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 結局、翠星石が言っていたことなど気にもかけず6時間目をむかえた。これでさっきの言葉は
翠星石の嫉妬と確信した。意外と可愛いところもあるんだなと腕を組み、頷く。それが先生には
変な者に見えたのだろう。自称ダーツの天才である先生のチョークが額にヒットする。一瞬にして
教室は笑いの渦に満ちる。俺は真性でしかもドのつくMなのでなんともなかったが。先生に一喝の
言葉を貰った後、再び授業へ戻る。しかし先生が使っていたチョークが黒板に押し当てられポキッ
と乾いた音がする。そこで誰かが「プッ」と噴出す。断じて俺ではない。すると先生の手が一閃。チョークが
白いビームのように残像を残しながら蒼星石の額に吸い込まれていく。どうやら吹き出してしまったのは
蒼星石らしい。今回は誰も笑わなかった。かわりに先生に対するあまたの殺気のこもった視線があった。
翠星石が如雨露を召喚して本気で先生を殺しにかかろうとしていたが俺がなんとか止めた。蒼星石は
というと涙目で俺の腕にしがみつき「もうお嫁にいけない」となんともそそることを言ってくれる。本気で
この先生を殺しそうだ。6時間目はこんなグダグダな感じで終わりを告げた。
 放課後。俺はやり忘れていた数学の課題のおかげで居残りをさせられていた。数学の課題を忘れると罰として
プリント4,5枚をやらなければならない。奮闘していた俺の元に蒼星石と翠星石が来た。いったん家に帰った後
再び学校へ来たのだろう。制服からいつもの服装に戻っていた。俺は翠星石に
「なんだ、俺と蒼星石をくっつけまいとしてたんじゃないのか?」
「そうしたいのは山々ですけど、蒼星石がどうしてもって言うから・・・」
うーむ。過保護と言うか甘やかしというか。つまるところ妹に弱いと言うことなんだろうな。
 俺が3枚目のプリントに手をかけたときだ。蒼星石の体がぐらりと揺れる。俺は机から飛び出して蒼星石が倒れる前に
抱きとめる。様子がおかしい。翠星石はいかにも「来てしまった!」な感じの表情だ。
いきなり蒼星石が勢い良く起き上がった。俺はびっくりして後ろへ2、3歩下がった。蒼星石は何も喋らずに
ただ下を向いている。いつもの蒼星石ではなかった。翠星石が早く逃げろと目で俺に語る。俺は何も考えれず、何もできず
に突っ立っていると蒼星石が右手を宙にかざす。すると蒼い光球が瞬いたかと思うと次の瞬間には蒼星石の手に庭師の鋏が
握られていた。これには俺も危機感を感じたんだろう。震える足で逃げようと足掻いた。しかし蒼星石は無常にも右手を
一閃させた。俺の右腕の制服部分がスパッと裂かれる。ついでに血が垂れる。蒼星石が右腕を真上に構え、俺に止めを
さそうとする。そして腕が振り落とされる。
 ・・・目を開けるとスライドしている廊下の天井が見える。どうやら翠星石が俺を引きずっているらしい。とにかく今、俺は
生きていた。

 翠星石は俺を引きずって技術室の中に入る。そして施錠。
「ド低脳人間!なんで逃げないですか!?」
いや、そんなこといわれても人間なら誰でも腰を抜かす。特に蒼星石と暮らしてきた俺には効果覿面だろう。
「蒼星石は・・・いや、アレは一体どうなってるんだ!?」
俺はうまく発音できない口で必死に翠星石に問う。
「あれは・・・ジェノサイドですぅ。蒼星石の別人格が現世に顕現した姿ですぅ」
何を言っているのか理解できない。しかし俺は質問を重ねることしかできなかった。
「午前中、蒼星石に近づくなって言ってたよな。以前にもあったのか?」
「はい・・。前マスターの時、一回だけですぅ。」
「つまり、その時は止まったってことだろ」
「そうです。と言っても何でジェノサイドが収まったか原因は不明なのですぅ・・・」
なんてこった。これではどうなるかわからない。
「と、とにかく。蒼星石はすぐここに来るです。さっさと逃げ――」
「まてよ、まだ1つ質問がある。」
翠星石がはっ、と表情を曇らせる。
「なんで蒼星石のジェノサイドが発現したんだ?」
俺がその質問をすると翠星石はう~と唸り頭を垂れる。そして下を向いたまま淡々と話し始めた。
「あくまでわたしの予想ですけど・・・多分マスターに対する愛情度数が関係してると思うですぅ。」


「マスター・・・どこ・・?苦しい・・・苦しいよ・・
                     マスター・・・」