腹に、可愛らしいですね。」


実況:「お次はエントリーナンバー4番、蒼星石選手です。」
解説:「優勝候補筆頭ですね。どんな華麗な業が飛び出すのか非常に楽しみです。」
実況:「蒼星石選手に意気込みを訊いたところ、『精一杯頑張りますので皆さんよろしくお願いします。
     マスター、僕を見守ってて下さい』だそうです。」
解説:「は、ははは、蒼星石選手のマスターさんは幸せ者ですね。」
実況:「得意料理は『マスターの好きなもの』だそうです。」
解説:「ちょっと蒼星石選手のマスター出て来い。」


実況:「お次はエントリーナンバー5番、真紅選手です。」
解説:「クッキーを不味く作ったことがあるそうですね。これは侮れませんよ。」
実況:「真紅選手に意気込みを訊いたところ、『料理の本を熟読した私に死角はないのだわ。』
     だそうです。」
解説:「知識がどこまで腕前をカバーしてくれるでしょうか、非常に興味深いですね。」
実況:「得意料理は『スコーン』だそうです。」
解説:「簡単お手軽お菓子ですね。失敗のしようがないので私もよく作ります。」


実況:「最後に、エントリーナンバー6番、雛苺選手です。」
解説:「凶暴なカラスを自作の玉子焼きで撃退したことがあるそうですね。審査員も撃退してしまうのでしょうか。」
実況:「雛苺選手に意気込みを訊いたところ、『ヒナ、がんばるの~~!』だそうです。」
解説:「せめて人が食べれるものを作ってくれるよう祈るばかりです。」
実況:「得意料理は『玉子焼き』だそうです。」
解説:「あれで!?」


実況:「さぁ、いよいよテーマ発表です。」
解説:「各選手、緊張の一瞬ですね。」
実況:「では発表します・・・本日のテーマは・・・『カレーライス』!!」
解説:「簡単なようで意外に奥が深い料理です。各選手、難しい顔をしてますね。」
実況:「では、調理に入ってもらいましょう。食材はこちらで用意したものを自由に使ってもらってかまいません。」
解説:「ただしお持ち帰りは不可です。」
実況:「では、調理・・・スタァーーーートゥ!!」


実況:「おや、開始早々、金糸雀選手が泣きべそをかいてますよ。」
解説:「どうしたんでしょう?」
実況:「たった今、金糸雀選手からのコメントが入りました。
     『カレーだなんて聞いてないかしら、せっかくみっちゃんから玉子焼きの作り方習ったのに・・・グス』
     だそうです。」
解説:「かける言葉が見つからないですね。」
実況:「お、金糸雀選手、調理を始めました。もう泣いていません!」
解説:「彼女のどんな逆境の中でも前向きに生きる姿は、我々も見習わないといけませんよ。」


実況:「まずは皆さんお米研ぎからスタートですね。金糸雀選手が若干出遅れましたが。」
解説:「各地の美味しいお米を用意してますからね。
     自分の作るカレーに一番合うであろう米を選ぶのがポイントですよ。」
実況:「ああっと! 雛苺選手、お米を研いでいません! そのまま炊飯器に生米を投入してます!」
解説:「いけませんね、どんないいお米も、研いでヌカを取ってあげないと。」
実況:「これは雛苺選手、優勝から大きく後退か!?」
解説:「いや、雛苺選手が使った米の袋をよく見てください!」
実況:「あ・・・これは『無洗米』だぁ!」

   無洗米【むせんまい】

   〔洗う必要がない米の意〕
   水を加えるだけで炊飯できるような状態に加工された米。
   白米に残留する糠(ぬか)が,あらかじめ取り除かれている。
   糠を使って糠を取り除く製法によるものなど。
                        (goo辞書 国語辞典より)

解説:「研がなくていいお米ですね。これは時間節約になりますよ。」
実況:「雛苺選手、考えましたね。」
解説:「たまたま近くにあった米が『無洗米』だった、という可能性はこの際無視しましょう。」
実況:「おや、雛苺選手、計りを一切使わず米と水を投入しましたね。大丈夫でしょうか。」
解説:「明らかに水が多かったと思いますが・・・。『無洗米』はそこまでカバーしてくれませんからね。
     これはわからなくなってきましたよ。」


実況:「おや、水銀燈選手。食材を前に剣を出しましたよ。」
解説:「そういえば彼女は剣を出せましたね。一体なにをするんでしょう・・?」
実況:「おお、凄い水銀燈選手! 上方に放った食材を片っ端から剣で切り刻んでいます。」
解説:「かなり手馴れてますよ! 肉、ニンジン、玉ねぎなどがどんどん一口サイズにカットされています。」
実況:「とても家庭的とは言えないですが意外に料理できるんですねぇ。」
解説:「これはあくまで私の推測ですが、彼女は料理を作ってくれるミーディアムに恵まれてません。
     おそらく今までずっとああやって自炊生活してたのではないのでしょうか。」
実況:「なるほど。ちくしょう涙が出てきやがった。」


実況:「真紅選手、本を読みながら料理してますね。」
解説:「本のタイトルは・・・『誰にでもできるカレーライス』・・・ですね。」
実況:「ただいま入ってきた情報によると真紅選手が今日まで読んできた料理本は全部ドイツの本だったそうです。」
解説:「彼女、ドイツ語しか読めませんからね。さすがにドイツの料理本にカレーの作り方は載ってなかったのでしょう。」
実況:「今読んでる本は日本語で書かれてるので、写真だけを参考に使ってるそうです。」
解説:「なるほど。涙ぐましいですね。」


実況:「おおっと、金糸雀選手、なにやらスタッフと揉めています。」
解説:「どうしたんでしょうか。」
実況:「金糸雀選手、レトルトカレーを鍋で温めています!」
解説:「あれは・・・カレーの王子・・・いや『カレーのお姫さま』ですね。」
実況:「そのことに関する金糸雀選手のコメントが届きました。
     『楽してズルしていただきかしら!』だそうです。」
解説:「楽しすぎ、ズルしすぎですよ! これはいけません。」
実況:「おや、スタッフが引き下がっています。」
解説:「どうしたんでしょう。」
実況:「たったいま届いたコメントによりますと『これにさらに手を加えるからズルじゃないかしら。』
     だそうです。」
解説:「詭弁ですね~。というか素材に『カレーのお姫さま』を用意しておくウチのスタッフがわかりません。」


実況:「蒼星石選手、翠星石選手共に手際いいですね~。」
解説:「蒼星石選手はともかく翠星石選手は電子レンジで生卵を爆発させるほど料理音痴だったそうですが
     完全に昔の話のようですね。」
実況:「こちらに寄せられた極秘資料によると、なんでも翠星石選手には
     美味しい料理を食べさせたい意中の殿方がいるそうですよ。それで料理を猛勉強中だとか。」
解説:「ハッハッハ。これご本人に聞かれたら怖いですね~。」
実況:「大丈夫ですよ、誰かが告げ口しないかぎりはこちらの音声は選手には届きませんから。」
解説:「ところでさっきからチラチラ私達の後ろのほうで瞬いてる緑色の発光体はたしか・・・」
実況:「あ、翠星石選手の人工精霊ですね・・・。あ、翠星石選手の所へ戻っていきます。」
解説:「・・・・。」
実況:「翠星石選手、こちらを睨んでますね。」



実況:「蒼星石選手、先ほど水銀燈選手に対抗して鋏を出しましたがすぐしまいましたね。」
解説:「思い直したんでしょう。正しい判断です。」
実況:「しかし手際いいですね~。おおっと蒼星石選手、ナンプラーを取り出しました!」
解説:「これは・・・おそらくグリーンカレーを作るつもりではないでしょうか。」
実況:「白井さん、グリーンカレーとは?」
解説:「タイ発祥のカレーですね。緑色のハーブを用いるため色が緑色のルーになるので
     グリーンカレーと呼ばれています。美味しいですよ。」
実況:「やっとまともな解説できましたね、白井さん。」
解説:「蒼星石選手のお陰です。ありがとう蒼い子。」


実況:「おおっと、水銀燈選手。チキンをヨーグルトに漬けています!」
解説:「おお、あれはヨーグルトの乳酸菌が肉を柔らかくするんですよ!」
実況:「さすが水銀燈選手! 乳酸菌を使わせたら右に出るものはいません!
     『乳酸菌摂ってるぅ?』は伊達じゃない!」
解説:「今大会のまさにダークホース的存在ですよ、彼女は。」


   しばし時間経過


実況:「さぁ、そろそろ各選手のカレーのルーが出来上がってきましたよ。」
解説:「これから仕上げですね。」


実況:「金糸雀選手、『星のお姫さま』に手を加えると言っていましたが・・・。」
解説:「まぁ・・・ある意味興味深いですね。」
実況:「あ、砂糖です! 砂糖を用意してます!」
解説:「ま、まさか・・・。」
実況:「まぶしたー! ルーに砂糖をまぶしています!」
解体:「ただでさえ甘い『星のお姫さま』に砂糖をまぶす!?」
実況:「手を加えるってそれだけ!?」


実況:「真紅選手、ルーを煮ている鍋から黒い煙が上がっていますが
     本人は気にも留めず遠くで紅茶を優雅に飲んでいます。」
解説:「・・・・。」
実況:「これはどういうことでしょうか、白井さん?」
解説:「これは・・・おそらく『黒い煙が上がってる』=『これはとてもマズイことになっている』
     ということが真紅選手には自覚がないのでしょう。」
実況:「といいますと?」
解説:「普通、料理本に黒い煙の対処法なんて書いてないですからねぇ。
     鍋を焦がすのも真紅選手にとって初めてで、何が起こってるかわかってないんでしょう。」
実況:「なるほど! ある意味かわいいぞ!真紅選手!」


実況:「雛苺選手が鍋で煮てるのって、カレーですよね?」
解説:「カレーにしては妙に黒いですね、なんでしょう?」
実況:「ん・・・、これはまさか・・・あの粒粒は・・・!」
解説:「小豆・・・! 餡子だぁあああああ!」
実況:「ちょ、ちょっと待って下さい! カレーですよね、今回のテーマ!?」
解説:「恐ろしいことにあれが彼女にとってのカレーかもしれませんよ?」
実況:「でもあれご飯に盛り付けたらカレーというより『おはぎのようなもの』ですよ!?」
解説:「彼女がカレーと言い張ったらカレーなのでしょう。料理とはそういうものなのです。」


実況:「翠星石選手、今も盛んに味付けを行っています。」
解説:「あれは辛そうですね~。香辛料をふんだんに使ってますから。」
実況:「彼女のツンツンとした性格をよく表してますね。」
解説:「いえ、よーく彼女のカレーの具を見てみてください。」
実況:「え? あ、あれは・・・パイナップル!」
解説:「そう、辛い辛いカレーの中に甘酸っぱいパイナップルですよ!」
実況:「デレですよ! デレ! あのパイナップルは間違いなくデレです!」
解説:「ツンの中にデレ! まさしくあれはツンデレカレーですよ!」


実況:「さぁ、意外にも料理ができることが判明した水銀燈選手ですが・・・。」
解説:「どうしました?」
実況:「ただいま届いた情報によると最後の『隠し味』をルーに仕込むそうです。」
解説:「ほう、それは楽しみですね。 ・・・お、水銀燈選手、何か出しましたよ!」
実況:「あ、あれは・・・・で、出たーーーーー! ヤクルト!
     梅にウグイス、納豆にネギ!水銀燈にヤクルトだ!」
解説:「ってことは・・・?」
実況:「入れますね、カレーに。なにせ得意料理『ヤクルト料理』ですよ?」
解説:「あ、さっそく入れてますね。」
実況:「おや、ヤクルトを大量に入れてますね~。隠し味じゃないんですか?」
解説:「あれではカレー全体の味が隠れてしま・・・はっ!」
実況:「何か気付きましたか、白井さん?」
解説:「恐ろしいことに水銀燈選手は『隠し味』の意味を履き違えてるかもしれませんよ?」
実況:「どういうことでしょう?」
解説:「つまり・・・水銀燈選手にとっての『隠し味』とは『料理の味を隠す味』ということです。」
実況:「なんてことだーーー! あ、味はどうなっているんでしょう!?」
解説:「わかりません。今確かにわかっていることは
    『煮込んでるカレーの中にヤクルトを入れても乳酸菌が死滅する』ことだけです!」
実況:「なんてことだーーー! 」


実況:「蒼星石選手、グリーンカレーが完成したようです。」
解説:「美味しそうなグリーンカレーですね~。涎が出てきます。」
実況:「あとは盛り付けるだけですね。」
解説:「おや、蒼星石選手、炊飯器の前で動きが止まってますね。
     完全に固まっています。どうしたんでしょうか?」
実況:「ああ、蒼星石選手、ここにきて重大なミスが発覚!
     炊飯器のスイッチを押すのを忘れていたぁああ!」
解説:「な、なんだってーーー!?」
実況:「なんてことだ! ここにきて発揮してしまった! 蒼い子の『ドジっ子属性』!」
解説:「まずいですね、もう米を炊いてる時間ありませんよ?」
実況:「蒼い子慌ててます! オロオロしています! 不謹慎ですが萌えるぜチクショー!」
解説:「このドSめ! あ! 翠星石選手が蒼星石選手の様子に気付いたようですよ!」
実況:「翠星石選手、自分の炊いたご飯を蒼星石選手の元に届けようとしますが・・・。」
解説:「誠に麗しい姉妹愛ですが、駄目です。他の選手からの一切の手助けは認められていません。
     翠星石選手、スタッフに止められています。」
実況:「ああ、蒼星石選手、ここでリタイアなのか・・・。」


マ:「蒼星石、タイ米だ!タイ米を使うんだ! 思い出せ、俺といったあのキャンプの食事を!」


実況:「今、観客席から会場全体に響く大きな男性の声がしました・・・!
     タイ米がどうとか言ってましたが・・・。」
解説:「いえ、これは悪くないアイディアですよ!
     タイ米なら日本のお米より少ない時間で炊くことができます!」
実況:「しかしタイ米ですよ? 巷での評判がすこぶる悪い・・・。」
解説:「いえ、それはタイ米を日本式の炊き方で炊くから不味くなるんですよ。
     ちゃんとタイ式に則った炊き方をすれば素晴らしく美味しいお米なんです!
     しかも蒼星石選手の作ったカレーはタイ発祥のグリーンカレー!タイ米と相性抜群ですよ!」
実況:「お、蒼星石選手。タイ米を洗っています!」
解説:「しかし、時間が時間です、私の見立てだとギリギリですね・・・。」
実況:「お、鍋を使うのですね。」
解説:「この会場のキッチンの火力ならあっという間に煮立つはずです・・・!」



    そして調理終了の時間になった・・・・

    審査員による試食タイム。事実上、翠星石と蒼星石の二強対決だった。
    結果は蒼星石の優勝。
    料理に関することでは蒼星石が一番『アリス』に近いということになった。



蒼:「マスター、ありがとう。」
マ:「見てられなかっただけさ。別に礼を言われるほどのことじゃないよ。」
蒼:「僕、やっぱりマスターに助けてもらってばかりだね・・・。」
マ:「俺も助けてもらってるよ、蒼星石に。
    蒼星石がいなかったら今頃俺の家は真紅の作ったカレー状態さ。」
蒼:「もう、マスターったら・・!」
マ:「ハハハ・・・」
蒼:「クスクス・・・」
                ・
                ・
                ・
                ・
蒼:「マスター、起きて! ねぇ起きてったら!」
マ:「ん、むにゃ?」
蒼:「はやく起きないと今日の遊園地に間に合わなくなるよ。」
マ:「ん、あれ。夢?」
    夢落ちかよ!
蒼:「もう。今朝はカレー作ったからね。マスターがキャンプで作ってくれたグリーンカレーだよ。」
マ:「お?」
蒼:「それと・・・ありがと。」
    そう言って蒼星石はそそくさと台所の方へ行ってしまった。
    んん?


                                        終わり